NURUTO   作:ONE DICE TWENTY

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鮫vs蛭 再び

 ペインによる木ノ葉への襲来。

 俺はそれを、眺めているだけだった。何の義理があるわけでもない。拉致られて一か月を過ごし、その後出て行っただけの場所。

 進行は概ね原作通りだったらしい。ジラーヤが参加せども、ペイン天道に敵うはずもない。結局木ノ葉を救ったのは九尾と、その人柱力であるナルート。あるいは彼を奮起させたヒナータ。ジラーヤが死んだのかどうかも定かではない。ま、遠目で外道・輪廻天生の術が使用されたのは見えたので、ジラーヤが死んでいようと死んでなかろうと、今生きている事は確かだろう。

 だから俺がやることなどないはずだ。また楼蘭にでも籠って悠々自適な生活でも送ればいい。あるいはブラッドプリズンに備えて極楽の匣でも食いに行くか。なんでもいい。なんでもできる。今や、なんでもできるはずだ。

 

 なのに──なんで俺、木ノ葉にいるんだろうね。

 

「ナルト……」

 

 瓦礫の山と化した木ノ葉において、奇跡的に無事だった樹木。枝にはブランコが、その幹には横一文字の傷がついている。

 うみのイルカがうずまきナルトに夢を与えた場所。

 それに……出くわしてしまった。

 

 イルーカがため息を吐く。

 

「……相変わらず気配を隠すのが下手だな。もしかしてまだ分身も変化もできないのか?」

「わお、いつから気付いてた?」

「ついさっきだ。……やめてくれよ? お前はもう、俺に相手できるようなステージに無いんだ。何よりこの里は手酷い痛みを負ったばかりでな……何事をすることなく、帰ってくれると助かるよ」

「ああうん、全部見てたからね。知ってるよ」

「……」

 

 言わない方が良かったよねソレ。

 最近減って来たこの本心が口を突く癖、比較的善人とか常識人相手だとひどくなる傾向にある気がする。そうじゃない奴相手でも出るっちゃ出るんだけど。

 

「ヨゴシ」

「なに、イルカ先生」

 

 イルーカが振り返る。

 そこには、昔よりすこーしだけ大きくなった子供がいることだろう。尚ナルトより俺はちっちゃいのであの木の傷は背伸びしても届かない。

 褐返のマント。サングラス。ぼさっとした髪。

 重ねてくれているだろうか。過去の俺と。あの頃の、ただ生きるために力をつけているだけだった俺と。

 

「もう行くんだろ? だから、答えを聞かせてくれ」

「答え? 何の?」

「変化の術と分身の術。できるようになったか?」

 

 イルーカは、笑って。

 少し意地の悪いものを含んだ声で。

 

「……裏技使って分身はできるようになったよ。立ってるだけの奴ならね。変化は一切無理。木の葉を去ってからずーっと練習してるけど、やっぱり一切できる気がしない。多分、俺は他のものにはなれないんだと思う」

「おいおい、その二つができないと卒業は無理だぞ?」

「卒業って……そもそも無理だよ。知ってる? 俺、国際ビンゴブックにS級犯罪者で登録されてるんだよ。先日二十年前に国家転覆を企てたっていう年齢からしてあり得ない罪状も加わってSS級になりそうな勢いでさ。だから、」

「だから大丈夫だ」

 

 うみのイルカは。

 

「たとえ世界中の奴がお前を子供として扱わなくても、俺は扱ってやる。そんで、授業を受けさせるし、試験も担当してやる。誰かに見つかって怒られるっていうんなら誰にも見つからない所でやろう」

 

 そんなことを、宣った。

 ……今さ、俺言ったよね。遠くから見てた、って。

 犯罪をし続けながら、そんな強大な力を持ちながら、遠くで見ているだけだった。見捨てた。そう告げたよね。

 

 なんで笑ってられるんだ、この人。

 聖人君子とか言われてはいたけど、この人にだって感情はある。苦悩した過去がある。木ノ葉の里への愛がある。

 それを。

 ……。

 

「約束だ」

「ごめん。それはできない」

「……どうしてか、聞いても良いか?」

 

 約束。

 守るべきもの。守らないとダメだと言われた。そりゃそうだ。人間でも化け物でも、約束守んない奴はクズだろう。

 だから、できない。

 

