NURUTO 作:ONE DICE TWENTY
まー儲からん儲からん。
身体能力のすごさ、っていうのは初見の、且つ世間知らずには刺さるみたいだけど、忍ってもんが実際にいる世界で、当然忍崩れやらなにやらもいる世界で、子供の、それも大した忍術も覚えてないような基礎体術オンリーのガキの芸なんぞに金払ってくれる優しい人はほとんどいなかった。
さもありなん。NARUTO世界で親切心持ってるのなんて木ノ葉の里くらいだよね。火の国内でさえこうなんだから。
で、まぁちーっとばかしは稼げたのだ。ちーっとだけね。
それで、ちょっと遊んだ。幸いだったのはパチスロに年齢制限もクソもなかったとこ。思い込みで入れないって思ってたけど、健全のケの字もない歓楽街では金さえ払えりゃ年齢はどーだっていいらしい。まぁそうだわな。
んで、ここぞとばかりに視力をチャクラで強化して目押し目押し目押し。そっからぼろ儲け……とはならない。
知ってたっちゃ知ってたけど、ほとんどの台が二列目まで目押しできて三列目は合わない、みたいなのばっかだった。目押しで合わせても最後でズレる。台側がズラしている。ボロ儲け、ってのをさせないためにね。
スロはこれで、パチの方へ行ったらパチの方がまぁ酷い。当たる台には常連連中が一生居座っているし、新規客が選びそうな小奇麗な台はいくら継ぎ込んでも出やしない。余程暇なのか常連連中は本当に一日中入り浸ってて退く気配がない。
こりゃダメだ、と。
んじゃ趣を変えて丁半でもやるかーっつってちょいと奥まったとこにある怪しげな店に足を踏み入れたら、今度は流石にガキはダメだ、帰れ、となる。まぁ面と向かってやるのと施設とでは色々違いがあるんだろう。
んだばもうしゃーねぇ、更に奥行ってちょっと開発の遅れた煙草燻らせた雀荘とかどうだべさ、って行って。
うん、頭悪い奴が行く場所じゃなかったね。
麻雀は運ゲー(運ゲーになる部分を極力頭脳で排除するゲーム)だったね。あと俺運も悪いからもう何もできないね。
そんな感じでスッカラカンになって、もう面倒になって今この町の観光スポットであるお城の天守閣の上にいる。屋根上で寝っ転がって、ラノベ主人公みたいに足組んで腕枕して空を眺めている。
アレだ。
賭け事、いくない。
「ほう……これは、これは。こーんな高い所で子供に会うとはのぅ。どした、坊主。降りられなくなったか?」
「……わお」
そんな自戒をしていた俺の視界に、カエルみたいな仙人みたいな顔が入り込んできた。
ジラーヤだ。ジラーチみたい。
「爺さんこそ、なんでこんな場所に? ここは俺の特等席なんだけど」
「自分で来たのか? はっはっは、そりゃすまん! 昼寝の邪魔をしたか?」
「こんな高いトコで寝ないよ。俺寝相悪いから百パー転げ落ちるし」
「なら、もしや空を見ていただけか?」
「そうだけど。そういう爺さんは?」
「ワシは高い所からこの街を見に来ただけだ。……その上で、イイ店があったら直行する予定だったんだが……」
「風俗かー。まぁ俺ももうちょい成長したら、とは思うけど、普通に歩いてる人でも結構目の保養になるし、わざわざ高い金払っていくこともない気がするけどなぁ」
特にNARUTO世界は、その……薄着が多いので。
少年誌にしては、というか、この時代の少年誌だから、お色気が結構多い。ワンピも鰤もそうだったじゃん。まぁ時代に淘汰されてどんどんそういうの無くなってってるけどさ。もっと昔はお色気というかモロダシまであったわけだけど。
俺だって一健全な男子である。ロリコンじゃないから今の木ノ葉の忍には何にも思わないけど、成長した後なら普通に好きと言えるだろう。そこは胸を張る。あ、勿論中身がどうであってもツナーデも良いと思うよボクはねうん。
「なんじゃ、マセた子供だのぅ。お前、名は?」
「ヨゴシ。爺さんは自来也だね。木ノ葉の伝説の三忍が一人」
「ほう」
警戒。まぁ、そうだろう。歓楽街にいるただのガキが何を、と。
けれどそれはすぐに解かれる。
「……そうか、お前がヨゴシか。なるほどのぅ、道理でこんなとこまで登ってこれるワケだ」
「あれ、知ってるの? もしかして俺有名人?」
「それなりにのぅ。なんせ、こないだ指名手配されてたくらいだ」
「うわマジか。やっぱり目撃者消しておくべきだった」
「……」
うわマジか。口を突いて本心出る癖が最悪の場面で。
えーっ、つかマジで指名手配されてんの? 何で?
