NURUTO   作:ONE DICE TWENTY

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三三すすくくみみみみミ☆

 その人影は、唐突に現れた。

 独特な形状の苦無に手を翳し、その余りにもソレな羽織を纏う、金色の風。

 

 波風ミナト。彼は十尾の本気の尾獣玉を彼方へと飛ばし、忍連合を救ったのだ。

 そして遅れて、続々と増援がやってくる。

 小さな人影、猿飛ヒルゼン。その隣に降り立つ青い鎧の男、千手扉間。さらに隣には赤い鎧の男、千手柱間。

 先代の火影四人──内、柱間が現れた瞬間、うちはマダラは目の前の塵の一切を無視し、喜色を浮かべて叫ぶ。

 

「待っていたぞォ、柱間ァ!!」

「お前は後!!」

「ヌル遁・心ヌき」

「……はぁ。やはり奴とは嚙み合わん……」

 

 邪魔者が彼の心臓を撃ち抜いても関係ない。穢土転生体に何の意味があろうか。

 だからマダラは、肩を竦め──振り返る。

 

「だ、そうだ。柱間が来るまで相手をしてやる」

「え、結構結構。俺どっちかというと十尾食いたいし。アンタの相手は千手柱間じゃないと務まんないよ」

「ほう? わかっているじゃないか」

「永遠のライバルが来ちゃった以上、俺の出る幕はないでしょ。さっきも言ったけどね、これが運命の対処だよ」

「つまり、その運命において──オレは負ける、と?」

「さぁ? さっき無限月読の成否を遮ったのはそっちじゃん。聞きたくないんでしょ? 聞いたところでやること変わんないだろうし。ということで、俺はもう行くけど……最後に一つ、いい?」

 

 背後、四赤陽陣が展開され、十尾が封じられている中──なんだかほんわかした雑談を始める。

 ……マダーラってこういうとこあるよね。割とノセられやすいしかなり感情がわかりやすい。

 

「なんだ、今の俺は多少気分が良い。聞いてやらんことも無い」

「俺のことさ、今でも相手にする価値無いって思ってる?」

「無論だ。その評価は変わらん。お前の遁術ではない何か自体は評価に値するとは思うがな」

「そっか。んじゃね、マダラ。後に来る戦いに備えて、今は休んでて」

 

 言って。

 さぁ十尾の方に、と行こうとした時だった。

 

「待たせたな。来い、相手をしてやろう……む? 誰だ、この子は。マダラ、お主の子か?」

「……」

「……」

「なんだ、揃いも揃ってその顔は。まるで俺がとんちんかんな事を言ったような」

「言ったんだよ」

「どう見ても……似ていないだろう」

「む。そうか。……いや、そちらの子供。見覚えがあるぞ。……確か、猿と一緒にいた……つまり猿の子か!?」

「違うよ。でも久しぶりだね、初代」

「何? 面識があるのか?」

「少しね。マダラ、アンタが知ってるのかは知らないけど、あそこにいる大蛇丸が起こした木ノ葉崩しの時に、初代と二代目とはやりあったんだ。その時も穢土転生でね」

「うむ。注意力散漫、心技体その全てが下忍以下、唯一脅威なのはその能力だけ、というちぐはぐぶりだったが、俺達二人を足止めしていた事実は変わらぬ。あの年頃で、よくぞ、と褒めてやりたいと死神の腹の中で思っていたぞ」

「お前、昔から評価が変わらんな。まるで成長していないのか」

「アンタと違って初代は褒めてくれたし」

 

 やっぱりそう思われてたんだ。あと死神の腹の中って意識あるんだ。

 

「柱間は甘いだけだ……。はぁ。木分身のお前を相手にする気は無い。その子供を連れて、十尾の所にでも行っていろ。オレは手を出さないでいてやる」

「だ、そうだよ。マダラは約束は守る方でしょ。大丈夫だから、十尾に集中しようよ」

「しかしだな」

「オレは本気のお前とやり合いたい。木分身など、一刺しで終わるような戦いに何の意味がある」

「だがお前を見逃すわけにはいかん」

「なら二人仲良く座って向き合ってればいいんじゃない? 昔話にでも花を咲かせてさ」

「仲が良いつもりはないが、いいだろう。それくらいなら木分身にも務まる」

「……まぁ、マダラを止めておけるなら、いいか……」

 

