落ち着け! 話を聞け! いいか、私は女だ!!   作:あんどぅーサンシャイン

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YANDERE VS SISUKON 後編だったらいいのに

 

 

 ―――side ましろ

 

「ポピパの皆さん……」

 

「なんでここに……いや、タイミング的に理由なんて聞くまでもねーよな……」

 

「……結愛さんのお姉さん、ですよね?」

 

「あれ? なぁんだ、気づいてたんだ。じゃあ……この後私達が何を言いたいのかも、分かってるってことだよね?」

 

「「「「「!」」」」」

 

 頭から爪先までビリビリと伝わってくる五人分の殺意の波動。一触即発とはまさにこんな状況を指すんだろう。

 緊張と恐怖をグッと押し殺し、気絶している結愛さんを背負う瑠唯さんを守るように陣形を組みかえて向こうの出方を伺う。すると、先頭に立つ先輩、戸山香澄さんがゆっくりとこちらに歩みよりながらこう言った。

 

 

 

「大人しく結愛先輩を引き渡してから死ぬか、死んでから結愛先輩を取られるか、好きな方を選んでいいよ」

 

 

 

 おかしい。一番大切な私達が生き残るっていう選択肢が一つも見当たらない。

 そんな理不尽とも取れる発言に、隣のつくしちゃんが反論する。

 

「ど、どっちも嫌ですよ! 大体なんで私達がそんな酷い目に合わなきゃいけないんですか!?」

 

「永姫さんから言われてるんだよね。もし仮に任務の邪魔をする輩がいたら誰だろうと容赦なくひねり潰していいぞって。私達とは初対面なのにそんな風に気にかけてくれるなんて、優しい人だよね」

 

「どこかです!? ひねり潰せってワードを年頃の女の子に言う時点で優しさの欠片も見当たらないですよ!? どうか正気に戻ってください皆さん!」

 

「うるさいよつくしちゃん!! そのツインテールごと脊椎と四肢をまとめて引き裂いて人間だるまにするよ!?」

 

「全身を攪拌器で挽き潰してオッちゃんの餌にするのもいいね」

 

「もしくは生きたままパンの生地に練り込んでオーブンに入れて焼け死ぬ様を笑いながら見物するのもいいかもよ?」

 

「あ、それなら焼く前に目と鼻と口に高温度に熱したチョコレートを窒息死するまで流し込んでねじ曲げて人間チョココロネにしてもいいな~」

 

「いや、四方八方から串刺しにして人間盆栽を作るのもアリじゃねえかな。婆ちゃんも喜んでくれそうだ」

 

「ダメです皆さん! それらはもう女子高生云々じゃなく人としてアウトな発想です!! 全員もれなく死ねって言ってるようなものじゃないですか!!」

 

「「「「「黙れ!!! 死ねボケ!!! 貧相なガキ風情が!!! ゴチャゴチャ言わんとさっさと結愛先輩寄越さんかダボがぁ!!!」」」」」

 

「( ゚□゚)」

 

 息もつかせぬ罵詈雑言の連打攻撃に、つくしちゃん為す術無く敗北。

 ……どうしよう、今の香澄さんが本当にあの時私を勇気づけてくれた香澄さんと同一人物なのか疑問になってきたよ。 

 

「さ、無駄話は終わりだよ。覚悟決めて死んでね」

 

「ちょ、ちょちょちょちょタンマタンマ!! 待ってよ先輩達!! こんなの絶対間違ってるって!」

 

 今度は透子ちゃんが香澄さん達を止めに入る。

 

「なんだクソギャル」

 

「辞世の句でも唱えるつもりか?」

 

「観念して殴殺されろカス」

 

「いやマジで口悪いな! じゃなくてか、考えてもみてくださいよ! 仮にアタシ達を始末して結愛先輩をゲット出来たとしても、当の結愛先輩がその事を知ったら先輩達に対してどういう気持ちを持つか!? 今よりもマイナスイメージがついちゃうんですよ確実に! 最悪嫌われてもおかしくないです!」

 

「「「「「!」」」」」

 