「俺はもう、ある場所に根を張った。俺はもう、木ノ葉に属する存在じゃない。忍でもない。それに、なにより」

 

 本心はここまで。

 ここからは──多分、本音。

 

「次に会う時、俺はもう、俺じゃないだろうから。……じゃあね」

「どういう」

 

 人が集まってくる音が聞こえたので、瞬身の術で逃げる。

 今口を突いて出たのは、多分……ヨゴシの本音だ。

 

 感じたんだ。楼蘭で内なるものを呼び出して。

 もし、次。同じことをすれば。

 

 俺は消えてなくなるんじゃないかな、って。

 嬉しい事に、内なるもの自身がそれを望んでいないようだけど。

 

 ……やるときゃやるさ。根無し草じゃ、無くなっちまったんでね。

 そのためなら──。

 

 

「オイ待てのぅこの甲斐性なし。折角来たんだ、もちっとゆっくりしていけのぅ」

「のわっ!?」

 

 瞬身の術の最中の俺の足を掴んだ!?

 つかあぶねーっつーのオイ!

 

「馬鹿、咄嗟に攻撃しちまったらどーするんだよ!」

「ふん、それくらいの制御もできないようじゃ、シリアスな空気など纏うは十年早いのぅ」

「……見てたのか」

「見てたのはそっちだのう?」

 

 そこには、ジラーヤがいた。さかさまのジラーヤ。

 違う。俺が足を持たれているので、俺がさかさまなんだ。

 

「……死ななかったんだ」

「死んでほしかったのか?」

「そんなことないけどさ。あの数のペインと、何よりペイン天道相手に、自来也の爺さんじゃ勝てっこないだろうな、って思ってたから」

「よく言うもんだのう。……だがその通りだ。結局、ナルトに全てを任せてしまった。不甲斐ないものだ」

 

 足が放される。

 空中で姿勢を制御し着地。

 ……おー、ご丁寧に結界張ってくれてやんの。ありがたい限りだね。でも確かこの後大名殿て会議あるんじゃないっけ?

 

「で、何。困りごと?」

「お前の知恵を借りようと思ってのう」

「あー。まぁ、答えられる範囲なら」

「ヨゴシ。お前は志村ダンゾウをしっているか?」

「ああうん。聞きたいことは分かった。命狙われてんだ?」

「察しが良すぎるのう」

 

 あーそっかそっか。

 本来、原作においてはツナーデが昏睡状態になっている。だからダンゾーが火影として名乗り出て、五影会談に出るにまで至る。その道中や会談そのものにも色々ダンゾーの策略が込められていたりしたりしなかったりラジバンダリするのだけど、今回に関してはなんとジラーヤが生きている。

 ツナーデ、ジラーヤ、ウォロチマールは伝説の三忍であり、ツナーデがいないならジラーヤに、と話が回ってくるのは当然のこと。何より今や里の英雄となったナルートの師匠であれば、その人望も厚い。

 

 ダンゾーにとっちゃ邪魔な存在だ。

 

「なっちゃえばいいじゃん。六代目火影」

「ガラじゃあない」

「なら志村ダンゾウに譲るって言えばいいじゃん」

「あやつは……ダメだ。胸騒ぎがする」

「まーそーだろうね。里を愛してこそいるけれど、良からぬことを企んでるのは事実だし」

「やっぱりか」

 

 ならば、どうするか。

 

「俺のいた未来じゃアンタは死んでたよ、自来也の爺さん。だからこの件について俺に相談しても無駄。未来の事がわかっても、俺には学ってもんがない。学が無けりゃ予想もできない。当然だろ?」

「お前……本当に、なんでお前が未来からやってきたんだのう?」

「そりゃ神の味噌汁、もといのみぞ知るってね。──俺は、これから行くところがある。だからアンタについていくことはできないし、アンタがこれからどうするのかも知らない。ただ一つ、もしダンゾウとやりあう気なら……」

 

 一本。

 手のひらから、緑無を生成する。

 

「アイツは真面目だけど、正気じゃない。愛はあるけど、色々抱えている。コレを受け入れられない可能性は高い。単純な破壊力、防御力としても優秀だしね」

「……それ、持ちたくないのぅ」

「じゃああげない」

 

 引っ込める。

 ふん、セーラムみたいな真摯な対応を期待した俺が馬鹿だった。なー? 別にいいもんなー?

