泣いた雪鬼   作:ディヴァ子

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※別に壮大な話が始まる訳ではありまセン。


時は来た

 ハ~イ♪

 ボクだよ、何か「ユウタ」と命名された元ゴシャハギだよ~。

 さてさて、アヤメさんに連れられて、カムラの里にやって来て早数日。いい加減に人里暮らしも慣れて……は居ないけど、それなりに人間の常識は学べた。下は人前で脱いじゃダメ、絶対。

 そういう意味では、アヤメさんからプレゼントされたラージャン装備は良い具合である。見た目とは裏腹に着苦しさは全然無いし、何だか妙に力が漲る気がする。モンスターの防具を装着するとスキルが発動するって、本当なんだね。

 そんな未だヒヨッコ人間のボクだけど、本日よりハンターとしての修行を開始する事となりました。やったね!

 

「やぁやぁ、アヤメくんとハダカくんじゃないか! さっそく訓練と行こうじゃないか!」

 

 ちなみに、教官はこの人、ウツシ教官。数々のハンターを輩出して来た、凄腕の指導者だ。全部アヤメさんからの受け売りだけどね。

 

「ウツシ教官、もう裸じゃないです」

「何ッ、そうなのか? では、名前を思い出せたのかい?」

「いえ、そもそも無いようなので、とりあえず「ユウタ」と呼ぶ事にしました」

「その心は?」

「考えるのが面倒臭い」

「酷い話だ……」

 

 何か馬鹿にされてる気がする。失礼だぞ、

 

『“チョモランマ”!』

「チョモランマ?」

「……たぶん、ウツシ教官って言ってます」

「そ、そうなのか……」

 

 くそぅ、舌っ足らずな自分が憎い!

 まぁいい、ともかく訓練とやらを授けて貰おうじゃないか!

 

「それじゃあ、先ずは(・・・)寒冷群島に行こうか!」

「『ゑ?』」

 

 ……“訓練”なんですよね?

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

「さぁ、クエストを開始しようか!」

 

 という事で、戻って参りました、寒冷群島。

 本当にやって来ちゃったよ、この人。訓練って、普通は訓練所でやる物じゃないの?

 

「正気ですか、ウツシ教官?」

 

 ほら、アヤメさんもこう言ってるよ。

 

「うーん、ちょっと物足りないな。蔑みが足りない」

「死ねよ雄豚」

「ヨッシャァーッ!」

 

 駄目だコイツ、早く何とかしないと……。

 

「まぁ、冗談はさておき」

「冗談じゃないですよ、色々と」

「冗談はさておいてだ」

「ゴリ押ししたよ……」

 

 ある意味最強だな、この人。

 

「ユウタくん。君は恐らく、既に戦い方は(・・・・・・)知っている(・・・・・)と見た」

『あぅー?』

 

 えっ、何で分かるの?

 

「筋肉の付き具合や歩き方、それから迷いなく武器を選んだ事から、先ず間違いなく戦い慣れしている。ただ、それを上手く(・・・・・・)思い出せないだけ(・・・・・・・・)……そうなんじゃないかい?」

『おー』

 

 何だ、やれば出来る豚だったんじゃあないか。

 確かに、彼の言う通りである。ボクは元ゴシャハギ。自分の戦闘スタイルは本能レベルで体に染みついている。

 ま、実際は思い出せないんじゃなくて、身体を使い慣れてない(・・・・・・・・・・)だけなんだけど。同じ二足歩行とは言え、体格も骨格もまるで別物だからね。

 ただし、馬力はそのままなようで、だからこそ、こうして大剣を2本担ぐ事が出来ている。

 

 そう、ボクの持ち込んだ武器とは、大剣の双剣(・・・・・)だ。

 

 世間一般のゴシャハギに対するイメージと言えば二刀流であり、最初はボクもそれに倣って双剣を担いでみようかと思ったんだけど、流石に軽過ぎた。

 そもそも、ゴシャハギの二刀流は素早い乱舞と言うより、“切れる鈍器”を振り回すような感じで、即ち大剣や戦斧を2本持っていると表現した方が正しい。たまにハンマーにもなるしね。

 つまり、重い一撃を連続で放つのが、ボクにとってのベストなスタイルである。

 ようするに、大剣だのスラアクだのハンマーだのを両手でぶん回すのが、一番の正解だ。力任せなゴシャハギらしい戦い方と言えるだろう。

 ちなみに、今回背負って来たのは、「カムラノ鉄大剣Ⅰ」。言うまでもなく最初期装備だが、初陣かつハンターですらないので仕方ない。先ずは現場慣れして、素材を集めるとしよう。何時かは「ゴシャガズバァ」とか使ってみたいなぁ、元がゴシャハギなだけに。

 

「――――――とまぁ、そんな感じだから、弱いモンスターを狩る実戦形式で技術を思い出して貰おうと思う。俺とアヤメくんは、そのサポートだね」

「アタシのリハビリも兼ねて、ですか?」

「そういう事!」

 

 おお、何だ、この人も結構考えてるじゃん。てっきり、罵られる事に喜びを見出すだけの豚野郎かと思ったけど、そこは指導者という事か。

 もしかしたら、将来的にはボクとアヤメさんでチームを組ませる算段なのかもね。そうなったら、嬉しい限りだよ。

 実際、前に出て戦うボクと後方から援護するアヤメさんという組み合わせは、理に適っている。欲を言えば、もう1人くらい前線で戦える人材が居ると良いね。ヘイトが分散するから、被弾率も低くなるし。

 あとは回復や移動の足となるオトモンが欲しい所だけど、それも含めて後々かな。

 とにかく、今は目の前の狩りに集中しようじゃないか。

 

「それじゃあ、先ずはあのベリオロスから狩ってみようか(キリッ!」

 

『グヴォオオオオオオン!』

 

「『………………』」

 

 前言撤回。この人、やっぱりただの豚だわ。




◆ウツシ教官

 カムラの里における指南役。ついでに闘技場の受付係でもある。主人公にハンターの何たるかを叩き込んだ恩師。武器は「疾風」「迅雷」という特注の双剣。
 独特の加工が成されたジンオウガ装備に身を包むイケメンで、百竜夜行の101体目みたいな主人公にハンターのイロハを教えられるだけの実力も持ち合わせているのだが、どうにも天然ボケな一面があり、モンスターの鳴き真似が得意なばかりにフクズクに嫌われたり、「やぁ、愛弟子!」と暑苦しく迫って主人公に若干引かれたりしている。何と言うか、愛すべき馬鹿キャラ。
 ちなみに、翔蟲の鉄蟲糸技を確立させた第一人者でもあり、百竜夜行では周囲のモンスター全てを一瞬で操竜待機状態に持って行くという、人間離れした技を見せ付けてくれる。正直、里長より使い易いです。でもヨモギちゃんには負ける。
 今作では教官の一面が強く出ていて、主人公とメラルだけでなく、セイハクやコミツ、アヤメにロンディーネ、果てはユウタにまで訓練を施している。見境なさ過ぎとか言ってはいけない。
 あと、確定ではないが、ぶたれたり罵られたりすると喜ぶという噂も……。
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