 透子ちゃんの訴えに五人が押し黙る。 

 た、確かに透子ちゃんの言ってることは正論だ。もしこの行いがバレたら最後、結愛先輩からの評価はダダ下がりしてしまうだろう。ヤンデレの人達にとってそれだけは何がなんでも避けたい筈だ。

 

「た、確かにそれは一理あるかもな……」

 

「うん……私も同感」 

 

「ダメだよ皆! 惑わされないで! あんなの口からでまかせだよ!」

 

「でも香澄! 結愛先輩に嫌われたら元も子もねえぞ!」

 

「さすがに精神が耐えられないよ!」

 

「そうだよ! 香澄みたいに無神経で恥も外聞も知らないバカならともかく!」

 

「急にステージの上でキラキラ星を約六分半も歌っちゃうような痛すぎる誰かさんと違って、私達の心は繊細なんだよ!」

 

 あのシーンを蒸し返すのはやめてあげてほしい。

 私も途中から見てられなくなってチャンネル変えたくらいだから。

 

「確かに皆の気持ちも分かるよ! 私だって結愛先輩に嫌われたら生きていけないもん!」

 

「「「「なら―――!!」」」」

 

「だからね皆。もしそんな目に合っちゃったら、心の中でこう唱えるの」  

 

 

 

 

 

「―――嫌よ嫌よも好きのうちって」

 

 

「「「「それだぁああっーーー!!!」」」」

 

「それだじゃねぇよ馬鹿野郎!!」

 

 なんという強引かつ自己中心的な解釈。

 この人達……というより香澄さんの精神的タフネスの強さが底無し過ぎる件について。

 

「クッ! わかっていたけどやっぱり口で解決は無理っぽいね! なら……逃げるよ皆!」

 

「う、うん!」

 

 これ以上はもう埒があかないので、私達五人は教室から脱兎のように逃げ出した。うう、やっぱりこうなっちゃうんだね……。

 

 

『あ、あいつら逃げやがった!! フザけんな卑怯ものが!』

 

『なんて往生際が悪いのかな!! これじゃあもう手加減なしで散々に痛め付けてから嬲り殺すしかなくなってくるじゃん!!』

 

『どうする香澄!』

 

『大丈夫! 今取り逃がしてもまだ始末するチャンスはたくさんあるよ。どうせここからは出られないんだから。だから私達も落ち着いて行動していこう! じゃあいくよ!』

 

『『『『ポピパ! ピポパ! ポピパ! パ! ピポパー!』』』』

 

 

 後ろから聞こえてくる歴代最悪の掛け声に、私は心の中で思った。

 

 

 

 

 

 (……私、憧れるガールズバンド間違えたかも)

 

 

 

 

 