 

「冗談じゃ。お前からの餞別とあれば、貰っておく。……ワシが言えた義理ではないがのう、ヨゴシ」

「ん」

「死ぬなよ」

 

 ジラーヤは、手を差し出して。

 真剣な顔で、そういう。

 

 その手に緑無を乗せて頷けば、ジラーヤはニカッと笑った。

 

「じゃあのう!」

「ああ」

 

 今度こそ本当に、木ノ葉を去る──。

 

 

 

 

 

 んで鉄の国近辺。

 雪の寒さもヌル遁アーマーは通さない。が、雪に足を取られるというか、【緑色の眩いぬるぬるしたもの】が雪を破壊しまくるせいでクソ程歩きづらい。

 ゆえ、ヌル遁アーマーは最小限の展開でぴょいぴょい飛び回っているんだけど……うーん。

 感知がなー。

 

「ん?」

 

 前方。林の中に、でっかいスライムを発見。

 じゃないね。アレ、キサーメの大爆水衝波だ。そうそうそれそれ。八尾の尾獣化かキサーメの大規模術があれば目印になるって踏んでたんだよ。

 

 ビーには悪いけど、横やりさせてもらおう。本体のキサーメとは戦いたかったんだ。

 

 龍脈の力のお披露目の場にもなろう。

 

「説明が長いよ! 半魚人だよ!」

「では行きますよ──!」

「ヌル遁・ヌル龍の術!」

「!?」

 

 前口上も見栄も攻撃宣言も一切なしだ。

 サメハダーと融合し、ほとんど鮫になったキサーメの横っ腹を、龍の形をした【緑色の眩いぬるぬるしたもの】でぶん殴る。体当たり、あるいは噛み千切り。

 ふ──何も楼蘭での三年間、遊んでいたわけではないのだ。

 龍脈の力を取り込んだことで得た、精美な造形技術!! ゲレルの石の力は【緑色の眩いぬるぬるしたもの】に持ちあがる力を、イシダテの石化の術は【緑色の眩いぬるぬるしたもの】に硬化の方法を、魍魎は威力の底上げや速度上昇を担い、龍脈の力は造形に磨きをかけた!

 アンコール・バンティアン? あーうん。多分なんかにはなってるよ。

 

「Oh♪ びっくり突然の横やり♪ ありゃじっくり見ちゃダメだ実際♪」

「ハイヨーすまんね、俺はどーしてもコイツとやりあってみたいんだ、譲ってくれよ、八尾のにーちゃん!」

「突然出てきて不躾♪ けどいいぜ持ってけ♪ オレは二人を」

「流石!」

 

 龍背に立って……あ、結構水の抵抗が強い。中に入ろう。

 フフーフ、尾っぽはこのスライムの外にあるからな、酸素供給源もばっちりだ。

 

「……まさか、アナタが来るとは思いませんでしたよ。先日は私の象転体を相手してくださったようで。フフフ、なんですか? もしかして、物足りなかったとか」

「そのまさかだ。アンタなら普段は出さない、出せないトコまで出せる。そりゃすげー魅力的でさ、是非一手死合ってくれねーかと」

「勿論構いませんよ。ただし、ワタシにはワタシの目的がありますので、極力八尾を狙いますが」

「構わない! 俺も積極的に妨害する!」

 

 だから、最初から成る。

 尾の数えられない尾獣モード。口寄せの方じゃないから、特に何かが削られる事も無い。

 

「無剣鐘のヨゴシ……見れば見る程、化け物ですねぇ」

「お互い様だろインスマス!」

 

 口に──【緑色の眩いぬるぬるしたもの】を溜める。圧縮する。

 コボボボッと音を立てて集まっていく【緑色の眩いぬるぬるしたもの】は、圧縮の密度に耐えかねて一部がびしゃぁと飛び出したり、何故か逆に凹んだりを繰り返しながら、脈動と共に巨大化していく。

 龍脈の力の神髄。それは精美な造形、だけじゃあない。勿論違う。

 

 この力の最たる部分は──。

 

「これはッ!」

「晶古球!」

 

 撃ち出される圧縮球。

 その威力に気付いたのだろう、水中を高速で移動する鬼鮫に、けれど追い縋る。()()()()()する。

 

 チート能力、【緑色の眩いぬるぬるしたもの】の遠隔操作。

 これこそが龍脈の力によって得たもの。それこそがこの三年間……というか二十年前までずっと練習してきたこと。

 

 そして、さらに!

