『ボルフゥッ!』
何か行き倒れのボルボロスを助けてしまった(汗)。
……ハ~イ、ボクだよ。悔し紛れにイソネミクニ亜種を狩りに寒冷群島へやって来た、元ゴシャハギのユウタだよ~。
さて、来て早々なんだけど、何なのこれ?
クエスト開始と意気込んだら、何か凍死し掛けてるボルボロスが居て、このまま見捨てるのもアレだし、仕方ないから介抱してあげたんだけど……何でボルボロスがこんな寒冷地に居るんだろうか。乾燥しているのは同じとは言え、溶岩地帯とでは気温の差が有り過ぎる。砂漠地帯に適応した生物であれば、普通なら近寄りもしない場所だ。
『ボルルル』
すると、火石コロガシと回復薬により復活したボルボロスが、その辺の枝を前足で器用に掴むと、これまた器用に画を描き始めた。しかも、意外と上手い。
『グルヴォッ!』
これにはリベロもビックリですよ。
『あぅー』
……描かれているのは、溶岩洞、ディアブロスの番い、ロアルドロス、バサルモス、リオ夫婦、ラージャン、そしてボルボロス。
なるほど、普段は溶岩洞の水場で暮らしていて、新天地を求めて寒冷群島に通い詰めているのか。そう言えば、ボルボロスの亜種って氷砕竜っていうらしいね。だからって凍死し掛けてるようじゃ、本末転倒だと思うけど。
いや、でも考えようによっては、ボルボロスが寒冷群島に足を踏み入れられている時点で、大分場慣れしているって事でもあるのか。環境の変化には急に対応するのは不可能に近いから、案外こうしてギリギリを見極めつつ身体を慣らしていくのは、案外理に適っているのかもしれない。今回は見極めに失敗したようだが。
――――――つーか、ちょっと待て。溶岩洞に暮らしているディアブロスって、もしかして風の噂に聞くあの変わり種の事か?
なら、今度紹介して貰わなきゃ。1度で良いから、会ってみたかったんだよねー。
『ばいばーい』『グヴォッ!』
『ボルァアアアッ!』
とりあえず、別の機会に顔合わせする約束をしてから、ボルボロスと別れた。早く亜種に成れると良いね。
さて、奇妙な縁を結んだせいで大分時間を食っちゃったけど、本腰を入れて狩りに臨もう。頼むよ、リベロ!
そして、前回奴と初対面した洞窟の入り口がある、エリア10に辿り着いたのだが、
「わきゃーっ!」
『キキキキッ!』『ホヴァアアッ!』『ホォオオオッ!』
いきなり修羅場に出くわした。イソネミクニ亜種とフルフル2体(通常種と亜種の紅白コンビ)に、1人の少女が襲われていたのである。これはいけない。
『ヴォオオオオッ!』『グルヴォオオオッ!』
という事で、早速妨害してみた。リベロの氷ブレスがフルフル亜種に直撃し、驚くフルフルにはボクの二連斬りがヒットする。
『ヴォオオヴッ!』
『ギキィイイイ!?』
さらに、唯一冷静に氷ブレスを放とうとしていたイソネミクニ亜種に対して、ボクは両方の大剣を投げ付け、怯んだ隙に翔蟲を柄縁に差し向けて、パチンコ玉の要領で急接近。そのまま鬼人空舞に繋げ、滅多切りにしてやった。
『コァアアアアアア!』『『ホヴォオオオッ!』』
しかし、何時までもボクたちのターンとは行かない。腐ってもフルフルが2体も居るし、イソネミクニは経験を重ねた上位個体だ。放電と扇状氷ブレスが反撃として放たれる。
『コォオオッ!』『ヴォオオッ!』
だが、こっちもそう簡単には殺られないよ。リベロの氷ブレスでイソネミクニ亜種のブレスを一部相殺し、放電網は朧翔けによる見極めで切り抜け、イソネミクニ亜種へ立ち向かう。
『キュァアアアッ!』『グゥッ……!』
と、ジャンプ斬りを食らわせようとした瞬間、イソネミクニ亜種が跳ねるように尻尾で薙ぎ払い、単発の氷ブレスで反撃して来た。流石にこれは避け切れず、被弾して氷やられになってしまう。
『コキャアアアアアアアッ!』
『グルルルッ!』『ヴォッ!』
そして、イソネミクニ亜種は続け様に横薙ぎの直線氷ブレスを繰り出して来たのだが、それは割り込んだリベロが盾になってくれたので、直撃はしなかったものの、これで全員が氷やられ状態になった。ちょっとマズいかもしれない。
『『ホォオオッ!』』
『ベホマラーッ!?』
その上、背後から紅白のフルフルが電撃弾を放って来て、真面に直撃してしまい、麻痺状態に陥った。ヤバいヤバいヤバい、これは非常にヤバいよーッ!
