常連のやごぉーさんが、大勢の女の子を連れてきました   作:東風ますけ

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おいしい

 

吾輩(わがはい)は今、鳥居さんの車に乗っている。

 

「やっぱ沙花叉的には、静岡といえば、富士山!って感じなんだよね〜」

 

「あはは〜クロちゃんおっとな〜!」

 

「………ん?なんで富士山だと大人なんでござるか?」

 

「そりゃあいろはちゃん!あのクロちゃんが食べ物以外のことを口にしたんだよ!すごい進歩だよ!!」

 

「なるほどでござる!!」

 

「オイ、なんで本人差し置いて納得してんだ侍」

 

「む!新人のくせに生意気でごさる!!」

 

「10年経ってるんだから新人も何もないっていっつも沙花叉言ってるじゃん!!なんでいつまでも新人なんだよ!?沙花叉はペンギンじゃなくてシャチだぞ!!」

 

吾輩は騒がしい部下たちを一瞥(いちべつ)して、静かに窓の外を眺めていた。

 

「………大丈夫?ラプ?」

 

そんな吾輩を心配してくれたのか、幹部が話しかけてきた。

 

「あぁ、平気だ。懐かしいなって想ってな」

 

「そうだね。私も、ラプと同じ気持ち」

 

「………うん」

 

なんだかとても懐かしい気分だ。ははっ、このままじゃ吾輩、『あの場所』に着いたら泣いちゃうかもな。

 

「みなさーん!お昼何がいいですかぁー!」

 

運転している鳥居さんがみんなに昼食のアンケートをとっている。

 

「ハンバーグしかねぇだロォ?愚問だぜェ!和葉ァァ!!!」

「沙花叉もハンバーグがいいです!」

「こよもこよも!」

拙者(せっしゃ)もハンバーグがいいでござる〜」

「拙………者?……まぁいいか。私もハンバーグがいいです!」

「ハンバァァァァァグ!!!!!」

 

うん。それしかありえない。そうに決まってるからな。

 

「わかりました〜。それじゃ行きましょう!ご馳走を食べに!」

 

「「「「「「おー!」」」」」」

 

■■■■■■■■■

 

吾輩たちが入店したのは炭火焼きのハンバーグが有名な、静岡にしかないローカルチェーン店だ。

当時の吾輩にもう少し資産力があれば、コイツらを沢山連れてってやれたんだが、まあ、とりあえず博士の尻尾を握りしめておいた。

 

「ひやっ!?ら、ラプちゃんいきなりどうしたの!?」

 

「なんでもない」

 

とりあえずお仕置きしておいた。1129億円分。きっちりお仕置きしていかないとな。

 

「何名様ですか?」

 

「7名です」

 

鳥居さんが答えた。

 

「こちらのテーブル席にどうぞ〜」

 

吾輩たちは4人席に二手に分かれて座った。吾輩のテーブルには柚葉(ゆずは)さんと、幹部が。もう一つのテーブルには、吾輩の大人しい部下(笑)と鳥居さんが座っている。

 

「あぁ!ラプ様っ!2周年ライブ絶対見ます!!」

 

「ど、どうも…」

 

柚葉さんが限界ヲタク化している。さっきまでなんとも無かったのに、なぜ唐突にヲタクに?

 

………あぁ、そういえばさっきまで柚葉さんは助手席で、吾輩は一番後ろの3人席だったからか?

面と向かってなかったから……なのか?

 

まぁいいか。

 

「吾輩はこの、一番おっきいハンバーグにしますけど、2人はどうします?」

 

「私もその一番大きなハンバーグで」

 

「あぁ、アタシもそれでお願いします!!」

 

「わかりました。すいませーん!(はい、お伺いします!)この、げんまんハンバーグ3つと、ライス大3つで!あ!あとかんぺぇドリンク、コーラで3つ!」

 

「かしこまりました。すぐドリンクをお持ちしますね!」

 

店員さんに注文した後、吾輩たちは、することもないので、雑談することにした。

 

「そういえば、柚葉さんはなんでラプラスにハマったんですか?」

 

ナイス質問だ幹部。それは吾輩も聞こうと思っていた。

 

「あ、えっとですね、その………アタシ、結構前からホロライブは見てたんですけど、その、ラプ様はなんていうか、『お姉さん』っぽくて…」

 

「お姉さん!?」

 

オイ幹部、しばくぞ?

