NURUTO   作:ONE DICE TWENTY

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話が全然進まない回
(4/18 18:05)文章が重なっていた部分を修正しました。


そうか、この手のひらにあるものが……!

 さて、原作におけるかなり大きなイベントであるジラーヤの死を回避した以上、ここから先の原作崩壊は免れないと思う。

 ただ、一応考えてはいたんだよな。ジラーヤって死ぬ必要があるのかどうかって部分。もしジラーヤが雨隠れの里に潜入せず、なんらかの方法で情報だけ取って帰って来ていたら。だってそういうための忍術じゃん、影分身って。そういった類を使っていたら、どうだったのか。

 わざわざペインがジラーヤを襲いに来る、なんてことはないだろう。ジラーヤ自らがペインの領域に入ってきて荒らしたからの死であって、必要な死であったかというとそうではない。……みたいな言い訳を必死で自分に対して説いている。

 

「全てを知っていると……言っていたな」

「ん?」

 

 木ノ葉のはずれ。

 ここは俺の幼少期……つまりアカデミー生時代に使っていた瞑想場であり修行場であり、全方位ではないにせよ死角が多い事を理由に隠れ場所としてはうってつけなのである。その分奇襲に弱いんだけど。

 

 そこに、ヌル牢から解放したジラーヤを置いている。ずっと放心状態だったからな。尚二匹の蝦蟇はもう消えている。「とんだ泥パックもあったもんだね!」とはかーちゃんの方。

 あ、ちなみに俺がペインの前から逃げた時の奴は、別に俺が溶けたとかそういう話じゃない。ジラーヤを逃がした時に、俺も逃げていた――と。そういう話。

 

 つまり。

 

 あの場で咄嗟に分身の術を会得した、というわけだ。

 名付けてヌル分身の術。お察しの通り【緑色の眩いぬるぬるしたもの】を俺の形に形成し、チャクラで上塗りして色付けを行っただけの代物であるが、チャクラを通さない性質の【緑色の眩いぬるぬるしたもの】である以上、ペインの輪廻眼を以てしても本物っぽく見えていたことだろう。

 念願の忍術である。変化の術は一切できそうにないんだけどね?

 

「それは、ワシが奴から聞き出したかった事までも、か。あの時ワシが抱いた疑問。その答えの全てを、か」

「そうだよ。妙木山のじーさん程全てが見えるわけじゃあないけどね。忍界に関することなら大体知ってるよ」

「それは、未来視の類か?」

「どちらかといえば記憶だね」

「……成程、お前、未来から来たんだのぅ」

 

 間違っちゃいない。

 未来を見てきたのは間違いないんだから。外から、だけど。

 

「それでさ、俺はアンタとの約束を守ったんだ、こっちとも一個約束してもらえない?」

「なんだ」

「簡単だよ。死なないで欲しい。こっからまた雨隠れの里に行ったり、単独で暁を相手にしようとしたり、さ。大蛇丸は先を目指すために崩壊を、綱手姫は今を維持するために保安を選んだけど、だからといって何も自来也の爺さんが過去とケリつけるために死を選ぶ必要はないんだ」

「ワシは、死に急いでいたかのぅ?」

「少なくとも俺にはそー見えた」

「そうか……」

 

 さて――そろそろ、気配を消しているのも限界が近付いてくる。結界忍術は疎か自身の気配をごまかす、みたいな術が使えるわけでもないので、俺がやっているのは単純に地面から【緑色の眩いぬるぬるしたもの】を伸ばして各所に俺っぽい人影を作る散らし戦法だ。だから、その全てが偽物だとバレたら──来る。

 

 里の忍が、暗部が。

 

「んじゃ俺もう行くよ。ああそうそう、自来也の爺さんの知りたい事ね。アンタの考えてる通り、六人いたペインの中に長門はいないよ。全部操り人形。そんで――木ノ葉を襲撃しようと目論んでる」

「そうか」

「あら、反応薄目? ま、いいや。知っての通り俺はお尋ね者だからさ。一旦お別れ。マジで死なないでね。……ああ、だけど、もう一個だけ」

「なんじゃ」

「ちょっと気になることがあってね。諸々の連絡が済んだら、須弥山にまで来てくんない?」

「それは、約束かのぅ」

「あー、まぁどっちでもいいよ。来なかったら俺一人で対処するし」

 

