かぐや様は告らせたい ✕ 五等分の花嫁   作:キャメル16世

16 / 30
人を好きになり
告白し
結ばれる
それはとても素晴らしい事だと、誰もが言う

だが、それは間違いである!!

恋人達の間にも、明確な力関係が存在する!!
搾取する側とされる側
尽くす側と尽くされる側!

勝者と敗者!!

もし貴殿が気高く生きようと云うのなら、決して敗者になってはならない!!

恋愛は 戦!

好きになったほうが、負けなのである……!



第2部
第15話「白銀御行は誘わせたい」


新学期初日!!

誰もが憂鬱と期待を胸に日常へと舞い戻る

何事も起きない長い長い夏休みの末

最後に訪れたひとつまみの思い出

 

男はそれらを振り返り──

 

「……」

 

後悔で死にそうであった!!

 

「あーーー!もぉおおおおーー!あいたたたたたたた!イタい!俺イタすぎる!!」

 

黒歴史!

夏休みの大部分かぐやに逢えない日々を送った白銀──

 

あの花火の日

かぐやに出会い…

白銀のテンションはガンアゲでキマっていた!

 

そのアガりきったテンションで繰り出される恥ずかしい名言の数々──

 

それは冷静になった白銀にとって今後十数年時折思い出しては枕に顔を埋め悶え苦しむ事になるであろう黒歴史!

 

やっちまったエピソードとして白銀史に刻まれた!

 

(もし今四宮と顔を合わせたら間違いなく──)

 

「なんて言ったら良いのかわかりませんが……あの日のお言葉は、なんというか凄く自己陶酔というか……会長──イタかったですよね(笑)」

 

(誰か俺を殺してくれ!!)

 

 

そんな最悪な新学期を迎えた白銀達

 

しかし、新たなイベントが幕を開けようとしていた…

 

「……林間学校…ですか?」

「そうです!中間試験も終わった事ですし、羽を伸ばすのには丁度いいですよね〜」

「あぁ〜…もうそんな時期か」

「林間学校は生徒会主催じゃありませんからね、私もこの間まで忘れてました」

 

林間学校!!

ここ、秀知院学園では2年生の2学期になると林間学校が行われ、毎年多くの生徒が様々な自然を堪能してくる

 

林間学校は2泊3日で行われ、2日目にはカレー作り、3日目にはスキー体験が行われる

 

「じゃあ会長達、3日間いないって事ですか?」

「粗方こっちの仕事は納めてから行くつもりだ、石上会計に負担はかからないようにするさ…まぁ、林間学校自体もう少し先の話だがな」

「…助かります」

「それより会長〜知ってますか〜?」

「…何がだ?藤原書記」

「林間学校の伝説の話ですよ!」

「…伝説?」

「林間学校の最終日のキャンプファイヤーのダンス、そのフィナーレの瞬間に踊っていたペアは、生涯を添い遂げる縁で結ばれるというのですよ〜」

「……ほぅ」

「ロマンチックですよね〜私憧れちゃいますよ〜」

「藤原先輩ってほんと恋愛脳ですよねー、自分は誰とも付き合った事ないのに」

「石上君は黙っててください!」

「……たかが伝説だろ?そんなもの、非現実的だ」

「その通りです。本来林間学校は、行事を通して生徒達に体力や健康の向上を促すものです。決して色恋咲かせるためのものではありません」

「えぇ〜!?チョードライ!?」

 

一見林間学校を否定する二人…

だが…

 

(…これは…四宮と踊らなければ!)

 

〈会長と踊らなきゃ!〉

 

考えている事は同じであった!

 

 

 

「林間学校♪林間学校♪」

 

「……」

「上杉さーん!もうすぐ林間学校ですよー!」

「…あぁ……四葉か」

「うわああああああああああ!」

「俺だ」

「なんだ〜上杉さん!」

「……」カポ

「誰ーッ!?」

「…俺だ」

「良かった〜」

「……」カポ

「助けてー!」

「図書室ではお静かに!」

「すみません」

「すみません」

 

