NURUTO   作:ONE DICE TWENTY

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ゆうかいっ!

 二年半が経った――ということはない。

 割と、まだ幼少期編。ただサスケェ! とナルートによる終末の谷での戦いは終わっているし、彼らがそれぞれに決意を秘め、力を溜めていることも確認済みだってばよ。

 その最中、暁が本格的に動き出した事もわかっている。なんでって角都と飛段がいたから。俺を狙っている、という事は無さそうで、なんなら普通に茶の国ですれ違ったんだけど、特に何をされる、ということもなかった。

 目下怖いのはイターチとキサーメくらいだろう。イターチは幻術が、キサーメはサメハダーが。サソーリも毒が怖くはあるし、芸術爆発は……まぁアレは完封できるな。オビートがワンチャンすり抜けで色々ありそうなくらい?

 ペインと小南は……まぁあいつらあんまり動かないし大丈夫っしょ。余計なことをすればするほど長門の体力削れちゃうし。

 

 という事で、やってきました沼の国。何がという事でなんだ。

 

 ここには魍魎が眠っている。鬼の国には魂が、沼の国には肉体が。

 そんな魍魎、あるいはそのエネルギーであるが、なんでも世界を滅ぼす力を持っているんだ!! とのこと。黄泉という名の沼の国の忍が暗黒医療忍術でイタコとなり、かつて世界を破滅寸前まで追い詰めた魔物である魍魎を自らの体内に入れる、という暴挙を計ったところから劇場版NARUTO疾風伝が始まる……ワケだが。

 

 これさ、もっと早く対処しておけば良かったくね?

 あとそんなやべーモン眠ってる場所の警護甘すぎんだろ。

 

 以上の観点二つから、まず鬼の国の祠を見に行った。

 それで甘い警備をちょちょいとしてその魍魎の封印を見たんだけど……まーわかりゃんせん。封印術とかアカデミーに一か月しか通ってない奴がわかるわけもなし。まぁこっちは大丈夫だろう、ってことで、肉体の方へ来たわけだ。

 

 沼の国。

 火山、ではないにせよ、そのある山中の地下には煮えたぎるマグーマが眠っていて、そこに肉体が封印されている。最終的に火山になるっぽいけどその場合の被害は知らん。

 

 んでまー、この肉体を呼び起こす方法だけど、鬼の国の巫女殿が必要なのだと。というのも魍魎と巫女殿は元々一つの力であり、封印するなら共に、呼び覚ますのも共に、みたいな一心同体。そも魍魎とは人の悪しき心の集合体で在り、今代はそれがとぉっても強いので黄泉サンが動いたワケですね。

 つまり、何が言いたいかというと。

 

「おい! 離せ……この、こんな所に連れてきて、何をさせる気じゃ!」

「はい暴れないで暴れないで。暴れると落ちちゃうよー? 煮えたぎるマグーマに。感じるでしょー? この熱さ」

「ッ……!」

 

 誘拐してきました。

 鬼の国の巫女――紫苑。予言の巫女。その能力は周囲の人の死を予言する……と喧伝しておいて、実態を問えば巫女の命を守らせるために周囲にそういうシンパを与える、みたいな能力。封印に必要とはいえ結構えげつい。

 そんな能力を持つ紫苑だけど、勿論それがメインの能力じゃない。さっきも述べた通り、魍魎の封印解放には必要不可欠な存在なのだ。

 

「まー安心してよ。俺は君を巫女の呪縛から解き放つために来たんだから」

「信じられるかそんなこと!」

「はいここに立って」

 

 恐らく封印術だろう陣の敷かれたところに紫苑を置く。逃げられないように足は【緑色の眩いぬるぬるしたもの】で固めてある。あ、ちなみに目にも目隠ししてあるよ。発狂されたら面倒だし。

 そして――ドスン、と。

 

 鬼の国の祠から丸々持ってきた、魍魎が封印されているという岩全部を地に着ける。

 誘拐する前に持ってきておいたのだ。ちなみにこれは月の国でイシダテにヌル遁アーマーを石化された時得た能力で、俺の体から離れていても、石化状態ならその場に留めておける。その後俺や【緑色の眩いぬるぬるしたもの】を触れさせる事で石化を解くこともできるので、結構便利。

