NURUTO 作:ONE DICE TWENTY
ナルートとサスケェ! から追い出されて、それでも一緒に戦う。サポートメインで。
ただ、この状態になってしまった以上、気にしなければいけないことがある。それはマダーラだ。
俺が時間稼ぎをして、それでどうにかする、なら良かったんだけど、ナルート達が来てしまったのなら話は別。どっちかというと原作通りに話が運ぶと考えながら動かなければならない。
先ほどそれとなくオビートに対し黒ゼツの存在を示唆したんだけど、それも意味を成さなかった。ということは、タイムリミットはもう近い。
ナルートとサスケェ! で協力して、そして忍たちで協力してオビートから尾獣を引き抜く段階になったら抜ける。あるいはその前にでも。俺のやるべきはナルート達と一緒に戦うこと、って言ってくれたのは嬉しかったけどさ、それなら尚更、殺したくはないし、死んでほしくもない。
だから、ごめんな。
「あ、おい! どこ行くんだってばよヨゴシ! 気色悪いって言ったのは謝るからさ! 言ったのオレじゃねーけど!」
「また何も成さずに消える気か? 名前の通り、場を汚すだけに終わるとは、やはり何の役にも立たん奴だ」
「そーいう言い方ねーだろってサスケ!!」
二人のイチャイチャを見ていたい気持ちは勿論ある。原作ファンとして。
けど、そうも言ってられないのよね。
無限月読対策はさっきも言った通りしてある。けど、マダーラ対策は出来てない。
必要がある。やりたいことと、やらなければならないこと。できることと、やっちゃいけないこと。
こうなった以上は──仕方ない。
一度、ナルトに苦しい思いをさせるしかない。
「すまんね、ナルト、サスケ。俺は逃げるよ」
「逃げる……って」
「フン、そんなことだろうと思っていた。俺は別に構わない。どこへなりとも消えろ」
「なんだ……ここまで邪魔をしておいて、逃げる……? つい先ほどまでオレを倒すのに必死だったじゃないか……」
「お前はナルトとサスケが倒すよ。あるいはみんなでね。だから、俺は逃げるんだ」
言いながら、地面に沈んでいく。
ごもっともである。先の先まで、ヌル遁・触手アーマー! とか言ってはしゃいでいた奴の言葉じゃない。けど冷静になって考えるとダメなのだ。
二人がここにきて、このモードになっている。ということはもう木ノ葉の皆が、そして忍連合の皆がここにきて、オビートから尾獣を引き抜く未来まで確定したようなもの。何よりそれでオビートが改心する──ナルートとの心の中の話し合いで、"答え"が変わる。そこまではほぼ確約された。
ならば俺がここにいるのはまずい。
そして俺にはもっとやるべきことがある。
「またお前……自分は要らねえ、みたいに……!」
「違うよ、ナルト。俺が必要になるのはもう少し後、ってだけ。俺にも来てるんだよね、本部からの命令。俺は今の今まで山中いのいちと奈良シカクの作戦のもと動いてた、って言ったら、信じてくれる?」
「……もう、どっかに消えたりしないんだな」
「それは約束しないかな」
「なんでっ!!」
「約束破ってヒトじゃないものになるのはごめんだから。できない約束はしない。でも、こっちは約束する。──必ず一緒に戦う。必ず戻ってくる。その後消えるのは俺の勝手だけど、この戦いにおいては、ちゃんと。それだけは約束するから」
その後どうなるか、なんて。
はは。
「……わかった。何か考えがあるんだな」
「そ。んじゃサスケ、ナルトを頼むよ」
「なんで俺がこんな奴を頼まれなければならない」
「ナルト、昔と同じで肝心な時にうすらトンカチだからさ。サスケみたいな冷静な奴がいないと、絶対どっかでやらかすから」
「……いいだろう。早く行け」
消える。
俺は、地面の中へ──。
最後に、オビートから「友情ごっこは終わりか?」という言葉が聞こえた。
ああ、終わりさ。
こっからは、友情・努力・勝利の物語だから。
「せめて……儂の禁術で、魂だけでも……だが……瞬身どころか……身体が動かぬ……せめてチャクラだけでも……」
「ならコレを抜けばいいわけだ」
「!」
時はガッと進む。
ナルートは九尾を抜かれて瀕死。サクーラの懸命な治療とガーラの砂によって今ミナートの所へ運ばれている最中。そしてサスーケは胸を刺し貫かれて瀕死。というかほぼ死んでるみたいなもん。
それらを行ったマダーラは既に六道マダーラ状態。今はオビートから輪廻眼を奪いに行っていて、終わったら完全六道マダーラになることだろう。