 言って、どかりと座り込む柱間ァ。あ、それでホントにいいんだ。

 

 ……行くか。

 

 

 

「っと、その前に」

 

 四赤陽陣に向かう──その前に、大蛇丸ら"鷹"のいる場所に向かう。今回五影が別の場所にいないからな。先代火影たちに遅れて現地到着したのを確認済みだ。

 それは、鬼灯水月、ジューゴ、カリーンも含めて。

 

「あら……久しぶりね。何用かしら?」

「え、何? 大蛇丸様このチビと知り合い?」

「……」

「なんか……やべぇ感じがする……」

 

 ウォロチマール以外の三人はバリ警戒。特にカリーンが超警戒、って感じだ。うずまき一族としてなんかあるのかな?

 

「久しぶり。元気してた?」

「フフフ……アナタの事だから、知っているものだと思っていたけれど……違うかしら?」

「まぁね。ま、カブトの中にいたんなら休めてはいたんじゃない? 彼、タフだし」

「どうでしょうね……。それより、何用か、というのは教えてくれないのかしら……?」

「今からやるよ」

 

 さて──尤もらしく取り出しますは、巻物。

 適当に描いたミミズみたいな字の書かれたソレをバァっと開き、地面へと──叩きつける!

 

「口寄せ!!」

「ヒィーっ!? 何だコイツ、いきなり口寄せとか!」

「……」

「いやでもチャクラ感じないけど……」

 

 うるさい。

 勿論、口寄せなんか覚えてない。

 

「……」

「……」

「……あのさ、まだ?」

「いやだからチャクラ出てないし……ウチが感じ取れないってことは、多分……」

「もうちょっと待って」

 

 次第に。

 ゴゴゴゴ、という音が響き始める。

 ゴゴゴ、ゴゴゴ。それは何かが地中を通り抜ける音。ジューゴとスィーゲツは敏感にそれを察知し、カリーンとウォロチマールはこっちを注視する。

 案外、距離があったけど。

 

 これで一本釣りよォ!

 

「白髪蝦蟇!!」

「ノオォオオオオオオ!?」

 

 ドパァンと豪快な音を立てて巻物を突き破ってくるは、真っ白な体毛に包まれた蝦蟇。赤い体表、疣の多い顔。紛う方なき蝦蟇。

 忍連合作戦本部から引っ張って来たんだ。ちょっとくらい時間もかかるさそりゃ。

 

「──まさか」

「ちょ、今一瞬見えた化け物! なんだよあれ!!」

「生命の気配を感じなかった……なんだ?」

「一つわかんのは、超きめぇってことだけだ!」

 

 釣り上げた蝦蟇が落ちてくる。

 受け止める気は無い。受け止める気がない事がわかったのだろう、白髪蝦蟇は空中で態勢を整えると、そこまで大きな衝撃を生み出すことなく俺達の前に降り立った。

 

「……自来也」

「じじじ、自来也ぁ!? それって大蛇丸様と同じ伝説の……」

「死ぬかと思った……はぁ、っとにお前の術は、肝が冷えるのぅ。……というか、だーれが白髪蝦蟇だ」

「白髪蝦蟇でしょ。見た目通り」

 

 ジラーヤ。

 その身体に纏わりついた【緑色の眩いぬるぬるしたもの】を回収しつつ、ちょっと悪戯気味に言う。

 

「ほら、見てよ。四赤陽陣の中」

「むぅ?」

 

 指をさした場所。

 そこでは──。

 

「新たな三すくみ……フフ、どうやらワタシ達は過去のものにされてしまったようね……」

「おー……なんぞ、大変そうだのぅ」

「おいそこの! 見ているだけか! 折角来たんだ、興味があろうとなかろうと手伝え! 命令だ!!」

 

