本当にありがとうございます。
満足できるかどうかは不安ではありますが、今後ともよろしくお願い致します。
≪ジュニア級メイクデビュー戦レース場≫
何日かに分けられて行われるこのレースに、トレントたちは観戦場の最前列にいた。
トレント自身のレースは既に終わっており、結果は文句なしの勝利となっている。
さて、今回彼女らがなぜここにいるかと言うと、あるウマ娘の走りを観るためだった。
そのため目的のウマ娘を担当しているトレーナーと側にいた。
「しかし・・・こうしてまた並んで立つとは・・・あの祭りを思い出す」
「祭り?なんだじいさん、どんな祭りだ?」
「ふっ・・・まぁ一言で言えば・・・
ゴールドシップの質問にややはぐらかすように、ジェーレンは褪せ人に目を向けながらそう言う。褪せ人はその目に特に反応せず、相も変わらず静かにターフを見つめている。
だが、トレントからみれば
「・・・あの時のことを悔やんでいるのか?
別に恨んではおらん。自分にとって正しいと思ったから、そう行動したのだろう?
もう過ぎて、かなりの時間がたつ。過去の清算はもう気にするではない」
なにやら意味深な会話をしているが、トレント以外のメンバーには本筋が一切見えていなかった。が、深堀するような真似はゴールドシップもしないようにした。雰囲気から察してよほど重要なことがあったんだろう。
「もうすぐだ、彼女の勇姿を刮目できる時は。今はもうそっちに気にかけることにしよう。勇者よ」
「・・・そうですね、
・・・ところで気になっていたんですが」
スピカトレーナーが恐る恐る自分の親指を後ろに向けながらそう言う。その指先と合わさって見えるのは・・・
「会場に入る前、あそこにいるスゴいデッカイ人とお話されてましたよね・・・?褪せ人もそうでしたけど・・・お知り合い・・・でしょうか?」
そんな指を向けている人物、場所はここよりずっと斜め後ろ上、観客席の最上階、ターフから一番遠い席に座る、なんかもう本当にスッゴクデカい・・・
いやもう頭おかしいぐらい、生き物として常軌を逸した超巨大の文字以上な巨漢が腕を組ながら座っていた。(イスをギシギシ言わせながら)
「あぁ、知っているも何も、あのお方はこの
【レオナード】の、今こそはただの父親よ」
「「いや娘がデカいからといって、父親があそこまでデカくなりはしねぇだろぉおおおおおおお!!!」」
ゴールドシップとスピカトレーナーは上にいる巨漢、【ラダーン】にも聞こえる大声でそう叫んだ。
が、肝心のラダーンは褪せ人と同じよう、ターフを見つめているだけだった。
━━━━━━━━━━━━娘の勇姿を観るために。
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≪レース場 控え室≫
「レオナードさん、もうすぐ始まりますので、ターフまでお願い致します」
この職員は数十分前に彼女と出会った。その時の第一印象は、『本当に競走バなんだろうか?』だった。
競技者として高身長は恵まれた体格だろう。競走するものとして、脚が長いほど、その一歩が大きくリードできるからだ。
が、彼女の場合、そんな200cmと言う桁外れの身長を持っているにも関わらず、病人と一瞬疑うほど余りにも細身だった。
「はい・・・今からいきます・・・」
少し小声でなんだか震えているような声だ。改めて競技者かを疑ってしまう。
しかし、いざ立ち上がった姿を見ると冗談抜きで高かった。職員自身170cmはあるのだが、そんな大の大人が自分より年齢が10歳以上離れているはずなのに、顔を真上へと錯覚するほど見上げていた。
一方レオナードはそんなことを露知らず、職員を避けやや
・・・ちなみに言うと、ドアの方が背が低いわけで・・・
「あだっ!」
上の方に頭をぶつけた。
「あっ大丈夫ですか?」
「あー・・はい」
再度頭を下げてドアを潜った。そんな姿を後ろから見送る職員、部屋を出てからも不安な足取りで外へと行く姿を見て、どうしても心細かった。
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≪ターフ場 ゲート≫
レオナードはゲートに入るまで、足取りが余り良くなかった。人によっては悪意ゼロでよくここまでこれたな、と同情せざるを得ない目をしてしまっている。
周りのウマ娘も無意識に異様な目をした。
レオナードは前を向いていた。ラダーンと同じよう、必要な部分だけを。
全員がゲート内に入り、出走準備が整う。
走る構えをする。
レオナードもそうする。だがなんだか、既に疲れきってるように見えるのは、浅い構えなのは気のせいか。
だがもう待ってくれない。赤いランプは少しすると赤く光り、
そして
『各ウマ娘スタート!3番レオナードやや出遅れた!』
実況者の言う通り彼女らがゲートから完全に出た時点で、レオナードは隙間1人分遅れていた。
実は正確に言うと、彼女はしっかりと全員と同時に
走り出した9人いる内、先頭は2人、その少し後ろ離れている4人、そのまた後ろの2人、そして最後に孤立しかけの1人、誰だかは言わずもがな。
序盤から走り続け、上記の形態から変わらず中盤に入る。
と言ってもせいぜい、先頭の2人が前を奪い合っていること自体変化はなかった。
もっと言えばレオナードはバ郡から結構離れていた。これはやはりダメなんじゃないかと誰もが思った。
最後のコーナーに入る前までは。
『3番レオナード!