ホントはここに来るのは改心したカブートで、サスーケにもインドラ云々の時間が必要なん……だけど、それを待つ必要はない。アシュラとインドラの力が本当に必要になるのはカグーヤ相手の話だ。俺はカグーヤを復活させる気がサラサラないので、マダーラを最終目標にしていいと思う。
だから、このタイミングで現れた。
「よいしょ」
「待て、この棒に触れるのは……」
「大丈夫大丈夫。俺にチャクラの性質変化とか効果ないから」
扉間ァ! に刺さっている求道玉の形態変化であろう棒を抜く。咀嚼もする。
ぶっちゃけ扉間ァ! は復活したサスケェ! によって助けられるんだけど、上述の通りそれを待っている時間は無い。何より──最高の瞬間が、この先にあるからな。
ちなみに潜伏している間ずっと本部と作戦練ったりしてた。布石の件、失敗した時のリスク、その回避方法とリカバリ、あっちでできること、こっちでできること。ジラーヤや五影たちは今トビ()の相手で忙しいからその会議には参加できなかったけど、それなりに有用な作戦が得られた。ブレインってありがてーわ。
「ヨゴシ、と言ったな。何故このタイミングで出てきた? そも、どこへ行っていたのだ」
「この戦場に、色んな施しをね」
「……いや、もう聞くまい。それより、今から己生転生を行う。少し離れていろ」
「ああ、それは必要ないよ。サスケを助ける人は他にいるから。……ね? カブト」
「……初めて会った時にも、思ったことだけど。君は酷く薄気味悪いね。まるで僕たちの事の、その全てを知っているかのようだ」
煙の中。出てきたのは、半分くらいヘビになったカブート。お前に薄気味悪い言われたかねーわ。
けど、彼の医療忍術は他人の追随を許さない。加えてもうすぐ駆け付けるカリーンがいれば、延命措置くらいは容易だ。どうせ復活するとはいえ、だけど。
いつだか述べたように、このNARUTO世界は此岸がはっきりとした場所として存在するっぽいからな。多分延命措置がなくても復活するとは思うんだけど、一応ね。
「任せられるよね」
「そのために来たんだよ」
「おっけー。んじゃ、二代目。俺と一緒に四代目のトコ行こう。そこに瀕死のナルトとオビト、そしてマダラがいる」
「待て。あの棒を抜けるというのなら、兄者のも抜いてはくれないか? 弱りきっているとはいえ兄者は確実な戦力になる」
「それは……そやね」
この地の地面。
──そのほとんどに溜まっている【緑色の眩いぬるぬるしたもの】に干渉し、柱間ァ! から棒を抜く。感知は出来なくても場所覚えてりゃどーにかなるもんでして。
確か柱間ァ! の復活はカグーヤが出てきた直後、マダーラがチャクラコントロールできなくなってから、とかいう盤面だったはず。パワーバランスブレイカーだからだろうな。あと柱間ァ! がいるとナルートとサスケェ! がマダーラと戦えないから、という措置なんだろうけど、今は関係ない。
数秒立たずに現れる柱間ァ! 速過ぎだろ。
「感謝するぞ、ヨゴシなる者!」
「え、俺が抜いたのわかってんだ」
「まー身体に変なものが纏わりついてきた時はちょい引いたが、お主が術を使う所や皆を助けるところは散々見ている。わかるとも」
「兄者、無駄話はそこまでにしておけ。マダラの居場所は此奴が掴んでいる。今、チャクラを練り終わった。全員で飛ぶぞ」
「よし! ……と、待て! そこにいるのは……」
「ご安心ください、初代火影様。彼は僕が責任をもって治します。ですので、どうかうちはマダラに注力を」
ナイスアシストすぎるよカブート。まぁウォロチマールとかいう厄種とずーっと一緒にいたんだもんね。話をややこしくするのが好きすぎる奴との付き合いは一日の長があるか。
「……わかった。では行こうぞ!」
「飛ぶぞ」
飛ぶ。
ちなみに、初飛雷神である。
一瞬の胃の浮くような感覚。ジェットコースターの最頂点から降りる直前のアレ。ソレが俺の体を襲ったかと思えば──次の瞬間、景色は一変していた。
俺の上げた腕ではない方の腕を失ったミナート。瀕死のガーラ、カカーシ。
そして、半身が黒くなったオビート。けれど、その手には六道仙人の錫杖が。
対するマダーラはまだ、片目を閉じたまま。
「……何? 柱間に、扉間だと?」
「マダラ! もうよさぬか!」
「ナルトはどこだ」
「どうやって杭を……」
今ナチュラルに無視されなかった? どうやって杭をって俺しかいねーだろーがよ。
