NURUTO 作:ONE DICE TWENTY
ようやく忍連合軍……ガーラとジャゼーの分隊だけじゃない、各地にいた全ての忍が集まってきている中で、一つの違和感を覚えた。
いない。
遠くから顔だけ出して望遠鏡覗いてるんだけど、いない。
日向ネジがいないのだ。
「……もしかしないでも、再起不能になった、とか……」
この戦場で起きるネージの死は、ナルートやヒナータへの起爆剤になる重要ポイント。それを潰してしまっている可能性はある。それはキサーメと戦った時のこと。あの場にいて、彼だけが俺を、というか【緑色の眩いぬるぬるしたもの】を直視し、さらには白眼でもっと詳しく見て、極度の発狂を起こしていた。
それが──忍者人生にも響くほどだったら。
となると、ちょっと不味い。
ナルートを守る役目は別にいい。ナルート今回ほとんど疲弊してないし、ツナーデもサクーラもいる。俺が助けるでも良い。
ただ、それによって起きる動揺と不安、それを拭い去るヒナータの激励が消えてしまうのが不味い。最悪ナルートとヒナータが結婚しない、まで響いたらやばだぞ。原作破壊どころじゃない。
……原作破壊どころじゃないのは今更か。
さて、もう少ししたら出て行こう。
もうすぐ、必要でない死がオンパレードで迫ってくる。
戦場において最大の邪魔者なのは自覚してるから、せいぜいどっちもの足引っ張って俺のやりたいことをやろう。
それが多分、俺にできる最大のこと。
忍連合の術連携によって十尾の動きを止めた──かに思われた戦場。けれどそれは、ただ十尾が形態変化をするための準備期間に過ぎなかった。止めたのではなく止まっていただけ。その事実に絶望し、また、その力の大きさの前に震え上がる忍たち。
その眼前に、ゆらりと──誰かが滲み出る。
「なんだ、また出てきたのか。懲りない奴だな」
まぁ俺なんだけど。
「ヌル遁・大太刀の術」
十尾を斬る。
そんな直接的な手段に出てくると思って無かったのか、咄嗟にマダーラが大突破で対応してくるが──知らない。刃は風を切り、その身をすっぱりと切り裂く。
背後、忍連合で「おおお……!」という歓声が上がるのも無視。どの道そうも言ってられなくなるからな。
斬られた十尾は大狂乱だ。今の今までその身に受けてきた忍術など風が撫でた程度のものだったのに、突然凄まじいダメージを受けたのだから、当然だろう。
そして──睨みつけてくる。俺を。
もうオビートの制御下に無いのか、感情までは制御しきれないのか。
今、この時点で。
十尾の敵は俺になった。
その口に錐の形をした尾獣玉が集束する。
「……ま、俺の役目はそりゃこっちだわな。人間一人一人を相手にする神話生物なんか見たかねーだろ。奉仕種族とはいえ」
ボソッとそれだけ呟いて──尾の数えられない尾獣モードを使う。
ぐじゅりぐじゅりと音を立てて巨大になっていくその身体。背後の歓声は完全に鳴りやんだ。代わりに、恐怖の声が。狂気の声が聞こえてくる。
そっちは勝手にどうにかしてくれ。俺はもう対処できないからさ。
「先の須佐能乎といい、遁術といい、コレといい……猿真似ばかりだな。形だけ真似ても本質は変わらんぞ」
「晶古球」
集まっていく【緑色の眩いぬるぬるしたもの】は、十尾のそれに匹敵する大きさ。
だが、僅かに速度が足りない。
──先に十尾の尾獣玉が放たれた。足場をどうにかする、みたいなのは無しか。ま、やられたら困ってたけど。
十尾の尾獣玉が俺の圧縮球に直撃する。