殺人罪……って、でもアイツあの後凄まじい被害出す奴だぜ? 未然に防いだんだよ~。……なんて事にはならないのも知ってる。殺人罪、ねぇ。まぁさもありなん。忍者世界で命が消える事にどこまで意味があるのやら。
「今じゃ砂と木ノ葉の忍、そして数多の賞金稼ぎがお前の命を狙っておるのぅ」
「まーいいよ。自衛はできるし」
「自信に満ち溢れておるのぅ」
そらチート能力貰ってますからね。
……あ?
あれ? なんでジラーヤがここにいるんだ。日付的にはまだ……じゃ、ない?
やっべ、カレンダー見る習慣ってのが無いの忘れてた。これだから波の国出身は!
「なぁ、自来也の爺さん」
「なんだ」
「口寄せってさ、最初どうやんの? 秘境を自分で見つけんの?」
「口寄せぇ? なんだ坊主、口寄せを覚えたいのか」
「まーね。でも、継承してくれる親とか師匠ってもんがいないからさ、独学で独力で口寄せを新しく習得する、ってなった時、どうすればいいのかなーって」
口寄せ忍具とかも、忍具側に口寄せ契約となる術式を施しておかないといけない。つまり、口寄せ獣もまず秘境に行ってから口寄せ契約を結ばないといけないはずだ。ただし、既に口寄せの巻物を有しているのなら話は別。そこで呼び出しを行ってから、後々本人と、という流れになる。
まぁ俺はそれ有してないし、どこに何があるかもしらんのですけど。強いて言えば……一応紙に書き写しておいたゲレルの石の遺跡の口寄せ陣くらいかな。王家の血に反応して時空の狭間を呼び寄せる奴。俺がもっと頭良くなれば、口寄せの術として神威を発動させられるんじゃないか、とか思ったりして。
頭が良くないので無理です。
「ふむ……だが、お前に口寄せが必要だ、という風には見えんのう。先ほど口寄せなしでも自衛はできると言っていたことだし。仮に口寄せを覚えたとして──何に使うつもりだ?」
「別に、覚えたいだけ」
「目的も無く強大な力を得たいと?」
「目的がそんなに重要?」
「重要だとも。強大な力というのは荒れ狂う海流のようなもの。目的と言う道標さえあれば強く早く船を運ぶ力に成り得るが、無ければ周囲を破壊する渦潮になりかねん。目的の無い力程怖いものはない……」
「んじゃ、いーや。親指噛むの痛そうだし」
カツーユに直接交渉するからいーや。
「それで、いいの? 指名手配犯を捕まえなくて」
「ワシはビンゴブックになど興味はないのぅ。そも、そこまで金に困ってないからな」
「ふぅん」
そうだ。この世界の指名手配犯が狙われるのは、正義のため、であることなどほとんどない。里の中に対象がいたなら正義大義のために、はあるかもしれないけど、里の外で見つけた指名手配犯にかける情熱など、報酬目的か個人的に恨みがあるかのどっちかだ。
気楽でいい、とは思うけど。ま、そんなもんだよね。こんな殺伐とした世界の指名手配犯なんて。
「三代目は、最期までカッコよかったよ」
「何?」
え、うわ。何口走ってんの俺。
言う必要ないランキング一位だよそれ。
「俺さ、木ノ葉崩しの時、三代目の近くにいたんだ。大蛇丸に掴まれて逃げられなくてさ。四紫炎陣の中に入れらちゃったから逃げるも何もなかったんだけど」
「……」
