「アレン、準備は大丈夫かしら?」
「そんなに気を張らなくても大丈夫だよ。挨拶回りには僕もユリアンもいるしね。それに多少のミスは許されるし僕たちフォローに入るから安心して」
「……とても心強いです」
僕は今、父上の母上と共にお披露目会の会場にいる。
会場には馬車を使い向かった。
王宮に着くと、騎士と思わしい鎧を着ている男が数人いて、案内をしていた。
荷物検査から危険物の持ち込みをしていないかのボディーチェックをしていた。
ただ、僕たちを対応するにあたって、兵士の方々はすごく緊張していた。
失礼がないよう、粗相をしないようにと思っていたのだろう。
鼓動が早く、危うくこっちまで緊張してしまった。
ただ、僕はそんな兵士の人たちに対して、「いつもお疲れ様です」と言ったら笑って「ありがとうございます」と返してくれた。
本心からの言葉でも社交辞令だと思われたと思うが僕にできたのはこれだけであった。
その後は王宮に務める使用人に案内をされ、パーティ会場に向かった。
会場に足を踏み入れると、一番に目に入ったのは会場中央の天井に設置されているシャンデリアだった。
金と銀を基調とした色とりどりの宝石が付いている……とても綺麗だ。
周囲には使用人たちが待機していて、会場の端にはご馳走が並べられていた。
「アレン、なにをそんなに……あ、料理!…食いしん坊さんなんだから」
「すいません」
「大丈夫よ。……でも、食事は後でね」
「はい」
少し周りを見すぎたかな?
母上にキョロキョロしすぎてしまっていたのか、指摘されてしまった。
でも、子供ははじめて見る光景に目を奪われてしまうのは年相応の行動だと思う。
精神年齢三十路くらいだが、言い訳をさせてほしい。
こんなの普通のヨーロッパではあるまいし、日本ではまず見れない光景だろう。
だからしょうがない。
でも、指摘されてしまったからには同じことはしない方が良い。
なので、僕は興味がそそられるものが多い中、見るのは最低限に我慢して父上たちついていく。
会場にはもうすでに招待された人たちが集まっていた。
子供は見た感じ30人前後かな?
大人も合わせると人数は100人ほどか。
『『『すーはーすーはー』』』
『『『ドクン…ドクン…ドクン』』』
それにしてもみんな緊張しているのかな。近くに通りかかった子供の心拍が少し早かったし、ところどころで深呼吸が聞こえた。
会場は少しガヤガヤしていた。
……僕友達作れるのかな?早く行動開始したほうがいいかもな。
でも、一応今日の流れだけは把握しておこう。本来なら事前に確認しておくものだが、忘れていた。
「父上、今日のお披露目会の開始まで時間がありますが、なにをするのですか?」
「うーん。アレンには少し難しいかもしれないけど聞きたいかい?」
おそらく10歳の子供に話してもしょうがないと思ったのだろう。
「お願いします」
「そうだね。まずは挨拶周りかな」
「挨拶……ですか」
「そう。まずは式が始まる前に上流貴族の方々に挨拶を済ませておく必要があるんだよ」
「なら、もっと早く来なきゃダメだったんじゃ……」
は、と気づいた時には遅かった。
ついつい驚き素で返してしまった。
現在、お披露目会が始まる一時間ほど前。
全て挨拶を回るには無理だろう。
だが、この疑問は母上が答えてくれた。
「大丈夫よ。お披露目会と言ってもこれは貴族の子息子女が10歳まで健やかに成長したことへとお祝い行事だから、普通の貴族のパーティとは少し仕様が違うのよ」
よかった。
どうやら普通の貴族のパーティと違って少しだけ軽いようだ。
どんなものでもはじめてには結構緊張してしまうからね。少しだけ肩の荷がおりたな。
「ユリアンの言う通り、パーティの練習みたいなものだと思ってもらえばいいよ」
「わかりました」
母上が説明を。そのあと、父上がその補足してくれた。
父上と母上が説明してくれて、流れだけは理解できた。
本来は挨拶回りをしなければいけないけど、今日はないのか。
10歳の子供だと疲れてしまうからかな。
お披露目会とはあくまでパーティの練習。
徐々に社交界に慣れるための第一段階。
気を張り続けたのが馬鹿らしいくらいだ。気楽に参加して大丈夫そうだ。
僕は「夢ファン」の主要キャラには出来る限り最低限の交流だけにしたい。
アドリアンとは学年が一つ違うからこの会場にはいない。
オーラスとアレイシアも学年は同じだから話す可能性はあるが、最低限に収めればいいし、できる限り避けよう。
主人公フローラに限ってはまだ平民なので会場にいるわけがない。
交流は最低限度になる。
そう思っていたのだが……。
「でも、練習といっても挨拶回りをしないというわけじゃないんだ。毎年の習わしでお披露目会に参加する貴族で一番爵位の高い方に挨拶するのが決まりなんだ。まだ、いらしてないけど、もうすぐ来るはずかな」
安心してるのも束の間、父上がまたも追加説明をしてきた。
僕は急な展開に少し驚くもすぐに確認のため質問をする。
「……ちなみに今年は誰なのでしょう」
「今年は担当は……ソブール公爵閣下だよ」
はい、悪役令嬢と会話すること確定しました!
世の中そんなに甘くない!
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