落ち着け! 話を聞け! いいか、私は女だ!!   作:あんどぅーサンシャイン

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美竹蘭の受難 ~目には目を、ヤンデレにはヤンデレを~

「よし、着いた」

 

「ハァ、ハァ……つ、疲れた。蘭、タンマ……飛ばしすぎだよぉ……」

 

「あ、ご、ごめんひまり……」

 

 あたしの横でぜぇぜぇと息を切らすひまり。

 羽丘を脱出してからおよそ一時間。現在あたし達がいるこの場所は―――花咲川女子学園。羽丘と双璧を成している女子高であり、結愛さんが在籍していることでも広く知られている。

 

「ユキナルクは……うん。まだ追ってきてはないね」

 

「そう……みたいだね……」

 

 おそらくまだ羽丘の生徒の殲滅が終わってないのだろう

 けれどそれも時間の問題だ。つぐみ達異端陪審会でも覚醒した湊さん相手では戦力に大きな差がある。いつあたし達の前に現れてもおかしくない。だからこちらも手早く行動しなければならないのだ。

 

「ここにはユキナルクと互角以上の実力があるヤンデレがいる。その人達を使ってユキナルクを倒すんだ」

 

「ユキナルクと互角以上のヤンデレって―――ああ、あの人達か!」

 

 合点が言ったようにひまりがポン、と手をつく。

 

「でも蘭。あの人達がそう簡単に協力してくれるかな?」

 

「まぁ……正直なところを言うと、難しいかな……」

 

 ヤンデレというのは基本的に我の強い自己中心的な生き物だ。それ相応の理由が無い限りコチラの思い通りに動いてはくれない。協力なんてもってのほかだ。

 更にあたしは結愛さんとの関係性を周りに秘匿にしているという事実がある。ヤンデレを動かすという事はそれがバレてしまう危険性も孕んでいて、最悪ユキナルクの前にここの数多のヤンデレ達によってひまり共々皆殺しにされる可能性も十二分にあり得るのだ。

 

「でも、やるしかないよ」

 

「何か作戦はあるの?」

 

 ひまりの問いにあたしは一応ね、と返す。

 

「かなり危険を伴うけど、確実にヤンデレ達を動かせる……任せて」

 

「分かった。私は蘭の言う通りにするよ」

 

「ありがと。じゃ、行こう」

 

「うん」

 

 校門を通り、学園の敷地内に入る。

 まだ授業中なのか校舎の外には人の気配が殆どない。強いていうならグラウンドで体育をしてる生徒がいるくらいだ。

 正直こんな平日の昼間に他校の生徒が出歩いているのは結構おかしな光景だけど、今はそうも言ってられない。

 

「まずは何をするの?」

 

「結愛さんを探す。あの人がヤンデレを動かす為の大きな鍵だから」

 

「なるほど。それで、結愛先輩の教室ってどこかな?」

 

「それは……」

 

 ヤンデレ達と結愛さんが三年生で同じクラスだっていうのは知ってるんだけど……流石にどこに教室があるかまではわからない。

 

「じゃあ誰かに聞いてみるしかないね。……あ、すみませーん!」

 

「はい?」

 

 ひまりが丁度廊下を歩いていた女性の教師っぽい人に話しかける。

 

「あれ? 貴女達のその制服……羽丘の生徒さんだよね? どうしてウチにいるの? 学校は?」

 

「すみません。それについては今はスルーの方向でお願いします」

 

「?」

 

 怪物と化した三年の先輩が学校を血の海で満たしているからです、なんて正直に話したところで信じてもらえるワケがない。

 

「あの、私達結愛先輩がいるクラスを探してるんですけど、どこにありますか?」

 

「結愛先輩? それってもしかして柊さんの事?」

 

「はい」

 

「柊さんなら私のクラスの子だよ。それにこれから私の授業だから教室に向かうところなの」

 

「え! 本当ですか!」

 

「うん、そうだよ」

 

 そう言ってニッコリと笑う女性の先生。

 なんてグッドタイミング。わざわざ探しに行く手間が省けたのは非常にありがたい。

 

「あの、もしよかったら着いていってもいいですか?」

 

「え? でももう授業をしなきゃだし……」

 

「そこをなんとか! すぐ終わるんで! 結愛先輩に用件だけ伝えたらすぐ退散するんで!」

 