それによって起きると予測された衝撃波──力と力のぶつかり合いで起きるはずのそれは、しかし起きることなく。
ズブズブと、その赤い尾獣玉を俺の圧縮球が飲み込んでいく。爆発させることなく、だ。
そしてそれは、最後まで爆ぜることなく、俺の圧縮球の中に沈んでいった。
圧縮球を体に取り込む俺。
「……いやさ、考えたんだよ。どーしたら短期間で強くなれるかな、って」
「道化の考えそうなことだ」
「簡単だった。強い奴から奪って、強い奴を食えばいい。十尾のチャクラ。
十尾がまた、尾獣玉を溜め始める。
四つん這いになって姿勢を整え──向く先は、忍連合本部。
「勝手にしろ。お前は相手にする価値が無い」
「どこ狙ってる。俺はここだぜ」
「わざわざ忍連合とオレ達の間に出てきて巨体を晒す。そんなもの、狙ってくれと言っているようなものだ。いいや、言っているんだろう。だが、お前のどうでもいい手に乗ってやる程オレ達は暇じゃない」
溜めもそこそこに。
十尾の尾獣玉が、放たれた。
……これは賭けである。
確かに俺はヘイトを向かせるために出てきた。十尾の尾獣玉が全て俺に向けばいいとまで思っていた。認めよう。だが同時に、そんなことを見抜けないこいつらでもないと知っていたし、俺になんかもう飽いているだろうこともわかっていた。
だから、ずっと地中にいたんだ。
ずっとずっと──線を伸ばしていた。
これは賭けである。
あとは。
彼がそれを、使ってくれるかどうかの。
使われなければ──また、悲しみが増えるだけだ。
***
「……皆、冷静に聞いてくれ」
「……ここか」
霧隠れの感知タイプ、青。木ノ葉の参謀、奈良シカク。
その両名が死を悟った声を出して、そこにいた全ての者が事態を理解する。
残された時間は僅か。ならば、今伝えられることを──。
そう思った、全員の前で。
ある男が立つ。立ち上がる。
「辛気臭いのぅ。子供たちの世代が諦めずに頑張っているというのに、お前たちがソレではのぅ。ここを放棄してでも生き延びる事を選んだ方が、後の勝率に繋がると思うんだがのう」
男は、彼は、綱手がいなくなったことで自由に飲めるようになった酒を口から離して、言う。
「お言葉ですが、我々は諦めたわけではありません。ただ、その子供らに、言葉を残そうと──」
「だから」
彼は。
木ノ葉の伝説の三忍、自来也は、ニカっと笑う。
そして作戦本部を出て──大声で。
「口寄せェ!」
出てきたのは巨大な蝦蟇。
「ガマケンさん、ちょいと頼みがあるんだがのぅ──ワシを空の高くまでぶん投げてはくれんかのぅ」
「承知……!」
だから、と。
彼は口にした。
その続きを。
「まだ諦めるには早い──らしいのう。なぁ──」
取り出すのは一本の苦無。
速度を持ち、放物線上に飛んでくる赤い球体に対し、狙いを定め。
「そこに仲間が誰もいなくとも。数人でいい。思い出せ、ヨゴシ。お前が作った繋がりは、ゼロではないぞ」
投げた。
球体──尾獣玉に対し、余りにもちっぽけな苦無だ。
けれどそれの威力を自来也は知っている。けれどそれの効果を自来也は知っている。
高き空。空中。段々と落ち行く身体で、言葉を発す。
それは彼の使っていた言葉。雨隠れの里で見せた、彼の言葉。
「飲み込めェ!」
瞬間、ビキビキと音を立てて木が生える。木。木。樹木。
否、違う。これは。
地面だ。地面から、真っすぐに、そんなことはない、互いが互いを食い合い、絡み合い、三重螺旋を描いてその繋がりを掴み取る。取りこぼさないように、しっかりと。
地面から伸びた黒は、投げられた苦無を確実に掴んだ。
