NURUTO 作:ONE DICE TWENTY
ナルートとミナートの合わせ技、チャクラの共有者同士による飛雷神の術は、十尾の尾獣玉
勿論の話だけど、俺はナルートのチャクラ貰って無いから飛べない。貰わなかったんだしな。
そう、取り残され、オビートも殻に籠り、マダーラも柱間ァとの戦いに集中した──つまり、誰も見ていない状態を作り上げ、俺がやったことは三つ。一つは尾獣玉を食べる事だ。マダーラと話しているときには「あの大きさは無理」とか言ったけど、隕石食えてアレ食えないとかナイナイ。あの時に無理だったのは大きさじゃなくて距離と時間。なんで、今回も時間こそなかったけど距離は十分近かったんで、ぺろりと一つ頂いた。
そんでもって二つ目。
「っと、と」
「──なに?」
「あー、やっぱチャクラ吸着できないと丸いのは乗りづらいな」
ヌル遁・ヌルノオで装甲強化をした上で殻に閉じこもってるオビートに接近、求道玉の上に乗っかって、【緑色の眩いぬるぬるしたもの】を垂らしていた。ワンチャンゲレルの石の力とか魍魎の力も危ない可能性があったんで、力を込めて包み込むのではなく垂らして覆う感じ。
もわーぁんと猫のバスの入口みたいな感じで開いていくその黒い玉に、(俺視点)緑の液体がかかる。びっくりしたんじゃないかな。開いたらなんか垂れてきて、よく見たら生物っぽいとか。
「俺を食う気か……!」
「食えたらラッキーってね」
「だが──早まったな」
突然黒い玉が
げ、これは、俺が二代目水影と二代目土影相手にやった一転地変。求道玉一個消費してまで俺を閉じ込める気か!?
「食らえ!」
「──ッ」
が、ギリギリの所。本当に閉じきるギリギリの所で、親子の仙法・大玉螺旋丸が飛んできてくれた。
その防御に手一杯になったのだろう、俺はリリースされる。
あ、あびねぇ……。
やっぱ作戦外の事をやろうとするとすぐ引っかかるな。
……俺の体も、そろそろ、だけど。
「すまん、助かった!」
「腕を作ってもらった分は働くよ!」
「ヨゴシ、無理すんなってばよ!」
あったけぇ親子。
あ、ちなみに扉間ァ! が気にしてた、チャクラ通さない性質の癖に印が結べるあの腕は、龍脈の力がたんまり入っている。飽和状態にある、といえばいいかな。薄膜の見てくれが【緑色の眩いぬるぬるしたもの】なだけで、中身と表皮は龍脈の力だ。その上で脳朽知由の術で脳内に無理矢理接続(寄生)して動かしてる。穢土転生相手じゃなかったらとっくに廃人なんじゃない?
さて──んで、三つ目だ。
「……予定より早いが」
言葉と共に、オビートの体から十尾が出てくる。元の体より小さいものに封印された奴が出てくるときってホントにそうはならんやろって感じで出てくるよね。
そんでもって十尾はゴキゴキョギコギキョと形態を変えていき、蕾の形へ。
さらにさらに、ものっそい音を立てて高く高くへとその背丈を増す──そう、神樹のカタチだ。
「んじゃ、やることやりますか! ヌル遁・ヌル陣壁!!」
俺が誰にみつからないトコでやっていた、三つ目の事。
これもアドリブだ。いのーちに言われた作戦行動外のこと。だから上手く行くかはわからない。また余計な被害を生み出すかもしれない。
知らんせんよ、もう。
他に部隊がいない背水の陣って奴だ。あるいはナルート達が。
まぁ、いい。いいのさ。
さて――地より噴き出すは【緑色の眩いぬるぬるしたもの】。ただ、その量は今までの比ではない。
なんせオビートの六赤陽陣の内側にぴったり沿うように配置したからな。尾獣二体が暴れても大丈夫なレベルの広さを囲う、大円陣だ。
その規模のヌル陣壁を一斉に立ち上げ、六角形の壁を作る。そうさな、ある種。
「──ヌル遁・蛭乃陽陣……とかどうだ」
高く生えた神樹から根が飛び出る。チャクラあるものを狙う、その回収をする神樹の根。だが、どうしたことだろう。その手の先に、人間はいない。あるのはただ、ニタニタと笑う化け物だけ。
