落ち着け! 話を聞け! いいか、私は女だ!!   作:あんどぅーサンシャイン

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美竹蘭の受難 ~災厄の顕現~

 

 

「か、薫先輩、日菜先輩、リサ先輩……と、えっと……蘭。真ん中にいるあの化け物みたいなのはなに?」

 

「……多分、湊さんだと思う」

 

「ゑっ」

 

 

「■■■■……? ■■■……!! ■■■!! ■■■■■!!!!!」

 

 

「「ひっ!」」

 

 怒号がビリビリと鼓膜に響く。

 アレは湊さんであって湊さんではない。その姿は最早人間とは思えないくらい凶悪に変貌を遂げており、ドス黒いオーラが彼女を覆っている。

 もし殺意、というものが物理的な力を有していたのなら今頃あたしとひまりの身体は木っ端微塵に吹き飛んでいただろう。

 

「ふふふ……二人とも、とうとう友希那をこの姿にさせちゃったね」

 

「えっ?」

 

「リサさん?」

 

 この姿……? 何を言ってるんだ……?

 

「友希那はね、アタシ達とは比較にならないくらいヤンデレを極めすぎたの……。日を追うごとに度重なる結愛への愛情、それを邪魔する他者への押さえきれない怒りと憎しみ。そして……いつまでも満たされぬ欲への渇望……! 段々と友希那はそれらの負の感情に蝕まれていった……!」

 

「それら全てが臨界点に達した時、その身体は突然変異を起こし、果てはその者の理性をも食い尽くし、ただそのヤンデレの本能に身を任せ、目に見える全ての“敵”を殲滅する為に力の限り暴れ狂う。最悪最恐の愛憎モンスター……! その名も―――」

 

 

 

 「―――超人ヤンデレディブル・ユキナルク!!!」

 

 

 

「ヤンデレディブル・ユキナルク……!?」

 

「そ、そんな……なんてネーミングセンスのダサさなんだ……!」

 

「うるさい」

 

 本家さん本当に申し訳ございません。こんなバカ丸出しの物語でパロディしてしまって。

 

「ほら見てごらん友希那。アレがアタシ達の滅ぼすべき“悪”だよ」

 

「■■■■……!! ■■■■■■……!!」

 

「え? 今すぐあのブタ共をひねり潰してひき肉にしてこんがり焼いた人肉ハンバーグが食べたい? もう友希那ってば、気が早いんだから~」

 

「言ってない! そんなこと絶対に言ってないでしょ! リサさんの願望でしょそれ!」

 

「しかも発想がグロテスク過ぎませんかね!? なんですか人肉ハンバーグって! アマ○ンズじゃあるまいし!」

 

 ちなみにあたしは二期の方がリアリティとグロテスク色が強くて好きだ。今全く関係ないけど。

 

「さ、死ぬ覚悟はいいかな? 蘭、ひまり」

 

「「くっ……!」」

 

 あたしが想定しうる中で最も最悪な状況、といっていいだろう。

 こちらの戦力はたったの二人のみ。対して相手は強大なパワーと引き換えに人間としての理性と感情を完全に捨て去った殺戮戦士ことヤンデレディブル・ユキナルクを筆頭とする羽丘ヤンデレ四天王。更には後方で待機している異端陪審会。マトモに戦って勝てる可能性は限りなくゼロだ。いや、それどころかここから逃げることすら難しいだろう。

 

「ど、どうしよう蘭……このままじゃ敗北確定だよ!?」

 

「分かってる……!何か、何か策を……」

 

「ああ……なんて君達は罪深き子猫ちゃんなんだ。この後に及んでまだ生き延びようとしているなんてね、儚い……」

 

「薫君の言う通りだよ。策なんて考えても無駄無駄。だって二人共アタシ達の手でこの場で無様に八つ裂きにされるんだから」

 

 日菜さんと瀬田さんが戦闘態勢に入る。ただでさえ一人でも脅威的なのに二人同時には無理だ……!

