かぐや様は告らせたい ✕ 五等分の花嫁   作:キャメル16世

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私は夏に思い出なんて無い

でも問題は無い

羨ましいなんて、思った事がないから

私は家族旅行に行った事が無い

でも大丈夫

皆私をトクベツ扱いしてくれるから

私は花火大会に行った事が無い

でも大丈夫

窓の中の小さな光でも

私は綺麗だと思えるから



第13話「花火の音は聞こえない:改 前編」

「らいは、準備出来たか?」

「うん!」

「…楽しみか?」

「うん!五月さんの姉妹さんに会えるの楽しみ!」

「そうか」

 

8月20日

 

この日は、白銀達生徒会

そして上杉が集合し夏祭りに行く事になっていた

 

……が!!

 

「…なんであたし達家で宿題してんのよ…もう花火大会始まっちゃうわよ!!」

「夏休み終わるのに宿題終わらせてないからだ!」

 

中野達は宿題をしていた!!

 

「…わかった、こっちは藤原書記と石上会計が到着したところだ……あぁ、今のところ四宮からの連絡はない……また後で落ち合おう」ピッ

「上杉君なんですって?」

「中野たちの宿題を終わらせてから来るそうだ」

「四宮先輩からの連絡も無し…どうします?」

「……」

 

(……四宮…)

 

 

 

「やっと終わった〜!」

「みんなお疲れ様です〜!」

 

中野達の宿題が終わり、労うらいはと藤原

だが1人だけ表情が曇っていた

 

(全員……いや、四宮以外集まったか)

 

「それじゃあ!夏祭りを楽しみましょう!」

「ちょっと四葉!19時には花火始まるから!」

「分かってるよ二乃!藤原さん!らいはちゃん!屋台を回りましょー!」

「おぉー!」

「……会長…」

「大丈夫だ、四宮なら必ず来る。気にせず行ってこい」

「……分かりました!行ってきます!」

 

(……と、言いたいところだが……)

 

「…えぇ!?白銀くん!すごい顔になってますよ!?」

「…な、なんでもないぃ!」

 

白銀は夏休み初日ぶりに四宮に会えるととても楽しみにしていたのだ

 

「…て、君は五月か?」

「そうです!」

「五月、ただでさえお前たちは顔が同じでややこしいだから髪型を変えるんじゃない」

「あ、あなたにとよかく言われる筋合いはありません!どんなヘアスタイルにしようと私の勝手でしょう!」

「フータロー君、女の子が髪型変えたらとりあえず褒めなきゃ、もっと女子に興味持ちなよ〜」

「……」

 

(髪型を変えたら……か…)

 

「…あ、ごめん!ちょっと電話だからしばらく離れるね!」

「ちょっと一花!……」

「…なんだ?逸れるのがそんなに嫌なのか?」

「…別に、ただ約束なのよ…それだけ!」

「あ、ちょっ!?」

 

(お前もズカズカ行くじゃん…)

 

「テンション高いな、花火なんて毎年やってるもんじゃないのか?」

「……花火はお母さんとの思い出なんだ」

「…え」

「……お母さんが花火好きだったから、毎年揃って見に行ってた。お母さんがいなくなってからも毎年揃って……」

 

(母親との約束…という事か……)

 

「……私たちにとって花火ってそういうもの」

 

「……」

 

《そういう事か。どうりであいつが張り切るわけだ》

 

 

 

「……すごい人混みだな」

「流石は都市の夏休みね、目的地が全然見えないわ」

「どっかに集合するのか?」

「予約した店があるのよ…あんたなんかお呼びじゃないけどね!」

「はいはい、行くぞ。ここ掴んでろ」

「…はぁ?」

「黙って掴んでろ、はぐれたら困るだろ。五人で花火見るんだろ」

「……っ」

 

「……はぐれたな」

「……はぐれたわね」

 

バーンッ

 

「……花火大会始まったな」

「…始まったわね」

「……やばくね?」

「……やばいわね」

 

花火大会終了まで00:59:51

 


 

「中野一花は五人で見れない」

 

「……くそっ…はぐれちまった…」

 

(石上会計や中野達ともはぐれちまった…藤原や四葉は上杉妹と一緒にいるから安心だが……)

 

「……っ」

白銀が目にしたのは、一人でどこかに行こうとする中野一花であった

 

(あれは!?中野一花!?)

 

「一花」

「……カイチョー君…!」

「こんな所で何してるんだ。みんなは?」

「……電話してたらはぐれちゃったみたいでね〜…カイチョー君もみんなが何処にいるか知らない?」

「…知らない、俺もはぐれた」

「お互い大変だね〜…」

「……何があった?」

「…え?」

「君の表情からは嘘が見受けられる。電話で誰と話した」

「……なんで…分かるのさ…」ボソッ

「俺はお前達の生徒会長だぞ、嘘の一つくらい見抜けられる」

一花は白銀と向き合っていた身体を180°回転させた

 

「……私、みんなと花火見られないから」

「……っ…一体何が…!?」

「電話の相手、バイト先の人なんだけど…急なお仕事頼まれちゃって…だから花火は見に行けない」

「……どうしてもか…?」

「うん。どうしても行けない。これはまだみんなにも言ってないんだけどさ…」

「……」

「ごめん、人待たせてるから」

「お、おい待ってくれ!ちゃんと説明を…!」

「なんで?」

「え?」

「……なんでお節介、焼いてくれるの?」

「……それはっ……っ!?」ガシッ

すると、誰かが白銀の腕を掴んだ

 

「君、誰?」

「……」

 

(いやあんたこそ誰だ!?)