「これは……!」
「二代目火影! 二人を外へ!!」
「いいだろう」
そして、原作のようにナルートが捕まってしまう、その前に声をかける。
神樹の性質もわかっていない状態でのソレに、けれど俺が結界を張った、という重大さから何かを感づいたのだろう。今度は説明を求められることなく従ってくれた。
「じっとしている方が……楽だろうに。余計な事をするものだ……」
「ん-、まぁその通りだよ。じっとして何もしないで、ただ見届けるだけだったほうが楽だった。だって知ってる通りにコトが運ぶんだもん。でもさぁ」
これだけ大量の【緑色の眩いぬるぬるしたもの】を排出したところで、俺にスタミナ等の疲弊はない。当然だ。それがヌル遁のチート能力たる所以でもあるのだし。
神樹の根は【緑色の眩いぬるぬるしたもの】からチャクラを吸い取れない。奪えない。これも当然だ。【緑色の眩いぬるぬるしたもの】は外来のもの。神樹から受け取ったチャクラで造られてはいない。
つまり完全なんだ。この神樹に対しては、【緑色の眩いぬるぬるしたもの】がメタ過ぎる。
塗流槍を出して、オビートに突きつけて笑う。
「約束だけは、破っちゃダメだろ? ヒトとしてさ」
「……ヒトか」
「そそ。んでこれ、チャクラ吸えなきゃ開花に時間がかかる、だっけ? 安心しなよ。その前に食べてやるからさ」
「凡そヒトの発言とは思えんな……」
これは時間稼ぎだ。
被害を減らし、生存を増やし、消費を減らし作戦を増やし。
そしてここで、賭けをもう一つ!
「だがこれでわかった。お前は忍ではなく、神樹のチャクラによって狂わされた存在でもない。憎しみの連鎖の最中にあるわけでも、憎しみを心に宿すわけでもない。お前は、完全なる──異物だ」
「なら殺してもいいってか。そりゃそうだ。お前らにとっちゃ邪魔なんてもんじゃないだろうしな。お前にとっても、お前の中の奴にとっても!」
「お喋りは終わりだ……」
「いーね、戦おうか。雑談しながら!」
今ここに、互いに決定打のない不毛な戦いの火蓋が切って落とされた!
***
「アレは……なんだ」
「なんなんだよ、あの化け物は……さっきから……!」
「気持ち悪い……!」
遠くの方で戦う千手柱間、うちはマダラと違い、こちらの戦場はざわめきこそあれど静かなものだった。轟音の一つもない。地を揺らす振動の一つもない。
ただ──目の前に立ち昇る"大黒壁"が、この場にいる全ての忍の目に映っているだけ。
幸運なことに、それを見て正気を失う者はもういなかった。過去に経験済みであるか、十尾というある種の"それ以上"を見ているためだろう。ただただ、動揺が広がるばかり。
「……二代目のおっさん。オレを、中に戻してくれってばよ」
「それはできん。ヨゴシといったか。奴がお前らを外に出せと言ったからには、相応の理由があるとみていいだろう。奴を信用する理由は欠片たりとも無いが、同時に奴を信頼しない理由もない。ここまでの戦いで奴の攻撃が十尾や十尾の人柱力に有効であることは証明済みだ。奴自身の技量の少なさはともかくとして、奴の作り上げたこの結界が十尾のなんらかの攻撃を防いでいる事は間違いないと言えるだろう」
「そんなこと、聞いてねぇってば」
「奴がお前たちを逃がせと言った。それがお前たちを思ってのことなのか、戦術的に見てか、それとも自身のためなのか。それすらも判断つかん。奴についてはお前たちの方が詳しいだろう。だが、こと術というものについては儂の方が詳しい! 詳しい事はわからんが、アレは中の物を守るためでなく、中の物を外に出さないための結界だ。そういう方向性というものは術に出る! お前たちは守られているのだ、それを自覚しろ!」
「だから、そんなこと聞いてねぇんだよ!!」
伝播する。心伝身の術を使ったというわけでもないのに──否、そう。
神樹に吸われなかったことで、そして多くの生存者がいることで、まだ厚く保っている九尾のチャクラが、彼の気持ちを伝播している。
