NURUTO   作:ONE DICE TWENTY

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だって男の娘は宝じゃん……!!

 まぁなんやかんやあって波の国についたわけだ。ついたっていうか帰って来たっていうか。

 当然だけど俺の姿は知られている。知られてはいるものの、波の国に住まう子供のことを強く認識している人なんて早々いないし、イナーリみたいな特徴的な服装にしてるわけでもないから名前までは覚えられてないんじゃないかなぁと。

 あとどーみても厄介ごと四人集だから多分声かけてこない。

 

 んじゃこのまま原作通りタズーナの家に行くのかな、とか思ったんだけど、タズーナ連れてないのにタズーナの家に行くワケもなく。

 え、じゃあどうするんだろ、ってなってるのが今の俺。

 

「ヨゴシ、橋工のタズナさん、という方を知らないか?」

「あー」

 

 あーね。

 そう繋がるんだ。じゃあ何、タズーナは波の国出てなかった感じ?

 あるいは出てたけど帰ってたか……あー、まぁ帳尻合わせにはなってるのかなぁ。なんだかそれじゃ縁が弱い気もするけど。

 

「知ってるけど」

「そうか。なら、案内してくれ」

「俺を親元に届けるって話は?」

「だがお前、いないだろう、親」

「ワオ結構踏み込んでくるのね」

 

 というかなんでわかったし。

 ……初めから悟られてたかな? だから親元に届けるまで、なんて護衛期間を設けたのか。いなけりゃ永遠だ。そうしておけば、()()()()()()という名目に大義が付く。さらに言えば今のカカシは原作のように衰弱しておらず、ほぼ万全に近い状態。そもそもタズーナの家で休まなくていいって話。

 アレ、そうなるとチャクラコントロールの修行の件とかどうなんの。なくなんの? それやばくね?

 

「まーいないし、案内するのも吝かではないけど、その前に目的を聞かせてほしいかな。これでも一応波の国の民だからさ、国内にテロリスト引き入れた、なんて汚名を被るのは御免だよ」

「テロリストって……あのなぁヨゴシ! オレ達はちゃんとした依頼で──!」

 

 カカシがナルトを手で制する。が、遅い。

 依頼ね。……ふむ。原作じゃタズーナが橋作りのための護衛を依頼した。そもそもそれ結構な危険任務じゃね? とか、火の国、というか木ノ葉がガトーカンパニーの現状を把握していないとは思えないんだけど、とか、橋を作るまで、となるとかなりの長期任務になるよな、つか忍者の仕事じゃねえじゃん、とか思ってたんだけど……それよりも危険なコト?

 となると……ワンチャン、ガトーカンパニーの排除とか? いやそれかなり依頼料かかりそうだけど。Cランク任務として偽るのにも無理がありそう。

 ……うーん、無い頭で考えられるのはここくらいまでかな。俺頭脳タイプじゃないんだよね。咄嗟の即時判断でやらかすタイプ。

 

「今のナルトの言葉で大体察してくれたようだが、改めて。俺達は橋工のタズナさんに護衛を依頼されここ波の国に来た。橋作りの最中の身の安全を守って欲しいとな。これでいいか?」

「忍者がそうそう任務内容バラしてもいいもんなの?」

「本当はダメだ。だが、話さないと納得してくれないだろう?」

「まぁね」

 

 それに、本当の任務内容じゃないだろうし。

 建前の内容ならいくらでもバラせるわな。

 

「わかった。タズナさんちね。あ、でも案内するのは良いんだけど」

「何か条件が?」

「今日の夕飯だけでいいから、俺も同伴できるよう頼んでもらえない?」

「頼んで、断られたら?」

「そん時はそん時だよ。別に、波の国の人間に親切心なんて期待してないし」

 

 これは本当。

 みんな自分の事でいっぱいいっぱいだ。俺もそう。だから、依頼者ならともかくどこの誰とも知れない子供に大事な食糧を渡す、なんて親切は夢のまた夢。

 ただしタズーナやツナーミがそこそこ良い人なので、ワンチャンあるな、って話。

 

「カカシ。いつまで入口で問答してる気だ。とっとと行くぞ」

「ああ、そうだな」

 

 んじゃ人徳タイムだ。

 あ、ちなみにちゃんとカイザは死んでるよ。だからこんなになってるんだし。救うって選択肢はまー無かったかな。カイザが生きてたら波の国編が発生しない。中忍試験前っていう短い期間で、チャクラコントロールの修行なんかは木ノ葉でもできるかもしんないけど、ザブーザクラスの敵との戦闘経験はここでしか積めないと思ってたから。まぁその機会既に一回奪っちゃったみたいだけど。

 そういう意味で言うと人徳は俺ゼロだろうねー。

 

 

 

 

 