 

「一花ちゃんとどういう関係?」

「…え?」

 

(関係……?俺と一花は生徒会の中の関わり、しかしそれ以上でも以下でもない。友人…関係者…知人……そうだ!)

 

「知人ですが……」

 

(……あれ?居ない…?)

 

「知人ですがー!?」

「会長!」

「石上会計!?」

「今藤原先輩から連絡があって……四宮先輩…来られなくなったみたいです…!」

「……四宮…!」

 

花火大会終了まで00:36:29

 


 

「四宮かぐやは皆と見たい」

 

今日は花火大会に行くの!

 

本当につまらない夏休みだったけれど

 

初めて友達と、初めて会長と

 

窓の中じゃない

ずっと憧れていた大きな花火を見に行けるのだから

 

それだけでこんな夏休みも、色んな事全部ひっくるめて好きになれると思う

 

本当に──

 

「なりません」

「……」

 

つまらない夏休みだったけれど──

 

「最近のお嬢様の振る舞いは目に余ります」

 

『 ごめんなさい 今日 18:56

 

  ごめんなさい。

 

  今日は行けなく

  なってしまいました。

  本当にごめんなさい。    』

 

「……」

 

皆に会いたい

 

知らないままでいればよかった

何もしなければいつも通りの夏が

 

こんなに苦しいと気づかずに済んだのに

 

だけど

 

だけど大丈夫……

 

夏は必ず終わる

 

大丈夫

 

大丈夫

 

大丈夫

 

大丈夫……

 

『みんなと花火が見たい』

 

 

 

「……了解」

 

花火大会終了まで00:25:25

 


 

「四宮かぐやは抜け出したい」

 

「かぐや様、いつまでそうしてるつもりですか。らしくないです。普段だったら手段を選ばず家から抜け出してる所じゃないですか」

「……何をしたってどうせ上手く行かないわ……この夏何も起こらなかったのよ…?何一つ上手く行かなかったもの!今から抜け出たってどうせ無意味よ!もう皆と一生会えないんだわ!」

「いえ、学校始まったら嫌でも顔合わせますから」

四宮別邸にて、落ち込むかぐやを慰める早坂

さながらそれは、生意気な妹をあやす姉のようだった

 

「弱り目に祟り目……弱る時はとことん弱る人ですね……確かに、かぐや様は辛い夏休みをお過ごしになられました。ですがこの夏休み、白銀会長に一度も会えてなかったのは、長期的に考えればむしろ、最善の選択であったと言えます」

「…!」

「会えない時間が愛を育てる……会長だって今のかぐや様と同じ気持ちでしょう。毎日会いたくて会いたくて夏休みが終わる日を指折り数える日々……そんな中!かぐや様と運命的に出逢う事が出来れば!?今まで蓄積されてた欲望が……?」

「一気に解放される……?」

「そうです。良いですよ、いつもの顔に戻ってきましたね」

「……でも今日は執事が二人も居るのよ?なんの準備も無しにここから抜け出すなんて出来る筈……」

「準備?」フッ

 

 

 

「……かぐや様、お食事の準備が出来ました」

「いらない……」

「…ですが」

「花火を見てるの……せめてこの位はいいでしょ……」

「……畏まりました」ガチャ

「……なーんて」←早坂

 

 

 

「……ふぅ〜〜…」

 

カラカラカラカラ

 

「……?」

 

ビンッ! シュタッ!

 

「…!?」

「浜松町の方まで、お願いします!」

 

 

 

「……かぐやさん…」

 

 

 

『おかげになった番号は現在電波の届かな──』

「繋がらない……どうして…?」

 

〈人混みのせい?それとも私の携帯が古いから?〉

 

「お嬢ちゃん、花火大会に行きたいんだよね?交通規制でこの通り渋滞だ、多分間に合わない……んじゃないかなぁ」

 

〈……間に合わない?早坂がここまでしてくれたのに……そんな…どうしてこんなに上手くいかないの……!〉

 

「すみません!ここからは自分の足で行きます!」

「気をつけてな、お嬢ちゃん」

「はい」

 

〈待ち合わせは竹芝ふ頭、大通りは人が多い。裏道から走ればギリギリ間に合う筈!きっと会える!〉

 

〈初めて面倒を見た後輩……私と初めて友達になってくれた人……初めて出来た…気になる人…その他にも沢山!その輪の中に、私がいる!〉

 

〈私は私が好きな人たちと一緒に、あの大きな花火を眺めたら…どんなに幸せだろうって…どんなに素敵だろうって…そればかりを考えていた夏休みだった〉

 

〈神様、この夏……恋だとか愛だとかは要りません!だから──だからせめて、私と皆と一緒に──〉

 

『本日の花火大会は終了いたしました。ゴミや飲食物はお持ち帰り頂くようお願い申し上げます。繰り返します。本日の花火大会は終了いたしました──』

 

「……」

 

花火大会終了まで00:00:00

 

本日の勝敗結果

なし

(白銀とかぐやが出会わなかった為)

 

次回に続く




次回

第14話「花火の音は聞こえない:改 後編」
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