「ナルトなら今、医療忍者のサクラと共に異空間に飛ばしています。そこで治療を。加え、同じ空間にオビトが飛ぶことで、ナルトの一命を取り留めるつもりです」
「成程……だが、それをマダラに邪魔されている、という認識で合っているか?」
「はい。奴には忍術という忍術が効かず、あの黒い玉に触れるのもダメとなると、防戦一方で……」
「だが、仙術は効く。そうだな? 兄者!」
「応!」
柱間ァ! が飛んでいく。
マダラに挑むのだろう。が、その足を【緑色の眩いぬるぬるしたもの】で掴み、引き戻す。
「何をしている! 今は遊んでいる暇など無い!」
「アンタはバックアップなのよ。──最初にアレとやるのは、俺。カカシ、ここにガイ班も向かってる。マダラなんて強敵相手じゃ八門まで開きかねないだろ? ちゃんと親友止めときなよ」
「ヨゴシ……お前」
「んでもって、俺が相手してるんだ。オビトもカカシも、ナルトの事は頼んだよ」
なんて言って──マダーラの方を向く。
無視されてはいるけど、そうも言ってられなくなるようにしてやるさ。
「まさかとは思うが、お前が相手をする、などと言わないだろうな」
「アレ、無視されてると思ってた」
「何もしてこないのならば何をする気も無かったが、こうも邪魔をされてはな。いくらジャリが増えたところで興味はないと思っていたが……柱間、扉間の杭を抜いたのはお前だな?」
「うん。んで、食べたよ」
「……成程。ならばオレをも食うか?」
「そのつもりで来た」
マダーラは、にんまりと笑う。
さて。
カグヤを復活させる気のない俺の、最後の見せ場、って奴かねぇ、ここが。
駆け出す。
「いいだろう、この世界の完全なる異物よ。オレが相手をしてやる。全力で来い!」
「勿論! ハナから全力で行くよ──解法!」
胸に親指を突き立てて、それを引きずり出す。
後先はもう考えない! すべての布石は仕込んだ。もし、たとえこの戦いの後、俺が俺でなくなったとしても──俺はそれを、後悔しない!
だから約束したんだ。
約束を破ることになるからな。俺が約束を守るのは、ヒトでありたいから。ならば、破るとわかっている約束をするのは。
「
化け物になると、そう決めた時だけだ。
+++
ああ──そこにいる、誰もが見る。誰もがその姿に目を奪われる。
一匹のケモノがいた。かつてあった無数の手足は存在しない。ただ小さな四肢がある。かつてあった無数の眼球は存在しない。ただ目が二つある。かつてあった無数の口腔は存在しない。ただ一つの大きな口がある。
それは、美しい色をしていた。玉虫色──月明りによって色味が変化し続ける、美しい身体をしていた。その奥に潜む漆黒は今にも呑まれてしまいそうな光沢があり、その身に己が映らないことに疑問を覚える者もいたのかもしれない。
悪臭は広がらない。狂気は広がらない。
ただ、その美麗なる肢体に──魅了される。
「……ああ、そうか」
「それが、お前本来の姿か? なんだ……どんな醜悪な化け物が現れるかと思えば」
「それを選んだんだね」
瞬間、うちはマダラの体は遥か後方に吹っ飛んでいた。その腹には大穴。咄嗟に出したはずの錫杖は中間から折れ、意味を成していない。
また直後、うちはマダラは上方へと吹き飛ばされる。その身体は人体ではありえない方向に曲がっていて、確実に何かの折れた音がした。
その次、また次と、いつの間にかマダラが別方向に飛んでいて、身体になんらかの傷を負っている。
圧倒。その一言に尽きた。
今の今まで手も足も出なかった、マダラの足元にさえ及ばなかった彼に何があれば、この力量差をひっくり返せるだろう。
そも。
あの生物は──何なのだろう。
「く……なんだ、その速さは。なんだ、その強さは」
「やっと獲得した」
マダラが地面に叩き落される。
その上に、玉虫色の生物が落ちる。ティキリリティキリリと奇妙な声を上げて。
どこかカツユに、あるいは六尾にも似たぬらりとした体表は、けれどそうではないのだと直感する。
マダラの上で。
口が、大きく開く。びしりと口周りに生え揃った微細な歯。その奥に広がる深淵。
アレは、巨大な──ヒルだ。
「ただ、心に。怒りがある」
「ぐ──が、ぁ……っ!」
「別に、君のままで、よかったのに」
ヒルが怪鳥のような鳴き声を上げる。メキメキと肉体の潰れる音が響く。重いのだろう。苦しいのだろう。マダラの顔が苦悶に染まり、求道玉や折れた錫杖を用いて体の上の生物を退かそうとするも、意味がない。