『グルヴォッ!』『ホイミッ!』
痛い……けど、ナイス尻尾薙ぎ払いだ、リベロ。
『『グヴォオオオオオッ!』』
さらに、そのままリベロにライド・オン。ホバリングでフルフル2体の後ろを取り、氷ブレスで怯ませ、直ぐ様ダイブアタックをかまして、イソネミクニ亜種の方へ吹っ飛ばした。イソネミクニ亜種は咄嗟に回避したが、続くリベロの跳躍ダイブまでは避け切れず、もんどり打って倒れ込む。
『ギギュィイイイイイイヴヴヴヴヴッ!』
しかし、怒り状態になる事で、無理矢理に復活。猛烈な勢いで攻勢に転じて来た。裂傷状態に陥らせる髪棘、フリーズドライ突進、クルッと振り返ってローリング跳躍ダイブを繰り出して来る。
『グヴォオオオッ!』
『ギギャアアアッ!?』
だが、既に通常種だった頃の戦いを記憶していたボクには通じない。棘と突進は転がって回避して、跳躍ダイブはガードタックルで迎撃。撃ち落とした所に、真・溜め斬りを5連撃で叩き込んだ。これぞ大剣の双剣だからこそ成せる技よぉっ!
『キキィィィ……ッ!』
それでもイソネミクニ亜種は瀕死にも討伐にも至らず、氷ブレスを煙幕代わりにして、さっさと逃げ出した。紅白のフルフルたちも後に続く。前回の時よりも、ずっと強固な共生関係を結んでいるようである。
……このままだとクエスト失敗だけど、ま、良いか。
「うぅぅん……」
この子が助かったからね。
『なまえ~?』
「わたし? わたし、ルカ!」
へぇ、ルカちゃんって言うのか。可愛い名前だね!
「助けてくれてありがとー! ねぇねぇ、一緒に遊ぼ~?」
えっ、良いの?
なら、せかっくだから、遊んじゃおう!
◆◆◆◆◆◆
――――――大社跡、エリア9付近。
「これは……」
はいはい、アタシだよ。ちょっと嫌な予感がして、調査に出向いた上位ハンター、アヤメだよ。
いや、それは良いとして……これは一体、何だ?
「抜け殻? それに、これは……」
廃墟の陰に、包み隠すように脱ぎ捨てられた、何かの抜け殻。大きさは小型モンスター程度であり、甲虫種であれば脱皮するくらい珍しくも無いが、問題は
「子供の……骨……?」
それは、バラバラに砕けた、子供の白骨死体だった。色合いからして時間はそう経っていないようだが、肉や皮は一切残っておらず、骨髄すら抜き取られている。
まるで、
「こいつに、食われたのか? じゃあ、抜け殻の中身は、何処へ行った?」
と、その時。
「……何ッ、霧が!?」
急に霧が立ち込め、
『ホォオオォン……』
「オ、オオナズチ!?」
霞龍オオナズチが姿を現した。身体中の痛々しい傷跡を見るに、ウツシの話していた、プケプケを育てた変わり種の個体だろう。
しかし、そうだとしたら、一体何故アタシの前に姿を現したんだ?
『……ペロ!』
「うわぉっ!?」
すると、オオナズチが突然舌を伸ばして来た。
『………………』
しかも、直ぐに姿を消してしまった。いやいやいや、本当に一体何なんだよ……?
「いや、これは……」
舌で舐められたアタシの手の内に、何かが収められている。開いてみれば、握らされていたのは、服の切れ端。まさか、これは……!
「………………」
もしかして、オオナズチは“これ”を渡しに来たのか?
それでも意味不明な事に変わりは無いが、そんな事を気にしている場合ではない。
「急がなくちゃ!」
アタシは直ぐ様カムラの里にトンボ返りし、“証拠品”を渡してから寒冷群島へ向かった。
◆イソネミクニ亜種
海竜目海竜亜目人魚竜下目イソネミクニ科に属する海竜種、イソネミクニの亜種。別名は「氷人魚竜」。
通常種と違い、氷属性のブレスを吐いて来る。動きはより俊敏となり、自らの冷気で凍らせた地面を滑走して襲い掛かって来る。正直、耐性上げれば雑魚助な通常種とは比べ物にならないくらいに強い。
今作の個体は、最初に出遭ったイソネミクニが変貌した物。自らを退けたユウタとアヤメの事をライバル視しており、百竜夜行に出張ってまで戦力を補強した……が、結局辛酸を舐めさせられた。
……ちなみに、今回初めにエリア10で行っていたのは、狩りではなく“防衛”である。