──"飲み込め"。
黒い花が開花する。
天を衝くほどに広い花。花弁の一枚が里の面積にも匹敵するだろう花。
それが尾獣玉を包む。受け止め、包み、飲み込んで行く。
自由落下する自来也を蝦蟇が掴み、ずしんと着地して尚──花弁は開いたまま。
自来也は思う。
──夜で良かったのぅ。
もしこれが昼だったら、狂乱の騒ぎだっただろう。
夜だから、その花についた無数の目が見えなかった。夜だから、その花で開く無数の口が見えなかった。
夜闇に沈むこの花はただ、仄かに明るい緑の光を放つのみ。
未だ、尚。
守るように、花は開き続けている──。
***
「……こちらの狙いがわかっていたか。ふむ。お前は妙に……先を読むな。技術も無い。頭も無い。己の道化を自覚してすらいなかったガキが、そこまでの布石を置けるものか?」
「どうでもいい。もう一発だ。今度は軌道を変える……」
「どうやらそれも上手く行かんようだな」
「ヌル遁・粘り蜘蛛の術!」
飛ばす。圧縮球のようにしたソレは、尾獣玉を打ち切った十尾の顔へ飛来し──その顔にへばり付く。覆える程じゃない。だが、口は開けなくした。
ハッハッハ、口からしか出せないんならそこつぶしゃー良いだけの話! 虚を見習え。色んなトコから撃てるぞ。
んで、もう隠し立てもいいだろう。
「土遁使える奴は防壁張りな! 広範囲殺傷忍術が来るぞ!」
「──土遁! 土流壁! 皆もだ!」
「土遁・多重土流壁!!」
真っ先に動いてくれたのは、岩隠れのキツーチ。流石、信頼されてる理由がわかる。
どんなに気持ち悪くたって瞬時に俺を仲間だと判断し、言葉に従ってくれる。そのキツーチを信じてるから、岩隠れの者達も一斉に続いてくれる。
「……」
「木遁・挿し木の術──なんだと?」
「やはり……」
木遁・挿し木の術。多分、人間大でやれば驚異的な殺傷力ではあるものの、そこまで絶望的な術じゃあないと思う。けれど、こうやって十尾の掌を介せば、超広範囲に凄まじい殺傷能力のある木を振り撒ける術となる。巨体の見せ所だね。
よし、これでとりあえずネージのいない穴埋めはできただろう。
──ああ、もう。
なんで前に出てきてんだお前。
そういう奴だもんな。守られてるだけ、なんて。有り得ないだろう。
「でもフラグはァ! 折るもの!! ヌル遁・ヌル沼ァ!!」
ナルート、そしてヒナータに刺さりかけた挿し木の術。けれど、二人の体にそれが当たる直前、二人の姿が消える。
それは周囲、他の土流壁から零れていた忍も同じ。まぁ消えた先ですんごい悲鳴が上がってたりするけど。
ネージがいない穴埋めを考えてなかったわけがないだろう。
こんな咄嗟の奴じゃなく!
この辺の地面が、どんだけ穴ぼこになってると思ってやがる! 【緑色の眩いぬるぬるしたもの】を回収すればほらこの通りさ!
「……」
「なんだ……悉く邪魔をされる……?」
「知っている、という可能性が見えてきたな」
尾獣モードを維持したまま十尾に直進する。
迎え撃たんとした十尾。その両脇からドーム状の岩石が出てくる。山土の術だ。キツーチ、好きになっちゃうぜ!
「ヌル遁・大太刀の術──満月大根斬り!!」
走りながら上段に構えた太刀を、真っすぐに落とす。
その剪断能力は先ほど体感させたばかりだ。これにより、オビートも、そして十尾自身も身を護る方向にシフトチェンジする。口を縛ってるのは同じで、まだ使えないからな、尾獣玉は。
狙い目は、そこだ。
うちはの団扇──霊樹の法具でさえ直撃を避けるこの一刀。ワンチャンここで十尾を殺す!