「いや普通に与れるとはこのリハク驚きでさぁ」

「何言ってんだ? ヨゴシ」

「アズカバンってだけだよ」

「?」

 

 人徳がMAX過ぎる。

 そんな裕福でもないだろうに、タズーナは「おお、別に構わんぞ。超食ってけ食ってけ!」と豪快に招き入れてくれた。構えよ。大切な食糧だろうが。

 当然のことながらイナーリは冷たい目を俺に向けている。まぁそうだろう。タズーナを護衛するわけでもなし、マジでただ案内しただけのガキに何の感情があるというのか。冷たい目、と表現したけれど、正確には一切の興味が無い目、の方が正しい。まだナルト達に向ける「無理だ、勝てっこない」という感情の方が色がある。

 

 ん-、しかし。

 どうするかね。

 ナルト達が来た以上、ガトーカンパニーが崩壊するのは必然。ならもうびくびくしなくていいわけで。

 こっからまだ修行パートがあるだろうし、俺は俺でちょっと暗躍してみるか?

 ヌル遁がザブーザにも効くとわかった上、なんぞ変な効果がついてるのもわかっちゃったし。早いトコ全体にあんまり影響しない奴で試したいところ。その点ガトー配下のチンピーラは都合がいい。湧いて出るし、結構タフだし。

 

「おお坊主。なんなら今日は泊っていくか? 今から家に帰るのは危ないじゃろ」

「いいんですか? すみません、お世話になるのは四人だけ、と伝えていたにもかかわらず……」 

 

 げ。親切心め、余計な計らいを。

 つか帰る家なんて無いのだよ。俺の住処は【緑色の眩いぬるぬるしたもの】で掘った穴蔵なんだから。

 

 ……いや待て。

 そうだ、カカシが万全の状態なんだぞ。そんでもって俺を疑ってるんだ。俺が暗躍なんてしようものなら後ろからザクゥ! もあり得る。ザシュゥ! かもしれない。どっちでもいいよ。

 なら初めから一緒にいた方が得策じゃないか? どうせナルト達の修行の際には監視の目が離れる。その間に抜け出せばいい話だ。んな危ない橋を渡るべき時じゃあない。

 

「ヨゴシもそれでいいな?」

「いい」

「それじゃ、お願いします」

「おう!」

 

 

 

 なんてことがあっての、夜。

 ナルトもサスケェもサクラも寝静まった真夜中。同窓会。

 

 寝ている俺の元に近づく影が一つ。

 それはどうみても子供のように──掛け布団をめちゃくちゃにして、クソ程寝相悪く身体を大の字にして鼻提灯を浮かべている──眠っている俺に対し。

 

 強襲を仕掛けてきた。

 

「……ま、流石に考えすぎか」

 

 それだけ呟いて帰っていく影。つかもういうけどカカシ。

 

 いや。

 こええええええ。

 忍者こえええええ。

 ホントに寸止めだったぞ文字通り一寸無いレベルで首に苦無を押し付けてきやがったぞ! だが馬鹿め、俺がそんなのに反応できるわけないだろう! 演技で起きなかったとかじゃない、反応できなかっただけだ! 最悪【緑色の眩いぬるぬるしたもの】を出せばいいし、あれには治癒効果がある。その油断で一切動けなかっただけだが見事に騙されたなぁ!

 

 あっぶねー。

 これマジで夜抜け出して暗躍ー、とかアホなことしてたら死んでただろ。

 今は昼行灯だけど、流石は戦争経験者というかなんというか。つか多分俺カカシの言う仲間って奴に入ってないんだろうなぁ。当然か。

 

 いや、いや。

 なんつーか……。ちょっと舐めてたわ、忍者。上方修正上方修正。相手は切った張ったの殺し合い常習犯なんだ、ここでカカシが止まってくれたことに感謝だな。

 

 ……でもさ、もしここで俺が応戦してたら……どうなってたんだろうね?

 

 

 

 

 朝。

 まさかの朝食までもらって、ようやく解放された。

 ナルトは「ヨゴシ、またな!」なんて気楽で元気な挨拶を、サクラは「ホントに大丈夫?」なんて心配を。サスケェは完全に興味を失った、という目を向けてきている。これは……昨夜の事を認知してたのかな? それで俺を警戒対象から外した的な。

 

 ふむ。

 なーにがふむだ。なーんもわかんねーよ。

 

 とまぁそんな感じでほっぽり出されてさぁ波の国。

 元の穴蔵周辺に戻って来れば、藁座の上に座る子供が俺を見てサッと目を逸らしたり、近所の八百屋の兄ちゃんが「帰って来たのか……」と嫌そうな顔をしていたり。

 なんでこんな嫌われてるかって、この街区にチンピラが増えた理由だからです。あの事件以来ね。

 ガトーカンパニーに犯人が割れてなくとも、民草は誰が悪いのかわかってる。喧嘩売った俺が悪い。あー、もしかしてそっから漏れたのかな、ガトーの配下に喧嘩売った奴が俺だって。