 複数の気配、というか足音が響く。もう無理だな。

 んじゃ、地面に掘っておいた穴にーっと。

 

「ヨゴシ」

「ん?」

「お前が本当に未来から来たというのなら──何が目的だ。時空間を越えてまで過去に来たんだ、それなりの目的があるはずだ。違うのか」

「前にも言ったけど、無いよ、目的なんて。強いて言えば、俺が知っている通りの未来を掴む、とかかな? もう無理だろうけど」

「それは、どういう――」

 

 限界だ。

 自身を【緑色の眩いぬるぬるしたもの】で引っ張り、穴の中へと消える。周囲の土や石を【緑色の眩いぬるぬるしたもの】で掴んでかき集め、穴を埋めていく事も忘れない。

 

 ふふん、これは土遁として名乗ってもいいんじゃないか説あるな。

 ……さーて、来週のヨゴシ君は、と。

 

 

 

 

 

 須弥山のはずれ。

 霧深く、どこか寒々しい空気の流れるこの岩山に、俺はいた。

 

 いやね、本来はvs角都飛段の後に起こるはずのヒルーコの話が起きてないんだよ。で、調べてみたらさ、ちょーっとだけ時間がズレてんの。俺がいるせいで色々な短縮が起きたのか、原作がすこーしだけ、ちょみーっとだけ早く進んでんのさ。そのせいで金環日食の日にちがズレて、ジラーヤが雨隠れの里に潜入する前にあったはずのヒルーコの話が飛んでいる。

 ただし、もうそろ金環日食自体は起きる。

 だから決行日がこっちになっている可能性を踏まえて、俺はジラーヤをここに呼び出したのだ。

 

 元ご友人。俺瞳術とか血継限界は要らないからさ、説得で終わるならそれに越したことはない、ってね。

 

 ……が、来る気配がない。

 いやまーそうかー、とも思う。ペイン関連で伝える事はたっくさんあるだろうし、俺がポロっと漏らした木ノ葉襲撃についても話し合う必要がある。

 目的も伝えずただ来てよ、なんて言った俺の所にジラーヤが来るワケ。

 

「すまんのぅ、遅れたわい。なに、どーしてもコイツが付いていくと言って聞かなくてのぅ」

「だぁってエロ仙人ってば久しぶりに修行付けてくれるとか言っといて全然……あー! ヨゴシ!?」

「別に、一人で来いとは言っておらんかっただろう?」

「あー、まぁね」

 

 改めて対面してわかる。

 

 ……俺の方がチビやんけ。

 

「お前、こんなとこにエロ仙人呼び出してどういうつもりだってばよ!」

「まぁいなくても良かったっちゃ良かったんだけど、一応平和的解決を望んでみるのが人間ってもんでさ。ほら、俺は基本壊すか食べるかしかできないから、相手の心を変えるのは真摯な奴の特権でしょ? つまり、自来也の爺さんとか、ナルトとかね」

「いつにもまして言っている意味がわからんのぅ」

「この先に卑留呼がいる」

 

 言えば、スッと雰囲気の変わるジラーヤ。ナルートは何もわかっていないようだけど、一応こっちの空気は察してくれたらしい。真剣な表情になり――。

 

「それ誰だってばよ?」

 

 ふつーに疑問を呈してきた。

 ……流石だなぁ。

 

「卑留呼……。かつて木ノ葉の忍だった男じゃ。いや、もっと近しい関係……ワシら三忍と同年代の忍だったが、いつしか道を外れ、非道な実験を繰り返すようになり……里を追われた。ある意味で大蛇丸に似た、しかし大蛇丸よりも己というものを掴み切れなかった忍だろうのぅ」

「つまり、エロ仙人達の幼馴染ってことだってば?」

「幼馴染とは違うが、かつての仲間であり……今は、敵だのぅ」

「ふーん……。それで、ソイツとヨゴシに何の関係があるんだ?」

「関係は特にないかな……。ただ卑留呼はこれから各里の四つの血継限界を己に取り込んで融合し、五大国に喧嘩売って第四次忍界大戦を引き起こそうとしてるってな話だから、事前に止めようと思って」