 

 ~~~

 

 

『いたぞ! ポピパ連中からの通達にあった共犯者共だ!! 現在二階廊下を西に逃走中!!』

 

『逃がすな!! A、B、C部隊! そして各階に散るバーサーカー部隊!! 前と横から挟み込んで文字通り袋叩きにし、結愛様を奪い返せ!! 最悪殺しても構わない!』

 

『幸運なことに白鷺千聖はいない模様!! このチャンスを逃すな!! あの愚か者共に我ら柊永姫氏の名の下に正義の裁きを下し、生き地獄を見せてやれ!!』

 

『腹ヘッタ……喰ワセロ、喰ワセロ。裏切リ者の肉……たくさん喰ワセロオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!』

 

『■■■■■■■!!! ■■■■■■!!!』

 

『殺ッチャウモーンー、殺ッチャウモーン!! ダッテワタシィ、悪イ人ヲ殺スノタマラナク大チュキナンダモノオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

 

 

「はぁ……はぁ……!」

 

「もう疲れた……!! どこまで追いかけてくるのさー!!」

 

「ねぇ!? つうかなんか段々増えてきてない!? 後ろ見えるだけで五十人ぐらい黒ずくめいんだけど!? やだやだキモいキモいキモい!!」

 

「まるで百鬼夜行ね。見ていて気分が悪くなるわ」

 

「逃○中なんて比にならないくらいの恐怖だよね~」

 

 現在の状況は最悪そのものだ。

 学院の出入口はほとんど閉じられちゃって外に出られない。なので仕方なく校舎内を逃げ回ってるんだけど、向こうは際限なく人を投入して右往左往から襲いかかってくる。

 おまけに、

 

『いい加減諦めて魂ごと滅びなさい! 逃げても無駄なのよ!!』

 

『大人しく結愛様を渡して処刑されろ!! もしくは惨たらしく死ね!!』

 

『アンタらみたいなクズが神を拐おうなんて烏滸がましい!! 殺してやる!!』

 

 

 ヒュッ! ヒュッ! ブゥンッ! ブォォオオンッ!!!

 

 

 気づいたら私達まで始末の対象に含まれてしまったようで、さっきからナイフやらカッターやらチェーンソーやら電信柱やらとにかく危ないものを次々と投げてくる。 

 ……………電信柱って投げれるものなんだっけ?

 

 

「ひぃいいっ!? 廊下に電信柱が突き刺さったぁ!?」

 

「マズいって……冗談抜きでアタシ達のこと殺しにかかってんじゃん!!」

 

「それにこのままあの調子で暴れられると、校舎そのものが危ないわ。倒壊するのも時間の問題ね」

 

「え、マジ? じゃあ尚更脱出しなきゃじゃん! どっかに抜け道的なところは―――」

 

 

「逃げ道? そんなものあるわけないでしょう」

 

 

「!!」

 

 前から声が聞こえて、思わず皆足を止めた。

 見るとそこには銀髪とネコみたいな鋭い目が特徴的なRoseliaのリーダー、湊友希那さんが仁王立ちで立ち塞がっていた。

 

「友希那さん……」

 

「無駄な抵抗はやめて降伏しなさい。さもなくば……極めてグロテスクに貴女達をシバキ殺すことになるわよ」

 

「グ、グロテスクって……」

 

「ええ。それが嫌なら結愛と首を差し出しなさい」

 

「あの、それじゃどっちにしろ私達助からないんですけど……」

 

「? むしろ助かるなんて選択肢がどこにあるのかしら」

 

 さも不思議そうな表情でそう言い放つ友希那さん。

 どうやら私達を始末することはどうあっても決定事項なようだ。

 

「な、なら駄目です! どっちも渡しません!」

 

「そう。交渉決裂ね……ならとっとと死ねやぁぁあああっ!!!

 

「「「「いやぁあああっ!!?」」」」

 

 慌てて横に跳んで逃げる。

 さっきまでいた場所には友希那さんが踵落としを叩きつけていて、亀裂と大きな穴を開けていた。

 

「う、嘘……廊下が崩れた!?」

 

「なんなんだよこれ……!」

 

「なんて怪力……」

 

「もう一度だけ言うわ……結愛を渡して蹴殺されなさい」

 

「っ……!」

 

『あっ、見て! あそこにいるは湊先輩!?』

 

『来たわ!! 私達の究極兵器(アルティメット・ヤンデレ)が!!!』

 