 ツナーデから檄が飛ぶ。

 そうそう、そういう事。

 

 折角ジラーヤが生きてるんだ。

 もう原作破壊なんか気にしない以上──ソレは見たいよな。

 

「次代に譲るのも確かにアリだと思うけどさ。綱手姫が戦ってるんだ。ここで新旧揃うのも、中々オツだと思わない?」

「そうね……ワタシは別に構わないわ……この戦争に興味はないけれど、先生が今ここにいて、この戦いに参加している……。何より綱手が檄を飛ばした時点で、ワタシ達に拒否権は無さそうね……」

「でものぅ。ワシ、酔っておるからのゴフッ!?」

 

 突然ジラーヤが飛来した岩の下敷きになる。

 岩の上には、ツナーデ。ワオ。

 

「酒は禁じたはずだが……自来也、私が転送された後すぐに飲み始めたな?」

「ちょっ、死ぬ死ぬ、十尾にやられるとか以前に死ぬ!」

「そもそもやられはしない。故にここで殺しておくべきだ」

「綱手……じゃれ合いは構わないけれど、どうするのかしら……次代に任せることなく、過保護に面倒を見るの……? それとも、任せる……?」

「決まっているだろう。あいつらが戦っているのは過去の産物だ。我々の、あるいは我々よりもさらに前の遺恨。それを摘み取ることなく、癒すことなく現代まで繋げてきた我々の責任。過保護も何も、元来私達が終わらせるべきことだ!」

「それが過保護だと言っているのだけどね……。ま、いいわ。自来也、綱手のやる気も伝わったでしょう……? 歳を食って力を出したくない気持ちはわからないでもないけれど、ここは格好の付け所よ……多分ね」

「はぁ……大蛇丸に格好の付け所、なんてものを教わる日が来るとはのぅ」

「変わったのよ……ワタシも、そしてアナタも……」

 

 岩が崩れる。当然、岩の上にいたツナーデが自由落下を始めるが──ぽふっ、と。

 立ち上がったジラーヤに、受け止められた。

 

 お姫様抱っこで。

 

「気色悪い!」

「ぶっ……受け止めてやったのに、すぐに暴力暴力暴力! 嫌になるのぅ!」

「アラ自来也……避けることなくわざわざ顔面で受け止めるから、そういう趣味なのだとばかり思っていたわ……」

「長引きそうだからお先。早くしないと取り分無くなっちゃいそうだしね」

 

 夫婦喧嘩は高楊枝!!

 もうちょい見ていたい気持ちはあるけど、流石に時間が無いのである!

 

 

 

 

 新たなる三すくみとなった元第七班。

 さぁこれより進撃開始──と言ったところで、その眼前に黒が溢れ出る。あまりに醜悪な見た目をしたソレは近くにいた十尾の分裂体に纏わりつき、覆い被さり、引き千切り、啜り千切り、圧し潰し、ドロドロのぐちゃぐちゃにして……咀嚼していく。

 初見のものならば正気を失うようなその光景も、ナルト達にとっては見慣れたもの。

 

「いや薄気味悪いのは変わらねーってばよ……」

「ナルト。アレは、ヨゴシか」

「あ、うん。あれ、サスケってヨゴシと会ってたっけ?」

「実際に会うのは久しぶりと言えるだろうな。前回は封印越しだった」

「ヨゴシ……落ち込んでないといいけど」

 

 全然慣れてないのが若干一名いたけれど、なんならサクーラは心配までしてくれているようで俺嬉しいよ。サスケェ! はまーいいんだけどさ。

 

 さぁさ、十尾自らが己を切り分けてくれたんだ。

 食べない手はないよなぁ。

 

「とっとと行くぞ、アオダ」

「はい。しかし、面白い事になりそうですね」

「何?」

 

 俺が次々と十尾の分裂体を食い荒らしている背後──さっきまで和気藹々としていた三人……三忍が、戦場へ降り立つ。

 