 

 となると……少しやばいかもな。

 誰かが俺を売る可能性があるって話。

 

 こうやってちょっとしゃがんで。

 

「見つけたぞ──緑目のチビ!」

 

 ぶん、と角材が俺の頭のあったところを過ぎる。

 これはね。

 やばです。

 

 やば案件。

 

「ッ、避けた!?」

「一つ聞きたいんだけどさー」

「あァ!?」

 

 足音からしてデブなパワータイプ。武器は角材。周囲に人間はいない。逃げたか。

 大振りで狙いは甘いが、捕まったらイチコロかな。俺がただの子供なら、だけど。

 

 でもそんなことよりやばいのが。

 

「俺の目って緑だったりする?」

「お前しかそんな奴いねぇだろ!」

「いや俺以外にも緑目はいるけど確かに波の国にはいないね!」

 

 いや。

 あのね、そんなわけないだろ、って思うじゃん。

 無いんだよね、孤児には。案外。自分の顔見る機会。鏡なんか無いし、ガラスなんか落ちてないし、海って案外光反射しないし、水溜まり眺める程暇じゃなかったし、【緑色の眩いぬるぬるしたもの】に顔が映ることもないし。

 そっかー。

 俺特徴的なガキじゃん。やば。だから見つかったのか。

 

「この──」

 

 再度振り上げられる角材。

 地面掘って逃げる……は、得策じゃない。ここちゃんと通路だから。普通に窒息させる? うーん、デブごと倒れてきたら面倒だし、回収がなー。

 普通に角材を折るって手段はアリ。ただ折るって行為は結構危険なんだ。どこに飛ぶかわかんないから。

 

 まー、実験もしたいし。

 とりあえず普通に受けて、【緑色の眩いぬるぬるしたもの】で衝撃殺して。

 

「死ね!」

「おお殺していい賞金首なのか」

「──な」

 

 ガン! と……鈍い音が、鳴らない。

 無音。人体の頭蓋を角材でぶっ叩いたというのに、無音。狙いのチビは変わらん様子で話を続けているし、つんのめったり仰け反ったりする様子もない。

 恐怖だろうか。それとも理解のできない事に対するいら立ちだろうか。

 果たして、角材を退けた場所に立っているのは。

 

「──んだ、お前」

「ヌル遁・ヌルり身の術……まぁヌル遁を纏うってだけなんだけど、結構効果的だろ?」

「ッ、クソ!」

 

 薄く、【緑色の眩いぬるぬるしたもの】を全身に張って衝撃を防ぐ術だ。代わり身とか分身術みたいに別のものに成り代わるわけじゃないからこのネーミングは違うんじゃないか、とも思ったんだけど、語感が良いのでコレにした。

 どれだけ薄くとも【緑色の眩いぬるぬるしたもの】は衝撃を吸収しきる。少なくともゴロツキの全力の振り下ろし程度なら簡単に止められる。

 どころか、攻撃してきた武器を折るにまで至る。破壊力あるからね。毎度、意味わからんけど。まぁチート能力だし。

 

 しかし……ふぅむ。

 発狂、しないな?

 

 薄くではあるもののちゃんと【緑色の眩いぬるぬるしたもの】を纏っている。それをコイツは視認している。

 だというのに何ら変わらない様子で俺に怒気を向けてきているあたり、やっぱり精神汚染効果とかないんじゃね、と思ってしまうなぁ。

 

 あるいは、CoCの考え方で行くなら……SANCに成功したか、アイデアに失敗したか。

 ああ、そういう考え方だと少し納得いくな。

 だって忍者って大体過酷な過去背負ってるだろ? ザブーザなんざ言わずもがな。つまり正気度クソ低いんだよ忍者って。その上で頭良いから、発狂しやすいんじゃね? 最初のチンピーラに関しちゃ……あー、まぁ幸運だったんだろう。幸運じゃなかった、とも取れるが。

 となると、あんまりつらい過去経験してないパンピーには効果が薄い、のかもしれん。まだ一人目だからわからんけど。

 

 えー、でも、なら。

 忍者でも実験しないとなぁ。特につらい過去持ってる奴で。

 ……近場に手頃な白い子がいるけれど。

 いや。

 男の娘は宝じゃないか? どうせ死ぬと知っていても、ザブーザと共に在りたいという意思を汚してまで実験対象にするのは……。

 顔がなー。見えて無けりゃ情も湧かないんだけど。だから暗部って面つけてるんでしょ? 顔がわかってる奴と分ってない奴じゃ、天と地ほどの差があるよ。親しみやすさ、って点でね。

