NURUTO   作:ONE DICE TWENTY

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乙女(?)を襲う冒涜的な怪物

 掌に【緑色の眩いぬるぬるしたもの】を出し、輪状に形成する。

 それを天へと翳し──空に浮かぶ月を、輪の中に収める。

 

「……外道魔像、食べたいんだろ?」

 

 当然返事はない。【緑色の眩いぬるぬるしたもの】に何か変化があるわけでもない。

 ただ──意思は伝わった。

 そうか。そういうものがあると知ってから、わくわくしてたんだな。

 

「けど、あれは抜け殻なんだ。もう少し待てば、もっと美味くなる」

 

 心なしか、ちゃぷ、と。【緑色の眩いぬるぬるしたもの】の動きに変化があった、ような。

 

「だから問うよ。──お前さ、美味いモンが食べられるなら──死をも厭わないか?」

 

 ……──。

 そうか。

 

「なら決まりだ。第四次忍界大戦……とことん暴れまわろうじゃないか」

 

 どこかで、怪鳥が鳴いていた気がした。

 

 

 

 

 

 

 結局、ジラーヤは火影にならなかったらしい。

 つまり原作通りダンゾウが五影会談へと赴き、やらかし、色々あってサスケェ! に倒された、と。じゃあジラーヤは何してんだって話だけど、なんでもまた火影にならないかって声がかかってるらしい。なりゃいいじゃんな。

 カカーシとマイト・ガイが青春しているとかなんとかは、別にどうでもいい話で。現状の木ノ葉におけるとりあえずの問題は。

 

「綱手姫が起きない?」

「うん。もう医療忍者の目から見ても、一般の医者の目から見ても起きてもおかしくないはずなんだけど、綱手様の意識が戻る気配が一向に無いんだ」

「それは……大変だな。でも、それこそ自来也の爺さんが火影になればいいんじゃないのか?」

「自来也様はナルト君たちとどこぞへ修行に行ってしまったきり、帰ってきてないよ」

「……なんつーか、無責任というかなんというか」

 

 さて――目の前の、死んだ魚のような眼をしている色味の薄い少年。

 名をサイ。あるいはサイゾウ。サイゾーだ。

 木ノ葉の暗部、「根」に所属する忍であり、同時にナルト達第七班……カカシ班に出た欠員の穴埋めでもある彼。今は色んなことのごたごたでその立ち位置が微妙になっている時期だけど、彼は今でも第七班でいたい、とは思っているらしい。

 まそんなことはどーでもよくて。

 なんで俺がサイゾーとこんな風に話してるか、って話。

 

「しっかし、俺のチャクラを分けてほしい、ねぇ」

「無剣鐘のヨゴシといえば、世界各地の強大な力を持つ生物・構造物・遺跡を食い荒らしている事で有名だからね。君自身のチャクラはそう多くないようだけど、経口摂取での食事ができない綱手様へのチャクラ供給手段としてこれ以上ない適任者だって判断されたみたいだ」

 

 という話。

 ツナーデが起きない。それだと、忍者連合に支障が出る。だからどーしても起こしたい。けれど無理矢理な医術は使いたくなくて、根本原因として「多分チャクラ不足」というのが医療忍者たちの総意結果となった。

 よって、必要なのはチャクラ……他人のチャクラではなく生命力としてのエネルギーに心当たりがないか、を医療忍者たちがジラーヤに問うた所、俺の名が挙がったと。挙げんな。

 ただ、相手は犯罪者。相当渋ったらしい。というかぶっちゃけ許可は下りてないらしい。だからこれ"依頼"である。木ノ葉の暗部から無剣鐘のヨゴシに対しての、木ノ葉への侵入依頼。復興中の自里に侵入し、最重要保護対象であるツナーデに近づき、その身体にチャクラを押し付けてくれ、という。

 

 報酬は──。

 

「火の国からの今までの指名手配停止、ねぇ」

「うん。これは凄い事だよ。事実上、火の国が君の行いを見なかったことにする、という事だ。つまり、君の犯罪を黙認するということでもある。五大国の中で最も平和で最も治安の良い国とされる火の国が犯罪者を容認する、なんて、歴史的に見てもあり得ないことだよ」

「でも風の国からの指名手配は消えないんだろ?」

「流石にそこまではこちらの一存ではなんともできないよ。ただ、基本的に犯罪者の扱いに関しては同盟国が依頼でもしてこない限り、火の国で起きた事件は火の国の忍が、風の国で起きた事件は風の国の忍が対処する。そういう意味で、少なくとも火の国にいる間は木ノ葉の忍に追われることが無くなるんだ。どうかな」