「期待と失望を同時にさせる奴だな……」
「ッ!?」
それは平手打ちだった。
挟まれて尚自由のある十尾の手。無数の手の内四つが一斉に動き、尾獣モードの俺を横合いからぶっ叩いたのだ。
わずかに打ち上げるようなその軌道に、咄嗟に行火掘十を発射して避ける。
あびねー。
「あまりわかりやすい事をしてくれるな。読みに冴える、手回しまでできると興を乗せればすぐにこれだ。愚行極まりない。
「アラー見抜かれて」
「わざわざ言葉にする必要もない。お前の能力はわかっている」
つまらなそうにマダーラが言う。
……ま、簡単に言えば。
ジラーヤ達を守った花や、ナルート達をひっこめた穴など、流石にこうも広範囲とあっては遠隔操作なんかできやしない。捕食と同じで、どっかで繋がってないといけないのだ。
だから、さっきの斬撃であればホントは飛び上がった方がよかったし、平手打ちを受けて浮き上がっても攻撃を続けた方が良かった。
それが出来なかったのは、身体が地面から離れてしまって操作が出来なくなることを恐れたため。
……マダーラの言う通りだ。
守りたい、なんて嘯くのなら、俺は攻撃しないで守りに徹していた方が良い。中途半端に動こうとするからこうなるんだ。
そも、遠距離攻撃できるしな、俺。
「ヌル遁」
「まだやるか」
「挿し木の術」
「!」
全身から塗流槍を飛ばしていく。さっきの術を完全に真似た形だが、殺傷能力や後々操作できる効果も一緒という完全再現だ。そんでもって、こっちのは十尾の表皮をも切り裂ける威力がある。
「これは不味いな」
「アンタが発破をかけるからだ……!」
「オレの責任か? フ、いいだろう。なら、オレが対処してやる。風遁・神颪」
マダーラの両手から暴風ともいえる風が出る。
それはなんと、【緑色の眩いぬるぬるしたもの】の軌道をも逸らす威力。密度減らし過ぎたか。
ならもっと高密度にして──。
「ヨゴシ! 一旦下がれってばよ! こっからはオレ達がやる!」
「……おっけー」
素直に従う。
みんな、何かをやろうとしている顔つきだ。
……あ、そっか。俺アレか。仲間認定されてないから作戦とか共有されてないのか。
うーむ。
ずぶぶ、と地面に沈みながら、忍連合の動きを見る。
……。うん。
素人にはどんな作戦か、とかわかんね!
でも、本部が生きてるんだ。もっと綿密な作戦が立てられるはず。んでもって、俺はマダーラに言われた通り、防御に徹しますかね。
ヌル遁の自動(手動)防御って奴だってばよ!
──"無剣鐘のヨゴシ。
……"。"
……"あ、この声は山中いのいち。"
──"どうやら無事本体の方に繋げられたようだな。あの時の感覚は今でも忘れられないが……。"
あ、そっかそっか。
一度俺といのーちは繋がってるんだ。繋がったのは【緑色の眩いぬるぬるしたもの】の方だったとはいえ。あと言っとくけど本体もクソもないよ。同一存在だし。
成程ね、こういう感覚か。ヘンな感じ。
──"今の時点のみ、お前が敵ではない事を信じ、お前に作戦を渡す。従う気はあるか?"
……"それは利用? それとも共闘?"
──"共闘だ。お前の能力を鑑みて、お前に頼みたいことがある。"
まぁありがたい限りだ。
原作にあった展開なら予め対処できるけど、無い展開や俺が起こした展開についてはどうしようもない。先読みなんかできる程頭良くないし。毎度毎度賭けをするしかなくなってた。
そこにブレインが付いてくれるなら、そりゃラッキーだ。
これでマダーラに馬鹿にされなくて済む!
……"わかった。何をすればいい?"
──"素直だな。何故協力を仰いだのか、と聞かれるものだと思っていたが"
……"だってそっちには自来也の爺さんがいるじゃん。なんか余計な事言ったんでしょ。そういう所は信頼してるよ。"
──"正解だ。では、作戦を渡す。タイミングはそちらで推し量ってくれ。"
……"はいよ。"
そこからスラスラと伝えられる作戦内容に、思わず息をのむ。
頭が良いとか、すげー、とかじゃなくて。
け、結構外道だな。
やはり卑の意思は受け継がれている……。考えたのいのーちじゃなくてシカークだろうけど。
──"以上だ。どうだ、できそうか?"