 

 圧縮球がキサーメに近づいた、その瞬間。

 倍、倍、さらに倍。圧縮されていた分の全てが展開し──キサーメに襲い掛かる。圧し潰しにかかる。

 

「ぐ、おおおおお!?」

 

 まぁ実は遠隔操作範囲から外れて圧縮が利かなくなっただけとかそんなことはないんだからね。

 

 とかく、尾獣球にも似たソレはキサーメの半身を完全に圧し潰し。

 チャクラ糸よろしく【緑色の眩いぬるぬるしたもの】の糸を展開した圧縮球に向かって投げて、それを吸収しきれば。

 

 そこに、鬼鮫の姿は無かった。

 

「アナタは感知というものがまるで成長しませんねぇ!」

「──ッ!」

 

 ガクンと体が傾く。──否、落ちる。

 まさか、切断された? オイオイどんな威力だよ!

 

「しかし、成程……これは分が悪い。アナタのその力、チャクラをほとんど使用していないのですねぇ。いえ、使用こそしていても、その黒い化け物が漏らさない……?」

「ヌル遁・大太刀の術!」

「おっと、大振りな剣には当たりませんよ」

 

 巨大な太刀を生成。キサーメに当てるフリをしながら、切断された胴体部分へ大太刀を接続。酸素の供給を再開する。

 すんごーーーーく前に述べた気がするけれど、俺は【緑色の眩いぬるぬるしたもの】の中で呼吸ができる。けどそれは【緑色の眩いぬるぬるしたもの】が空気に触れている場合だけであって、【緑色の眩いぬるぬるしたもの】が完全に水に飲まれてしまうと普通に窒息しかねないのだ。

 体術を鍛える過程で肺活量は増えた方だけど、それでも人間の限界には程遠いし、その限界でさえそんなに長くない。

 

 だから供給源は必須。

 

「なるほど」

「──」

 

 その大太刀を、キサーメは硬質化したヒレで叩き斬ってきた。

 バレるのはえー! あと威力やっべー!

 

「フフ、所詮アナタも酸素が無ければ生きていけない生物、ということですか……」

「ヌル遁・毬栗の術!」

「ムッ!」

 

 全身からトゲを出す。一本がダメなら無数の針だ。この水スライム全体を覆うが如く、ウニのような見た目となって酸素を取り込む。

 ああ酸素酸素。

 

「確かにコレは、全て折るのは難しそうだ。……けど、これならどうです? 水遁・千食鮫!」

「こんにゃろ……なら、ヌル遁・一斉開花の術!」

 

 キサーメの口から夥しい量の鮫が放たれる。それは俺の酸素供給源であるトゲの一本一本に噛みつき、突進し、折っていくではないか。

 ならばとこちらも更に術を展開する。トゲとトゲ、全身から生えたトゲの一本一本から更にトゲを生やす。まるで木々が枝葉を伸ばすように、あるいは仲間たちと肩を組み合うように。それだけでは終わらない。枝葉のよう、と表現したのは比喩ではなく、実際に葉をつけ、花をつけていく。

 

 キサーメが千の鮫で枝を折るというのなら、俺は万の花々で呼吸をしよう。

 そして。

 

「落ちろ!」

「これは……なんとも美しいですねぇ。花弁が化け物でなければ」

 

 枝葉から、花が、花弁が落ちて行く。

 一枚一枚が必殺の威力を持った鋭利な花弁。キサーメの言う通り勿論全てが【緑色の眩いぬるぬるしたもの】であり、龍脈の力が滾っている。そして今、この水球全土に枝葉があるのだから──操作範囲外に出る、なんてこともない。

 

 ハッハー、漫画違うけど!