『どうやらこれで終わりみたいね!! 異端者共!!』

 

『ガンホー!! ガンホーー!!』

 

 思わず冷や汗が出る。結愛さんから話は聞いていたけど、まさかこんなに恐ろしい力を持ってるヤンデレだったなんて。しかも背後にはさっきの黒ずくめの人達がいて、突破どころかどこにも逃げれなくなっちゃってる。

 

「さぁ早くしなさい。私の気は長くないわよ」

 

「そ、そんなのあんまりじゃんか……!」

 

「や、やめて……来ないで!」

 

 ど、どうしよう。せめて目の前の友希那さんだけでもどうにか出来れば……!

 

「……あっ!」

 

 そうだ。一つだけ思い付いた。この窮地を脱することの出来る方法が。

 これなら上手く友希那さんと後ろの人達を全員どかせるかも知れない。けれど……

 

 

「……………凄く恐いなぁ」

 

「え、ましろちゃん?」

 

「シロ?」

 

「…………ううん。迷ってる時間はないよね。瑠唯さん。ちょっとごめんね」

 

「? 倉田さん。何を……っ!?」

 

 私は瑠唯さんから無理矢理結愛さんを奪い取り、そのまま友希那さんに向き直る。そんな私を友希那さんは怪訝な目付きで睨んできた。

 

「……何のつもりかしら。倉田さん。その薄汚い手で私の結愛に触らないでもらえるかしら」

 

「友希那さん……どうかそこを通してください。お願いです」

 

「無理よ。貴女達はここで死ななくてはならない。どうあがいてもこの事実は揺るがないわ」

 

「い、いいんですか……そんなことを言っても」

 

「……何ですって」

 

 

 

「どいてくれないなら私は今ここで……結愛さんにキスをしますよっ!!!!

 

 

 

「なっ!!?」

 

「「「「ハァ!!?」」」」

 

『『『何だとォ!!!?』』』

 

 この場にいる皆が私のいきなりの宣言に驚愕の声を上げる。

 うぅ……自分で言っていてなんだけど物凄く恥ずかしい。

 

「あ、貴女……! キスって、自分で何を言ってるのか分かってるの!? そんな馬鹿な真似をしたら―――!!」

 

「したら……なんなんですか? ど、どうせ私は死んじゃうんでしょう……なら最後くらい、自分の好き勝手な事をやってから死んでやる……! 初恋の人と口づけを交わして天国に行けるのなら、私は本望なんだよ……!」

 

「ま、ましろちゃん! 冗談言ってる場合じゃないよ!!」

 

「つくしちゃん、みくびらないで。私は本気だよ……! 嘘だと疑うなら、今ここで―――やってやる!!!」

 

「「「「!!!」」」」

 

 結愛さんの顔を自分の顔にグッと近づける。透き通るような髪から漂うシャンプー、女の子特有の甘くて優しい香りが鼻孔をくすぐり、頭の中がふわふわした感覚に包まれる。

 

『! 止めろ!! 今すぐヤツをブチのめしてでも止めさせろ!!!!』

 

『無理です!! ここからではもう間に合いません!!』

 

「や、やめなさい倉田さん……!! やめて! やめろォ!!!」

 

「……! 結愛さん、ごめんなさい……失礼しますっ!!」

 

 もう止まらない。

 私は勢いよく自分の唇を結愛さんの唇に密着させ―――

 

 

「やめろっつってんだろうがこのゲス野郎がぁあああ!!!!」

 

 

 

 

 

「……………引っかかりましたね」

 

「!!?」

 

 ―――る寸前で、私は結愛さんから顔を遠ざけた。

 そして友希那さんが全速力で放ってきたであろうドロップキックを、姿勢を低くして紙一重で回避する。

 

「皆!!! 伏せて!!!」

 

「「「「!!!?」」」」

 

 他の四人も私の大きな掛け声に釣られてしゃがみこんだ。その僅か数ミリ上をロケットみたいに跳んでいき、やがて、

 

 

「まずいわね。制御が効かないわ……!」

 

『えっ』

 

『あの湊さん? どうしてコッチに来てるんで―――あっ』

 

 

『『『ぎゃぁぁあああああ~~~っ!!!』』』

 

 

 後ろの集団と衝突事故を起こした。

 威力はやっぱり相当なものだったみたいで、断末魔の悲鳴をあげて何十人もの人が遥か後ろに吹き飛ばされていく様子が背中越しに分かった。

 

