魔法科高校のしばたつや   作:司馬達也

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 月額読み放題で3巻まであったのを読んだらネタが浮かんだので続きました。
 初月無料なので解約すれば無料です。


 とりあえず入学編を書いたので、適当な長さで分割して投下。
 数日おきに投稿します。

 元々深く考えていなかった出オチオリ主に設定を追加したので、おかしな部分もあるかもしれません。


 一人称とか日常シーンを書こうとしたら上手くいかなかったので『他の原作キャラから見たオリ主』を多く書いてます。





 タグ『勘違い』を追加。


入学編①

 

 

 

 服部刑部少丞範蔵(はっとりぎょうぶしょうじょうはんぞう)は、己の優秀さを知っている。

 

 

 学年で実技の成績は1位を取り、入学以来模擬戦は負け知らず。

 学業も優秀であり、この一年は生徒会での業務経験も積んできた。

 

 

 自負する以上に期待を寄せられてもおり、ジェネラルの渾名はその戦闘力だけを由来とするものではない。

 三大巨塔卒業後の第一高校を担うことを期待されているのだ。

 

 

 十師族の直系二人の後を任されることを、期待されている。

 この重責を理解しない者はいないだろう。

 

 

 それが叶うと目される2年生は服部刑部少丞範蔵のみ。

 

 

 故に二年生に進級したばかりにもかかわらず、服部刑部少丞範蔵にとって、これからの時間は半年後の引き継ぎを見据えた助走期間に過ぎない。

 

 

 来年の第一高校運営のためにも、組織体制の下地となる人材確保は急務。

 

 

 そのために、現生徒会長である七草真由美と共に新入生総代を勧誘に来た服部刑部少丞範蔵はいま、

 

 

 

(なんなのだこれは?

 どうすればいいのだ!?)

 

 

 

 絶賛混乱中だった。

 

 

 だが、ただ状況に流される服部刑部少丞範蔵ではない。

 

 

 魔法師は事象をあるがままに、冷静に、論理的に認識できなければならない。

 まずは状況を整理しよう。 

 

 

 

「wwwwww」

 

 

 腹をかかえ、地面にうずくまって震える新入生らしき女子生徒。

 急病だろうか。先ほどまでは苦しそうにジタバタ暴れていたが、わずかに息が整ってきているようだ。

 保健室へ運ぶべきかもしれないが、ひとまず後回しとする。

 

 

 続いて勧誘するターゲットの司波深雪。

 

 

 

「お兄様。深雪は、お兄様がお望みなら共にコメディアンの道を歩むのも良いと考えています!」

 

 

「落ち着け深雪。俺はそんなことを望んでいない」

 

 

「夫婦漫才、ならぬ兄妹漫才というのも選択肢としてあると思うのです。

 ……事実上の夫婦漫才になりますし(ボソッ」

 

 

「深呼吸するんだ、冷静になって考えろ。深雪の未来をそんなことに費やす必要はない」

 

 

「お兄様は深雪では役者不足だと仰るのですか!?」

 

 

「もうどうすればいいんだ俺は?」

 

 

 

 どうやら今年の新入生総代は早くも将来の道を見定めているようだ。

 国防に貢献するにしても、ソフトパワーとハードパワーの考え方がある。

 彼女には彼女の、国への奉仕の仕方がある、ということだ。

 

 

 魔法師としての道を選んでくれなかったことは残念だが、一人の先輩としては応援するべきだろう。

 

 

 そして我らが生徒会長はというと、

 

 

 

「艶夜ちゃーん!」

 

 

「にぎゃー!」

 

 

 

 何やらちんちくりんな新入生を捕獲して猫かわいがりしていた。

 されるほうはジタバタ暴れているようだが、ただでさえ小柄な真由美と比べてなお体格差があるせいで抵抗になっていない。

 

 

 というか誰なんだそのチビメガネは。

 どうして総代を勧誘しに来たはずの会長が、ただの新入生にかかずらっているんだ。

 

 

 けしからん。

 そこを代われ。

 

 

 

「つ、艶夜ちゃんを放してください……!」

 

 

 

 オロオロしている巨乳メガネがいるがもう知らん。

 

 

 

「……、ふむ」

 

 

 

 結論として。

 論理的に考えた結果、なにもわからないということがわかった。

 

 

 

「はんぞーくん、何やら込み入った事情のようだし、今日のところは出直しましょうか」

 

 

「はっ? 