 

「あるいは死に際、か」

 

 それが一番大切なのかもしれないけど。

 その先が無いなら使ってもいいんじゃね、とか。

 

「死ね、ガキ!」

「ヌル遁──塗流槍」

 

 今んとこ俺の中で一番殺傷能力の高い術でデブを仕留める。

 倫理観とか期待しないで欲しい。波の国の人間は大体こうだよ。金が無ければ商品盗んで、金が入れば傲慢になって。

 波のように移ろいやすく変わりやすい。それが波の国の人間だ。タズーナが特例なだけ。カイーザは別の国の人間だしね。今しねっつったか? 言ってたな、ゴロツキが。

 

 んじゃま、放出した【緑色の眩いぬるぬるしたもの】を回収して、と。

 騒ぎを、っつか怒号を聞きつけて集まってきたチンピーラに見つからない内に穴籠りしますか。

 

 

 

 

 

 おー、やってるやってる。

 ってのが第一感想。何って、木登りの奴ね。チャクラコントロールの修行。

 俺はもうそこ抜けてるからなー、頑張れ若人、って気持ち。

 

 で、なんでそんなトコに近づいてんだ、って話なんだけど、いや別にナルト達に近づこうとしたわけじゃあない。

 森の中にあるガトーの拠点を探してるだけだ。ザブーザと白い子がいるとこでもある。

 なんつーの、ザブーザが発狂していたとして、その経過観察をしたかったのだ。流石に白い子に看病されてたら解けてるかもしんないけど、そういうサンプルは必要だからさ。

 

 が。

 

「ヨゴシ」

「げ、いたのか」

「そこで何をしているんだ?」

 

 計算外。

 サクラが早々に終わって、ナルトとサスケェ! だけが居残り修行してんのかと思ったら……カカシいるでやんの。

 タズーナの護衛は良いのかよ。それが目的なんじゃないのかよ。

 

「別に、アンタらが目的じゃないよ」

「ほう? じゃあ何が目的でこんな森の奥にまで来たんだ」

「薬草摘み。ほら」

 

 今度は食料みたいな嘘がバレないようポーチいっぱいに薬草を詰め込んできた。いや、邂逅する予定は無かったんだけど、どっちかっていうと白い子に取り入る用のなんだけど、役には立ったな。

 

「ほーう」

「薬草なんか摘んで何になるんだ、って思ってる?」

「いいや、波の国は貧困に喘いでいる。それを売り物にする、というのはなんらおかしなことではないさ」

「うわ用意してた答え言うのやめてくんない?」

「自分から別の答えがあるとバラすのはいいのか?」

「言わなきゃこの問答一生続くじゃん」

「よくわかってるじゃないか」

 

 あー。

 さて、はて。ここをどう切り抜けるかの問題です。

 

「アレ、忍者の修行?」

 

 指差すは、木を駆け登る二人の姿。

 足裏にチャクラを溜めて木と足を吸着させるヤーツ。基本のキ、基礎中の基礎。精密なチャクラコントロールの必要な医療忍者を目指すサクラができるのは当然だけど、荒れ狂う尾獣チャクラ……に影響されたチャクラを持つナルトには結構な課題だ。サスケェ! が下手なのはちょっとよくわからん。うちは一族はチャクラコントロール上手いと思うんだけど。まだ思春期だからなのかな。

 

「そうだ。お前もできるだろう?」

「できなかったら穴掘って抜け忍から逃げたりできないよ」

「だろうな」

 

 あん時チャクラなんて一切使ってないけど。

 

 しかし、ここまで明け透けに話しておいてなんだけど……特に何をしてくる、ということもないんだな。もうちょっと詰問してくるんじゃないか、とか予測してたのがパァだ。

 

「昨晩、反撃してこなかっただろ?」

「する余裕が無かっただけだけど」

「そもそもの話、お前からは俺達への害意が欠片も感じられない。アイツらに向けては守護の意思さえ感じられるくらいだ。そんな奴をもう疑ったりしないよ」

「そんなんでいいの、忍者」

 

 まぁ、いいんだろう。

 オビートの……壊れてない頃のオビートの意思を継いだ、仲間に対する信念のあるカカシにとって、自分の仲間を守らんとする奴に向ける敵意は無いんだろうさ。

 俺がサクラとサスケェ! を守ろうとしたのは再生力が無いからだけどね。ナルトは治るだろって気持ちが強かったし。後普通にこの時期のナルト達が相手するには強すぎるんだよなザブーザと白い子。

 

「そろそろ俺は行くけど、なんか頼み事とかある?」

「少しで良い。タズナさんを気に掛けてやってくれ」

「……了解」

 

 少し、ね。

 まぁ一宿一飯の恩は忘れないよ。

 それは単純に、人間として。

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