一学期の総決算──
生徒総会も無事終わり……
「うおらぁ!生徒総会お疲れェい!」バサァッ!
「&明日から夏休みー!!」
「いえーい!!」
「これで心置き無く夏休みを謳歌出来るね〜」
「そうね、この夏は何しようかしら…」
「……そうだ、お前達はなんか予定立ててたりするのか?」
「……特にない…フータローと勉強…」
「私も大きな予定はないですね……白銀君はバイト三昧ですか?」
「いや……思ったよりシフト調整に難航してな…結構暇な時間が多い。なんかしたいよな──」
「何かしたいですね──」
「なぁ藤原書記」
「ねぇ藤原さん」
「……ん?」
夏休みの予定!
夏休みに数多く行われるイベント──
それを男女混合のグループで行えるかどうかはスタートダッシュに全てが懸かっている!
最初に男女で出かける事で
「次はどこ行く?」
「行くならまた皆で」
と発展性が生まれる!
一方スタートダッシュに失敗すれば男女混合の心理的ハードルは上がり男子は男子と、女子は女子とのグループで夏休みを過ごす事となる!
「……」
これに失敗すれば
灰色の夏休み!!
当然の如く男女混合での旅行など無い!
海で水着もバーベキューも無い!
夏祭りで女子を背負うなど無い!
花火の音でかき消される愛の言葉など無い!
田舎に帰ったら幼馴染との再会など無い!
タイムリープも異世界召喚もひと夏の大冒険もある筈が無い!
現実!
それが現実なのである!
それでも限りなくゼロに近い希望を信じるなら夏休み最初の予定は異性と組む必要がある!!
「藤原書記……やっぱり夏はパーッと羽を広げたいもんだよな」
「そうですね!やっぱり夏は普段出来ない事をしたいですものね!旅行とか最高です!」
(そうそれ!)
「あら!良いわね旅行!」
「私たちもどこか行っちゃう〜?」
「……私も行きたい…!」
「いいじゃんいいじゃんっ!皆で楽しみましょー!」
「私も賛成ですっ」
(いいぞ…流れがいい方向に進んでいる…今日は調子が)
「お前ら、何言ってんだ?」
「……え」
(……上杉…?)
「この夏休みこそ勉強だろ!受験は2年の夏が天王山だぞ!遊びにうつつを抜かしてる暇なんて無ぇ!」
「…ぐっ…!」
(ちくしょう正論だ!)
「え〜!良いじゃんフータロー君!」
「ダメだ、特にお前はバイトだかなんだか知らんが勉強出来て無いからな!」
「…そ、それは…!」
「上杉さん!そんな事言わずに楽しみましょうよ!」
「…お前ら…前の期末で散々な結果だったのによく言えるな…」
「…そ、それは〜ー…」
《図星じゃねぇか…》
「…う、上杉……そうは言えど、休暇は必要だ。数日くらいなら良いんじゃないか?」
「白銀、お前が一番よく分かってる筈だ…その数日のブランクがどれだけ後の自分を苦しめるかを…」
「…くっ…」
(くそっ!もうどうしようもないのか!?)
「……でも、一度位は何か思い出作りしたいですよね」
「……」
(石上!?)
「僕は1年ですけど会長は2年、来年は受験勉強でそれ所じゃないかもしれない…会長とゆっくり遊べるのは、今年だけかもしれませんから……」
「……」
(石上……お前そんな風に思ってたのか……そうだよな、別に女と遊ぶだけが夏じゃない。男友達と馬鹿やる……そういう夏もアリだよな……)
「行こうぜ石上……夏の終わりには大きな祭りがある。たこ焼きくらいなら奢ってやる」
「……夏祭り……良いな!皆で行こうぜ!」
(天王山どこ行った!?)
今日の上杉はテンションが高かった
「祭りって、8月20日の!?」
「それなら私たちも毎年行ってるよね〜!」
「……毎年恒例」
「皆で行けばもっと楽しめますねっ!」
「美味しい屋台が沢山!楽しみです!」
「良いですよね〜綿あめ!射的!打ち上げ花火!」
「…ッ!」
〈花火!?えっ会長と花火!?良い!!〉
「それじゃあ8月20日だな、スケジュールを空けておこう」
「そうですね、私も!」
生徒会+上杉での男と女の夏休み編
突入──!!