「カッコよかったよ。身体には相当ガタが来てるだろうに、金剛如意ぶん回してさ。すごかった」
「……そうか」
「里を守るのが、三代目の目的?」
「ああ、そうだのぅ。そうだろうのぅ。……あのジジイが、忍の神とまで呼ばれた強大な力を被害と言う形でなく里の発展に注げたのは──守る、という目的があったからだ」
あー。
なんだろ。ナルートの時もそうだったけど、この口勝手に相手を励まそうとする傾向があるな。今度から無意識にでも落ち込んでそうな相手とじっくり話すのやめよう。余計なことしか言わないもん。
「どうだ……目的は、見つけられそうか?」
「全然」
「フッ、だろうのぅ。……それなら、こんなのはどうだ。お前が強大な力を手に入れた暁には、ワシを守るためにそれを使う。その目的があるなら、口寄せの基礎知識を授けるのも吝かではないぞ?」
「だから親指噛み千切るの痛いからいーって」
「……口寄せでなくとも、だ。いつでもいい。ワシを助けてくれ。そのためなら、ワシもお前に手を貸そう」
なんだ。
なんでこんな親身なんだ。この人結構ドライじゃなかったっけ。
それとも……アレか?
目的が無い、ってとこに引っかかりまくってるのか? 今与えられる目的を。どうしても俺に目的を持たせたい?
でないと──危険だと。そう思っているのかもしれない。あるいは誰かと俺を重ねて。
ただ、それはそれとして、変な力を感じないでもない。
コレさ、承諾した場合、俺はペインvsジラーヤの戦いに手を出しに行かざるを得なくなって、ペインとぶつかって……ワンチャン死なない?
六道仙人の力って普通にやば案件な気がするんだよなー。俺のチート能力も万能ってことはないだろうし。死なないまでも弱体化とかしそう。
何か、世界が、
俺にそれをさせたがっているような、そんな気がする。
うん。ここは断ろう。なんで初対面の人とそんな約束しなきゃいけないの、って。
「いいよ」
オーイ。
ねぇこの口もしかして俺のじゃない?
「んじゃ、ワシはもう行く。手を貸してほしい事があったら適当に連絡を寄越すんだのぅ」
そう言い放って、ジラーヤは城を降りて行った。
連絡って……どうやって寄越すんだよ。指名手配犯だぞこちとら。
……もうこの口ガムテとか貼って封印すべきな気がしてきたなぁ。
短冊街の空は青いなぁ。
さて、まぁジラーヤがここに来て、恐らくナルートが修行をして、ツナーデがカモられてウォロチマールが腕の痛みに苦しんで……それなりの日数が経った。
その間、俺のしていたことと言えば──昼寝である。
いやね、指名手配されてるって聞いた以上、もう大道芸なんて目立つことはできない。よく今まで通報されてなかったな、ってくらいだし。
だから適当に森で狩りをしつつ、基本的には昼寝をしている。勿論狩りをするのはナルートのいない方の森。
「ヌル遁・ヌル棒……」
そして、新しくなったヌル遁を使いこなす修行でもある。
そう──ゲレルの石の力を飲み込んだ【緑色の眩いぬるぬるしたもの】は、さらなる力を得たのだ。
それはチャクラの形態変化に近いもの。つまり、【緑色の眩いぬるぬるしたもの】全体に力が浸透したことで、ただ放出するだけだったヌル遁が形状を変えて自在に操れるようになったということ。