 

「散れ──ヌル本桜!!」

 

 風に舞うように。

 かき回すように。

 

 それは極小の【緑色の眩いぬるぬるしたもの】によるミキサー。

 刃は鬼鮫を切り刻む──。

 

「水遁・破奔流!」

 

 身体を切り刻まれながらも出した忍術は、渦潮を生み出すもの。

 だが、そんなことで流されるヌル桜じゃない。操ってるのは龍脈の力だからな。渦潮が出来ても我関せず、といった様子で散り踊る。

 流石に分が悪いと感じたのか、逃げようとするキサーメ。その足を【緑色の眩いぬるぬるしたもの】で掴む。

 

「熱狂的です、ねぇ!」

「ハッハッハ、俺がホントに雲丹ならサメに食われてただろうが──残念、実は俺、蛭なんだ」

「まさかとは思いますが、ワタシから血を吸うおつもりで?」

「血だけで済むと思う?」

 

 大口を開ける。

 生え揃った小さな歯。とてもじゃないが敵を噛み砕けるとは思えないソレは、けれど巨大な岩石とて引き千切ることのできる威力を持つ。

 さぁ、白ゼツに変わる暇なんてない。

 

 サメハダーごと、俺に食われろ──。

 

 

 ザシュ、と。

 何かが斬られる音がした。

 

 俺か?

 

「なにボサッとしてる! 馬鹿野郎この野郎! 危うく死ぬトコだったぜ、この蛭野郎!」

「……これでも決死の一撃だったんですけどねぇ」

 

 口の中にあるもの。

 それは──足。

 

 見れば、キサーメの足は、足首から先が無い。物凄い出血量で……けれど再生しつつある。

 そっか、原作じゃやってなかったけど、そういうこともできるんだな。トカゲのしっぽ切みたいな。

 

 そんでもって、俺の首を落とさんとしていたのだろうヒレは、ビーが受け止めてくれている。

 

「悪い、八尾のにーちゃん。油断した」

「詰めが甘いぜ♪ 爪まで甘いぜ♪ そんでもって、俺は離脱♪ そろそろ息が苦しくぅ♪」

「させませんよ……ムッ!?」

 

 ヌル遁・ヌル鞠でキラービーを包み込む。

 そうしたら、今度はこの水を咀嚼し始める。薄味だけど、忍術の水。つまりチャクラの性質変化であることに違いはない。

 つまりエネルギー塊だ。

 

 ってことはだ。

 

「まさか、水を飲んで……」

「ああ、丁度喉乾いてたんでな」

 

 キサーメが吐き出した水を飲んでるって考えるとちょっとオェッてなるけど。

 みるみるうちに萎んでいく水球に合わせて枝葉も縮め──キラービーも地面へと降ろす。解放。

 

「そういう事するなら事前に説明♪ お前の能力マジできめぇ♪ 特に目と口と臭いがやばいゼ♪」

「そーいうにーちゃんは生臭いよ。タコだから仕方ないけどさ」

 

 水を完全に吸収し終わる。

 残ったのは、不自然に切り取られた雪の無い雪林。

 そして。

 

「俺が合図したら頭を下げろ♪ でないと頭が吹っ飛ぶぞ♪」

「オーケー」

「今だ」

 

 一応ヌル遁アーマーを纏いながら、頭を下げる。

 直後、一瞬遅れて。

 

 キサーメの首に、絶牛雷犂熱刀が突き刺さった──。

 

 ……あれ、大丈夫かな。白ゼツと交代してなくね?

 

 

 

 

「ビー。色々言いたいことはあるが、まずは此奴を始末するべきだ」

「え? なんでだよブラザー♪ コイツは俺を助けてくれたメシアー♪」

「無剣鐘のヨゴシ。S級の大犯罪者だ。生かしておく理由はない!」

 

 まー影クラスなら知ってるわな。

 んでもって──簡単に死ぬ俺じゃないというか。

 

「構えろビー! 何かされる前に、首を落とす!」

「……不本意だが仕方ない♪ 悪く思うなよ──」

「ヌル遁奥義!」

 

 神速のダブルラリアットが迫る。

 その、直前!

 

「ヌル髭危機一髪!!」

 

 俺の首が、ポーンと飛んだ。

 

 そしてじゅぐじゅぐと溶けて行く俺の体。

 

「……俺も人の事言えた義理じゃないが♪ 不思議生物♪ キモさ併発♪」

「分身か。……逃げられたな」

 

 冷静な雷影の言う通りだ。

 そこにあったのはヌル分身。本体の俺はとっくに地中に逃げているし、もうかなり遠くにいる。

 あとはヌル分身を溶かして回収すれば終わり。

 

 いや、いや。

 まだ最後の戦いとは言えないまでも──ケッコー楽しかった。

 やっぱ術の撃ち合いこそがNARUTOって感じするよね!

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