なんか時間飛んだ?
まあいいや。
無事ホーラ・ルーを撃破した俺たちは少し休憩する。
なんで今更来たんだろうね、彼。
どう考えてもヴァイクより強いと思うんだけどな。
強者を待っていた説と黄金樹が燃えてから狭間の地に呼ばれた説。
どっちが正解だろうね。
ほぼ問答無用で襲い掛かってきたから何も聞けなかった。
個人的には黄金樹が燃えてから、
いや、燃えたから狭間の地に来れた説を推したいね。
強者を待っていたとかならモーゴットの遺体を抱きしめてるのサイコパス過ぎるもん。
二本指に妨害されてたんじゃないかな?
エルデンリングを砕いたマリカの思い通りにはさせない!みたいな。
あくまで想像だけど。
さて、そんなこんなでマリカ=ラダゴンと戦闘だ。
ラダゴン相手ということで褪せ人くんが燃えている。
レナラ信者らしいから不倫したラダゴンを許せないっぽい。
いつもだったら距離をとって戦うのに、
霊薬がぶ飲みして、うおーっ!って突っ込んでカーリアの速剣振り回してる。
いやいや、ギデオンはそれで怯むけどさ、ラダゴンは無理よ。
冷静になれ、って忠告するが、頭に血が上っているのか聞こえないようだ。
あー、もう。
言わんこっちゃない。
褪せ人くんが死んだ。
何気に初めてだ。
まあいいや。
褪せ人くんは不死だし。
置き土産のクラゲがタゲ取ってる間に祝福の記憶で帰還した。
王座の祝福に戻ると褪せ人くんが座り込んでた。
軽く説教。
因縁の相手ほど冷静にいつも通り作業のように殺せ、と。
激情は殺した後に発散しろ、と。
褪せ人くんは息を吐いて落ち着いた後、頷いてくれた。
よしよし。
彼だってここまで戦ってきた一級の戦士だ。
冷静になってくれただろう。
正直ラダゴンはそんなに強くない。
状態異常は効かないけど、死の刃は有効だし、欲張らなければ回復が間に合う。
その後の獣が課題なので特に作戦も考えてなかったが、それが災いしたようだ。
取りあえず作戦会議。
岩石弾はちょっと隙が大きいから魔術の輝剣に変更。
今まで通り途中から本気を出す可能性があるから霊薬は節約すること。
アステールメテオも念のため記憶するように。
敵の動きを観察しながら魔術の輝剣を展開。
同時に展開するのは2つまでにすること。
こんな感じかな?
さーて再戦だ。
いつも通りクラゲと写し身を召喚。
そんでもって俺と遺灰が接近し、褪せ人くんが距離を取る。
褪せ人くんの魔術の輝剣に反応してステップを踏むラダゴン。
そこに発生が遅い死の刃を合わせることで輝剣と死の刃が同時に刺さる。
相手の火力が高いので遺灰が割と削られるが、問題なく撃破。
まあこっちの火力も高いしね。
中遠距離の攻撃手段があればそんなに苦戦する相手じゃない。
まあクラゲは死んだけど。
そしてラダゴンが地面に吸収されてエルデの獣が現れる。
褪せ人くんに霊薬飲んで隕石の杖構えてメテオ放つように指示。
一応背後に回るように、とも。
素直な褪せ人くんは走ってエルデの獣の背後に回ってアステールメテオを放った。
完璧だ。
魔術の地が無いのでメテオだけで仕留めるとはいかないが、
俺と写し身の死の刃も当たったこともあり、姿を消す前に撃破した。
こいつゲームではめっちゃ苦戦したなあ。
トレント呼べないのバグかな?って本気で思ったよ。
でもまあアステールメテオが有効なことに気づいてからは早かった。
今回はその経験が活きた感じだ。
さて、ラスボス討伐完了だ。
あー疲れた。
でもこれにて終了。
エルデンリングは修復され、不死も終わる。
死に戻りの条件とか分からんけど、取りあえず老衰まで頑張ろう。
それでも死に戻ったら?
