氷のレイコム   作:虚無野郎

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ちょっとだけ長めです。


6話:激闘

 

ガッシュ達との出会いから一日が経ち、レイコムと涼介は高嶺家に向かっていた。

 

「早くガッシュと遊びたいぜ!」

 

「清麿達はまだ戦ったことが無い。実戦形式での特訓をするべきだろう。俺達が使っている場所も案内しないとな」

 

「おう!」

 

雨が降り始め、あらかじめ持ってきておいた傘を差す二人。

通りかかった公園には大型犬とガッシュが傘も差さずに立っていた。

 

「レイコム。ガッシュが公園にいるぞ」

 

「本当だ!おーい、ガッシュ!」

 

「レイコムにパートナーの者ではないか!」

 

「どうしたんだよ、雨に濡れてると風邪引くぜ?」

 

「…清麿とケンカしてしまってのう。私の力は人殺しの道具だそうだ。人より優れていて何が悪いのだっ!」

 

「ガッシュ…」

 

昨日自分が言ったことで悩んでいたガッシュ。

 

「力をむやみやたらに使って他人を傷つけるのは化け物だ。だがお前はそうじゃないだろう?清麿と一緒に銀行強盗に立ち向かった」

 

「しかし清麿は…」

 

「あいつはお前のことを心配してるんだろ。俺の言い方が悪かったな。少なくともお前が嫌いだとかそういうことじゃないと思うぜ。俺も着いていくから仲直りしに行こうぜ」

 

「ウム…」

 

「魔物が2体いるなんてラッキーだな!」

 

「誰だっ!!」

 

「精々俺を楽しませてくれよ?ドルク!!」

 

「魔物のパートナーか!だけど俺ら以外の魔物なんて見当たらないぞ!」

 

「まさか…」

 

「ウオォォォォォォ!!」

 

ガッシュのそばにいた犬が凶暴に変化していく。

 

「お主は魔物だったのか!?私を慰めてくれていると思っておったのに…」

 

「ガッシュ!!そいつから離れろ!」

 

しかしガッシュはショックを受けて放心状態になっていた。

 

「レイコム!第二の術だ!」

 

「分かったぜ!」

 

「グラセルク」

 

「オラァ!」

 

レイコムは犬型の魔物とガッシュの間に割り込み魔物を蹴り飛ばす。

 

「グガッ!!」ズザァァァァ… 

 

「どんなもんだ!ガッシュ、俺の前に出るんじゃないぞ!」

 

「わ、分かったのだ!」

 

「俺のゴフレに何しやがる!」

 

「連次…次の呪文だ…!」

 

「ドルセン!」

 

ゴフレのしっぽが変形し、大量の岩が飛んでくる。

 

「効かねぇよ!」

 

ドドドドドドッ!

 

レイコムは強化された体で術を防ぎきる。

 

「こっちも行くぞ。ギコルッ!!!」

 

心の力を多く込めたギコルはゴフレに直撃し、ゴフレのドルクは解除されてしまう。

 

「クゥーン…」

 

「俺のゴフレが負けるなんて…」

 

「グラセルク!」

 

レイコムは素早く魔本を奪う。

 

「俺達の勝ちだ!お前一人でもまだ戦うか?」

 

「ひ、ひぃぃぃぃぃぃ!!」

 

連次は腰を抜かして逃げていった。

 

「よし!ガッシュ、大丈夫か?」

 

「無傷なのだ!レイコムは強いのだな」

 

「へへっ、まぁな!」

 

「とりあえず清麿の家へ向かおう。さっきの魔物についても話したいからな」

 

ゴフレの魔本を燃やし、高嶺家へ向かう。

 

 

 

一方その頃、清麿のもとには別の魔物がやって来ていた。

 

「あのバカが!俺がどれだけ心配したと思ってやがる!」

 

(お主の顔など見たくないわ!!)

 

ピンポーン

 

「誰だ…?こんな時に…。レイコム達かもしれないな」

 

「はい、どなたでしょう…」

 

黒い魔本を持った金髪の女性と威圧感のある黒い服装の男が立っていた。

 

「この本を見せれば大体の事情は分かるかしら?」

 

「戦いに来たのか!?」

 

「あら、その様子だとこの戦いについて知っているようね。でも安心なさい…。話し合いに来たのよ。争う気は無いわ」

 

「上がるぞ。構わんな?」

 

「あ、あぁ…」

 

二人を招き入れ、リビングで向かいあうように座る。

金髪の女性が話し始める。

 

「私はシェリー。シェリー·ベルモンドよ。そして私のパートナーのブラゴ。単刀直入に言うわ、本を渡して」

 

「燃やしてガッシュを魔界に帰そうって訳か」

 

「えぇ、そうよ。あなたは戦いに巻き込まれただけ。早く渡して」

 

「だったらなおさら渡せねぇな…」

 

「もしかしてあなた、魔物の力を使い、悪いことを重ねて良い思いをしてたクチ?だったらよしたほうがいいわ。その程度のことで本を持ち続けたらいずれあなた自身がもっと不幸な目にあうのよ」

 

「うるせぇ…。あいつには借りがあるんだよ。黙って渡すわけにはいかねぇな!」

 

「そう…レイス…」

 

コォォォォォ…ドン!