「しかも今までの、だろ? これから罪を重ねたら」

「勿論、普通に罪状として数えられるよ。前科ありとしてすぐにでもS級に再来するかもしれない。君が他国で罪を犯そうものなら、君を容認した火の国が批判の的になるだろうね」

「そこはまー勝手にしてくれって感じだけど……びみょいな」

 

 ぶっちゃけ楼蘭でぬくぬくできるしなぁ。

 あそこ風の国だけど女王国家だから忍が入ってこないんだよ。風の国に併合されてる一つの小さな国、って感じ。

 うーん、これからやることを考えても、報酬があまりにびみょい。

 

 それよか。

 

「報酬、こっちから提示するのはアリかね」

「常識の範囲内ならアリなんじゃないかな。なんなら、今回のような特例が初めから提示されている以上、かなりの無茶も通ると思うよ」

「んじゃさ、これからの戦いの最中、六道仙人の宝具って呼ばれるモンが見つかったら、それを俺にくれよ」

「見つからなかったら、どうする気だい?」

「見つかんなかったらそれでいーよ。ま、見つかったのに隠してたりしたら襲撃しに行くけど」

「ふむ。わかった、僕には許可を出す力はないから、それを打診してみるよ。じゃあもう一度会いに来るね」

「いや、いーよ。とりあえず綱手姫治しちゃおう。そっちは火急だろうしな」

「いいのかい? まだその報酬が通るとは限らないのに」

「いーよいーよ。通んなかったら初めに提示されたものでいいし」

「そうか……。うん、成程。サクラさんが言っていた通り、君は案外良い人なんだね」

「サクラが? 俺についてなんか言ってたの?」

 

 意外だ。

 え、俺? 俺の事サイゾーに話す程俺についてなんか知ってたっけ。

 そんなサスケェ! のこと喋るみたいなノリで……いやまぁ一応幼少期共に居はしましたけど。一瞬。

 

「サクラさん曰く、君と戦闘した時の違和感について、落ち着いて考えたら色々納得が行った、という話だったよ。具体的に彼女が喋った言葉を再現すると、"噂に寄れば鋼鉄が当たっても本人にダメージを入れることができないくらい固いはずなのに、あの時アイツを殴れたのは……多分、アイツがいつも纏ってる気持ち悪い薄膜を自ら解いたのが理由だと思うのよね。カカシ先生の雷切でさえ貫けなかった、むしろカカシ先生の手を破壊したソレをわざわざ解いた理由。考えつくのは私の手を壊さないように配慮した、って所かしら。舐められたものよね。けど、アイツ……ヨゴシにも、少しは良心が残ってるのかもね……"だそうだよ」

「後半ちょっと怖い事言ってるね。ソレ、今度はアーマー有でぶん殴ってやる、って言ってない?」

「さぁ? サクラさんが何を考えているかはわからないから。それはナルト君や君もそうだけど」

 

 お前は大半の人間の心がわかんないだろうが。

 ……こーわ。どうするよ、キサーメクラスの一撃でしゃんなろーされたら。もうサクーラは医療忍者なんだからヌル遁アーマー解除するのやめとこ。少しでも軽減しないとマジで俺死にそうじゃん。

 

「んじゃ、くっちゃべってないで行こうぜ。木ノ葉の里」

「うん。だけど、君のその姿は目立つからね。こちらで用意した衣装に着替えてからコトを行ってもらうよ」

「あいあい」

 

 ……さて。

 暗部が何かしら手伝ってくれるっぽいとはいえ──復興中っていうかなり敏感な状態の木ノ葉に潜入するの、結構な高難度任務じゃないか??