 ただしイシダテの能力に倣っているため石の強度はあんまり高くない。強い衝撃ですぐにバラバラになってしまうので武器等には向かなかったりする。

 

「な……この気配は!」

「おー、見えなくても感じ取れるものなのね。よしよし」

 

 ──飛来する苦無を、【緑色の眩いぬるぬるしたもの】の触手で弾く。チチチチ、という鳥の鳴き声に似た音。爆発的なチャクラの気配。動かない身体。

 ……マ?

 

「そこまでだ。褐返のマントを羽織ったサングラスの少年……お前には鬼の国の巫女紫苑様の誘拐の嫌疑、及び鬼の国の祠の破壊の疑いがかかっている。大人しく、投降してもらおうか?」

「カカシ! わかっているな、()()()()()()!」

「わかってるよ。そういうお前こそ、見ないまま体術をかける事は出来るのか?」

「無論! 木の葉の碧き猛獣は視界を奪われた程度で抑えられるものではない!」

「カカシ、ガイ……あんまりはしゃぐなよ。俺達の任務は紫苑様を無傷で奪還することだ。逸って効果範囲の広い術なんぞを使ってみろ、擦り傷でも――」

 

 身体が動かない。これは……影縫い、だな。シカマルじゃない。シカクの方。そして雷切を構えたカカーシに、あのマダーラに体術は同格だと認められた男、マイト・ガイ。見えているのはこの三人だけだが、シカークがきといて猪蝶が来ていないわけがない。

 

 まー、そうか。

 世界が滅びかねんやば案件だもんな。

 Aランク任務、あるいはSランク任務か? 上忍がこぞって動くのは当然……こりゃモタモタしてると他の里も来そうだな。

 

「ッ、く……」

「どうした、シカク!」

「気を、つけろ……動くぞ!」

 

 影縫いの出力はチャクラ量の差と精神力。シカマールに比べてシカークは強い方だけど、【緑色の眩いぬるぬるしたもの】の破壊力は人間如何でどうこうなるものじゃない。

 ぐじゅる、と水音を立ててヌル遁アーマーから塗流槍が伸びる。躱された。ま、そうだわな。

 そのまま全方位に塗流槍を射出していく。とはいえ流石上忍、掠りもしない。

 

 全員目を瞑っているのにもかかわらず、だ。

 

「火遁・業火球の術!」

「待てカカシ、紫苑様に当たる!」

「っと、そうだった。あぶない、あぶない」

 

 そういうとこ融通が利かないというか、ナルートと違って後先を考えられる大人だから、無理はしないんだよな。

 でも無理をしないと奪還はできないぞ。

 

「ヌル遁・大太刀の術……」

 

 この空間、ドーム状となっているこの地の半径をそのまま太刀にしたかのような長さ。緑色の眩さが空間を照らし上げ、命を切り裂く瞬間を今か今かと待ち望む。

 

「伏せろ!」

「ハァー!!」

「ガイ! ダメだ!」

 

 シカークが指示をする中、マイト・ガイが大太刀を蹴り壊さんと足を出す。カカーシの制止も虚しくその蹴りが【緑色の眩いぬるぬるしたもの】を捉える――かと思われた瞬間。

 大太刀はぐにゃりと形を変えて穴を作り、その穴にホールインワンしたマイト・ガイを縛り上げる。

 

「……」

「くっ、ガイ!」

「う……ご、けん……!」

 

 集中を乱されたのだろう、雷切が消える。それを狙い、地面に潜め這わせていた【緑色の眩いぬるぬるしたもの】でカカーシの足を一本釣り。しかしそれは、釣っている最中でポフンと消える。変わり身か、分身か。

 真横から足音。

 

「雷切!」

「ヌル遁・金魚掬いの術」

 

 俺とカカーシの間に極薄の【緑色の眩いぬるぬるしたもの】が現れる。ソレに雷切――超威力の突きを刺したカカーシは気付く事だろう。

 