 

「えぇ、なんだかよくわからない感情なんですけど、アタシよりも『お姉さん』って感じがして。で、アタシは気づいたんです。アタシに必要なのは妹属性じゃない!姉属性だったんだ!……ってね」

 

「ぐふっ!」

 

妹属性である幹部が吐血している。

でも確かにそうだな、ホロメンって結構妹属性多いよな。3期生とかみんな妹さんだって聞いたし。

逆に、姉であるみこさんとか、まつりさんとかも、ぱっと見妹属性っぽいし。

こうしてみると、たしかに、お姉さん属性は少ないかもしれない。

 

「………いや、自分で言うのは(しゃく)だけど、吾輩の見た目そこまでお姉さんか?どっちかって言ったらちょこさんとかミオさんとかだろ?」

 

「幼女っぽい見た目とのギャップがいいんです(迫真)」

 

なるほど。この姉あっての鳥居さんか。

吾輩はすこぶる納得した。

 

「かんぺぇドリンクでーす!あ、あとハンバーグ用の紙です!ハンバーグが来た時には、この紙の端をつまんでくださいね!」

 

店員さんがテーブルにドリンクと、ハンバーグが来た時用の紙を置いていった。このお店ではお客さんの前でハンバーグを二つにカットする。その時に飛び跳ねた肉汁が、こちらに付かないようにこの紙でガードするんだ。結構大きな紙でな。ハンバーグのプレートを上半分に乗っけて、下の端っこをつまめるくらい大きな紙だ。

 

まあそれはそれとして。

 

「「「かんぺぇーい!!!」」」

 

ぺぇも、ぱいも、おんなじ意味だし。

かんぱいでも、かんぺぇでも、どっちでもいいよな。柔らかければ。柔らかければ(大事なことなので2回──)

 

「かたくても愛するのが真の愛だがな」

 

「急にどうしたの?ラプラス?」

 

「いんや?別にぃ?」

 

「ラプ様のドヤ顔可愛い!!!アタシ!!!幸せ!!!!!」

 

ふっ、チョロいな(確信)

 

「可愛すぎて満額スパチャが止まらん………ってアレ?スパチャできないぞ?なんでだ?」

 

「現実だからですよ」

 

「バーチャルも一種の現実だけどな幹部?吾輩たちはあくまで配信の為にインターネット使ってるだけだし」

 

というか目の前で満額(まんがく)スパチャとかいう言葉が飛ぶと、なんだかヒヤヒヤする。

生活費を削ったりしてなければいいんだが?

吾輩は心配になって質問する。

 

「………柚葉さんってクレカ何枚持ってます?」

 

「10枚!!!」

 

あうち………これはアウトっすわ……。

というかなんで10枚も持ってるんだ?法律的なアレでなんか制限されないのか?

 

「今回のスパチャ分は次回の枠でまとめて投げます!!!」

 

「ちょっ!?無理しないでくださいよ!?いくらなんでも生活費を削ったりしな──(あぁ、いえ。株やって、金は腐るほどあるので。ご心配なく)………え?」

 

「アレ?私の耳が壊れたのかな?ラプラス、なんで言ってた?」

 

「なんか、金は腐るほどあるって…?」

 

「えぇ。和葉に店を譲ってからは家でずっと株やってました。大手サブスクに先行投資しといた分が、どかっと来て、今じゃ数千億円です」

 

「「すうせんおく!?!?」」

 

いや、吾輩が4600000000年かけて1129億円なのに、たった10年で数千億円だとっ!?

 

「………ラプ、私たちholoXが直面している『秘密結社、お金足りなさすぎ問題』を、柚葉さんなら解決できるのでは?」

 

「うん、柚葉さんがholoXに来てくれれば余裕だな(確信)」

 

「いや推しと一緒の会社とか隠キャヒキニートのアタシには無理ですすいません(早口)」

 

面接をする前に辞退されてしまった。

 

まあこのあともしばらく、鳥居さんの小さい頃の話や、焼き鳥のコツなんかも教えてもらって。

 

そして、遂に。

 

「ご注文のげんまんハンバーグです!」

 

やったー!