イメージしやすい所で行くと、ナルートの九尾チャクラみたいな感じ。様々な形に変えられて、存形を保てる。まさに理想のヌル遁。
……とはいえ欠点もある。
ゲレルの石の力っていうのは突き詰めればチャクラだ。自然エネルギー、と言った方が良いか。だから、自然エネルギーを吸い取ってくるような相手とかにはめっぽう弱いし、同じく自然エネルギー使いには弾かれかねない。まぁその時はゲレルの石の力を抜き取った素の【緑色の眩いぬるぬるしたもの】で戦えばいいんだけど、その状態だと今度は形態変化ができない。
便利な時は敵も隙も弱点も多く、不便な時は万全、という……なんとも悪役らしい性質になってしまったわけである。
で、だからこそその隙や弱点の克服が必要なのだ。
つまり、俺本体の強化。ジラーヤには口寄せが欲しいと言ったけれど、アレはつまりこの状態の俺のサポートをしてくれる奴が必要、と言う話。そんでもって俺に酸の類は効かないわけだから、やっぱりカツーユみたいなのがいて、俺ごと酸で、みたいなのが理想だなって。
ただそれは望み薄なので、やっぱり訓練だ。
「ヌル棒……はちょっとなぁ。もう少し……緑槍! って感じでもないか。えーと、うーんと」
「こんな所で修行とは、中々やる気に満ち溢れているのぅ」
「──」
気付かなかった。
……いや、感知を鍛えた方が良い、っていうのはずーっと思ってるんだけど、どう鍛えればいいかわかんないから無理なんだよね。
で……見られたか。
発狂はどうだ。大丈夫か? とりあえずヌル棒を消す……いや、吸収できるのがバレるのはダメな気がする。……ん? 別によくね、ジラーヤと戦うわけでもないんだし。
まぁいいか、いざと言う時のためにだしっぱで。
「何用?」
「いやなに、いつもの場所にお前がいなかったから、ちょっと気になってな」
「……もしかして、毎日俺の場所把握してたり?」
「いつも城の上で寝てるのぅ、とは思っていたぞ」
確かに、今日はちょっと思い切って昼から訓練している。
それが仇になった。つか、そればっかだな俺。今日は思い切って何々する、で必ず悪い結果引いてね? 人間毎日同じが一番……ってコト!?
「槍使いだったか。しかし、背丈に合ってないようだのぅ」
「別に。伸縮自在だし」
「ほーぉ? やはり自らの肌から出していたように見えたのは見間違いではなかったか」
「いつから見てたんだ……」
バレてるなら良い。
ヌル棒を肌に取り込んで消す。
「それが何か……聞いても?」
「鬼灯一族って知ってる?」
「……二代目水影に有名な、水化の術を使う一族か。だが、霧隠れの名家がこんなところにいるとは思えんのぅ」
「まぁ分家みたいなものだよ。俺両親の顔知らないけど」
ちょっと前に大蛇丸についた嘘。これを貫く所存である。
当然俺の体を水にする、なんてことはできないし、霧隠れの内情なんてほっとんど知らないけど、秘密主義の霧隠れだからこそこういう嘘吐いてもバレにくい。
「嘘だのぅ」
「え」
「確かに鬼灯一族は水遁を扱うが、そのような生き物を使役するとは聞いたことが無い。見た者から正気を奪う程の未知の生物……何か、どこぞで合成獣の術の被害者になった、とかの方が真実味があるぞ」
──生物?