「……抜けないッ!」

「まぁ近づかれると困るから投げるんだけどね」

 

 そのまま壁を触手に変形させてぶん投げる。途中でカカーシを離せば、彼は壁を蹴ってシカークの方へと戻った。

 さらになんか骨を折ってでも抜け出そうとしているマイト・ガイのために、大太刀の術も解く。解いて【緑色の眩いぬるぬるしたもの】を吸収。一応援軍を封じるために洞窟の入口を【緑色の眩いぬるぬるしたもの】で塞ぎ、今度は俺達の周りにヌル陣壁を展開。

 

 これでよし。

 

「なんだ、お前は……」

「ん? ただの誘拐犯だよ」

「そうではない。……これだけの事をされて――何故、死なない?」

 

 ……へぇ?

 良い事聞いちゃったね。ま、これはあくまで巫女を守るためには、という話であって、運命を見るもの、とかではないんだけど。

 少なくとも今彼女が見た未来において、俺は死なないらしい。なんか言葉の感じ凄い酷い事されるらしいけど。

 

「それだけではない。……何故、殺さない。これだけの事をしでかしておいて……」

「おっとそれ以上はいけない。さ、アレの封印解いてくれない? 俺封印術とかからっきしでさ。ああ大丈夫、世界を滅ぼすとか無いから。つか、アレ俺が食べる予定だから」

「た、食べる?」

 

 いーからいーから、と押し出す。転ばないように足の【緑色の眩いぬるぬるしたもの】も動かして。

 

 誰も殺さないし、誰も死なない。

 何よりも誰よりも己が予言をこそ信じる巫女だ。信じたくなくても当たってしまうそれが、この場にいる誰に対しても死を呼び起こさないとわかれば……早くこんな悪夢は終わらせてしまおうと動くのもおかしくはない。

 

 ヌル陣壁に風遁やら火遁やらヌンチャクやらが当たるけど、効かない。ふっふっふ、硬いだろう。防御力はピカイチなんだなぁ!

 

 なんだかよくわからない印が組まれて、結界術が行われていく。

 魍魎の棺を囲い、逃がさないようにするための結界。紫苑が幼少より習ってきた通りの結界。

 俺は俺で後ろの巨岩……封印部分を丸ごと持ってきた奴を咀嚼する。ヌル遁・栄養分岐。基本的にはチャクラを通さない性質の【緑色の眩いぬるぬるしたもの】でチャクラ存在を咀嚼することで、その性質を変えることなく俺自身へと飲み込ませる術だ。

 

 そして――結界が、成る。

 

「心転身の術!」

「う――」

 

 ……ベストタイミングだ。

 俺が一番油断した時。それを狙っての心転身。やっぱりいたか猪鹿蝶。山中いのいち。

 

 だけど。

 

「考えはあってたし、タイミングも良かったよ。──でも」

「何!?」

「オイ待て、じゃあ今いのいちは()()……!」

 

 ヌル陣壁以外の【緑色の眩いぬるぬるしたもの】……つまりヌル遁アーマーや封印石を咀嚼しているもの含めて俺の中に吸収していく。その最中、バチンと。弾かれたように仰け反るいのいーちが見えた。

 また、魍魎の封印された石がドクリと鼓動を立てる。膨張し、膨張した部分が膨張し、【緑色の眩いぬるぬるしたもの】を無理矢理変形させてまでさらに膨張を重ねて行く。形は次第に。

 

「大丈夫かいのいち!」

「……ああ」

「何故奴を止められなかった? 何をされた?」

「……奴は、ヒトじゃない。あの子供の精神を乗っ取った時――オレは、液体だった。軟体だった。この世を学びたくて、現状に不満があって、真似をして食べて模倣して殺して、オレは、オレは」

「いのいち!?」

 

 背後、倒れた音。

 ……発狂か? まぁ【緑色の眩いぬるぬるしたもの】が俺の想像通りの生き物なら、そんなのの精神を乗っ取った時点でどーなっちまうのかなんて想像に易い。

 

 ま、そりゃ今はどーでもいいことだな。

 一応目の前に集中しようか。

 