「や、やった……! 作戦が成功したよ、皆」

 

「え、え? これってましろちゃんの作戦なの?」

 

「おお~しろちゃんやるぅ!」

 

「結愛先輩にチューしようとしたのも湊先輩を騙す為の芝居だったんだな? いいじゃんシロ!」

 

「え、もっ、勿論! あんな恥ずかしい事本当に出来るわけないからね!」

 

「でも貴女、その割には目が真剣だったわよ」

 

「そ、そんなことないよ? え、演技だよ……?」

 

「……もしかして貴女、湊先輩が釣られなかったらあのまま本気でキスするつもりだったのかしら」

 

「えっ!? な、何言ってるの瑠唯さん。そんなの微塵も考えてないよ。あはは……」

 

 うぅ、瑠唯さんってこういう時はとても感が鋭いなぁ……確かにちょっと惜しかったなって思ったのは本当だけど。

 

「まあなんでもいいじゃん! それよりもさっさと先に進もう!」

 

「そうだね! 友希那さんが追いかけてこないうちに!」

 

「う、うん!」

 

「クソが!!! 小賢しい真似を……あっ、待ちなさい!! 絶対に逃がさないわよ!!!」

 

 友希那さんの制止の声を背に、私達は再び結愛さんを担ぎ上げて走り出す。

 幸いにも友希那さんが黒ずくめの人達ごと廊下を破壊してくれたお陰で、追撃も来ることなく安全に三階を脱出する事が出来―――

 

 

「よくも私をあんなフザけたやり方で騙してくれたわね倉田さん……何がなんでも絶対に殺し潰す……出番よ!!! 貴女達!!!」

 

 

「きゃあっ!?」

 

「ひっ!? 今何か聞こえ―――きゃああっ!!?」

 

「ちょ! ふーすけ―――いっ、いだあっ!!?」

 

「え、なになに―――へぶっ!!?」

 

「っ、まさかまだ敵がいる―――ぐっ!!?」

 

 ちょうど渡り廊下を通過したあたりで、いきなり誰かに五人とも押し倒された。ひっ! な、なに!? 

 

 

「は~い、悪あがきもそこまでだよ~♪」

 

「無駄な抵抗なんざやめな。出来るだけ余計な手間はかけたくねぇんだ」

 

「あはは~。呆気なく捕まっちゃったね。残念だったね」

 

「やっぱり花ちゃんはしくじったんだ……まあいいや。あまり期待はしてなかったから」

 

「パレオ! 絶対にこのlawbreaker共を離すんじゃないわよ!」

 

「了解しました! チュチュ様!!」

 

 床に組伏せられ、身動きが取れない。

 こ、この人達は……!

 

「リサ先輩……! 日菜先輩も……!」

 

「それにRASの人達まで……!」

 

「チッ、貴女達まで向こう側ってことかよ! マジで最悪!」

 

「ん? 何寝惚けたこと言ってるのかな。最悪っていうのはね―――コッチの台詞なんだよこのダホハゼがぁあ!!!!

 

 ボゴォン

 

「ひいっ!?」

 

 怒りのあまり壁を殴り付けてヒビを入れる日菜さん。

 あの、どうして私の周りにいる先輩達はそうやって腕力が人間離れしてる人しかいないのかな?

 

「元凶の千聖ちゃんは後で見つけ出し完膚なきまでにブチ殺すとして……五人とも、結愛ちゃんをどこかに連れ去ろうとするなんて神に唾を吐くような愚行を犯すなんて絶対に許さない……根絶やしにしてやる!!!」

 

「よくもこの荒廃した世界に咲く一輪の花を汚しやがって……覚悟しろよ後輩共。ありとあらゆる残虐な方法を用いて滅ぼしてやっからよ……!!!」

 

「ただでさえ今回でようやく初登場っていう不遇な扱いをRASは受けてるのに、一番新人の貴女達はそんないい思いをするだなんてさせない……させるわけにはいかないんだ!!! だからその恨みも兼ねて始末してやる!!!」

 

「言っておくけどこれは“murder”ではなく“judgment”よ。悪とは……正義によって裁かれなければならない存在。そう……今は私達こそが絶対なる正義なのよ!!!」

 

「そして貴女達は……滅ぼさなくてはならない悪なんです。だから諦めてください」

 

 もの凄く理不尽な事を言われている気がするけど、そんなことがどうでもよく思えるくらい、今の五人の先輩方の発している怒りと殺意が凄まじい。ポピパさんを軽く凌駕している。