 

「こうなったら……策は戦いながら見つける……っ!」

 

「戦う!? そんなの無茶だよ! この戦力差が分からないの!? 自殺行為だよ!」

 

「分かってる! でも無茶だろうが自殺行為だろうが、こうなったらやるしかないでしょ。それにさ、何もせず負けるくらいならあたしは……最後まで精一杯抗ってから負けたいよ」

 

「蘭……分かったよ。でも、これだけは約束して?」

 

「何?」

 

「―――死なないでね」

 

「! ―――フッ、そっちこそ」

 

 そしてあたしはスタンガン、ひまりはファイティングポーズをそれぞれ構え背中合わせになるように立ち並ぶ。

 そんなあたし達の様子を見て、リサ先輩は怪しく微笑む。

 

 

「へぇ。逃げずに立ち向かうなんていい度胸じゃん。でもね、所詮そんなのはただの悪足掻きに過ぎないんだよ。覚醒した友希那……いやユキナルクの恐るべき力―――その身をもって知るといいよ♪ 友希那、いける?」

 

「■■■■……! ■■■■■!!!」

 

「あははっ、準備万端みたいだね。それじゃあ―――」

 

 っ! 遂に来るか! 

 

 

 

「賽は投げられた! 行け! ヤンデレディブル・ユキナルクよ!! その力を使って敵を殲滅し―――」

 

 

 

 ガシッ

 

「―――ろ?」

 

「「えっ?」」

 

『『『えっ?』』』

 

 

 ブゥン!

 

 

「はっ? えっ、ちょ、なにしてんの友希―――」

 

「■■■……、■■■■―――!!(ギロッ)

 

ズドン!!!

 

 

 

「■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!!!!!」  

 

 

 

 ブゥオオオオオンッッッ!!!

 

 

「那ああああああああああああああああああーーーーっ……………!!!」

 

 

 ヒュウウウウウウウウ~~~……、キラーン

 

 

「「えええええええええええええええ!!?」」

 

『『『えええええええええええええええ!!?』』』

 

 

 ユキナルクはあたし達に襲いかかってくるかと思いきや予想だにしない行動に出た。隣にいたリサ先輩を掴み、そのまま全力で空に向かってブン投げたのだった。

 

「■■■■■■■■!!!!!」

 

『なっ!? 何してるんだ湊先輩!?』

 

『ああっ! 今井先輩がお星さまになった!』

 

『おお~、ナイスピッチング~』

 

『感心してる場合じゃないですよモカ隊長!』

 

「は……あ……えぇ!?」

 

「これは……なに!?」

 

「ちょ、ちょっと友希那ちゃん!? どうしたの!? リサちーは敵じゃないのに!」

 

「い、一体何がどうなっているというんだい……!?」

 

 日菜さんに瀬田さん、異端陪審会の面々も驚き騒いでいる。あたしだってそうだ。意味が分からない。味方であるハズのリサさんを、まるで敵であるかのように……!

 

 

 ―――ん? 敵であるかのように……?

 

 

「……もしかして」

 

 

「■■■……■■■■?(チラッ)」

 

「?」

 

「ゆ、友希那ちゃん? なんでこっちジロジロと見てるの?」

 

「■■■……!!(ギロッ)」

 

 日菜さんと瀬田さんを睨み付けるユキナルク。すると、

 

 

 ブォッ!!

 

「へっ―――」

 

「はっ―――」

 

 ユキナルクは拳を高々と振り上げ、

 

 

「■■■■■■■■■■■!!!!!」

 

ボゴォォォオオオン!!!

 

「「ぼげぶぁぁぁああああああああああああ!!!」」

 

 

 二人を殴り飛ばした。

 抵抗する間も無く、モロに直撃した二人は断末魔の叫びを上げて……、

 

『……ん?』

 

『あ、これもしかしなくてもこっちに飛んでき―――』 

 

 

ガッシャァァァアアアアアアアアアアン!!!