知らん。
その時考える。
俺はラニ様の召喚サインに触れた。
そんでもって褪せ人くんを前へ。
あとはよろしくー、と言って祝福で去ろうと思ったら、
「まだ終わりじゃないですよティシーさん」
と褪せ人くんが杖を構えてこっちを向いているではないか。
なんぞ?
今から君はラニ様と一緒に律を月に持って行くんだよ?
もしかしてダクソ3みたいにラニ様殺害エンドとか目指すの?
やめとけ。
死ぬぞ。
息臭いって罵倒されるぞ。
「勝った方がエルデの王になる。
それで構わないですよね、ラニ王女」
「ああ、問題ない。
私は、私の王を信じている。」
召喚されたラニ様が頷く。
おーい、ラニ様?
あなたの王は褪せ人くんだよ?
ゲームではそうだったし、指輪はめたのも褪せ人くんでしょ?
「ずっとあなたと共に歩んで、数々の強敵と戦い、レナラ女王の仇も取った。
その旅路の中で一つの夢を得ました。
私は勝ち取りたい。
エルデの王にふさわしいと、心の底から尊敬し、ひれ伏したあなたから。
王の座を」
「えーと、別に王の座に興味ないから譲るよ?うん」
「いえ、譲られるのではなく、勝ち取りたいんです」
「……あー」
助けを求めるようにラニ様を見る。
「従者の望みをかなえてやれ私の王よ」
くつくつと笑うラニ様。
なんじゃそりゃ。
あと、貴方の王は褪せ人くんじゃないの?
どこでフラグ管理間違えた?
褪せ人くんを王にする為に頑張ってたはずが、気付いたら王になっていた。
いや、まだなってないけども。
褪せ人くんはやる気満々だし、ラニ様も俺を月に連れ去る気満々だ。
どうしてこうなった。
……まあ、いっか。
ラニ様好きだし。
死に戻りの条件とか分からんけど、ラニ様と一緒にいけば解決しそう。
ラニ様今から神になるし。
俺は黒き刃をしまい、ダガーを左手に構えた。
対人戦において隙の大きい技は控えるべし。
しかも相手は魔術師。
レベル差があるとはいえ、威力では押し負ける。
「しゃあないな。
やってやるよ。褪せ人くん。
いや、アトウマン・ベイ。
なあに、優しく仕留めてやるさ」
「行きます!」
褪せ人くん改めアトウマンが魔術の輝剣を設置し、突っ込んでくる。
輝剣から目を離さずダガーでフェイントをいれる。
アトウマンはカーリアの速剣を放った。
相変わらずだが、速い。
威力は高く、速く、防げない。
反則のような居合斬りだ。
そしてタイミング完璧に輝剣が飛んでくる。
頭めがけて飛んできたのでしゃがんで避ける。
再び接近してきたアトウマンへ蹴りを放つ。
狙うのは左手の杖だ。
しかし、バックステップで避けられた。
よく見ている。
やるねえ。
また輝剣を展開された。
この場所は遮蔽物がないから不利だな。
長期戦はじり貧になりそうだ。
なので速攻をかける。
再びフェイントを入れて速剣を誘発して、輝剣を避ける。
避けることで空いた距離をタックルで詰める。
俺がタックルを仕掛けたのを見てから速剣を差し込まれた。
反応が速い。
だが、想定している。
俺が仕掛けたタックルは地を這うような低いタックル。
速剣の下を潜るようにして距離を詰めることが出来る。
相手の前足に飛びつき、右手で踵を抱えて、肩で脛をプッシュする。
アトウマンはバランスを崩して倒れた。
俺はそのまま先程掴んだ足を左手に持ち替えて左手前に引っ張る。
そして左手のルーサットの輝石杖を蹴り飛ばし、
マウントポジションへ移行する。
右手の隕石の杖で魔術の輝剣が展開されたが、こっちの杖なら耐えられる。
俺は左手を相手の首の下にくぐらせて、くぐらせた左手で右手の袖をつかみ、