……"いける。"
──"健闘を祈る。"
頭を掴んでいた何かが消えるような感覚。
いやー。
成程ねー。そうすればいいんだ。
んじゃ……準備と行きますかね。
善戦、と言えるのか。
ナルートの九尾チャクラの譲渡。それにより力を増した忍連合だけど、
今鳥みたいになって十尾を、そしてマダーラとオビートを切り離した所だけど……これ、厄介なタイミングで切れそうだな。影たちも頑張ってくれているから早々ナルートの危機にはならないと思うんだけど……。
「やはり間違いない……このチャクラ──」
「ヌル遁・心中斬首の術!」
「っ!」
ソレから逃げるため、空中へ飛び上がるマダーラ。近くの岩に着地し、ものすごい溜息を吐く。
ちぇ、一番油断してるタイミングだと思ったんだけどな。けど、感じ取ってくれたのはありがたい。ソレが来たって最速でわかるのはマダーラだけだからな。
「またお前か……。お前の相手はする価値がないと言ったはずだが」
「ハッハー、けどびっくりしただろ? ああいや、苛ついたか? 折角の旧友に思いを馳せてるトコへの割り込みだからな……俺に、殺意でも見出してくれたらラッキーなんだが」
「……お前は感知タイプではない」
「ん?」
「それに、奴のチャクラを知っているはずもない。なればやはり……お前、未来が読めるか」
突然の指摘。
ま、マダーラならわかるだろうな。
そしてその答えは決まってる。
「未来が読める、っていうか──」
マダーラの着地した岩。
そこから、塗流槍を突き出す。
当たらない。避けられた。その避けた先。それを避けた先。それさえも避けた先。
マダーラの着地する全ての場所から、塗流槍が出てくる。
「俺は未来から来たんだよ! ヌル遁!」
「……未来から来た、か」
「踊り蜘蛛の術!!」
それは上下から。
蜘蛛の巣状のトラップが展開する。
展開先は──十尾。今まさに立ち上がり、天変地異をやろうとしていた十尾を【緑色の眩いぬるぬるしたもの】が拘束する。
糸から垂れた【緑色の眩いぬるぬるしたもの】はそれ同士が繋がり、超巨大な膜を作り上げる。咀嚼は無理だ。ちょっと距離が離れすぎている。遠隔操作するにもキツい。なんでこれは、ただ覆っただけ。
それが十二分な効果を発揮することを、俺は知っている。
「どうやら、嘘を言っているわけでもなさそうだ」
発動するのは天変地異。物凄いエネルギーで自然災害を起こしまくる超広範囲の術──だけど、チャクラを通さない性質の【緑色の眩いぬるぬるしたもの】に包まれている以上、その超威力は【緑色の眩いぬるぬるしたもの】の内部にのみ展開される。
原作で四赤陽陣内部で自身の尾獣玉を食らわせたときの奴と同じ。あそこまで行けたらまー咀嚼できるんだけど、それはマダーラが許さないだろうし、何よりアレは十尾へ向かう攻撃も防いでしまうのですぐに解く。
中からは、かなり傷のついた十尾が。
「ならば一つ問うてやろうう」
「なに?」
「──その未来に、お前はいるのか?」
……──。
思わず笑顔になってしまう。
「いるワケ」
「フッ、だろうな」
ぐちゃぐちゃと音を立てて【緑色の眩いぬるぬるしたもの】から出てきた十尾。その形態が変わっていく。
形は……カタツムリみたいになって。
その口からは、つぼみが出てきて。その花弁から──埒外の力が出てきて。
「アレも食らうか?」
「あの大きさは無理。でもま、対処はしてくれるよ。運命がね」
「運命。……お前の来た未来とやらでは、ということか」
「そうさ。事細かに描写されてるから知ってるんだよ。歴史はちゃんと、後世に続いている。教えてあげよーか? 無限月読はね、」
「だが、お前がいるせいで、未来は着実に変わって行っている。お前のせいで、確定し、安定していた未来もあやふやなものになっている。……お前が未来を壊したんだ。それはわかっているのか?」
「そこは大丈夫。俺はもう、俺が知っている未来を望んでいないから」
この場にいる誰もが匙を投げるような力の塊が、今。
うずまきナルトに向けて、放たれる──。