 

 

 +++

 

 

 夜。

 草木も寝静まる真夜中の真夜中。丑三つ時の、見張りの者が厠へ出かけた隙間の時間。

 昏睡状態にあるあなたは周囲を知覚することはできない。ただ自身という命がこの世に留まっている事だけを自覚できる、本当にそれだけの状態だ。あるいは夢。あるいは空。あなたの意識はどこかに浮いているのかもしれない。どこかで漂っているのかもしれない。

 少なくともその身体が動くことはなく──けれど、感触だけは、あるのかもしれない。

 

 夜だ。夜のこと。ある夜の事。

 あなたは足先に不快感を覚えるかもしれない。足先だ。親指と人差し指の間。指の腹、又。そこから足甲、足首、脛、ふくらはぎへと──例えるなら、何かがあなたの足を舐めているような感覚。ザラザラとしたやわらかく湿ったものが、長いものが、平たいものが、あなたの足をじゅるじゅると舐め啜る。

 不快感。そのぞっとする感覚にあなたは眉を動かすのかもしれない。昏睡状態にあり、生理的反応もほとんど示さないあなたの体が、けれど不快感にだけ反応を露わにするのは──もしかしたら、生物的な本能、危機察知能力なのだろうか。

 

 不快感は少しずつ少しずつ上がってくる。ふくらはぎを覆い、膝、膝窩、そしてふとももと、親しきものにさえ見せる事も触れられる事も無いだろう領域にまで、じゅるり、じゅるりと這い上がってくる。

 あなたは気付くだろう。自らの足を舐めていると思っていたもの。けれどそれらの中に、それの表面にもまた無数の穴があり、そこから、今度は本当に舌らしきものが出ていることに。それはあなたの足を舐め、しゃぶり、味わい……あるいは捕食しようとしていることに。

 

 不快感。不快感。夜の、丑三つ時の。

 昏睡状態にあるあなたは動く事ができない。できなかったはずだ。けれど、あまりの不快感に足を動かすのかもしれない。嫌だ嫌だとその気持ちの悪いものを蹴ろうとして、しかしぬるぬるとした感触に力を受け流される。

 湿っている。ぬるぬる、べたべたしている。それが、少しずつ、少しずつ自らの下半身を覆いつつある。

 

 あなたの額にはしわが寄っていることだろう。脂汗をかいているのかもしれない。

 唇を噛み締め、不快感に耐え、この悪夢が早く終われ、早く終われと願っている。

 

 ああ、しかし。

 じゅるり、じゅるり。湿り気と粘つきは、腰へ、腹へ、胸へ、肩へ……どんどん、どんどん上がってくる。不快だ。不快だ。不快だ。あなたが女性であることも一因ではあるのだろうが、これは男女関係なく不快だろう。

 まるで巨大な蛭が自らを足先から食らっているかのような悍ましい感覚。首まで来た。顎まで来た。

 

 口元まで来た。

 

 あなたは唇を再度噛み締める。この不快感が体内に入ってこないよう、硬く門戸を閉める。

 ああ、けれど、人間には自力で閉めることのできない穴がいくつかある。

 

 鼻。鼻に、粘つきが触れた。物凄い悪臭だ。何千年と洗浄していない咥内のような、どろどろになるまで放置された魚のような、──死体のような。

 それが……鼻腔を覗く。その入り口に手をかけ、ゆっくりと入ってくる。

 不快。不快不快。不快不快不快不快不快不快。

 

 おかしなことに、鼻へ入ったその粘体に対し、身体は反応してくれない。せき込んでくれないのだ。

 あなたの体は、あろうことかそのぬるぬるしたものを──飲み込もうとしている。耳元。くちゅりと音がした。何かが耳に侵入している。細いもの。湿ったもの。固く締めた唇をこじ開けんとする何かがいる。舌先か。誰の? ──何の?

 あなたは願うだろう。意識が無いのにもかかわらず、もう起きたいと。起きてこの不快を拭いたいと。

 全身から冷や汗が出ている。不快不快不快。全身をまさぐられている。不快。服の中、肌に直接息を吹きかけられる。悪臭が肌を撫で、くすぐり、捩ったそこを舌が舐める。

 

 意識が急上昇していく。あなたは気付けるだろうか、自らのチャクラが回復しつつあることに。いいや、気付くことはできなかった。もしかしたら、そちらに意識を向ければ。まるで大自然のような、大海のような、大いなる力の奔流に気を休められたかもしれない。

 けれど、一乙女として。

 もう、無抵抗に舐められ続けるなど──我慢がならなかった。

 

 ゆえに、あなたは心の底から叫ぶのだろう。

 

「いい加減にしろ!!」

 

 覚醒する。目を開ける。

 不快。不快。不快感。

 

 目を開いたあなたに。

 ──ニタリと笑う、百目の怪物が移り込んだ。

 

 

 +++

 

 

 物凄い力でぶん殴られて、通りの家に激突する。

 

「ぶっ……ちょ、オイオイ!」

「乙女の寝込みを襲うとは良い度胸だ……まさかそれが私とは、中々に自信も取り戻せた。だが」

「まっず──ヌル遁・奮割堤込!」

「単純に! 気色が悪い!!」

 

 殴り。

 柔らかく受け止めたはずのその拳は、しかし【緑色の眩いぬるぬるしたもの】の中を通り抜け──俺の方にまで、っとと、回避!