生徒会豆知識!
書記:藤原は毎年ハワイやスペインなど色んな場所に旅行に行く程の旅行好きだぞ!
「藤原千花と中野四葉は仲良くさせたい」
「……」
「……」カタカタカタカタ
「……」
「……」カタカタカタカタ
「……あぁ〜…あいつらどこに行ったか知らないか?」
「…さぁ、まだクラスにいるんじゃないんですか?」
「……そうか…」
「……」カタカタカタカタ
「……」
上杉と石上!!
一見、なんの接点もないこの2人……
そんな2人の仲は──
「……」
「……」カタカタカタカタ
──さほど良くなかった!!
生徒会室での勉強会以外生徒会室に顔を出さない上杉
打ち合わせ程度した生徒会室に顔を出さない石上
お互いの接点は殆どなく、お互いに話も弾まないとてつもなく微妙な距離感だったのだ!
しかし─!!
「……」
「……」カタカタカタカタ
それを気まずいとも思わない上杉!
帰ってゲームする事だけを考える石上!
お互いの存在はそこまで影響はなかったのである!
しかし…
「こんにちはー!」ガチャッ
「……四葉先輩…」
「四葉」
「あれ?なんだか微妙な雰囲気ですね〜!もしかして2人とも喧嘩しました?」
「……いえ別に…」
「喧嘩なんかしてないぞ」
「…ん〜?ほんとにそうですか〜?」
疑いの眼差しを上杉に送る中野四葉
「こんにちは〜」
「藤原先輩…」
「藤原」
「あれれ〜?なんか重い空気ですね〜なんかありましたか〜?」
「この2人!なんか喧嘩したみたいなんですよっ!」
「えぇ〜!それはいけません!仲良し警察が出動しますよ!」ピィーーッ!
「……は?」
「…何言ってんですか?」
「つべこべ言わずに座ってください!アレ、やりますよ」
「…なんだよ、アレって」
「……」
藤原は棚からある物を取り出した
《……トランプ…?》
「…ズバリ!石上君と上杉さん、仲良しトランプゲーム大会です!」
「おぉー!」
「……はっ?」
「…やべぇ…なんか始まっちゃったよ…」
トランプゲーム!!
言わずと知れた、庶民的なゲーム
スペード♠、ハート♥、ダイヤ♦、クラブ♣の四種類のカードが1(A)~13(K)枚づつの計52枚+JOKERで行われるとても単純なもの
代表的なものはババ抜きや大富豪、神経衰弱や七並べ
その遊びの幅はとても広く、幅広い世代から親しまれている
しかし、そんなトランプでも
世界ではブラックジャックやポーカーなど、賭博に使われるほど心理戦を要するゲーム
もはや遊びの範疇ではなく、利益を産むほど大きなものとなっている!
「皆さんは何がしたいですか〜?私は個人的には神経衰弱をしたいです〜」
「神経衰弱!やりましょー!」
「……はぁ、分かった…付き合おう」
「…まぁ僕も暇なので…」
神経衰弱!
伏せられた52枚のカードから2枚のカードをめくり同じ数字であればそれを獲得しもう一度トライが可
揃わなければカードを伏せて次のプレーヤーに
全てのカードが取られた時最も獲得枚数が多かった者が勝者となる!
カードが机に並べられ、いよいよゲームが始まろうとしていた
「補足ですがジョーカーは使いません。あとイカサマ行為は露見した時点で-5ポイントですからね!」
「……あぁ」
「スタートはジャンケンで決めます」
「……あぁ」
「上杉さんからスタートですね」
「……あぁ」
「いいですか、じゃあゲームスタートです!」
「ドーンだ!藤原ァ!」ビシィ!