ははーん。
あーね? そー見えるワケだ。あーあー、成程成程。
理解した。だからみんな発狂してたんだ。
「それで、本当の所どうなんだ?」
「さーね。ま、安心してよ。木ノ葉に害為す存在、とかじゃないからさ」
「ホントかのぅ」
「ホントホント。もしそうなら木ノ葉崩し手伝ってるよ」
さて――訓練再開だ。
ジラーヤが見てても関係ない。槍は背丈があってないと教えられた。じゃあ剣……も同じか。チビで使えるもの。
ダガーとかか? いや、それなら苦無で十分……いや。
ふむ。
「ヌル遁・
手に苦無の形状をした【緑色の眩いぬるぬるしたもの】を出す。
それで近くの樹木を斬り付ければ――ざしゅ、と。
物凄く深い傷がついた。
「おーおー、おっそろしい威力だのぅ」
「ま、確かに。槍だの剣だのの実力が一朝一夕につくとは思えないし。だったら使い慣れてる苦無の方がいいか」
「ちなみにそれ、投げたらどんな威力になるんだの?」
「ん-」
近くの岩に向かって緑無を投げる。
見事中心に着弾したソレは、岩を破壊する──のではなく、するりと岩を貫通し、その向こうに消えて行った。
足元、地面の中から【緑色の眩いぬるぬるしたもの】を通し、緑無を回収する。
「こんな感じ」
「……お前、こんな力を持っておいて口寄せを欲したのか?」
「ジャンルの違う力は必要でしょ」
「十分だと思うがのぅ」
まぁそれはそう。
なんてったってチート能力だし。過ぎたる力を持たば、あるいは暁とかに狙われる可能性まであるし。暁連中って凄惨な過去は持ってても正気度高そうだからあんまり発狂とかしなそうなんだよな。
発狂をメインで狙っていくなら、やっぱり余裕のない忍……砂、霧が狙い目だろう。
……なんで俺忍界と戦う前提みたいなこと考えてんの?
「自来也の爺さん」
「なんだ?」
「今の俺とナルトが戦ったら、どっちが勝つと思う?」
「まず間違いなくお前だのぅ。どころか、里の上忍でさえお前を仕留めるには至らんだろうよ」
「自来也の爺さんは?」
「──ワシとやろう、ってのか?」
少し――ピリついた気配が出る。
笑みを深めたジラーヤ。
……いや。
自来也は仙法を使うんだ。ちょっと――危ない、と思う。
「言ってみただけ。……ほら、もう行きなよ。これ以上見せるものはないよ」
「そうか。……じゃあの」
振り返った──その背中。
胸、鎖骨の辺りから緑無を生成し──。
「やめておけ」
「……」
「双方決め手に欠ける。決着がつくことなく、周囲に甚大な被害をばらまくだけに終わる。それがわからんお前でもないだろう」
「……冗談だよ」
ま、そうだ。
というかジラーヤを殺す理由が無い。つか絶対だめだ。傷つけるのさえダメだ。
ほとほと、何考えてんだかね、最近の俺は。
今度こそ去っていく自来也。
……もうちょっと訓練していくかね。
***
駆ける。駆ける。
夜の森を駆ける。
「……!」
「ッ!」
なんなんだってばよー、なんて言うまでもない。
音だ。音の忍。四人衆ではない。
それが、追っかけてきている。時折攻撃もして……。
おかしい、とは思う。大蛇丸はまだ万全じゃない。綱手姫にご執心のはずだから、そんな指示出してる余裕ないはずなんだけど……命令したのはカブトか?
投げられた苦無や手裏剣が俺に届くことはない。
使われる忍法が俺に届くことはない。
俺を襲ったって。
得られるのは──理不尽な死、くらいだ。
「──ヌル遁・大太刀」
ネーミングを考えてる余裕が無いのでそのまんま。
生成するのは凄まじく長大な刀。ごめんな乱菊程じゃあないが、黒縄天元くらいはある。当然そんなもの森で使うには不向き――というのは、普通の話。
持ち主がチビなのがなんともあれだが、【緑色の眩いぬるぬるしたもの】をサンライズ立ちで構え――技術もへったくれもない回転切りで振るう。
手応えはない。
けれどそれは当たっていない、ということではなく。
あまりにも抵抗なくスッパリと切れたがための――手応えの無さ。
ミステリーサークルよろしく森にも甚大な被害が出たけれど、まぁ、これを記録して持ち帰って欲しい。
それでも恐怖が足りないなら。
「ヌル遁・口寄せ……処漉」
仲間を食う化け物の姿でも、見せつけてやろう。
夜の森に、悲鳴が響き渡る――。