「え──エロ仙人!? どうしてここに……本部を守るんじゃなかったのかよ!」

「あそこの奴に釣りあげられてのぅ。仕方なく、だ。そして……口寄せの術ゥ!」

「綱手様! もしかして……」

「ああ。私もカツユを口寄せする。これで戦場のほとんどを覆い尽くせるだろう」

「大蛇丸。この戦争に興味はないんじゃなかったのか?」

「今も興味はないわ……けれど、ここまで整えられた大舞台、立たなければ男が廃るというものでしょう……口寄せの術!」

 

 さて、出来上がるは三すくみと三すくみ。

 ガマ吉、ガマケン。カツユ1/10。アオダとマンダ。いやはや──壮観なり。

 

「オイ大蛇丸!! 何度も言ってるが臭ェトコに呼び出してんじゃねぇ殺すぞ!! またあのガキじゃねぇかおいコラガキ! 風呂入れ! それくらいできるだろできなきゃ川か海にぶち込んで臭いも命も消してやるぞコラ!!」

「確かに、臭いは気になりますね」

「綱手様、サクラちゃん。……アレと関わってはいけません。アレは、どこまで行っても生物に害を与えるものです」

「オレからしても臭ェでのぅ。あんまり近づきたくはねェの」

「アレェ? ガマケンさん、ブン太はどうしたんだ?」

「自分、不器用で……ブン太は手打ちのゴタゴタで、自分が来ました……」

 

 なんで俺カツーユからこんなに嫌われてんだろな。

 カエルとヘビが臭がるのはわかるんだけど。

 

 ま、どうでもいい。三すくみ組の狙いは十尾本体。俺の狙いは周囲の分裂体。

 住み分けが出来てるんだ。邪魔しなけりゃ邪魔してこないだろう。

 

 飲む。飲む。飲む。

 十尾というチャクラの塊を、生物の頂点ともいえる細胞を。

 なんなら忍連合の忍者も寄せ付けない。ナルートの、というかクラーマのチャクラのせいで食いづらそうなんだよな、アレ。尾獣は今まで一回も食べてこなかったら食い方がわからないってのもある。

 そんなのより、コレだ。

 十尾は尾獣だけど、樹木に近い。今まで食べてきたゲレルの石や魍魎、龍脈の力にどこか似ているのだ。

 

 食べれば食べる程。飲めば飲む程。

 わかっていく。効率の良い咀嚼方法が。栄養分岐し、コレの喰い方を学んでいく。食え。食え。食らえ。

 圧縮する前に、人柱力になる前に。

 少しでも削る──! 

 

 

「そういう事か」

 

 

「!?」

「安心しろ。お前たちに手は出さん。──異物を排除するだけだ」

 

 ぶっ──飛ばされる。

 高い。高い。高い高い高い──天空に。やばい、最大の弱点を突かれた。うちはマダラは動かないと、絶対にあの場から動かないと決めつけてしまっていた。

 

 油断した!!

 

 どこまで行く。【緑色の眩いぬるぬるしたもの】を放出しているけど、一向に地面につかない。届かない。まさか、この大気の色は。まさか。

 

「──計画総崩れだけど! 今使わずしていつ使う! 解法!」

 

 頼む、あと一回だけ!

 一回だけ保ってくれ!

 

「処漉!!」

 

 

 +++

 

 

 十尾の人柱力となったうちはオビト。

 その力は絶大だった。四赤陽陣を軽々と崩し、どんな忍術をも受け付けない。ただ、うずまきナルトの観察眼と二代目火影の知恵により、仙術ならば効果アリということがわかった──そんな頃合い。

 

 ソレは、降って来た。

 

 仙法・螺旋丸を食らったうちはオビト。その上に──その巨体が。

 

 あるいはもう見慣れた者もいたのかもしれない。

 黒い身体。無数の目。無数の口。月明りを受けて玉虫色にヌラめく体色は、けれど仄かな緑の光を纏っている。頭部らしき部分には巨大な目玉が二つ。瞬きの度に点滅し、その下にある巨大な口からは悪臭が噴き出る。