右手の側面を相手の首に当てて絞る。
袖車締めだ。
上を取った時点でナイフで刺すこともできたが、それはしない。
今まで助けてくれた礼だ。
ゆっくりと締め落としてあげよう。
……というか殺したら蘇っちゃうしね。
アトウマンが両手で俺の手を掴み抵抗するが、無駄だ。
逃げ方を知らない限り、余程の体重差がないと服を使った締め技は防げない。
途中で輝剣が頭にぶち当たった。
あと、数発速剣を喰らった。
めっちゃ痛い。
アステールの一撃より痛い。
でも締める力は緩めない。
10秒を数える前にアトウマンは失神した。
俺の勝ちだ。
あー疲れた。
想定外の連戦で疲労した俺にラニ様が近寄ってくる。
「これですべて終わったな。
ティシ―。いや、■■■■■よ」
「……え?」
それ、前世の名前。
なんで知って
「なんで知っているか、という問いに回答しよう。
最初から、というわけでは勿論ないが、
薄々は感じていたよ。これでも神の子だしな。
確信に変わったのはマヌスセリス大教会の地下、
お前が指輪を持ってきた時だ。
二本指を殺し、魂の段階が上がっていたからな。
だからこそ、お前が別の世界から来た男だということに気づけた。
時間の牢獄に囚われているということもな」
二本指を倒してレベルアップしたってこと?
そんなことある?
「指輪をはめたのはアトウマンなんだけどなあ」
「重要なのは誰の意思かだ。
もう、分かっているのだろう?」
言いながら、マリカの遺骸を拾うラニ様。
ゲームで見たエンディングだ
既に俺がラニ様と共に行くと決めたことも知っているらしい。
心が読まれてる?
これは今後の生活が大変そうだ。
まあ、俺も神になるから大丈夫、かな?
「私は誓おう。
全ての生命と、すべての魂に。
これよりは星の世紀。
月の理、千年の旅。
すべてよ、冷たい夜、はるか遠くに思うがよい。
恐れを、迷いを、孤独を。
そして暗きに行く路を。
さあ、共に行こうか。
……永遠なる、私の王よ」
俺はラニ様の手を取った。
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【アトウマン・ベイ視点】
目が覚めたらローデイルの王座だった。
すでに祝福はない。
ラニ王女とティシーさんは律を月へもっていった。
これからは人の時代。
勢力図は大きく変わり、神の加護を失った狭間の地は外部からの侵略にさらされるだろう。
ゆっくりしている余裕はない。
早急に身の振り方を決める必要がある。
今すぐ動くべきだ。
しかし、
「……勝ちたかったなあ」
勝ちたかった。
どんな手だって使うつもりだった。
暗器だって仕込んでたし、眠り壺も準備してた。
接近戦対策も色々考えていたのに。
……勝てなかった。
やっぱりティシーさんは強い。
私もああなりたい。
だからこそ。
「ちょっと休んだら、頑張ろう。
エルデの王はもう無理だけど、ただの王だったらなれるだろうし。
ローデイルは滅びちゃったからカーリア王家復興なんかもいいかもしれないな」
私は空を見上げた。
もう黄金樹は無い。
祝福もない。
巫女もいない。
私を導く先生もいない。
だが、何も残らなかったわけではない。
これまでの旅の経験は、絶対に役に立つ。
目標はひとつが叶い、ひとつが頓挫した。
次の目標はどうなるかな?
やりたいことが有るというのは楽しいな。
私は心の底からそう思った。
主人公はラニ様と幸せに暮らしましたとさ。
というわけで完結です。
今までありがとうございました。
褪せ人くんの名前は適当です。
まあ王に成るといえばこれかなあ、って感じ。