かぐや様は告らせたい ✕ 五等分の花嫁   作:キャメル16世

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第16話「五つ子達は追いつきたい」

「らいは!大丈夫か!?」ハァ ハァ

「…うん…お出かけの最中にごめんね…なんか熱みたい」

「…お前は身体が弱いんだ、無理すんな。いろいろ買ってきたからな」

「お薬飲ませて…」

「あぁ」

「汗拭いて…」

「あぁ」

「あと学校の宿題やっといて」

「これでもかとわがまま言うな」

 

「親父は仕事で明日まで帰れないそうだ」

「そっか……お兄ちゃんも明日は林間学校だよね」

「……」

「……もういっこわがまま言っちゃおうかな…帰ったら楽しいお話いっぱい聞かせてね、私は1人で大丈夫だから」

「……わかったから、ゆっくり寝ろ」

「……ヘヘッ…」

 

 

 

「…もしもし…あぁ、おはよう上杉……あぁ、あぁ…分かった……」ピッ

「白銀君、どうかなさいましたか?」

「……五月、肝試しの実行委員、代役でやってくれないか?」

「……え?」

 

 

 

「らいは!生きてるか!?」バッ!

「……親父、まだ寝てるんだ。静かにしろ」

「看病してくれたのか…ってもう8時前じゃねぇか!林間学校のバス出てんじゃないのか!?」

「そうだっけ?どうでもよすぎて忘れてたぜ。しかし、これで三日間思う存分勉強出来るな」

「……風太郎、忘れ物だぞ」

「……」

 

《林間学校のしおり……》

 

「早く帰れなくて悪かったな。一生に一度のイベントだ、今から行っても遅くはないんじゃないか?」

「……バスも無いし、別に大丈夫だ」

「あー!お腹空いた!」

「…っ」

「…っ」

「え…らいは…?熱は…?」

「治った!なんでお兄ちゃんまだいるの?ほら早く行った!」

「お前!俺の気遣いを返せ!」

「ありがとう!私はもう大丈夫だから林間学校行ってきて!」

「だからバスが…」

「バスはもう出発してしまいましたよ」

「五月…!?なんで…」

「それはこちらのセリフです。すみません、上杉君をお借りします」

「はーい!」

 

「お前…バスは…」

「見送らせていただきました」

「なんでうちに来たんだ」

「あなたの家を知っているのは私だけですから。私にしかここへ案内できません」

「…っ!」

 

「……フータロー」

「おそよー」

「こっちこっち!」

「ったく何してんのよ」

「……お前ら…」

「肝試しの実行委員ですが、暗い場所に一人で待機するなんて事私には出来ません。オバケ怖いですから、あなたがやってください」

「……仕方ない、行くとするか…」フッ

 

「それでは…しゅっぱーつ!」

 

 

 

「……そうか、無事合流出来たか……ゆっくりでいい、明日には合流出来るといいな。んじゃまた」ピッ

「五月さん、なんと?」

「上杉と合流したそうだ、今は中野家の車でこっちに向かってるらしい」

「早く合流出来るといいですね…せっかくの楽しい林間学校ですから」

「……まぁ、俺たちも足止めを食らってるけどね…」

 

バスで移動中の白銀たち、猛吹雪により足止めを食らっていた

 

「……すげぇ吹雪だな」

「例年よりも早い猛吹雪らしいです。渋滞も酷いですね」

「…ん〜…手持ち無沙汰だな、なにか出来ないか…?」

「…それでしたら、丁度こんなものが」

「トランプ?そんな子供の遊び……」

「でしたら……勝者は敗者になんでも一つお願いごとが出来る、なんて如何です?」

「なんでも……正気か?」

「えぇ」

「まぁ、いいだろう。種目はどうする?」

「そうですね、シンプルにババ抜きでどうですか?」

 

ババ抜き!

交互に手札から1枚引き合いペアになったら廃棄、最初に手札を捨てきった者が勝者という極めてシンプルなゲーム!

 

(これは四宮から誘ってきたゲーム…なにか裏があるに違いない……しかしなんだ?林間学校当日にまでやるその理由…わからん…俺には四宮がわからん…!)

 

〈……〉

 

「ごめんなさい藤原さん、急遽キャンプファイヤーの時間は係の仕事が入ってしまって…」

「そうなんですか?まぁ、それは仕方ないですよね〜…分かりました!係の仕事頑張ってください!」

「えぇ、お手数お掛けします」

「じゃあ私はあっちのバスなので!」

「……」

 

〈……藤原さんを欺いてまで作ったチャンス…モノにする他ない!〉

 

両者の思惑が飛び交う中、ババ抜き運命戦(サドンデス)は順調に進んで行き、かぐやは9枚、白銀は8枚のカードが残った!