 しかし会長、それでは予定が……」

 

 

「あれの収拾がつけられるの?」

 

 

「やむを得ませんね」

 

 

 

 いかに兄にシュールギャグの適性があるかを熱弁する司波深雪に声をかけて、その日は退散となった。

 

 

 

「あ、この子は借りていきますね?」

 

 

「ぎゃー! おねーちゃーん!」

 

 

「艶夜ちゃーん!」

 

 

 

 小柄な新入生を引きずる真由美の姿に、何か別の光景が服部の脳裏を過るも、それが明確な形を取ることはなかった。

 

 

 

 ☆

 

 

 

 市原鈴音いちはらすずねは激怒した。

 必ず、かの自由と身勝手を履き違えた友人をしばかねばならぬと決意した。

 

 

 

「なので早く歯を食いしばってください」

 

 

「待ってリンちゃん、そのブック型データバンクは人を殴るためにあるものじゃないわ!」

 

 

 

 新入生総代の代わりにあーちゃんマスコット2号を連れ帰った真由美の言い分を聞くところによると、柴田艶夜という新入生は、七草家お抱えの探知魔法師だそうだ。

 

 

 探知魔法といえば、七草真由美の代名詞である「エルフィン・スナイパー」の所以となる探知魔法、マルチスコープがある。

 BS魔法とも呼ばれるそれは、限られた者が生まれ持つ才能であると同時に、通常であれば魔法師としての才能を食いつぶす異物でもある。

 真由美の能力が高く評価されているのは、そのBS魔法に加えて十師族直系としての高い魔法力を併せ持つが故。

 

 

 そして柴田艶夜も、BS魔法師でありながら一科生としてギリギリ及第点程度の魔法力を持つとのことだった。

 真由美はこの妹分とも言える後輩を生徒会に加えるらしい。

 

 

 本物の妹を差し置いて? と疑問が首をもたげたが、噂の七草の双子はもう一つ学年が下がる。

 直接の引き継ぎが叶わない以上、艶夜を自身が補佐として育て、卒業後に入学する双子の補佐に充てるのだろう。

 

 

 それはいいとして。

 

 

 

「ただのお抱え魔法師というには、距離感が近すぎませんか?」

 

 

「そうかしら?」

「そうですか?」

 

 

 

 並んで、同じ方向に首を傾げる真由美と艶夜。

 並んでいるといっても横にではなく、真由美が艶夜を膝に乗せて抱えているので、頭が縦に並んでいる。

 

 

 頭頂部に顎を乗せるほどの密着具合で、時折クッキーをつまんでは、どこか諦めが滲む下の顔に「あーん」などとしていた。

 どう見ても近すぎる。日ごろ「あーちゃん」と呼び可愛がる中条なかじょうあずさにさえ、これほどベタベタとしている姿は記憶にない。

 

 

 お世辞にも人様に見せられたものではない痴態に、鈴音はこめかみを細い指でおさえた。

 

 

 よくこの生徒会室で昼食を共にする渡辺摩利わたなべまりならば笑って済ませるだろうが、一方の服部はあれでうるさいところもある。

 

 

 マスコット1号ことあずさは自分のポジションが後輩に取られたと嫉妬……、しない。身代わりができたことに安堵するだろうか。

 いや、むしろ後輩が犠牲になっていることに気を病んで自ら身を差し出すくらいはしそうだった。

 

 

 

「中条さんでもそこまではしないでしょう。よほど親しい証拠では?」

 

 

「そうね。もうかれこれ5年の仲だから、これだけ長く親しい付き合いが続いている子も他にいないわ」

  

 

「私としては、会長が一般家庭出身の柴田さんを、どこで捕まえたかが気になります」

 

 

「人聞きの悪いことを言わないでリンちゃん」

 

 

 

 軽く頬を膨らませて不満を訴えているが、真由美の性格を熟知する鈴音からすればあざとすぎる。

 やがて諦めたように息をつくと、艶夜の両脇に手を差し込んで脇の席に置いた。

 

 

 置かれた方はというと、ぐでっ、と机に垂れて身を投げ出した。

 真由美の腕に収まるまで、まるで座りの悪かったネコのように暴れていたから疲れたのかもしれない。

 

 

 