 

「ぐぉっ!?」

 

ドォォォォォン…

 

(目に見えない塊が腹に…)

 

「おとなしく本を渡しなさい!平気で相手を殺す子だっている!半端な覚悟で戦えばあなたも巻き添えを食らうわ!あなただけじゃない。あなたの周りの人だって被害に遭う!」

 

「だったら何でお前は本を焼かない?その上他の魔物の本を燃やしてまわる?」

 

「あなたには分からないわ。もう二度と…あんな思いは…!」

 

(この女…一体何があったんだ…?)

 

「俺は少なくとも優しい魔物を知っている!」ダッ!

 

「待ちなさい!」

 

清麿は家を飛び出して逃げる。

 

 

 

 

「とりあえず逃げねぇと…。本を守らねぇとな…」

 

逃げた先にはレイコムと涼介、ガッシュが歩いてきていた。

 

「涼介、レイコム!魔物だ!ガッシュを狙ってやってきた!」

 

「清麿!?ボロボロではないか!」

 

「相手の術を食らっちまってとりあえず逃げてきたんだ!」

 

(私のせいで清麿が怪我を…)

 

「とりあえず合流できたのは良かった。俺たちも協力する。これでもお前達より戦闘経験はある」

 

「ついさっき魔物に襲われたばっかりだしな!」

 

「襲われた!?よく無傷だったな!」

 

「余裕だったぜ!」

 

「心強いな…」

 

そこにブラゴとシェリーが追い付いてくる。

 

「別の魔物もいるようだな」

 

「数なんて関係ないわ…レイス!」

 

「ギコル!」

 

力の塊と氷が相殺される。

 

「全員気を付けろ…。あいつ、優勝候補のブラゴだぜ…!」

 

「それほどの強敵か。二対一でもキツイのか?」

 

「キツイなんてもんじゃないぜ!よくて相討ちかもしれねぇ」

 

「とんだ大物が来たわけか!ガッシュ、ボサッとするな!戦うぞ!」

 

「…私は化け物なのだろう。人殺しの道具なのだろう!そんなものに構わず逃げれば良いではないか!」

 

「それはお前が電撃が出るのを自慢しようとしたからで…」

 

「人より優れているで良いではないか!化け物なりに前を向こうとしたではいか!?化け物だけでは辛すぎるではないか!」

 

(こいつは…ガッシュは一人で抱え込んで苦しんで…なのに俺は…俺は…)

 

「余所見とは良い度胸ね、リオル·レイス!」

 

「まずい!涼介、グラセルクを!」

 

「あぁ、グラセルク!」

 

「ぐぅぅ!」

 

光線状のレイスを何とか耐えるレイコム。

 

「ガッシュ!危ないッ!」

 

ドンッッ!!

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

「清麿!!」

 

「ぐっ…がぁぁ…」

 

「何故私を庇ったのだ!?」

 

「う、るせぇ…」

 

「清麿!涼介、俺たちが前に出るぞ!ここで退いたらガッシュ達がやられちまう!」

 

「分かっている!ギコル!!」

 

「…グラビレイ!」

 

氷が重力により地面に落ちる。

 

「ギコルが効かないか!ならば、グラセルク!」

 

「うぉぉぉぉぉぉ!!」

 

ダダダダッ…

 

「オラァ!」

 

バシッ!

 

「何!?」

 

「中々の拳だな…だが!」

 

ドゴォォォォォッ!

 

「ぐぁぁ!」

 

殴られて飛ばされるレイコム。

 

「身体能力に差がありすぎる…!」

 

「たいしてダメージはねぇけど、こっちからダメージを入れることも出来ねぇ…」

 

「グラビレイ!」

 

重力によって押しつぶされる涼介とレイコム。

 

「ぐっ!?」メキメキッ…

 

「涼介…!」メキメキッ…

 

グラセルクの効果で涼介を担ぎながら重力場を離れるレイコム。涼介はダメージを負い、動けなくなってしまう。

 

「お前たちは後から始末してやる。そこの泣き虫、お前記憶喪失なんだってな。帰る前に教えといてやる…。おまえ、落ちこぼれなんだよ。なぜこの戦いに参加できたか不思議な程な。」

 

「私は…落ちこぼれ…」

 

「お前が落ちこぼれだから周りを巻き込んだ。化け物がどうだとかほざいていたが、所詮その程度なんだよ。そこの魔物も一緒だ。大した力が無いから群れようとする。落ちこぼれ同士仲良く帰るんだな!」

