「オラオラオラァッ!」
脳天に打ち込んだ起爆竜弾目掛けて電撃弾を速射で撃ち込み、雷やられ状態に移行させる。
今回持って来たのは、アイテムBOXで埃を被せておくつもりだった、「フルーミィシリンジ」。電撃弾と麻痺弾(+睡眠弾)をばら撒く電撃ライトだ。貫通ライトは混戦状態だと使い難いからね。「夜行弩【梟ノ眼】」は少しお休みよ。
『グヴァァオオオッ!?』
さらに、徹甲榴弾Lv1を頭部に食らわせ、気絶状態にした。これぞ「フルーミィシリンジ」の持ち味である。動けなくなった所に、止めの電撃貫通弾を……、
――――――ピィイイイイイイッ!
『ボルァッ!』
「危なぁっ!?」
だが、追撃をする前にボルボロスが頭突き突進で横槍を入れて来た為、仕方なく攻撃を中止して回避した。クソッ、モンスターが助け合うんじゃない!
とは言え、相互援助はアタシたちにも出来る。むしろ、四方八方に射手が居る分、こちらの方が手数は上だ。やっちゃって下さい、里守バリスタの皆さ~ん!
「そりゃそりゃそりゃあっ!」
「ヨモギちゃぁあああんッ!?」
何時の間に参戦してたんですかね、ヨモギちゃん。速射砲を笑顔で撃つの止めろ。
『ボルァッ!?』
しかし、おかげでボルボロスは甲殻を砕かれ、堪らずダウンした。
『グヴェァアアアアアッ!』
代わりにディアブロスが復活したが。怒りに満ちた突進を繰り出し、幾人もの里守バリスタを打ち砕いていく。止めろ、クソッタレがぁ!
『バォオオオ!』『キュェエエエン!』
是が非でも止めを刺したいが、そうこうしている間に破砦役のモンスターたちが、我が物顔で関門へ向かっている。バサルモスだけでなく、ロアルドロスまでいるのか。水場が生息地でハーレムが基本のこいつが混じってるなんて、異常事態にも程があるぞ。
と、その時。
『コォオオオオオオオオッ!』
『バヴォッ!?』『クェアッ!?』
旋風氷ブレスが破砦役たちの行く手を阻んだ。ナイスだぞ、リベロ!
『ヴォオオオオァッ!』「ハァッ!」
『バモォォ……!』『キュェ……!』
そして、ユウタの連撃とアタシの連射が彼らの息の根を止め、
「てぁっ!」『グヴェアアアアッ!?』
突如舞い込んだイオリくんのモチツキウスがディアブロスをぺったんこにした。臼とは。
「イオリくん!」
「すいません……でも、僕も何かしたいんです!」
「………………」
だが、モンスターはまだまだ居る。人手は多い方が良い。
『ギュァアアアアッ!』『キュァアアアッ!』
今度は航空戦力のリオレウスとリオレイアが着陸し、猛然と襲い掛かって来た。陸の女王は分かるが、空の王者が降りて来るなよ。
しかし、こいつは良い、お誂え向きである。「フルーミィシリンジ」の錆にしてやるよ!
『コォオオオオッ!』
『『ギィッ……!』』
よし、破砦役を始末したリベロの援護射撃だ。何だ、やれば出来る子なんじゃないか!
「死ねよやぁっ!」
『ギュァアアッ!』
先ずは空に逃げられると厄介なリオレウスから斃す。リオレイアはユウタが力尽くで止めてくれている。今の内に、こいつを殺るぞイオリくん!
――――――ゾクッ。
嫌な予感がした、突然に。
「よし、これで……」
「危ない!」
『ギャァアアアアアアアアアアアアアアッ!』
アタシがイオリくんを突き飛ばした瞬間、視界の全てを赤く煌めく気光が覆い尽くす。これは、ラージャンの……いや、だが……しかし――――――、
「……激昂した、ラージャン!」
イオリくんの言葉に、アタシは納得した。1匹だけ混じっていた、あのラージャン。何処かアタシの知る物とは違うと思っていたが、そうか、獰猛化した個体だったのか。
『グゲァヴォオオオオオオァアアアアアッ!』
さらに、地を引き裂き、岩盤を捲り上げて、新たな脅威が出現する。
全身が赤黒く染まり、鏖魔の如く闇色の靄を吹き出す、傷だらけの悪魔。砂原からの百竜夜行を指揮する、ヌシ・ディアブロスの登場である。
チクショウ、このタイミングで……!