それは──怒りだった。
「アイツだけ、まるで自分は含まれてねぇ、みたいに言ってるのが……気に入らねえ。オレの事友達だって、嬉しいって言ったくせに、全部なかったことにしようとしてるのが──気に入らねえだけだ」
「……そうか。だが、」
「だから!」
うずまきナルトが、炎を纏う。
炎のようなチャクラだ。九尾の、そして仙人の。十字に刻まれた目が怒りに震えている。
「お前も仲間だって、ぶん殴ってでも思い出させてやる!」
「……そうだね。二代目様。申し訳ありません。僕も同じ気持ちなので──僕が連れて行きます」
「ちょい待ち!」
決意を秘めた。決意を固めた。
そんな親子に、思わぬところから声がかかる。二代目火影・扉間……ではなく、初代火影・柱間。その木分身だ。
「今……マダラから情報を得た。確か、連合の本部があるのだったな。こちらから意思を飛ばせる者は?」
「はい、私が!」
「よし! ではこれより、神樹の情報を伝える。それを全員に伝播すると共に、策を講じるよう伝えてくれ!」
場が、慌ただしく動き始める。
うずまきナルトの怒りに感化されたか──あるいは、何か感じるものでもあったのか。
見た目が化け物でも。怖気の走る何かでも。悪臭振り撒く外来種でも。
だって、
そんなことがわからない者はいない。
皆、彼なんかより、ずっと──。
***
「いやー、参った。参ったね、クォレハ」
「不毛な戦いだ……」
「ごもっとも!」
蛭乃陽陣の中。
神樹とオビートvs俺……なんだけど、マジ不毛。
オビートの攻撃は特殊なだけで特別貫通力や威力に優れるってワケじゃない。人体に簡単に穴を開けるし穢土転生を蘇らせないし、みたいな「とくしゅタイプ」なだけだ。キサーメのような単純威力やマダーラのような知略に優れる、とかではない。だから俺に対し決定打がない。いつぞやの木ノ葉崩しの時と同じく、俺をぶっ飛ばすだけに終わる。樹海が広がってんのも似てるな。
対する俺もなーんにもない。攻撃は全部写輪眼で避けられるし、奇抜なコトやっても全部写輪眼に見極められて意味がなくなる。いや写輪眼強すぎな。
避けてくれているあたり【緑色の眩いぬるぬるしたもの】の貫通力とかは通るっぽいんだけど、当たんなきゃ意味がないってマジでそれ。苛伏四怨の術も一回やってみたけど神樹の陰に隠れられた。それでいいのか。
だからやっぱり、初めに言った通り、互いに決定打の無い不毛な争いが始まって、互いに決定打の無い不毛な争いが続いているってワケ。
「わかっているんだろう? 十尾が神樹になった以上、時間はかかれど開花はする。お前の言う通り忍共のチャクラを吸えなかった以上計画は大幅に遅延するが、結果は変わらない。ここでお前が時間をかければかけるほど、あるいはあるかもしれない"対処"が難しくなる」
「朝になりゃ月には映らんだろ」
「朝まで続ける気か? それに、次の夜が来れば同じことだ」
「だから安心しなよって。その頃にゃこの木は俺が食い終わってるから」
「……そうか。ならば、少し趣向を変えるとしよう」
シュルルッと音がして、何かが俺の胴に巻き付く。
あ。
あば、あばば。
身体に神樹のツタが。あ、顔にまで。足も、腕も。おいおい全身覆う気か。食べるぞコノヤロー。
「やはりか。お前は能力に対し、お前自身の身体能力や感知能力が低すぎる。お前のチャクラを吸うことはできないが……お前の拘束は容易だ」
「こんなんで拘束したって思ってんの? ヌル遁・豪ヌル腕の術!」
「ならば、それも縛ればいい」
言葉の通り、腕の形に形成した【緑色の眩いぬるぬるしたもの】に神樹から伸びたツタが巻き付く。腕から更に腕を、腕を腕をと増やしていく。そこに更に巻き付くツタ。お前にツタなんかあったっけって思うんだけどまぁあるよな木だし。
俺が排出するより早い勢いで巻き付いていくツタ。おいおいこっちチート能力だぞ。何勝とうとしてんだよ原作がチートに勝つな!!