 その証拠に先輩達の目は一筋の光も私達に対する一欠片の情も宿していない。確実にここで私達を殺して沈めるつもりなんだ。

 

「とりあえずアレだね。両手両足の生爪を剥いじゃおうか」

 

「けどそれだと全員分合わせても100枚しかないっすよ」

 

「え、それじゃ全然足りないよ。最低でも500回は楽しみたいのに」

 

「じゃあ舌も追加で引っこ抜きますか? パレオ、人数分のペンチ持ってきましたよ」

 

「待ちなさいパレオ。そんな事したらこのクズ共の苦痛に満ちた悲鳴が聞けなくなっちゃうわ。せめてやるなら山に埋める直前にしなさい」

 

 この平和な日本において絶対に耳にすることがないであろう残虐な内容の会話が目の前で繰り広げられている。聞いてるだけで指の先と舌が痛くなってきた。

 

「ゆ、友希那先輩! お願いです、もうこんな事やめてください!」

 

「『JK 臓器 値段』と……なるほど、腎臓が一番高く売れるのね」

 

「やめて! 私達を始末した後に内蔵だけ回収してしかるべき組織に売り捌こうとしないで!」

 

 

 

「さて、早速処刑を始めましょうか―――者共、殺ってしまいなさい!!!」

 

「「「「「「イエッサーー!!!!」」」」」」

 

 

 

「いやぁぁあああーー!!!?」

 

「やめて!! 誰か助けてぇぇえええーーーっ!!!」

 

「死ぬならもっと、普通に死にたかったな……」

 

「っ……!!」

 

 ……ああ、もう駄目だ。助かる術はない。目の前に訪れた死に、私は今度こそ覚悟を決めた。

 今思えば、楽しい人生だったな。ずっと引っ込み思案でひとりぼっちだったけど、ガールズバンドを知って、月ノ森に入学してつくしちゃん達と出会って、Morfonicaを結成してライブもやって……でも何より一番は―――愛する人にとても可愛がってもらった事だ。

 

 結愛さん、私みたいな地味で個性もない人間をまるで本当の妹みたいに好いてくれたこと、本当に嬉しかったです。短い間でしたが、ありがとうございまし―――

 

 

 

 (……あっ!!!)

 

 

 

「ま、待ってください!!!」

 

『『『あぁ?』』』

 

 私は叫んだ。

 土壇場で思い付いた。まだ神様は……私達を見捨ててはいなかった。

 

「わ、私達をここで殺したら……損ですよ!!」

 

「何だと?」

 

「今さら命乞いか? ったく往生際が悪ぃな」

 

「潔く死になよゴミ野郎」

 

「無様過ぎて反吐が出ますね」

 

「あ、あの、アレですよ。えっと、その……私達を見逃してくれるのなら、お教えします! 私でも……!」

 

「もういい加減にしなさい!! 貴女の戯言はもううんざりなの!! 皆、まずはこの腰抜け白髪隠キャ野郎から血祭りにあげるわよ!! かかれぇぇえええ!!!」

 

「「「「「「うおおおおおお!!! 倉田ましろ!!! くたばれぇぇえええ!!!!!!」」」」」」

 

 

 

「こんな私でも!!!! 結愛さん(愛する人)から溺愛されるマインドコントロールの術をーーー!!!!」

 

 

「―――おおっといけない!! 足が!!! 滑ってしまったわぁぁああああああああああああああああああ!!!!!!(ブゥン!!!!)」

 

「「「「「「えっ―――」」」」」」

 

 

 ボッコォォオオオオオン!!!!

 

 

「「「「「「ぎゃぁぁあああああああああああああああああああああ~~~……………!!!!!?」」」」」」

 

 

 

 ヒュゥゥゥ~~……キラーン。

 

 

 

「「「「「……………」」」」」

 

 友希那さんの恐らく全力であろうドロップキックが、今まさに殴りかかろうとしてきた先輩方を瞬く間にお星さまに変えた。 

 

 




次回でホントにラストです。あと水着ましろちゃんやっと手に入りました。マジで可愛い。

どっかでクロスオーバーさせようと思います。どれがいいと思いますか?

  • バカとテストと召喚獣
  • のうりん
  • ぬきたし
  • 艦隊これくしょん ~艦これ~
  • 見える子ちゃん
  • 君のことが大大大大大好きな100人の彼女
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