「ほう? 言っている事だけ聞けばまるで英雄のそれだが……何が狙いだのぅ」

 

 いやマジで狙いとかないんだけど。

 今までの行いが俺の首を絞めている。

 

 ん-、適当に理由つけるか。

 

「卑留呼が従えてる巨大キメラ……卑留呼が鬼芽羅の術で造った奴がいるんだけどね、それが今日のごはんかな」

「成程のう。それならば誰に被害をかける、ということも無さそうだ」

「ソイツを、どーやって止める気だったんだってばよ、ヨゴシ」

「え? あぁまぁ、説得で止まるならそれでよし。止まらないなら殺す気だったよ。当然だろ?」

 

 別に珍しい話でもない。

 俺は違うけど、一応忍者なんだ。殺し殺されはあるだろ。ナルートだって散々敵殺してるし。

 

 それでも不機嫌なのは……ジラーヤがかつての仲間、とか言うからだろうな。

 

「とりあえず、行くぞ。卑留呼に動き出される前に止めたいんだ。余計な火種は作らないのが吉ってな」

「現在地や行動予定まで掴んでおるのか。これは、前にお前が言っていた事にも真実味が増してくるのぅ」

「何のことだってばよ?」

 

 未来人。

 ……ま、やっぱり間違いじゃないさ。

 

 そいじゃー、行きましょうかね。

 

 

 

 

 

 ペイン畜生道の口寄せよりも弱かったんで、巨大キメラはペロりと平らげることができた。

 幸いだったのは初めからキメラ形態だったことだろう。人間形態で出て来ていたら、ワンチャンナルートに止められていた可能性もあったしな。

 お約束通りの「ここは任せて先に行け!」をやっといてなんだけど、もう追いついていて、今は卑留呼の建てた施設の屋上で待機している。

 

「外が騒がしいと思えば……まさか、自来也。君が来るとは欠片も思っていなかったよ……」

「ワシも、こんな所で、こんな形で再会するとは思って無かったのぅ」

「ふふふ、なんだいその喋り方は。別に私と君の仲なんだ……昔のようにヤンチャな君でいてくれていいんだよ?」

「こんなワシでも弟子を持つ身。なりたくはなかったが、地位をも得てしまった以上、多少の示しはつけないといかんからの」

「……そうだね。なんせ君は伝説の三忍だ。私とは違って……優秀だからね」

 

 全身に包帯を巻き、コルセットをつけた少年。

 ただ、実年齢はジラーヤ、ツナーデ、ウォロチマールと同じ。つまり結構な爺さんなはずだ。ショタジジイ……ゼがつきそう。

 

 ジラーヤとヒルーコが危険な雰囲気を孕みながらも昔話に花を咲かせる中、空気を読まない奴が割り込む。言うまでも無くナルートだ。

 

「はい! はい! 質問質問!」

「……自来也、こいつは誰だ?」

「ナルトと言ってのぅ。今言った、ワシの弟子だ」

「ほう?」

「アンタが卑留呼ってのはわかったけど、なんで戦争なんかしようとしてんの? エロ仙人と仲良さそうだし、綱手の婆ちゃんになんとか言って過去の罪? ってのをどうにかしてもらえば――」

「そうだ、綱手……。火影になったと風のうわさで聞いたが」

「ああ、綱手は五代目火影になった」

「……フフ。ああ、やはり君たちは優秀だ……」

「大蛇丸は里抜けをしたがな。ジジイもその大蛇丸と相打ちして逝っちまったわい。……もう、ワシらの同年代など……」

「フフ、勿体ないと見るべきか、当然というべきか。才能があるんだ、隠れ里になんか縛られないで、自由を求めて羽ばたくのは何ら不思議じゃないさ……。それより、だ」

 

 ヒルーコの目線がナルートを向く。

 

「戦争をしようとしていると……どこで知った?」

「……っ!」

 

 雰囲気が一変する。

 ふむ。

 今の時点の卑留呼は血継限界を取り込んでいないはず……だけど、別に俺も各里の忍事情の全てを把握しているわけじゃあない。

 万が一、は有り得るな。

 