『少しタイミングが早すぎるかもしれませんが、巻き返すにはここしかないでしょう!ですが最後まで持つかが心配です!』
実況者と解説役が心配そうにそう言った。前のウマ娘たちは彼女に気づいていない。もう後ろのことは考えていないのだろうか。
それがレオナードにとって幸運か、あるいは彼女らにとって不幸か。どちらにせよ、ここまでこればもう考える必要なんてなかった。
(私は・・・お父様に恩返しがしたい・・・)
あの時を思い出す。
ケイリッドが
そのせいか、貴腐騎士を喰らう理性無きラダーン将軍。
そして戦祭りでの、数多く犠牲が積み重なった死闘。
ラダーンは最初から最期まで、みすぼらしかった馬と共にしてきた。
そしてこの時、世界観が一新したこの平和な世界で、こんな世界だからこそ、自分に出来ることを見せたかった。
あの時のように、もう自身を支えてまで乗って貰う必要はない。
今私は自分の脚で、力だけで走っている。
異端と呼ばれてもいい。
この勝ちを、姿を見せたい。
ジェーレンは応えてくれた。こんな自分を。
そして自分もこれから応えよう。このレオナードの、全力の勇姿を━━━━━━━━
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「人によっては見えたように感じただろうな、紫の小さな
ジェーレンはそう静かに、だがはっきりと語る。優しくも力強い声で。
「そもそもレオナードは、競走バとして≪生まれるべきではなかった≫
しかし、レオナードは気づけなかった」
レオナードはどんどんと加速していく。序盤の低速からはありえない程に。
「それでも受け入れた。今の姿を。
受け継いだ重力の力を使うのも、なんも
儂もその力をコントロールさせるため、時間を
コーナーを全員が曲がる、その途中からウマ娘たちがスパートを掛け始めた。
だがそんなことを初めている内に、後ろからは烈火の如く、爆発的なスピードで巨大な存在が襲って来る。
「彼女は認められるべき存在だろう。この世の物とは思えない力を手にしたとしても、それでも儂らは構わない。
それが彼女の望みならば」
直線に入るまでに勝負を掛けるには彼女らにとって遅すぎた。
先頭2人にとって、いや、全員が全速力を出そうとした時にはもう襲っていたのだ。
その大爆発が━━━━━━━
『レオナードスゴい!恐るべき末脚!!
伸びる!!伸びる!!まだ伸びる!!!
一体どこまで伸びるのか!?』
一瞬だった。レオナード除く最後尾のウマ娘に大きな足音立てて追い付いたかと思えば、
大外から先頭まで全員を襲っていた。
その爆炎に。
『レオナードがあっという間に置き去りにして来た!!
爆発的な速さだ!!なんて爆発力だ!!
バ身が爆風で吹き飛ばされたかのようにゴール!!!
1着はレオナード!!恐ろしい末脚で爆発しきって見せました!!』
「彼女は色々な物を届けてくれる。
だがよく考えてみれば、あの時からずっと変わらないかもしれん。
盟友と共にするときから、儂らに希望を届けてくれていたのだから」
ゴールを駆け抜けたレオナードは笑顔だった。
その顔が本当に向いている方向に関しては、もちろん斜め上にいる自分にとっての希望の星へだった。
なお、この後レオナードはただでさえ少ない体力、魔力共々、爆発的にブッパしきってしまったため、
この直後
「≪星砕きの追憶≫
黄金樹に刻まれた
星砕きのラダーンの追憶
指読みにより、主の力を得ることができる
また、使用により莫大なルーンを得ることもできる
赤獅子の将軍は、重力の使い手でもあった
若き日、ラダーンはそれをサリアで修めた
みすぼらしい痩せ馬と、ずっと共にあるために」
やっと出来た・・・
昔から集中力が長続きしない方でしたから、自分なりに苦労しました。
と言っても読者にとって満足できるかどうか・・・
とにかくここまでの御愛読、ありがとうございました。