「なんだ……なんだこれは。巫女、どういうことだ。説明をしろ……!」

「私にだってわからない……けど、わかるのは」

「貴様はなんだ……その目は、その口は──まさか、我らを喰らう気か……?」

「ああ、美味しそうな力の源だったんでよ。まぁ何? その上で、その結果が世界を救うってことになるならまーまー良い事風じゃん?」

「わかるのは──お前が、死ぬということだけだ」

 

 ズン、と大きな衝撃が走る。

 山が揺れた、というわけではない。膨張に膨張を繰り返し、【緑色の眩いぬるぬるしたもの】に体当たりしてそれをこじ開けんとする悪意の煙、魍魎。その抵抗を抑えつけるために【緑色の眩いぬるぬるしたもの】が一回り小さくなった音だ。

 ぶちゅ、ぐしゅゥッ、という耳障りな音が響き渡る。

 

「馬鹿な……我と巫女は一心同体……」

「よし、じゃあこのまま社の封印も解いてくれ。ああ大丈夫、一緒になることはないよ」

「……」

 

 素直に従ってくれる紫苑。

 魍魎の魂は未だ喚き散らかしているし、木ノ葉の忍たちも各々の遠距離忍術をヌル陣壁にぶつけてきているけれど無駄無駄ァ! もしこれが神威使える万華鏡状態のカカーシだったら死ぬほどやばかったんだけど、そうでないただのコピー忍者に負ける俺ではないわ! あと奈良一族がもう一人いたらやばかったかもね!!

 

「待て……我が肉体を、どうする気だ……!」

「魂食べたんだから、肉体も余さず食べるでしょ」

 

 棺が開いていく。中に覗くは──暗黒の龍。だが、魂無き今、ただの抜け殻に過ぎない。

 その魂は後僅かの部分で手を伸ばせずにいる。【緑色の眩いぬるぬるしたもの】から抜け出でるなど、無駄だ。もうウォロチマールがやってきたようなことはさせない。

 さらに一段階、【緑色の眩いぬるぬるしたもの】が収縮する。

 

「すまんね、助かった。巫女殿、アンタも、あとあっちの忍も無事に元の場所に帰すから、もうちょっとだけ待ってな」

「……お前は」

 

 潰れる。潰れる。圧し潰れる。

 言葉はもう聞こえない。ただ悲鳴と断末魔が交互に響くのみ。さらに岩石を喰らう【緑色の眩いぬるぬるしたもの】から垂れ落ちた【緑色の眩いぬるぬるしたもの】が、棺の中の肉体をも咀嚼し始める。此方は抵抗なく、すんなりと。

 

「ヌル遁・堆鳬哩――はは、人々の悪意なんて、大好物だよ」

 

 ──これにより、今代の、そして先代において世界を滅ぼしかけた魔物は──完全に消滅した。

 

 

 

 +++

 

 

 

「雷切ッ!」

「──!」

 

 ()()()()()()()()()という"対策法"が為されたソレが消えて行くのを感じた。

 ゆえの最速。ゆえの必殺。

 はたけカカシの放った超高速の突きは、見事褐返のマントに突き刺さる。

 

「──馬鹿、そんなことしたら!」

「ガ……」

 

 激痛。

 仰け反ったのは──カカシの方。

 カカシは右腕を押さえ、大きく後退する。その手、その肩からは、血が。

 

「カカシぃ!」

「クソ、あの硬さ、本体もか!」

「ああ馬鹿馬鹿、何やってんだよ……つか医療忍者の一人くらい連れてこいよ。……あー、コレとかどうだ。一般の薬草だけど、結構効くからさ」

 

 ようやく、気付くだろう。

 カカシは──顔を上げる。褐返のマント。サングラス。そのサングラスがあげられて。

 

「ヨゴシ!?」

「あれ、気付いてなかったの? まぁいいや、ちょっとココやば案件っぽいからさ、速いトコ出てってくんない? 今さっき約束した手前反故にするのはあまりに申し訳ないんだけどさ、この鬼の国の巫女さんも連れてってよ。治療はここじゃなく、外でやってもろて」

