魔法科高校のしばたつや   作:司馬達也

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 赤評価がついたのが嬉しかったので初投稿です。




 主人公と同じ学年で友人の妹で生徒会にも入ってるのに、ここまで会話シーンなし。
 
 今回も会話シーンなし!



入学編③

 

 

 司波達也にとって、柴田艶夜は要注意人物だ。

 最大の警戒対象と言ってもいい。

 

 

 十師族筆頭である七草家お抱えの探知魔法師であり、生徒会の庶務、そして達也のクラスメイトの妹。

 生徒会とプライベートな交友範囲の両方に出没するものの、なかなか接点を持てないでいるために、行動原理さえ掴めていない。

 

 

 事実上、お互いに名乗るだけに終わった初対面を除けば、初めてまともに接触したのは二日目の放課後だった。

 

 

 

「あなたたちブルームが、今の時点で一体どれだけ優れているというんですかっ?」

 

 

 

 意外にも強く反論した美月に一科生たちの敵意が集中した瞬間、自己加速式で密かに(おそらく達也と深雪しか気づくことはできなかっただろう)校舎を飛び越えこちらへ一直線にやってくる人物を感知した。

 

 

 

「お兄様!」

 

 

 

 第三者の影を警戒しつつも、達也は深雪を守るため右手を突き出していた。

 手を伸ばしても届かぬ距離に、手を伸ばす。それが何であったにせよ、この場では、何の結果も生まなかった。

 何故ならば――――

 

 

 ゴリッ、と音を立てて、特化型CADを握る一科生の手首に指先ほどの鉄球が直撃したからだ。

 

 

 

「ギッ、」

 

 

 

 押し殺したような悲鳴を上げ、CADを手から取りこぼす。

 その振り向く先には、まるで勝手に姉妹の制服を着た小学生のような少女、柴田艶夜がいた。

 

 

 

「はーい、生徒会庶務の柴田艶夜ちゃんでーす。

 私は校則について詳しくないので素人意見になってしまって申し訳ないんですが、人間に向けての魔法攻撃とか、たとえ校則に反してなくても犯罪なんですけど、その自覚ありますか?」

 

 

 

 片手を制服のポケットに突っ込んだまま、一歩踏み出すごとにゆらゆらと前後に揺れる無表情が、不気味にも近寄ってくる。

 顔つきこそ愛嬌のある美少女であるものの、眼鏡の奥から覗く瞳からは一切の感情を読み取ることができない。

 だがその感情を押し込めたポーカーフェイスが、かえって怒気を断熱圧縮したかのようで、妙な威圧感を醸していた。

 

 

 その圧を振り切るように、CADを落とした一科生が噛み付いた。

 

 

 

「なんだお前、一科生のくせに二科生の味方をするのか!」

 

 

「法律と正義の味方なんですけど、人の話ちゃんと聞いてました?

 それとも先に魔法攻撃を受けた反撃だったんでしょうか、自分の身を守るためだとしたら謝りますけど」

 

 

「どっちが正義かなんて聞くまでもないことだ!

 一科生の誇りを守るために決まってる!」

 

 

「へーそうなんだーすごいなー。

 警察がその言い訳を聞いてくれるかどうか楽しみですね?」

 

 

 

 ギクリ、と体を震わせるものの、引くに引けなくなった一科生は、まだ痺れの残る手でCADを拾い上げる。

 そして、その銃口をゆっくりと柴田艶夜に向けた。

 

 

 

「……そこまで言うのなら、やってみろ。自分の手で捕まえられるとでも思ってるのか?」

 

 

「ええ、もちろん」

 

 

 

 大仰に頷く艶夜は、

 びしっ、と相手を――――越えた先の、向こう側を指差す。

 

 

 

「捕まえてやりますよ。

 

 

 向こうで高みの見物決め込んでる生徒会長と風紀委員長がね!」

 

 

 

 一同が振り返ると、やれやれという顔の七草真由美と渡辺 摩利がそこに居た。

 

 

 

 ☆

 

 

 

 その場は達也と深雪がとりなし、森崎家のクイックドロウを見学していたところに、艶夜がはやとちりして鉄球をブチ込んだ、ということになった。

 

 

「というわけで、艶夜ちゃんは一緒に風紀委員まで行きましょうか?」

 

「なんでさ!」

 

「さっきのスリングショット、勝手に持ち込んだでしょ?

 それ、危険物よ」

 

「いや、これは、そう!

 イタズラ用のパチンコだから!

 武器じゃないから!」

 

「はい、連行ね」

 

「なんでさ!」

 

 

 ……などという一幕もあったが。

 

 

 この時達也が感じた、七草真由美に引きずられる柴田艶夜への謎の既視感がしばらく首をもたげるのだが、その正体が判明するのは翌日だった。

 

 

 服部刑部少丞範蔵との模擬戦の後。

 生徒会書紀の中条あずさが、シルバーシルバーうんたらこうたらじゅけむじゅげむと興奮気味にまくし立てている時、柴田艶夜が真由美の袖を引いてこう言った。

 

 

「ねーねー真由美さーん、あれ買ってー」

 

「あんな高いもの買えるわけないでしょ!

 いま持ってるので我慢しなさい」

 

「っ!」

 

 

 その時、達也は見た。

 市原鈴音が、クール系美人会計のキャラを守るために神速で口元を抑えたのを。

 

 

 ……司波達也には、深雪との日常を守るという使命がある。

 

 

 たとえ警戒対象が玩具をねだる幼児と若奥さんにしか見えなくとも、深雪の身の安全のために、警戒を怠る訳にはいかないのだ。

 

 

 





 はんぞーくんが感じた既視感もこれです。


 あと分かりづらいかもしれませんが、森崎に鉄球をブチ込んだ艶夜ちゃん、美月に害意を向けられて割とキレてます。
 司波兄妹が誤魔化してなければ本気で警察に突き出したかもしれません。
 真由美さんが引きずって行ったのも、艶夜が何するかわからないからですね。

 まあその結果、はやとちりで鉄球ブチ込んだヤベーやつになってますが。
 念の為言っておくと、本格的なスリングショットで飛ばしたパチンコ玉は近距離なら拳銃弾並の威力です。
 どう考えても玩具じゃ済みませんので良い子も悪い子も決して真似しないでください。


 にしても、どうして達也くんを登場させると茶番が捗るんでしょうね。

 こんなとこばっか筆が乗る。

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