 

ハンバーグ!hey!ハンバーグ!ハンバーグったらハンバーグ!イェイ!

 

「半分にカットしていきますねー!」

 

肉厚で丸々としたハンバーグが縦に切られていく。中からは肉汁がたっぷり(あふ)れ出し、鉄板の上でパチパチ跳ねている。中は少し赤みがかっていて、とっても柔らかそうだ。

 

「押していきますねー!」

 

半分に切られて二つになったハンバーグを、今度はナイフとフォークで上から押して行く。切断面をさらにジューシーに焼くためだ。

押せば押すほど、肉汁と、炭火焼きの良い匂いが(かお)ってくる。

 

「オニオンソースをかけますねー!」

 

仕上げにオニオンソースをかけてもらった。オニオンソースをかけた途端(とたん)、鉄板が今までで一番パチパチ跳ね出す。お肉とオニオンソースの匂いが混ざって、もうよだれが垂れてきそうだ。早く食べたい!早くパチパチおさまってくれ!

 

「あっ、アタシは自分でかけます」

 

柚葉さんだけは自分でかけるようだ。店員さんにかけてもらうより量も調節しやすいし、勿論(もちろん)アリだ。

 

パチパチがおさまってきた!食べ頃だ!

 

吾輩は一目散にハンバーグを一口サイズにカットして口に放り込んだ!

 

もぐもぐもぐ…。

 

「おいしい!」

 

食レポなんてできないほど美味い。

噛んだ瞬間頭の中で、電流が流れたんじゃないかと錯覚するくらい美味しい。

美味しいとしか言えないくらい美味しい。

 

「ライス大です〜!」

 

ちょうどいいタイミングでライスが運ばれてきた。吾輩は口にまだハンバーグが残っていたので、急いでライスを口に放り込む。

 

………。

 

………。

 

………。

 

────っは!一瞬気を失っていた!?

 

なんてことだ!?この吾輩が食べ物に負けるなんて!?(わりといつもやってる)

 

でもしょうがない。美味しいんだもん。

まあお母さんと幹部のハンバーグの次に美味いな!うん!それは間違いない!!

 

って!吾輩のバカッ!このタイミングでコーラを飲めば最高じゃないか!!

 

ゴクッ!ゴクッ!ゴクッ!

 

「ぷはぁ!めっっっっっっっちゃ、美味しい!!」

 

「本当に美味しいね!また来ようよラプ!」

 

「あぁ!約束だ!」

 

「アタシもついていっていいか?」

 

「「勿論!!」」

 

さて、そういえばあっちのテーブルの様子は…。

 

「やっぱり美味しいですね!」

「マジでやばすぎだろコレ(低音)」

「本当に美味しいでござる〜!」

「こよは賢いから思ったんだ。ここ住もうよ!」

 

アホなピンクコヨーテだ。

 

さて、吾輩も自分のご飯に集中しよう。

 

二口目は。うーん、胡椒(こしょう)でいくか!

 

■■■■■■■■■

 

────さ、最後の一口!!!

 

ばくっ!!!

 

〜〜〜!!!!!(声にならない叫び)

 

「「「ごちそうさまでした!!!」」」

 

「「「「ごちそうさまでした!!!!」」」」

 

吾輩、大満足だ。お会計の後のハッカ飴が甘くて美味しい。

 

おいしい。すごくおいしかった。

 

「それじゃあ!お腹も満たされましたし!とりあえず私たちの実家に行きましょうか!」

 

「「「「「「おー!」」」」」」

 

吾輩は今、心の底から来て良かったと思っていた。この旅がまだ続くと考えただけで、吾輩は、とても楽しかった!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




〜舞台裏〜

「ラプ様。アタシのソース余ったからかけていいぜ!」

「──!まさか、その為に自分でかけるって!」

「へへっ。推しが喜ぶ姿が間近で見られるんなら、それに越したことはないからな!!」

………って感じかな?どうも東風(こち)です。
なんかすごい食レポしてますね、今度は焼き鳥でも食レポさせてみますか!

もうしばらくラプ様視点で進みます!ご高覧!ありがとうございます!
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