 

 ……おいおい、嘘だろ。全快状態でもない、百毫を使ってるわけでもないただの拳だぞ!?

 流石に突き抜けこそしなかったとはいえ、ホントにギリギリまで来ていた。寝起きの一撃がキサーメの足元を掠めるってか? どんな怪力ばーさんだよ!

 

 いや、いや。

 龍脈の力がダメだった可能性はある。いやでもゲレルの石の力と魍魎の力と龍脈の力なら龍脈の力選ぶだろ。前者二つはダメすぎるだろ。

 ただ、正直ほとんど与えられてない感じはするんだよな。俺も初めての事だったし、自然エネルギーって取り込み過ぎると危険だからってビビった部分が大きい。だってのにこんな元気なのは……。

 

「存外に素早いな……く、腹が減っているのにこの悪臭で食欲が湧かない。腹が立つ!」

「滅茶苦茶だな……。と……とりあえず、任務完了!」

「ム、待て!」

 

 追ってくるツナーデ。けれど、すぐに膝折れる。そりゃそうだ、どんだけ食ってないと思ってる。俺が渡したのはあくまで龍脈の力であって、体力諸々は渡していない。フフーフ、流石にそんな病人に追いつかれる程俺は遅く──。

 

「木ノ葉旋風! ……なに!?」

 

 モロに受けて、びしゃぁと溶ける。

 ソッチは分身サ! しかし、やばいな。今のマイト・ガイもだけど、騒ぎを聞きつけてどんどん忍が集まってきている。

 

「つ……綱手様!? お目覚めになられたのですね!?」

「綱手様! 大丈夫ですか!?」

「ダメです、まだ動いては! まずはちゃんと食事を取って……うっ、この臭いは!?」

 

 医療忍者や付き人も。

 

「皆の者! わたしの事はいい! まずは奴をひっ捕らえろ……寝ているわたしの体を舐め啜り、唇をも奪った凶悪性犯罪者だ!」

「な……綱手様の……?」

「この臭いは奴のもの。忍犬を使えるものはただちにこの臭いを辿れ! 決して奴を逃がすな! そして体の原型も留めないくらいボコボコにしてやる!」

 

 鳥の鳴き声。チチチの方じゃない。

 上を見れば、真っ白な、墨で描かれた鳥が飛んできている。

 

「だよな! 流石に助けはあるよな!」

 

 その足に掴まれば、たちどころに天空へ。

 見事木ノ葉の里から逃げ出せた……かに思われた。

 

 

「おい、もっと早く、もっと遠くへ、だ!」

「君、その臭いを自分で消す手段は持っていないのかい?」

「いつもの服なら消臭効果のあるモンいっぱい入ってるけど、この服じゃ無理!」

「……服を変えたら使用道具も入れ替える、くらいはすると思うんだけど」

「うるせー、俺はずぼらなんだよ!」

「自慢できることじゃ……おっと」

 

 飛んできた苦無をサイゾーが避ける。遅れて俺も避ける。

 直後、爆発するソレ。起爆札付きの苦無だ。

 

 本気すぎんか。

 

「クソ、忍犬が撒けねえ。かくなるうえは……!」

「何か策があるのかい?」

「海へ行ってくれ! 水に入れば後は何とかなる!」

「わかった」

 

 描かれた鳥が飛翔する。

 飛んで、飛んで、飛んで。

 おい、どこまで行く気だ。

 

「ここらでいいかな」

「──待て、流石にこんな沖合は聞いてな」

「じゃあ、報酬の話はまた今度。君に襲撃されないよう、話がついたらしっかりと連絡するから」

「い──ッ!?」

 

 ぽろっと落とされる。

 

 アイツぜってーサイコパスだろ!