 ケモノのような四肢はあれど、明らかに数がおかしく、そうでない部分からも色々なものが飛び出ている。

 

 コレは、自分たちとは違う。

 一目見ただけでそうわかるモノに、精神に不調を来す者も出た。見慣れた者でさえ、そうだった。

 

 唯一の救いは、ソレの興味が彼らに向いてなかった事だろう。

 ソレは、今しがた圧し潰したものを。

 つまり自身の下にいる人柱力となったオビトを──乱打する。

 血継網羅たる求道球が防御のために広がろうと、反撃のために槍となろうと関係ない。ソレは、恐ろしいナニカは、ただ一心不乱にオビトを殺しにかかる。次第、ぐちゃぐちゃと何かがつぶれる音が聞こえ始め──。

 

「アレは……なんだ」

「多分だけど……ヨゴシの、完全体……オレの尾獣モードとか、サスケの須佐能乎みたいなもんだと思う……」

「あんなものと一緒にするな」

「……」

 

 化け物を目に、扉間は考える。

 確かに見た目はヨゴシという子供の使っていた能力に酷似している。だが。

 だが──明らかに、違う。

 意思が。今まであった理性らしきものが、欠片も無い。アレは、アレなるは化け物だ。化け物に新たな化け物がぶつかっているだけで、こちらの味方をしているわけではない。

 

「大丈夫です」

 

 早目に処理をするべきだ、とまで考えて。

 四代目のその言葉に、一度思考を止めた。ただ甘いだけの男ではあるまいに、と。

 

「僕は昔、アレを見たという人に会った事があります。その時に……ヨゴシ君の存在も」

「それがなんだ」

「えっ、父ちゃんヨゴシを知ってたのか!? ……って、アレ? ヨゴシとオレってば確か同い年で……なのに父ちゃんと知り合い? うん?」

「彼はその時、時空間忍術を使い、過去に来ていました。同じく時空間忍術を用い、過去の改竄を狙ったムカデという男を始末するために」

「……時間の移動だと? そんなことは兄者にも出来ん!」

「龍脈の力をそのまま使ったそうです。当時、改竄対象となりかけていた国の女王より詳しい話を聞きました。そも、ムカデという砂の抜け忍も龍脈の力を使って過去に飛んでいたとのことで、ヨゴシ君は彼を追って龍脈の力に飛び込んだんだと思います。そして──その時」

 

 化け物は、やはり一切の興味をこちらに向けない。

 ただ、オビトを。滅多打ちにしている。あるいは。

 

「あの化け物は出てきたそうです。龍脈の力と傀儡を掛け合わせ、国一つに値する大きさになったムカデを相手するために、ヨゴシ君があの化け物になった、と。そして見事かの国を救い、化け物は国民に一切の手を出すことなく消え、最後には疲労困憊状態のヨゴシ君が残っていた、と」

「ふむ……本当にそういうことがあったとして、だから今回も大丈夫だ、という理由にはならん。だが、こちらから手出しができない現状であるのも事実だ。あそこに突っ込めば、巻き添えで潰されかねん」

「ん? ん-? アレ、じゃあ父ちゃんとヨゴシは直接会ったってワケじゃないのか?」

「いいや、直接会ったよ。彼はその数年後に国家転覆を企ててね。それを阻止して欲しいという依頼を受けて、僕達が派遣されたんだ」

「国家転覆ぅ!? ……アイツ、やっぱり……」

「とんだおままごとだったけどね。その国のお姫様がヨゴシ君に懐いてしまっていて、でもヨゴシ君は未来に帰りたかった。だから悪役を演じて帰れる手段を整えて、僕達を利用してお姫様との縁を切ったんだ。全てが終わった後、女王様から彼の事を事細かに聞いたよ。悪ぶっているし自分を悪や異物に見せたがるけれど、ちゃんと子供に寄り添える良い子です、って」

 

 だから、大丈夫。

 四代目火影は、波風ミナトはそう言う。

 

 ソレと──ほぼ、同時。

 

 化け物の下から巨大な木が生えてきたではないか。

 