 

「黙りやがれッ!!」

 

「何…?」

 

「てめぇにガッシュの何が分かる…」

 

「静かにしてなさい!グラビレイ!」

 

ズォォォォォ…

 

「ぐっ…くぉぉ…」

 

「清麿!もう本を渡すのだ!死んでしまう!」

 

「あなたも黙りなさい!」

 

ガッシュもグラビレイによって押し潰されてしまう。

 

「てめぇが何を背負っているかは分からん…。てめぇに比べたらちっぽけなことだったかもしれねぇ。だが…俺にとってはデカイことだったんだよ…。こいつが来てからどれだけ変われたと思ってる…。どれだけ助けられたと思ってる…!」

 

「あなた…一体…?」

 

「だから…今度は俺が助ける番なんだよ!ガッシュ!お前は化け物なんかじゃねぇぞ!お前は俺の友達のガッシュ·ベルだッ!落ちこぼれなんか関係無い!俺が一緒に戦ってやる!ここにいたかったら一緒に戦うんだ!ガッシュッ!!」

 

「清…麿…」

 

ガッシュ達にかかっている重力が解除される。

 

「まだやる気みたいだな…」

 

「そうね。ブラゴ、一番大きいのをぶつけるわ。これに対応出来なきゃどのみち他の連中にやられるだけよ!」

 

「フン…そうこなくてはな!」

 

「これで最後よ!ギガノ·レイス!!」

 

「終わったな…。!…奴らの本、さっきより光って…」

 

「ガッシュ…戦うぞ…」

 

「おう」

 

「戦うぞ!」

 

「おう!」

 

「戦うぞ!!!」

 

「おう!!!」

 

ガッシュの本の輝きがさらに増す。

 

「ザケル!!!」

 

(デカイ!なんて密度のエネルギーだ!まさか…まさか!)

 

ドシュゥゥゥゥゥゥゥッッ!!

 

ザケルとギガノ·レイスが相殺される。

 

(相殺!?そんな…ギガノ·レイスと同等だなんて…)

 

シェリーとブラゴが油断したその時、

 

「フリズドッ!!」

 

ブラゴの足元が凍る。

 

「何ッ!?」

 

「レイコム!」

 

「へへっ、一本取ってやったぜ…」

 

「清麿!さっきの輝き…術が増えているかもしれない!」

 

「まさか…これは!」

 

「あいつは今動けない!新たな術がどんな効果か分からないが撃ってみる価値はある!」

 

「清麿!私からも頼むのだ!もう皆が傷付くのは嫌なのだ!」

 

「…よし!行くぞ、ガッシュ!」

 

「ウヌ!」

 

「第三の術!ガンレイズ·ザケル!!」

 

ガッシュの背後に無数の太鼓の様な物が現れる。

 

ドララララララッ!

 

「大量の電撃が太鼓から放たれている!行けるぞ!」

 

ドドドドドドドッ!!

 

「ぐぁぁぁぁぁ!!」

 

「ブラゴッ!」

 

シュゥゥゥゥ…

 

「スゴいぜガッシュ!」

 

「新術、とんでもない連射力だったな」

 

「あぁ、一つ一つはザケルより小さいが全弾当たればザケルを超える威力だな」

 

「…倒したつもりか?」

 

「なっ!?あれだけ食らってまだ倒れねぇのかよ!」

 

「甘いな…。だがさっきの攻撃が最後だと俺のパートナーが言った。今日はここまでだ」

 

「そういって逃げるんじゃねぇのか?」

 

「ギガノ·レイ…」

 

「悪かった!引き分けで良いから!」

 

「今回は引き分けだけど…今度会ったら必ず勝つわ。あなた達の本を燃やすのは私達よ」

 

そういって、シェリーとブラゴは去っていった。

 

「…だぁぁぁぁぁ、死ぬかと思ったぜ」

 

「命拾いしたな」

 

「正直あのまま戦い続けたら負けてたのは俺たちだな」

 

「優勝候補は伊達じゃないな…」

 

「レイコム達のおかげで助かったのだ」

 

「そうだな…。改めて実力不足を実感したよ」

 

「本を燃やされなかったんだ、それだけでも十分だろう」

 

「それもそうか。本当に助かった、ありがとう」

 

「どうってことねぇぜ!」

 

「友人を守るのは当然だろう」

 

「私は一人ではないのだ!こんなに友達がいるのだ!」

 

「そうだぜ!負けねぇようにもっと強くなるぞ!」

 

「ウヌ!」

 

こうしてブラゴとの戦いを終えたレイコム達。

彼らはこの戦いを境にどんどん成長していくこととなる。

 




現時点では共闘してもブラゴには勝てません。
ただ、ガッシュは現時点で原作より強いですし、術の取得順が大幅に変わりそうです。

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