「もう一つあったな、お前の弱点」
「ばーかばーか、別に腕以外からも出せるもんね!!」
「──お前のソレは、自動攻撃の類じゃない。視界を覆えば──終わりだ」
あっ。そ、それは本当に弱点です。
身体からどんなに【緑色の眩いぬるぬるしたもの】を出しても、どんな凶器の形に形成しても。
見えなかったら、当てれない。見えなかったら、覆えない。
俺の弱点。感知が全然育ってないから目がないとなーんにもわかんない。自分に向かう攻撃なら極楽の匣の恐怖でわかるんだけどねー。
そのまま、身体が覆われて行く。ヌル遁アーマーの上からぐるぐると。
……ま、頃合いではあったから、いいか。抵抗しないでも。
いのーちに言われた布石はちゃんと置いてある。
だから……やることは、やっただろ。被害も、消耗も……少なく……。
「だぁから! お前のやることは、オレ達の隣で一緒に戦うことだってばよ!!」
ぶった斬られる。
蛭乃陽陣も、俺の体に巻き付いていた神樹のツタも、更に俺を覆おうとしていた神樹の根も。
あと俺も。
「ッ──馬鹿! 何しやがる! 治るっつっても痛いんだぞ!?」
「目ェ覚めたかよ、ヨゴシ! というか、アレ、き、斬れてる──!? おいサスケ! ちゃんと外すって言っただろ!? だだだだ大丈夫かヨゴシ!!」
「フン、狙いが少しズレただけだ。謝れというのなら謝ってやる。すまんな。これでいいか?」
「なんでお前はいつもそーやってテキトーに!!」
そこにいたのは、須佐能乎を纏った巨大な九尾。
その額に仲良く二人で入って……へぇ、もう、そこまで行ったんだ。
「って、馬鹿! 結界斬ったら神樹の根が外に……!」
「来るとわかっていれば対処できる! 二代目様!」
「うむ。儂と四代目火影で、危うい状況になった戦場にいる全ての忍を逃がす! 心置きなく突っ込め!」
「さらに、こっちにカツユの回復エリアを用意してある! 使え!」
「火遁・蝦蟇油炎弾! からのォ~?」
「風遁・風火塵……まさか、自来也と肩を並べて術を使う日が来るとはね……」
「そこ二人! ごちゃごちゃ言ってないで手と口を動かせ!」
次々と、という言葉がよく似合う光景だった。
ようやく吸えるとばかりに動き出した神樹の根は、けれど柱間ァとミナートによる飛雷神の術で一人も捉まえる事が出来ない。各地で術をぶつけまくる忍者はカツーユの回復エリアで即座に回復し、その忍たちもお互いの得意分野である性質を高め合って威力を向上させ、それを神樹にぶつけている。
その光景を見て──思った。
アレ、やっぱ俺、要らなかったんじゃん。
「ヨゴシ!」
「ん。なに?」
「時間稼ぎ! ありがとうだってばよ! おかげでこっちの態勢を整えることができたし、情報共有もできた! こっからは──」
「うん、一旦消える、」
「こっからは、オレ達も一緒に戦うってばよ!!」
……。
やっぱ主人公ってかっけぇなぁ。ジャンプだもんなぁ。
いーよ。
んじゃさ。
「──いいか、ナルト、サスケ。俺はもう
「ゴチャゴチャとうるさいぞヨゴシ。お前の言葉は要らない。ただお前は、俺達に力を貸せばいい」
「だぁから、力を貸すんじゃなくて、一緒に戦うんだってばよ! 何回言わせんだサスケ!」
「耳元で叫ぶな……うるさいぞナルト」
「仕方ねぇだろ隣にいるんだから!」
ははぁ。
これはアレだな? 原作破壊者として、転生者として──最もやってはいけないこと、最大の禁忌に踏み込め、ってことだな?
フフーフ、わかった、わかったよ。
「一緒に戦ってくれるんだな?」
「おう!」
「来るなら来い」
「──じゃあ入れてもらおうか!」
そこに。
須佐能乎クラーマの額に──入る。おー、これが九尾チャクラか。クラーマからすんごい拒絶感来てるけど一緒に戦ってくれるんだもんな宿主が言った言葉だもんな取り消すなよ?
二人の間に入る。アツい友情の間に、永遠のライバルの間に入る!
「え」
「ふん」
「そんでもって──ヌル遁アーマー!!」
沸き立つは緑黒。コポポと音を立てて、須佐能乎九尾の鎧の隙間にウネウネぐちょぐちょにゅるにゅるねたねたぬるぬるしたものが入り込んでいく。それは全てを包むもの。それは全てを圧し潰すもの。彼方より来たりし創造物。
そう、これぞ!
「ヌル遁・触手アーマーの術!!」
「気色悪いわァ!」
「不快だ」
ヌル遁アーマーごと吐き出された。
今の声、ナルートじゃなくてクラーマだったな……。