「何を……お前は、どうするの」

「もうちょっと食べてから行く」

 

 ヨゴシはそう言うと、後ろにいた紫苑を掴んで――ぽーいと放り投げる。

 

「きゃああああ!?」

「紫苑様!?」

 

 キャッチしたのは奈良シカク。

 そしてマイト・ガイがカカシに肩を貸し、その場から離脱する。

 

「ま、待て、ガイ! アイツは」

「何にせよ治療が先だ、カカシ! これだけバキボキだと、迅速な治療が必要になる! もしかしたらもう二度と印を組めなくなるかもしれないんだぞ!」

「それは困る!!」

「は?」

 

 そう聞いて、一番困ったのは誰でもない、ヨゴシだった。

 自分の行動ではたけカカシが再起不能になるなど彼からしたらあってはならないこと。ゆえに帰ってもらう、から送り届ける、に思考をシフトチェンジする。多少誰かにトラウマを植え付けてでも仕方のないものとして。

 

「ヌル遁・魚侘洲雷陀の術!!」

 

 ドパァッ! と。

 全員の足元から、生理的に受け付けない見た目をした化け物が出現する。

 無数の目。無数の口。悪臭。チカチカと光っては色を変え、ねたねた、ぬるぬるとした体表からは気色の悪い粘液が絶えず分泌されている。

 先ほどまでヨゴシと紫苑を囲っていたもの。紫苑の足にへばりついていたもの。槍のようになったり、大太刀に変形したり、魍魎を食い殺したりした――紛う方なき化け物。

 

 それが、ニタリと笑って。

 

「い、いやっ!」

「紫苑様! く、チョウザ!」

「おう! 超倍化のじゅ、ぬぅうぅうおおおおおお!?」

 

 知らん知らん止まるな止まるな。速いトコ治療されろ馬鹿、とはヨゴシの心の声。

 押し流す、掴み流す、それはまるで土石流。抵抗などできるはずもなく、どれほど大きくとも無限ともいえる化け物の奔流には敵わず、呑まれ、運ばれていく。

 はたけカカシは木ノ葉の里方面へ。その他は鬼の国方面へ。

 

 その運搬速度は忍者の移動速度を優に超える。

 流石に四代目火影には敵わないだろうが、凄まじい速度であり得ない勢いを保ったまま山中を渡りぬけ。

 

 気付けば、カカシは木ノ葉の前に。

 猪鹿蝶とマイト・ガイ、紫苑は、鬼の国の前に転がされていた。

 

 彼らが背後を見れば、丁度顔のような配置になった目と口が、ニヤリと笑い――まるで、ばいばい、とでも言うかのように舌を動かし引いていく。

 どれほど警戒しても意味はない。

 何故なら化け物は何もしてこず。ただ、不気味に、林の中に消えて行ったのだから。

 

 

 

 さて、所戻ってヨゴシ。

 彼はゴゴゴゴ、と揺れる封印の祠の中にまだいた。

 今にも崩れ、今にも噴火してしまいそうな場所に。

 

「……火と雷に耐性あんならさ。()()、食えるかね?」

 

 コレ、と指をさすは──ぐつぐつと煮えたぎる溶岩。

 ヨゴシが化け物を掌の上に出せば、化け物はニタリと笑う。

 

「あー、お前さ、顔とか作れないの? さっきの心転身で精神あるってもうわかったからさ。【緑色の眩いぬるぬるしたもの】の状態でこう……笑顔とか」

 

 口が二つに増える。縦に割れる。目が無数に開き、頷き笑い、悪臭を放つ。

 

「……無理かー。意思疎通なー、できたらいいんだけど。こんだけ使わせてもらってるんだから……なんて、意思疎通できたらできたで反逆されそう。確かそうだったよな、コイツらは古のものに……」

 

 そのアクションの一切がヨゴシに届かない事がわかったのだろう。

 化け物もその口を閉じ、無数の目を閉じ、ただの黒い液体へと戻る。

 

 そして――。

 

「んじゃまぁ、お食事タイム延長、デザートと行きますか!」

 

 

 その日、鬼の国から一つの山が無くなった。

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