『ギャヴォオオオオオッ!』「アヤメさん! ……かはっ!?」
しかも、現れてすぐに水蒸気爆発を伴う爆速突進を敢行。今度は自分が庇う側に回ったイオリくんが、紙切れのように飛んで行った。
『グヴォォォォ!』
その上、空中で気絶している彼目掛けて、激昂ラージャンが大岩をぶつけようとしている。
「や゛……め゛……ろ゛……ッ!」
か、ら……だ、うごか……な――――――、
『グルヴォッ!』『ヴォオオオ!』
『ウギャッ!?』『グヴェァアッ!?』
いよいよ全てが手遅れになろうとした、その瞬間。リベロが激昂ラージャンに突撃して体勢を崩し、ユウタがガードタックルでヌシ・ディアブロスを押し倒した。
結果、激昂ラージャンが投げようとしていた大岩がヌシ・ディアブロスに命中。
『グギャアアアアッ!』
『グヴェァオオオッ!』
元々忘れていた我を空の彼方へ放り投げ、激昂ラージャンとヌシ・ディアブロスが殺し合いを始めた。一発一発が一撃必殺の殴打が飛び交う。
『やくっ!』
「その言い方は……」
その間にユウタの大粉塵と持ち合わせの秘薬で体力を回復し、瀕死のイオリくんを避難させる。
「ごめんなさい、アヤメさん……僕は――――――」
「いいから」
君は良くやった。だから、そこで休んでて。後はアタシとユウタがやるから。
「食らえ!」
『グヴェァォ!?』
アタシは横槍を入れる形で、ヌシ・ディアブロスに麻痺弾を撃ち込み、動きを封じた。殺し合いをするなら勝手にやれ。その代わり、お前には死んで貰う。他ならぬ、激昂ラージャンの手でな!
『グゴォオオッ!』『グヴェァ……!』
身動きが取れない無防備な状態では流石に耐え切れなかったのか、異常なタフネスを持つヌシ個体のディアブロスも、遂に力尽きた。ざまぁ見やがれ。
『ヴォオオオヴッ!』『コォオオオオッ!』
『グググッ……!』
そして、暴れ疲れた激昂ラージャンには、ユウタの鬼人空舞とリベロの氷ブレスが襲い掛かる。弱点である氷属性をこれでもかと叩き込まれた激昂ラージャンは、唸り声を上げながら去って行った。あの傷じゃあ長くはあるまい。何処ぞで勝手にくたばれ、独りぼっちでな。
こうして、砂原側からの百竜夜行は終息した。後に遺されるは死屍累々。人もモンスターも、沢山死んでいる。
「………………」
全然喜べないよ、こんな物。どうしてアタシたちは、こんな目に遭わなきゃいけないんだ……!
――――――ドドドギャァッ!
「『えっ?』」
だが、まだ終わりではないらしい。
静まり返った第3砦に、天空から赫い彗星が3つも降って来たのだ。
いや、これは星の類じゃない。アタシが知っている物よりもずっと小さく、全身が赫々としているが、こいつらは紛れもない――――――、
『『『ピィイイイイイイイッ!』』』
絶望の兇星、天彗龍「バルファルク」だ!
◆ヌシ・ディアブロス
竜盤目竜脚亜目重殻竜下目角竜上科ブロス科に属する凶暴な飛竜種、ディアブロスの暴走個体。何処ぞの古龍夫婦の婚活に巻き込まれる形で深手を負い、その怒りと憎しみで超飛竜に覚醒した。元は通常個体だが、まるで鏖魔ディアブロスのように大暴れする。
今回第3砦に進撃して来た個体は、とある不可思議なディアブロスの父親だとか。