「その金髪のカツラ微妙に似合ってますよ。こんなに仮装道具持ってきてどうしたんですか?」

「……肝試しの実行委員になったんだって」

「肝試しって林間学校の?へー上杉さんが珍しく社交的ですね」

「やりたくてやってるわけじゃない。ウチの組、肝試しを担当してたらしいんだが、クラスの奴ら、俺が自習してる隙にめんどうな役を押し付けてきやがった」

「お気の毒に…」

「……自業自得」

「とびっきり怖がらせてこの恨み晴らしてやる…忘れられない夜にしてやるぜ…」

「……ノリノリだね」

「…まぁ実際どうでもいいがな、林間学校なんて」

「…ムゥ…では林間学校が楽しみになる話をしましょう!」

「……なんだ?」

「…林間学校の伝説についてです!」

 

 

 

「…あら会長、何をしてるんですか?」

「あぁ、スキー場を利用する上での注意事項をまとめてるところだ」

「…スキー場の注意事項、ですか?」

「3日目に行うスキー体験のスキー場にはまだ整備されていない土地があるから、立ち入り禁止になってるんだ。間違っても入ってはいけないと注意喚起しないといけないんだよ」

「…なぜ会長が?」

「…ウチの組は3日目のスキー体験の担当になったからな。しかも実行委員に俺が指名された、生徒会の仕事で忙しいってのに…」

「あらあら…お気の毒に…」

「…四宮は林間学校、楽しみか?」

「……えぇ、まぁ…」

「……」

「……嘘です、ごめんなさい」

「…何故だ?山は良いぞ?涼しいし自然で溢れてる」

「…まぁ、私どちらかというと海派なので」

「…っ!?」

 

海 VS 山!

古来より争われていた絶対的対立!

人間性の色濃く出る思想戦争である!

 

(しまった!星空の魔法にかけられて告白させる作戦が台無しだ!)

 

「まぁ、どれだけ足掻いても山は山ですからね…仕方ないです」ハァ

「…何故そこまで山を嫌う?星だって綺麗に見えるだろう」

「……だから嫌なんです」ボソッ

「……え?」

 

〈星が見えるということは、月が見える。月といえばかぐや姫。夜空を見上げれば、愛する人を残し月に連れ帰された女の物語を想わずには居られません…だからこそ、月は嫌い〉

 

「……なら今度、生徒会で月見をするか!明後日は十五夜だからな!」

「いいですね〜!やりましょ〜!」

「藤原さん!?」

「いいんじゃないですか?僕は乗りますよ」

「石上くんまで!?」

「もうすぐこの生徒会も解散……皆で無茶が出来るのも…これで最後かもしれないんですよ……」

「……」

 

2日後、白銀達は月見を行い

結果、白銀に新たな黒歴史が生まれた

 


 

生徒会豆知識!

 

白銀は無類の天体好きであり

将来の夢は天文学の博士だった程であるぞ!

 


 

「白銀御行は誘わせたい②」

 

(中間試験も明けていよいよ来週は林間学校……それが終われば生徒会の解散…勝負を決めるならここしかない!)

 

白銀は思った

残された時間が少ない事を

 

生徒会が解散すれば

かぐやと会う必要が無くなるからである

 

だからこそこの男は……

 

(どうにかして四宮とキャンプファイヤーのフィナーレを迎えなければ!)

 

勝負に出た!

 

 

 

「白銀〜先帰るわよ〜」

「あぁ、おつかれみんな。勉強会はいいのか?」

「今日はあいつの服を買いに行くのよ、3日分の着替えも無いってどういう事よ…」

「……フータローはケチだからしょうがない」

「まぁまぁ、この間パフェ奢ってくれたじゃん!」

「五人で1つでしたけどね、私は特盛が良いと言ったのですが…」

「あれ本気だったのね…」

「まぁいい、気を付けて行けよ。あと、明日は駅前のバス停に7時半に集合だからな、遅れるなよ」

「言われなくてもわかってるわよ〜じゃ、おつかれ〜」

「……じゃあねカイチョー」

「お疲れ様でした!」

「お先に失礼しますねっ」バタンッ

 

「……はぁ」

「会長、ため息ですか?」

「…あぁ、色々不安でな」

「何がですか?」

「……上杉の事だ」

「…上杉さんがどうかしましたか?」

「…この間の中間試験の結果、気にしてるんじゃないかと思ってな」

「…確かに…誰一人として合格出来ていませんでしたからね…」

「あの時は俺が咄嗟に中野父に嘘をついたが、期末であれを挽回出来るとは到底思えん」

「大丈夫ですよ、彼は一度決めたことは貫き通す男です。だからあの時も逃げずにいたんです」

「……四宮…」

「……信じて待ちましょう。彼の事も、彼女達の事も」

「…そうだな、今は目の前の事に集中しよう」

「明日からの林間学校の事ですか?」

「あぁやはり一大イベントだからな、楽しまなきゃ損だ」

「…そうですね、私も楽しみにしておきます」

「……そうだ、四宮は3日目は誰かと過ごすのか?」

 