 

 

『『『ぎゃぁぁぁああああああああああああああああああああああああああ!!!!!?』』』

 

 

 轟音と共に校舎に大激突。

 そのまま窓ガラスや壁を粉砕して巻き込みつつ、異端陪審会もろとも攻撃を仕掛けた。それを確認したユキナルクは校舎内に突入し有象無象に暴れ始める。多分つぐみ達でも敵わないだろう。

 

「も、もう何がどうなってるのかサッパリだよ……」

 

「……………そうか。やっぱりそういうことか」

 

 その様子を見て疑問が確信に変わり、あたしは思わずそう呟いた。

 

「えっ? 何か分かったの蘭?」

 

「うん、あたしは大きな勘違いをしていた。湊さん……いや、ユキナルクの敵はあたし達じゃない―――()()()()()()()()なんだ……!」

 

「は?」

 

 突拍子もない発言に間抜けた声をあげるひまり。

 そうだ。少し考えればわかることだったんだ。先ほどリサさんはユキナルクについてこう説明していた。

 

 ―――目に見える全ての“敵”を殲滅する為に力の限り暴れ狂う。

 

 ここに表現される“敵”とは自分にとって仇をなす存在である事。仇をなすとは勿論―――自身がこの世で最も愛する結愛さんに他の誰かが近づこうとする事だ。結愛さんと深く関わりを持っているあたしなんかは勿論のこと―――()()()()()()()()()()()()すらも抹殺すべき対象にカテゴライズされる。

 

 そしてその可能性とは―――結愛さんに『愛』を覚える可能性だ。

 

「じゃ、じゃあユキナルクがリサさんや日菜さんを攻撃したのは……仲間割れなんかじゃなく、最初から滅ぼすべきターゲットだったからってこと?」

 

「うん。もうユキナルクにとってあたし達羽丘の生徒……いや、それどころかこの世界に存在する“生物”全てが破壊対象なんだ。生物である以上、結愛さんに魅力を感じるのは至極当然の事だからね。だからユキナルクはそうなる前に可能性から根絶やしにしようと考えてるんだと思う」

 

「そ、そんな……」

 

「まさしくつぐみが言ってた通りだよ。あれはもう人の手に収まらない―――“災厄”の域だ」

 

 自分以外の生物を屠り尽くし、物理的に誰も結愛さんに近づかせないようにする。そうすれば邪魔者はいなくなり、永遠に彼女を自分のものにすることが出来る。なんともシンプルかつ―――邪悪な思想。

 それがユキナルクの絶対にして唯一の行動原理―――ヤンデレを極めすぎたが故に行き着いてしまった最終結論なんだ。

 

「結愛さんを除くこの世全ての生物を殺し尽くすまで止まらないなんて……そんなの、そんなのって……無茶苦茶だよ!!」

 

「っ……!」

 

 愛は人を狂わせるって言うけれど……まさかここまでになるなんて……! 

 

「……行こう、ひまり」

 

「えっ?」

 

「今ユキナルクはつぐみ達異端陪審会の排除に夢中でこっちの方には意識が向いていない。逃げるなら今がチャンスだよ」

 

「そ、それは確かにそうだね。で、でも逃げたところでユキナルクは私達の事を追ってくるんじゃないかな……特に今回の引き金を引いた蘭の事は絶対に逃さないハズだよ!?」

 

 ひまりの言う通りだ。

 人間態の友希那さんでさえ相当執念深く、困難を有するのだ。たとえ地球の裏側まで逃げたとしてもあの怪物はあたしの事をとことん追い詰め、完膚なきまでに殺すだろう。 

 ……でも、それでもあたしは生き残らなきゃいけない。

 

「……うん。けれど一つだけこの窮地を脱する方法がある」

 

「え?」

 

「ユキナルクを……倒す事だよ!」

 

「は、はぁ!?」

 

 驚くひまり。

 

「そんなの無理!! 絶対に無理!!! あのリサさんが何も出来ずにやられたんだよ!? 私達なんかじゃ……!!」

 

「落ち着いてひまり。確かにあたし達じゃ勝つなんて不可能だよ。でも……それが出来る存在をあたしは知ってる」 

 

「それが出来る存在……?」

 

 

 

 

化け物(ヤンデレ)には……化け物(ヤンデレ)をぶつけるんだよ」

 

 

 

 

 そしてあたしは、再びひまりの手を取って走り出した。

 ヤンデレの巣窟たる……あの場所へと。

 




ヤンデレという言葉が段々分からなくなってきたなぁ……。

どっかでクロスオーバーさせようと思います。どれがいいと思いますか?

  • バカとテストと召喚獣
  • のうりん
  • ぬきたし
  • 艦隊これくしょん ~艦これ~
  • 見える子ちゃん
  • 君のことが大大大大大好きな100人の彼女
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