実は僕……耳がすごくいいんです。   作:花河相

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乙女ゲーム「夢見る乙女のファンタジア」通称「夢ファン」。

 

 ヒロインであるフローラ視点でゲームが進行する恋愛シミュレーションゲームで攻略対象と親交を深めハッピーエンドを目指す。

 ただ、「夢ファン」はシナリオを進めるだけでは攻略対象とのフラグを立てることができない。

 「夢ファン」はゲームシナリオを進める上で、フローラのステータスを向上させ、条件を満たさなければ発生しないイベントも存在する。

 

 ゲームを進める上で上げるステータスは大きく分けて三つ。知力、体力、そして財力の三つで、それぞれ5段階。

 

 

 ステータスを上げることはさほど難しくない。

 ゲームシナリオを進めると、昼休憩パート、放課後パートがあり、そこでステータスを上げれば良い。

 ただ、それと同時進行で攻略したい攻略対象とのイベントをこなし、好感度を上げなければいけない。

 

 攻略対象の好感度が一定以上かつ、ヒロインのステータスも条件を満たせればハッピーエンドになる。

 

 そんな「夢ファン」の攻略対象は主に三人。

 

 

 国の第一王子、王位継承権1位。俺様キャラが特徴で、才色兼備なアドリアン=グラディオン。

 

 外交を主に任されているグレゴリー侯爵家の御曹司。知的な雰囲気を漂わせるオーラス=グレゴリー。

 

 そして最後にこの僕、ユベール伯爵家の嫡男アレン=ユベール。

 

 名前を上げた順で攻略の難易度は高くなる。

 それぞれルートのハッピーエンドでは、主人公が学園に入学した目的を達成するための行動でそれぞれ違う未来が待っている。

 

 ちなみにその目的というのが、自分が孤児として育ち、苦労をしたため、自分のように苦労をする人間が少しでも減るようにより良い国にすること。

 

 

 アドリアンルートならば王妃となり、より良い国にするためアドリアンと尽力し、支える未来。

 

 オーラスルートなら外交の仕事を妻として支え、将来的に外交で得た知識をフルに使い、商いをはじめ国内を豊かにする。

 

 そして、最後にこの僕、アランルートは国内をよくするために最善の行動をする。

 ほかの攻略対象とはルートとしては地味すぎると思うが、これには理由がある。

 アレンルートはいわばお助けルートだ。多少ステータスや好感度が低くても攻略できてしまう。

 

 初心者むけ、最初の練習台、チュートリアル的なルート。

 

 そのため、攻略難易度は低く設定されている。

 

 俗に言うちょろいやつなのだ。

 

 

 

「こんなことになるならもっと理恵とゲームやっておくんだったなぁ。隠しキャラもいるって理恵言ってたけど、名前くらい聞いておけばよかったよ」

 

 現在、家族が寝静まり、時計の針が12時を指している自室で「夢ファン」の覚えている限りの情報を書き記しているのだが、大ざっぱなことしか覚えていない。

 

 キャラの名前と大まかな内容だけだ。それに詳しいシナリオは覚えていない。理恵とシナリオをRTAで進めたからだ。

 理恵とゲームをした理由も理恵が悪役令嬢であるアレイシアに疑問を持ったため、そこしか見ていない。

 

 まだ、この国名や攻略対象の家の名前など、それらを調べていないからなんとも言えない。

 

「明日はシンにお願いして色々教えてもらうか」

 

 本来なら自分で調べれば良いことなのだが、僕はこの世界の文字が完璧に読めない。

 僕も年相応の生活をしながら怪しまれない程度に勉強をしていたのが、仇となった。

 

 まぁ、ゲーム開始にせよ、まだまだ時間はあるし、慌てることではない。

 とりあえず今一番にやることは。

 

「とりあえず寝よ」

 

 これである。

 

 

 今日は色々あった。

 父上の職場を見るだけなのに何故こんな慌てなきゃいけないのか。

 僕はまだ3歳児、いい子はすでに寝なきゃいけない時間。

 ということで、今日は寝た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして次の日。

 シンに国名、家名の必要最低限な情報を調べた。

 国名はシンに聞いたらすぐにわかったが、家名を調べるのはタイヘンであった。

 流石に直接家名を聞くのはできないため、少し思考した結果、貴族の家名辞典のようなものがあるんじゃないかと結論付け、探した結果発見できたので、そこで確認した。

 

 

 

 偶然僕の名前が同じだけならばよかった。

 

 僕は攻略対象から悪役令嬢の家名を探して見つけ出してしまった。

 そして、少し探すのは大変であったが、男爵家、ヒロインがなるはずの家名までも見つけ出したしまった。

 

 

「ここ……夢ファンの世界で確定じゃん」

 

 僕はこの世界が乙女ゲームの世界であることが確定しため息をしたのだった。

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