「自来也。君が来たのはそれが理由か」

「そうなるのぅ。忍五大国に喧嘩を売り、第四次忍界大戦を引き起こす……そんなもの、到底看過できる事じゃあないからのぅ」

「フフフ……全く、どこから漏れたんだか。それとも、木ノ葉には諜報に長けた優秀な忍が多いとでもいうのか」

「さてのぅ。お前がいなくなってからも木ノ葉は進み続けている。お前とて非道に手を染めなければ……」

「染めなければ、死んでいただろうね。弱者は淘汰される。それが忍の世界だ」

 

 これは、交渉は無理っぽいワネ。

 説得でどうにかなるなら、と思ったんだけど……。

 

 鬼芽羅の術を俺の知らないモンに使う前に、とっとと仕留めるか。

 

「自来也」

「なんじゃ」

「さっきから無粋な覗き見をしている奴も、お前の弟子か?」

「いや。奴は違うのぅ」

 

 それを聞いて、ヒルーコは「キヒッ」と笑う。

 

「だと思ったよ……この手癖の悪さは、三忍の、誰でもない……」

「……卑留呼?」

「ヌル遁・一突きの術……」

 

 施設の天井ごとヒルーコを突き刺して、終わり。

 血継限界を取り込んでいないヒルーコは弱い。迅遁や鋼遁があったら面倒だったけど、それがないんなら簡単に殺せる。

 説得はできていなかった。だから殺した。

 

「な……」

「ヨゴシ、お前ってば、なんで……」

「元々殺す気で、説得できる可能性があったからそっちに頼ったってだけだからね。結果的にできなかった。そうだよね、まだ答えは出ていないだろうし。ゴメン、今回ばかりは誘った俺が悪いわ。謝るよ」

 

 もしこれが、長門と戦った後のナルートなら、もしかしたら即答できたのかもしれない。

 卑留呼の言った、忍の世界では弱者は淘汰される、という言葉に対して――すぐさま反論できたのかもしれない。

 けれど今、まさに思い悩んでいる途中の二人だ。ナルートはサスケェ! に、ジラーヤは長門に。

 できなかったんだろう。

 

 弱者は淘汰される……そうではないと心の中で曖昧に思っていても、それを言葉にする力を未だ持ち合わせていない。

 腕から出した【緑色の眩いぬるぬるしたもの】で、ヒルーコの体を取り込んでいく。

 ナルートには見えないように。同じくして、ジラーヤもナルートの視界を遮ってくれていた。

 

「ね、聞きたいんだけどさ」

「なんじゃ」

「火の意志って、ある?」

「ある!」

 

 突然の問いかけに言葉を詰まらせたジラーヤと違い、ナルートは怒ったような声色で言い返してくる。

 

「オレはぜってー火影になる! だから、火の意志はここにちゃんとある!」

「……そっか」

 

 なら安心だ、と。

 動こうとする口を止める。それは言わなくていい事だから。

 

 ──俺はペイン襲来に関わらない。

 あれだけ俺によくしてくれたイルーカや、少しの間だけでも俺を里の一員として認めてくれた木ノ葉を見捨てる。たとえ最終的に生き返る、治るといっても、死の痛みは消えない。俺がそうだった。俺が死んで転生というものを果たした時、俺はその死をずーっと覚えていた。今でも覚えている。あの苦しい黒を、ずっと覚えている。

 俺が来たことで色々なことが変わったはずだ。その最たるは目の前にいるし、その最たるに影響を受ける主人公が目の前にいる。

 

 もしかしたら。

 もしかしたら、長門が、もしかしたら――外道・輪廻天生の術を使わない可能性だってあるんだ。俺が長門になんらかの影響を与えたかもしれない。自来也がいることで心変わりが起きるかもしれない。それで。

 それで。

 

 誰も、蘇らないって可能性は、ある。

 

「じゃあね、二人とも。──また会えることを願ってる」

「……ああ」

 

 卑留呼を捕食し終わって。

 なんだか、どうにも、何故だかいたたまれなくなって。

 

 俺は、足早にその場を去るのだった。

 

 そんなもの――とうに失ったと思ってたけど。

 まだ残ってたのかね。良心。あるいは――人の心、とか言う奴が。

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