 さしもの化け物もポーンと飛ばされ──空中で、みるみるうちに縮んでいく。その形状にいち早く気付いたうずまきナルトがソレをキャッチすれば。

 

「……っ」

「ヨゴシ!」

「……っはぁ、さんきゅ、ナルト。……なんとか、留まってくれたみたいだ。っとに、世話かけるなぁ」

 

 無傷。だが、確かに疲労しているヨゴシが。

 しかし、うずまきナルトに向けた感謝を除き、誰か見えないものに虚ろな目で喋りかける様子。そこに戦闘継続は不可だと判断できた。ゆえにナルトは彼を戦闘範囲外に逃がそうとし──。

 

「そうは……させん……!」

 

 突如現れた赤い壁に、ギリギリの所で止まる。

 六赤陽陣。火影クラスが四人いて初めて発動できる四赤陽陣の、上位術。それを一人でやってのけたのだ。

 

 そして──中央に育った木から。ラフレシアが如き花が咲き、そこに尾獣玉が集い始める。

 

「はぁ……はぁ……やって、くれたな……」

「随分と弱っているようだ。先の化け物、チャクラの一切を感じなかった。恐らくはそれが原因だろう」

「はい。チャクラを用いないヌル遁という術らしいです。彼はそれを自身の体の一部のように扱い、戦います。ですが……」

「アレを見るに……命を消費する、か」

 

 誰が見ても、弱っていた。

 ヨゴシはもう──。

 

 

「それより、アレをなんとかする方法を考えないと!」

「ははぁ、そうさ。折角人が削りまくってるのに十尾を倒せもしないんだ、だったら掴むしかないだろう、未来を!」

「ん!? ヨゴシ!?」

 

 空中にいたヨゴシが……どろりと溶けて行く。

 代わりにミナトの隣に現れたヨゴシがニヤりと笑って、言う。

 

「四代目火影! ナルト! お前らのチャクラの防御を頼まァ! んで、俺は──新技っつか、組み合わせ技をば!」

「や──やぁ、ヨゴシ君。いや、傭兵ヨゴシ。久しぶりだね」

「意地でテンション上げてんだ、気の抜けるよーなこというんじゃないよ。ヌル遁・脳朽知由の術!」

 

 ヨゴシの指から飛び出した細い黒が、ミナトの耳を、頭部を突き刺した──。

 

 

 +++

 

 

「な──何やってんだ、ヨゴシ!」

「やはり……」

「まぁ見ててくれ。その間に、ナルト! チャクラの繋がり準備! 俺には要らないから、サスケとか影たちの分を頼む!」

 

 新技だ。この先使う事など無いだろう新技。

 さぁ、早いトコ済ませるぞ。

 

「ヌル遁・ミニ豪ヌル腕の術……!」

 

 龍脈の力を使い、綺麗に形成していく。

 そして──十尾の力を使い、分裂を……上手く……。

 

 できた!

 

「これは」

「……ちょっと気持ち悪いかもだけど、我慢してくれ!」

「ぁ……え?」

 

 ミナートがいつの間にか閉じていた目を開ける。

 そこには、あるのだろう。

 無数の目、無数の口がついた──腕が。

 

「どう? 動かせそう?」

 

 ダンゾーの腕なんかとは比べ物にならない量の目がひしめくソレ。

 けれど、ミナートはそこを指摘することなくグーパーグーパーグーチョキパーを何度か繰り返し、印も何度か結んで──頷いた。

 

「ああ! これは、完璧だ!」

「……チャクラを通さぬ性質のソレが、どうやって……」

「説明は後! 今はやることあるでしょ!」

「おう! 父ちゃん!」

「……ああ。いけるよ!」

 

 ソレが、放たれる。

 十尾の木より生まれ出でし尾獣玉。六赤陽陣によって囲まれたそこに、超巨大エネルギーが──。

 

「ヌル遁・堆鳬哩──いいだろ、一個くらい!」

 

 全員がその場から消える前に。

 そんな声を、聴いた。

 

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