 

 

 

 

 

 

 めーっちゃ泳いだ。

 俺自身は軽いから、【緑色の眩いぬるぬるしたもの】で空気取り込んだ気泡作ってそれ浮袋にして、めーっちゃ泳いだ。キサーメ戦で使ったような【緑色の眩いぬるぬるしたもの】を推進力にする方法は大海原でやると回収が面倒過ぎるんだよね。

 ただ問題は、俺が方向を解する道具を一個も持ってなかったって事。

 いつもの装備はちゃんとしたトコに隠してきたからマジでなんも持ってない。今着ている、どこの里の暗部の忍とも取れない忍装束、以外のアイテムが無いのである。無くてもチート能力あるからいいんだけど。

 まぁ何。何が言いたいかって。

 

「……これさ、どーみても島亀だよな」

 

 深く深く立ち込める霧の中。

 トゲットゲした甲羅。幾つもの死骸。周囲を泳ぐ巨大生物。

 攻撃してくるのは刺し貫いて食事にしてるけど……うーん。

 

 なんか作為を感じる。

 

 流石に時期的にナルート達が辿り着く前ではあるだろうけど、ワンチャン──。

 

「霧が深いからキリがない♪ 前に感じた気配の捜索♪ でもそれ正直八っつぁんNO策♪!」

「いるよなぁ」

「Oh、なんだ、自分から出てくるのかYO♪」

 

 お早いおつきで、といったところか。

 さてどーすっかね。流石に海の中となると、相手のフィールド過ぎるが。

 

「戦闘しない、って逃げ道は?」

「別に構わねえぜ♪ 俺にとっちゃお前は恩人♪ ブラザーいなけりゃ宴だ友人♪」

「そりゃありがたい。ちょっとな、海に放り出されて困ってたんだ。邪魔になったら出て行くから、少しだけ居させてくれると助かる」

「いいぜ。ただ、八っつぁんが後で話があるらしい。服乾かしたらこの島のてっぺんに来てくれ」

「ん、おう」

 

 急にシリアストーンになるじゃん。

 つか何。尾獣から用があるって怖いんだけど。

 

 

 

 

 

「お前結界抜けてきた♪ 霧隠れの結界それなりに優秀♪ どうやってスルー♪」

「ああ、俺のコレはチャクラ通さないのよ。だからだと思う」

「確証はないのか」

「だって俺結界術とか一個も使えないし」

 

 下に樹林の広がる中で、トゲトゲのてっぺん。

 そこに胡坐をかいたキラービーと、ふつーに座ってる俺。

 ……うん。会話がしづらい。

 

「とりあえず変わるぜ♪ 俺はできるだけ耳栓♪ YHEA♪」

「おー」

 

 変わる、と言って。

 あー。顔つきが……牛、っぽく、なった、よう、な?

 

「アンタが八尾か」

「そうだ。そんなテメェは異物だな?」

「あー、まぁ」

「別にいい。そこについてオレ達がどうこう言うことはねぇ。聞きたいのは一つだけだ」

「おん」

 

 八尾は、神妙なトーンで──問う。

 

「テメェと同じような奴がこの世にもう一体いる、なんてことはねェな?」

「そりゃどういう事だ?」

「オレ達が久しぶりにここへ来る前、船上や海中で動物たちが騒いでたんだよ。ここ数年前から化け物が海にいる、ってな。ありえねぇ程でけェヒトデみたいなもんを見たって話だ。そん時の感じがテメェと似てたから聞いたんだが、どうやら全く知らないようだな」

「ああ、知らん。知らんが、こっちでも注意しとくよ。そういうのがいる可能性はゼロじゃないんだ。ちょいと、こっちにも余計な事情があってね」

 

 俺を転生させた神とやら。

 最初は神様転生の所謂カミサマだと思った。友好的……かどうかは怪しかったけど、少なくとも神様然とはしていたし。

 けど、俺のチート能力である【緑色の眩いぬるぬるしたもの】が件の奉仕種族だった以上、それを与えた神もソレに連なる者である可能性は高い。

 

 その神が。

 あるいはまた、かの神話における何かがこの世界に産み落とされている、という可能性は否定できない。

 

「テメェもだが、チャクラを介さねェ通さねェ生体ってのはほとんどあり得ない。そして、この世のものはそういった異物に対してあまりに無力だ。その力を完全に御している内はまだいいが、御しきれなくなった場合のことも考えておけよ」

「それは常々考えてるから大丈夫」

「……そうか。以上だ」

「ああ」

 

 チャクラ。大筒木一族よりバラけたエネルギー。これも一応異物なんだっけ?

 まー原作に無い、って点で、何よりもの異物であるのは間違いない。

 

 本当にそんなのがいるなら。

 ……それが、ハッピーエンドを掴み取った原作に何かをするのなら。

 

「対処はするさ」

 

 まだ第四次忍界大戦も始まってないんだけどね?

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