その身体に傷はついていかない。その身体を貫く事も出来ない。その身体は破れる事を知らない。
「ようやく、違うものになれたのに」
「くそ……理性無き化け物に、食い殺されるのは……心外、だ……!」
叫ぶ。叫ぶ。化け物は叫ぶ。
歌うように。拒絶するように。喚くように。
その口を。深淵を。
マダラを──。
「チ──こんなジャリに使う予定は無かったが──神羅天征!」
「願わくは、ただ君と」
「っ……重すぎるか! ならばこれなら、」
食べた。
「言葉を交わしてみたかった!」
+++
「──終わった……のか?」
カカシが呟く。
オビトやナルトが帰ってくる前に、うちはマダラはその身を食われた。求道玉の一つも残すことなく、この世に欠片の一つも残すことなく。
それを食らった美しきヒルは、一度だけカカシたちの方を見る。
しかしまた別の方向を見て……地面へと潜り、消えて行ってしまった。
残されたのは、戦いの終わりが何なのかを判別できない者達だけ。
戦いは。
当然、まだ終わっていない。
轟音と共に、地面が爆ぜる。浮かび上がるのはうちはマダラ。
「噛み千切られなかったのが幸いか、あるいは元より消化する気さえないか……どちらでもいいが、オレの意識を断たなかった事は失敗だな」
そして、その背後には──数多の求道玉によって捕らえられた、美しきヒル。その腹には大穴が開いている。
「こいつは決して無敵ではない。威力の高い攻撃をすればこんなものよ……」
「ヌル遁・堕暗の術」
「なに!?」
その捕らえられたヒルから、美しき触手が生え伸びる。
それは瞬く間にマダラを捉え、縛り、地面へと叩きつけた。更にはそこへ、礫となった玉虫色が降り注ぐ。
怒涛。滝のような攻撃地点よりぬるりと抜け出すマダラ。空を飛び、背後を見れば──追い縋らんと伸びてくる触手。
マダラは折れた錫杖でそれを防ごうとして、しかし直前で回避に切り替える。
「がっ……」
その背を貫く触手。避けようが関係はない。触手の軌道は自由自在だ。当たれば必ず破壊され、貫かれ、避ける事もかなわぬ絶対の一撃。
わざわざ槍の形に固定したり、棒や剣の形に固定したりする必要はない。これこそがこの力の最も強い部分だと──誰かに見せつけるように。
「しつこいな……仙法・嵐遁光牙!」
マダラの口からレーザーが飛ぶ。それは触手を易々と切断した。しかし、ばらばらと落ちて行く触手同士が再度繋がり、またもマダラを追う。
「仙法・陰遁雷派!」
今度は枝分かれした無数の雷。
それは本来雷や火に強いはずの触手を簡単に焼き払った。
「ふん、貴様の腹の中で、何が効くのかはわかっている。ゆえ、無駄だということを理解しろ」
「ヌル遁・八重斗六鎖」
「無駄だと言っている!!」
すでに胸の傷も塞がっている。触手が変形することで現れた扇のような口も、マダラは仙術を流した手刀だけで切り払う。
そう、この美しきヒルは、仙術が効くのだ。それをマダラはもう理解していた。
腹から、腕が出る。
「……は?」
「ヌル遁・ヌル分身……糸間意送の術」
声は背後から。マダラの背後に形成されゆくその形は、ヒト。ヒルじゃない。
それは間違いなくヨゴシだった。彼は糸の膨らみからその身を形成し、マダラの腹を貫き、その傷口をこじ開けんとしている。
対しマダラがそれを蹴り飛ばせば、ヨゴシの頭部がぐちゃりと潰れ──しかし、元に戻っていく。蹴った方の足は折れ、ヨゴシにダメージはない。
笑う。マダラが笑う。
「……良いだろう。良いだろう! そこまでするのなら、そこまで
ヨゴシが弾ける。弾けた礫はそれぞれにマダラを襲い、その身を貫き、あるいは残って蝕み、焼かれ、砕かれ、千切られ、破られ、落とされてはくっつき合い──形になる。
鬼灯一族の水化の術でもここまでは行くまい。
それに、仙術が効くと言ってもそれが弱点というわけではない。通用する、というだけだ。
つまり弱点らしい弱点を未だ発見できていない状態での、この苛烈さ。
マダラは疲れたように、呆れたように言う。
「体術も知略も覚悟もチャクラも、全てが人並み、いや並み以下だ! それでも……」
空へと撃ち出された礫が降り注ぐ。防御不可の雨。そしてそれが刺さった部分から、手が、足が、目が、口が生え並ぶ。
「それでも……その能力だけで! 人知を超えている!」
「──解法・無間瞳」
礫の雨は降りやまない。降りやむことを知らない。
マダラの身を壊し尽くすまで──その雨は。
+++
こいつまたマイト・ガイの出番奪ったな