「なななな何の話ですか…!?」
「いやまぁ、不可解な点が幾つかあるからな…まず、記憶力で俺達に挑む所、その時点で少し不可解だ。普通ならもっと自分の得意分野のゲームを選ぶだろうに」
「……っ」
「そしてしれっと言ってくれたが、イカサマは-5ポイント?即時失格だろ、普通」
「……」
「こうなれば警戒もする……なんかこれ数字みたいに見えるんだが…?」
「……」ダラダラ
「イカサマトランプじゃねぇーか!」
「え……うっわ、マジじゃないですか……」
「…ほ、ほんとだ…!」
「藤原先輩せこっ!姑息!周到な準備しておいて速攻バレるとか恥ずかし過ぎるでしょう!そんで一応かけておいた
「…まぁ、イカサマは罰点制裁と定めた時点でこれもルール範囲内の行為……触れてるだけフェアだ」
「そうですよ!イカサマはバレなきゃイカサマじゃないんですよ!」
「いやバレたんだけどなお前」
仕切り直し──
トランプを入れ替え、前半戦
腐っても秀才たち……ここまで波乱もなく各々出たカードと位置を正確に記憶!ただ1人を除いて……
「……ゲゲッ!」ペラッ
「中野さんなかなか揃いませんね〜」
「…うぅ〜…」
「……」
《四葉は暗記が得意ではない。神経衰弱は記憶力が試されるゲーム、四葉には不向きだ……》
「…ぐぬぬ…皆さん流石ですね……」
「当たり前だろ、だいたいお前は初歩的なミスが多いんだ……だからバラバラに引くんじゃなくて…」
「…そう言ってられるのも今のうちですよ…上杉さんっ!」バンッ
「…なっ!?」
《なにっ!?》
場所移動!
これは必死に覚えた記憶を破壊する非常にウザったい行為である!
《まずい!記憶が…!》
「私がダメなら混乱させればいいって四宮さんに聞いたんですっ!」
《ただの受け売りかよ!?》
四葉が何気なくやったこの行動
しかしそれは上杉や石上にとってとても異常な事であり、錯乱される!
四葉自身は得点を得られないものの、足の引っ張り合いを出し抜いたのは藤原!
順調にポイントを伸ばし、遂にマイナス分を返済!
上杉に追いつく!
《まずい!最下位に…!》
「ムフフ〜なんだか思わぬ収穫があったみたいですね〜正に「棚からぼたもち」です!」
「……くっ!」
《ゲームに負ける事自体は嫌ではない……しかし…!》
「あれれ〜上杉さんはそんなに弱かったでしたっけ〜?」
「頑張ってください!上杉さんっ!」
《このバカどもに負けるなんて絶対嫌だ!何かないか…何かいい策は…!》
「……くそっ!」ペラッ
「それじゃ私の番ですね〜……
《
「あ……間違えました〜」ペラッ
「…ん?」
《ここに来て好調だった藤原の勢いが……普通にミスっただけか?……いや、まさか──》バッ
「…なるほどな……」
「もらった!」ダン
「もらった!」バッ
「もらったァ!!」バシッ!
「…俺の勝ちだ」
上杉 優勝
「おぉー!凄いです上杉さん!」
「怒涛の追い上げでしたね…」
「いやまぁ種さえ判ればこんなもんだ」
「…種?」
「……」ビクッ
「これは普通のトランプとは違った特徴がある。『柄が点対称ではない』という特徴だ」
「……それがなにか…?」
「この手のトランプに限ってこういう使い方がある」トッ
「あ……まさか!時計の時刻!」
「ご名答、トランプを置く角度で1〜Qまでの数字を表す事が出来る。だからKのカードの扱いに困って藤原は遠くに置きたかった。四葉の場所移動の時に思いついたんだろう。文字通り「棚からぼたもち」だな」
「藤原先輩……」
「……」ダラダラ
「せこーー!!せこっ!姑息!ちっとも懲りてない!恥知らず!どこで買えるのその図太さ!そんでバレて逆に利用されるとかいっちばん恥ずかしいやつ!!恥ずかしい!これは人として恥ずかしいですよ藤原先輩!!」
「…みないでぇ…」
「らいはと数々のトランプゲームをしてきた俺だ、見破れて当然だろ」
「……さ、流石上杉さんですっ!一生ついて行きます!」
「お前はまずは勉強しろ」
「僕もついて行きます!」
「お前もだ石上」
本日の勝敗結果
上杉の勝利
(なんやかんやで石上とも仲良くなれた為)
次回
第12話「白銀と五つ子ちゃんの勉強会」