(……)

 

「……3日目…ですか」

「…あぁ、スキー体験は自由参加だがお前はどうする?」

「もちろん出ますよ、藤原さんと一緒に滑る予定です」

「…そうか……では夜は──」

「ところで会長?3日目の夜のキャンプファイヤー…私誰とも一緒にいる予定が無くてですね…」

「…っ!」

()()に誘いを受ければ、その方に御一緒するつもりなのですが…」チラッ

「……」ゴクッ

 

(先を越された…!?)

 

無論!勝負に出たのはかぐやも同様!

白銀にダンスを誘わせようと策略を練っていた!

 

(もしここで俺から誘えば…)

 

「あらあら会長、あんな伝説を藤原さんから聞いた上で私にそんな誘いをするなんて……それはまるで…」

 

(まるで告白のようではないか…!?)

 

「……くっ」

 

(だがここで四宮と予定を作っておかないと、他の奴に盗られる可能性もある!四宮はモテるからな……)

 

「……」

 

(いや待てよ……林間学校は明日…しかも今は放課後……もう既に誰かに誘われていても不思議では無い…だが何故か四宮は俺に急かすような発言をした…これは…)

 

「……フッ」

 

(もう俺に誘って欲しいと言っているようなもの!求婚と同レベルの発言!あとはそこにどうやって漬け込むか…)

 

「……四宮の組はキャンプファイヤー担当だったよな…?藤原書記が話していたあの伝説……あれお前たちの組の作り話だったりしないか…?」

「…何が言いたいのでしょう?」

「つまりだ、お前たちの組の()()が結びの伝説のデマを流し、学校中にムードを作り上げ、ダンスに誘わせやすい状況を作り上げるように仕向けたんじゃないのか?」

「……っ」

「誰がとは言わんが、そう仕向けた輩がいるんじゃないのか?……なぁ四宮ぁ…?」

「…残念ながら、私たちのクラスではありませんよ?証拠に、一つ上の先輩方もこの伝説の事は知っていましたしね」

「……チッ」

 

(不発か……)

 

「それを言うなら会長もですよ?」

「…え?」

「会長はさっき藤原さんの言った伝説を「結びの伝説」と言った…しかし、藤原さんからそのような言葉は聞きませんでしたよね…?」

「……っ」

「という事は…この伝説について、深く関心があったんですよね…?そこまで調べてでもその伝説の信憑性を確信したかったんですよね?」

「……」ゴクッ

「では何故先程はあんな質問を私にしたのでしょうか…?その伝説について一番知っている会長が何故…?」

 

(……や…やっちまったぁー!)

 

かぐやの言う通り、白銀は校内の生徒やリーク情報により結びの伝説について隈無く調べ回った!

結びの伝説が実在する事を、白銀はこの場の誰よりも知っていた!

 

「誰かと一緒に踊りたかったんですよね?誰かとその伝説を立証したかったんですよね?一体誰と踊りたかったんでしょうね?」

「……ぐっ!」

 

万事休す!

白銀は為す術を無くした!

 

〈さぁ、どう出ますか?今私を誘えば、それはもはや告白同然の行為…誘わなかったら、論理的に会長の行動がおかしいと問い詰められる……チェックメイトです!〉

 

「…会長がどうしてもと言うなら…わ、私が相手を──」

「かぐやさんキャンプファイヤーのダンスの相手いないんですかー!?」

「ふ、藤原さん!?」

「仕方ないですね〜!私が相手になってあげますよ〜!かぐやさんと生涯を添い遂げる縁で結ばれたいですもんね〜!」

「…ア…アア…」

「では会長!かぐやさん!明日の林間学校でー!」バタンッ

「……」

 

〈アーーー!あと一歩だったのに!もうちょっとだったのに!どうしていつもあの子はー!〉

 

「……」

 

(助かった…)

 

本日の勝敗結果

両者敗北

(結局ダンスに誘わせられなかったため)




次回

第16話「五つ子達は追いつきたい」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。