町内会の催しで団子を大量に貰ってきたので事務所にいる皆で分けて食べようと思ったが、どうやら今日はほとんどのアイドルが仕事で事務所にいないようだ。
仕方ない、冷蔵庫にでも入れて後で皆に食べてもらおうと思っていた矢先
「ん?プロデューサーさん、どうしたんですか?その大量の団子は」
と自分が担当するアイドルの木村龍が後ろから話しかけてきた。
「ん?あぁ、町内会で大量の団子を貰ってきたから皆で食べようかと思ったんだけど…」
「そうなんですね!それじゃあ一緒にいただきましょう!」
と嬉しそうに言ってくれたので二人で食べることにした。
「いやー……美味しいですねこのお団子!!」
と笑顔で言う龍くんはとても可愛い。
「そうだな、たまにはこういうのもいいかもな」
と言いながら俺はお茶をすする。うん、いい味だ。
すると
「あっ!!ちょっと待つっすよぉ~!!!」
と言う声と共にドタバタと走る音が聞こえてくる。
何事だと思い振り返るとそこには
「はぁっ……はぁっ……うぅ……もう無理っす……」
と言ってバタンッと倒れる伊瀬谷四季がいた。
そして数分後に復活した四季は俺の持ってきた団子を食べると
「なんすかこれ!?マジギガハイパーうめぇじゃないっすか!!!」
と言った。そりゃ良かったと俺が言うと四季は
「こんなの食ったら他のお団子が食べられなくなるっすよ!これはヤバイっす!プロデューサーちゃん!」
と興奮気味に言っていた。
「そういえば四季も今日はお休みだったんだな」
「そうなんすよ!暇なんで事務所来たんすけど、誰も居なくて帰ろうとしていたらちょうどギガハイパー美味しそうな匂いがしたんで急いでその匂いの方向に向かったんすよ」
と説明をしてくれた。
「ところでプロデューサーちゃんは今から何をするつもりなんですか?」
と聞かれたので俺は
「いや、特に何も予定は無いぞ。ただ単に団子をたくさん貰ったので皆に食べてもらおうと思って持ってきただけだ」
と答えた。
すると四季は
「それならオレっち達と一緒にここでお昼を食べましょーぜ!もちろんプロデューサーちゃんの奢りで!」
と提案してきた。まぁ別に良いだろうと思い承諾すると
「やったっすー!さすがプロデューサーちゃん!男前っすね!!」
「何が食べたい?」
「俺っちは〜、ハンバーグっす!!コンビニでドデカイハンバーグが出たんでそれ食ってみたかったんすよ〜」
「分かった、龍は何が食べたい?」
「いやそんな、自分まで奢ってもらうのはちょっと…」
と木村龍は申し訳なさそうな顔をする
「そこまで気にする必要はないぞ、日頃のお礼だ」と言うと木村龍は少し考えたあとに
「それなら、自分は焼きそばが良いです」
と言った。よし、決まりだ。
「じゃあ、それぞれ買ってくるよ」
と言い財布を持って近くのコンビニに向かう。
俺はレジに行き、会計を済ませて外に出て事務所へ戻ろうとしていたら事務所の階段の上で木村龍がいた。
そして木村龍はこう言った。
「プロデューサーさん」
「どうした?何かあったのか?」
と聞くと木村龍は真剣な表情になり
「俺、プロデューサーさんのことが好きですよ」
と言った。
「えっと……それはどういう意味でかな?」
「はい、恋愛的な意味も含めて好きです」
と木村龍は答えた。俺は驚いたが、同時に納得できた。確かに木村龍は自分に好意を抱いているような素振りを見せていた。
「ありがとう、でもごめんな。俺はプロデューサーである立場上、担当アイドルである君とは付き合えない。」
「そう、ですよね…俺なんでこんなこと言っちゃったんですかね」
と木村龍は俯いてしまったが、すぐさま顔を上げて
「でも、気持ちを伝えられてスッキリしました。」
と言った。
「そっか。これからもFRAMEのメンバーとして、アイドルとしてよろしく頼むよ」
「はい、こちらこそお願いします。四季くんがお腹を空かせて待ってますよプロデューサーさん、早く事務所に入りましょう」
果たしてこれで良かったのか、プロデューサーとしては間違ってはいなかったが俺自身はどうだったのか。
そんな事を考えながら食べる昼はどこか物足りなさを感じた。