「リンちゃんには話しておこうかしら。これから艶夜ちゃんと付き合うなら、知っておくべきでしょうし」

 

 

 

 冷めた紅茶で唇を濡らす。

 

 

 その仕草ひとつで場の空気を書き換えるのは、流石名家の令嬢。さぞ高度な淑女教育を受けてきたのだろう。

 隣の垂れネコのせいで台無しもいいところだが。

 

 

 

「私が艶夜ちゃんと初めて会ったのは、探知魔法師の交流会の会場だったわ」

 

 

 

 真由美がまだ小学生だった頃。

 魔法師の年少者向けに行われていた交流会の中で、探知魔法師の交流会を開こうという動きがあった。

 

 

 市井の魔法師たちを広く支援している篤志家がはじめたことで、通常の魔法師とは異なる法規制がされている探知魔法について、正しい知識を学び、法令違反を防ごうという場が用意された。

 

 

 真由美も七草家当主である父弘一に出席するよう言われ、交流会へ一度ならず顔を出している。

 

 

 そこまではいい。

 

 

 問題なのは、その交流会を企画した篤志家というのが弘一本人であり、有望な探知魔法師を囲い込むことを目的としていたことだ。

 それも、真由美が探知魔法を持って産まれたのをいいことに、勝手に始めておいて、子供しか集まらなかったからと初めの挨拶だけして真由美と執事に丸投げしたのだそうだ。

 

 

 当然の如く目的が見え透いた集まりに参加した探知魔法師は少なく、その中にマルチスコープより有用な探知魔法を持つ子供はいなかった。

 

 

 ただひとり、艶夜を除いては。

 

 

 

「……そこまで事情を口にして良かったんですか?」

 

 

 

 鈴音は長机で置物と化しているゆるキャラ柴田艶夜に目をやる。

 上半身を机に乗り出すようにして情報端末をいじっているが、聞こえていないということはないだろう。

 

 

 

「いいのよ。艶夜ちゃんもウチの狸親父のことはよく知っているし、何なら私よりよく知っているんじゃないかしら?

 あの交流会の意図もはじめからお見通しだったみたいですし」

 

 

「当時十歳の子供が?」

 

 

「この子、普段はあらゆる面で抜けているのに、何故か後ろ暗い部分とか憚られるような事情については妙に鋭いの」

 

 

「鋭いもなにも、隠す気が無いんだから分かるに決まってますよ。慈善活動なんて売名行為の同義語でしょ?」

 

 

「そこまで斜に構えて穿った見方をする子供なんて、艶夜ちゃん以外にいません」

 

 

「むぐっ、」

 

 

 

 生意気な口にクッキーがねじ込まれると、それを咥えたまま小動物のように咀嚼しはじめる。

 

 

 なるほど、可愛らしい外見に反して中身は随分と擦れたガキらしい。

 ひとこと口を開いただけで、マスコットキャラが、飲酒喫煙がバレた未成年アイドルみたいになったのは鈴音としても驚きを隠せなかった。

 

 

 服部と中条に講堂の撤収作業を任せたのは建前で、どうやらはじめから鈴音にこの腹黒マスコットの腹を見せる腹だったようだ。

 

 

 流石は我らが生徒会長。

 妹分に負けず劣らず腹黒いなと感心する。

 

 

 

「とにかく、そんなおざなりな集まりだったから、結局そう回数を重ねることもなく交流会は打ち切り。

 艶夜ちゃんには本人の希望もあって、七草で魔法力を伸ばすための指導を受けてもらったわ」

 

 

「七草家で魔法実技の指導を? それはなかなか恵まれた環境ですね」

 

 

「そうね。実際、そうしていなければ一科生として入学はできなかったでしょうし。

 指導を受け始めた艶夜ちゃんはメキメキと頭角を現し、すぐに七草家にとって――――

 

 

 ――――要注意人物になったわ」

 

 

「どうしてそうなるんです?」

 

 

 

 激しい茶番の匂いを嗅ぎ取りつつも、鈴音は話の先を促した。

 

 

 

 

 

 

 




 さて、追加設定ですが、

 柴田家→魔眼→探知魔法

 ということで、探知魔法師にしました。

 2次オリ主に探知魔法はつきものだから、チートじゃないです。



 ……SB魔法と通常の魔法力の両立はチート?

 まあそのへんの言い訳についてはこの続きで。

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