ギコルを撃った時に大きな音が響いたため、徐々に人が集まってきた。
目立たないようにその場を離れ、近くの公園へ向かった。
数分ほど歩き公園に着いたため、改めて自己紹介をすることにした。
「さっきも言ったけど、俺はレイコム。魔界出身の魔物で歳は8歳。王を決める戦いの参加者でお前がパートナーだ!」
「…俺は氷川 涼介。年齢は25でフリーターをやっている。王を決める戦いとは何なんだ?」
「簡単に説明すると、魔界の子供の中から100人が選ばれて、人間界に送られる。それぞれが人間のパートナーを見つけて戦いあう。最後に生き残った1人が王様になれるってこと。分かったか?」
「理解した。戦うというのはさっきの氷みたいなものを出して戦うのか?」
「そういうこと。それぞれの術を出しあって戦うんだぜ。凄かっただろ、俺の術!ただし、俺だけじゃ術は出せないけどな。」
「そこでパートナーの力が必要なわけだな?俺がギコルと唱えることが必」
「あっ!」
ヒュゥゥゥゥゥ…ドンッ!!
「…」
「むやみに唱えたらこうなるぜ。」
「すまない。一旦、本を預かってくれないか…」
「分かった。ただし、一緒に戦ってもらわないと困るから戦うときは持ってくれよ!」
「善処しよう。」
「頼んでる俺が言うのもあれだけどさ、受け入れるのが早すぎないか?」
「小説を書いているんだ。こういったファンタジーなものも書いたことがある。想定の範囲内だ。昔からこういったことには慣れているしな。俺で良ければ力を貸そう」
「ふーん…受け入れが早いに越したことはないしね。よろしく頼むぜ、涼介」
「あぁ、よろしくな、レイコム」
(まぁ、どんな奴がパートナーだろうが強くなれるならなんでもいいさ。あいつに一発かましてやるまでは絶対に脱落しない…!)
「…い、おい。」
「ん?どうかしたか?」
「お前住むところあるのか?」
「ないぜ?今まで飲まず食わずだったし…な…」
「おい!大丈夫か!」
「あれ…?急に…」
今までの疲れと、パートナーに会えたことへの安堵からか倒れてしまったレイコム。
涼介はとりあえず自分のアパートへ連れて帰ることにした。
涼介の部屋に着き、とりあえず自分のベッドで寝かせる。レイコムの顔を見ながら涼介は暗い顔をする。
(王を決める戦いか。本来であれば小さな子供を戦わせたくないが、人間界と魔界では常識が違うんだろう。それにあんな思いは二度とごめんだ。あの子の時のように守れないなんて死んでも嫌だ)
余程疲れていたのだろう。レイコムは次の日の朝までずっと寝ていた。
「んっ…朝か。ここどこだ?」
とりあえず起き上がって部屋を出るレイコム。
リビングに行くと、涼介が朝ご飯を作っていた。
「お、起きたか。ぐっすり眠れたか?」
「おう、公園までの記憶しかないけど俺どうしたんだ?」
「急に倒れたんだ。飲まず食わずで俺を探していたんだろう?疲れていたんだろう」
「あーなるほどな。迷惑かけて悪いな」
「あんな状況なら誰だってそうなる。丁度朝ご飯が出来たんだ。食べるか?」
「そうだな、お言葉に甘えさせてもらうぜ。腹ペコペコだったんだ!」
そういって席に着くレイコム。朝ご飯は鮭の塩焼き、ごはん、味噌汁とシンプルなものだったが、お腹が減って仕方のないレイコムは夢中になって食べ進める。
「美味いなこれ!特にこのピンク色のやつが美味い!」
「口にあってなによりだ。それは鮭という魚だ。話は変わるが、今日はお前に人間界のことを教えてまわろうと思う。何も知らないのは不便だ。ついでに何着か服も買おうと思う」
「それは助かるけどさ、そこまでしてもらわなくてもいいぜ?服なんて最低限のものさえあれば十分だしさ」
「魔界ではそうだったかもしれないが、俺がそうしたいんだ。いいだろう?」
「…まぁ、そこまで言うならお願いするけどよ」
(昨日の受け入れの早さといい、俺に優しすぎないか。扱いがずいぶんと違うから慣れないぜ…)
「あとは王を決める戦いについてもさらに詳しく知りたい。術もむやみに使うと昨日みたいになるからな。服を買ったあとにでも人のいなさそうな場所を探して練習しようと思う」
「そうだな!いきなり攻撃されてそれで終わりじゃたまったもんじゃない!」
「あぁ、とりあえず食べ終わったようだし支度するか」
「おう!」
支度しはじめた二人。しかし、初陣はすぐそこまで迫っていた。
「なんだかよく分かんねぇが、仕方ねぇ!ジュロン!」
バギャアアアアッ!
「ははっ!こいつはすげぇや!とんでもねぇ力じゃねぇか!お前、名前は何ていうんだ!」
「…スギナ」
「スギナか!俺は春彦だ!よろしく頼むぜ?相棒!」
頷くスギナ。
王を決める戦いは待ってはくれない。
いよいよ戦いが始まります。