 

「ではババで一枚多い私から引かせて頂きます」

 

通常、ババ抜きは3人以上で行う事を想定されたゲームである

2人で行う場合、何を引いても『ペア』になるカードor『ババ』の二択となる

既にババを抱えているかぐやは当然ペア

続いて白銀の引き──

 

「……っ!?」

 

なんと初手ジョーカー!

白銀痛恨の引き!

 

(序盤にババを引く確率は低く得てして気を抜きやすい。ならばこそ手の伸ばしやすい利き手側にババを配置すると踏んでいたが、裏目…っ!)

 

ババ抜きは運ゲーでは無い!

如何に相手の心理を読みババを引かせるか高度な心理戦のゲームである!

 

(ならば……)

 

「まぁ……なかなか可愛い事をしますね」

 

白銀のとった行動!

それはカードをあからさまにはみ出させるというもの

 

「案外俺は一番取りやすい場所にババを置く可愛い所のある男かもしれんぞ?もっとも、これ以外を引けばその答えは永遠に闇の中だがな」

 

(このゲームの肝は『選択の誘導』だ、純粋な8分の1の選択肢を『引くか』『引かないか』の2分の1に落とし込む話術こそ肝!さぁどうする四宮!)

 

「……えぇ、知っていますよ」

「……」

「会長はとても可愛らしい人です」ビッ!

「…っ」

「あら残念、ジョーカーでした……ではお返しです」ニコッ

「…っ」

 

(笑っただと?ジョーカーを引いたというのに!?何故だ…何を考えている!?これも策?だとすればどんな……ますます分からない!)

 

「……」

 

(四宮は言った、勝者は敗者になんでも一つお願いごとが出来ると……だとすれば、『お願い』とは一体なんだ?定義の決定権がこちらにない以上その『お願い』は場の空気を読んだものにならざるを得ない。一見自由なようで強烈な制限!)

 

「……」ゴクッ

 

(もしだ……もし四宮が何らかの理由で藤原とキャンプファイヤーを一緒に迎える事が出来なくなったとしたら……)

 

「せっかく藤原さんにお誘い頂いたのに…これでは生徒会として示しがつきません…」ウルウル

 

(などと涙ながらに訴えられれば…)

 

「判った判った!お願いごとは『俺と踊ろう』でどうだ!?」

 

(とならざるを得ない空気になるのでは!?)

 

「……ふふっ」

「……くっ…!」

 

(ふざけるな!この俺がなぜ!?俺から誘う事などあっては……)

 

「……どうかなさいましたか?会長」

「…いや…さぁ、勝負を決めよう」

 

 

 

勝者、白銀

 

「……」

「……負けてしまいましたか…流石は会長ですね」

「…あぁ…さて、一体どんなお願いをしようか」

「そうですね、スマートで男らしく、空気を読めているものが良いでしょうね……例えば…」

「そういえば四宮、結局藤原書記と踊るのか?」

「……え?」

 

(……)

 

「……いいえ、実は…いろいろあって出来なくなってしまったんですよね…」

「そうか、ならば……」

 

(……俺も変わらなきゃな…)

 

「俺も踊る相手が今のところいなくてな、手が余ってるんだ」

「……」

「……お前の手を借りる、という『お願い』はどうだ?」

「…借りる?」

「その場限りでいい、だが秀知院学園の生徒会長と副会長が孤立しているなんて生徒達に示しがつかんだろう…どうだ四宮、俺の『お願い』聞いてくれるか?」

「……はい…会長がいいのであれば…」

 

(俺が変わらない限り…四宮も変わってくれない……男らしく…俺が変わるんだ…!)

 

「……え〜…本日は吹雪の為、移動は困難だと判断しました。本日はこの近くにある旅館に泊まりますので、準備をお願いします!」

 

「……だとよ、四宮」

「……会長…」

「…なんだ?」

「……楽しみですね、林間学校!」ニコッ

「…っ」

 

(……ったく、そういうところだぞ…)

 

本日の勝敗結果

両者勝者

(ダンスに誘う事に成功したため)

 

 

 

「……えっ!?」

「し、白銀君!?」

「五月!?なぜこの宿に!?」

 

「まさかお前らも同じ旅館で泊まってたなんてな、よく会わなかったもんだ」

「まぁ、これでようやく全員揃った。素直に喜ぼうぜ」

「…そうだな、せっかくの林間学校、だからな」

「……上杉、それは?」

「これか?らいはに貰ったミサンガだ、徳が高いだろ」

 

「……」

 

〈会長とダンス……べ、別に緊張してませんけど!?〉

 

「……」

 

〔みんな平等に…フータローは…〕

 

「……」

 

〔あの写真の子、一体何処にいるのかしら…〕

 

「……」

 

〔三玖が言うなら、良いよね…〕

 

「……」

 

〔私がこの3日間を上杉さんの思い出の1ページにしてみせます!〕

 

「……」

 

〔私たちの誰かが…上杉君を…〕

 

それぞれの考えが飛び交う中

いよいよ林間学校が始まる──!




次回

第17話「上杉風太郎は驚かしたい」
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