「ひまりの言う通りです。お願いします。あたし達の命がかかってるんです」

 

「い、命? どういうこと?」

 

 それは知らぬが仏というヤツだ。

 

「うーん……」

 

「「……………(ドキドキ)」」

 

「わかった、いいよ。一緒に行こっか」

 

「あ、ありがとうございますっ! よかったね、蘭!」

 

「うん」

 

 優しい人で良かった。

 

 

 ~少女達移動中~

 

「ここが私のクラスだよ」

 

 担任の先生の後についていくことおよそ一分弱。

 『3―A』と記載されてるプレートがかかっている教室の前に来た。ここに結愛さんがいるのか……。

 

「じゃあ、出来るだけ手短に済ませてちょうだいね」

 

「はい」

 

「わかりました」

 

 私はそう言い、扉を開けた。

 

 

 ガラッ

 

 

 

「千聖ちゃん。ガソリンはこのくらいの量で足りるかな?(トポトポトポ)」

「ええ、上出来よ花音。それだけあれば骨すら残さず焼き尽くせるわ」

「ああ……、罪深き異端者を葬る聖なる炎……。さぞかし……神々しくて、美しいのでしょう……」

 

『ま、待って!! 違うの! つい魔が差しただけというか……!』

 

「黙りなさいこのメスブタ。貴女は昨日の掃除当番の際、私達に内緒で結愛さんに電話番号を訊くという天に唾を吐くような大罪を犯した。決してその蛮行は赦されるものではないのです」

「そんな不貞な輩をブチ殺す理由はあっても生かす理由なんて微塵も無いんだよね~~♪」

 

『や、やめて! お慈悲を! どうかお慈悲をくだ』

 

 カチッ、ボォォォオオオオ……!!

 

『『『ひゃっはぁああーーっ! 燃えろ燃えろ燃えろよぉおおーーっ! 汚物は消毒じゃぁああーーっ!』』』

 

「いやぁぁああああーーっ!! 熱いよ痛いよ苦しいよぉぉおおっ!! 誰か助―――」

 

 ピシャッ

 

 

 

 無言で扉を閉める。

 

「すいません。ここ、過激派宗教団体が使ってるっぽいです」

 

「あ……。いや、ね……その……。あれが3―Aの生徒なの……」

 

 教室の中では一人の女子生徒が十字架に磔にされ、下から黒ローブの集団によって火を点けられ焼かれるというさながら魔女狩りのような凄惨な処刑が行われていた。

 

「ん? どしたの蘭? 入らないの?」

 

「……ごめん。あの中に飛び込めるだけの勇気が、あたしにはない」

 

「何言ってんの。早くしないとユキナルクが襲いにきちゃうんだから」

 

「あっ、ちょっと待ってひま」

 

 あたしの制止より早く、次はひまりが扉を開ける。

 

 

 ガチャ

 

 

 

結愛()を冒涜する愚か者よ! 滅びよ!」

 

『『『滅びよ!!!』』』

 

「我欲に堕ちし狂える悪女よ! 悶えよ!」

 

『『『悶えよ!!!』』』

 

 

『うぐぅぅ……ごろじで……もういだいのやだぁぁああ……ごろじで―――』

 

 

 

 ピシャッ

 

「……………」

 

「……ひ、ひまり?」

 

「ううん。特におかしなところはなかったけど無い物ねだりは許されるけどやっぱり素敵ですよねと記載されてるって言うけれどちくわが空を飛んでインセンティブの掃除当番が激しいんだからそれを見回りした怪物であろうとも」

 

「ひまり。正気を保ったまま壊れないで」

 

 どうやら予想外の光景に脳のキャパシティがオーバーヒートしたようだ。

 

「あの……あの人達はいつもあんな感じなんですか?」

 

「う、うん。……いつもはもうちょっとだけ……酷いの

 

 小声で言ったようだけど、あたしにはハッキリと聞こえた。うん……。なんていうかその……、心中お察しします。

 

「でも、あの中からどうやって結愛さんを出そう……」

 

 さすがにあの血みどろな魔女裁判の最中に『こんちわ、結愛さんをあたしにください』なんてバカ正直に突入した日には全身を細かくみじん切りにされて鮫の餌にされてしまうだろう。

 でも早くしないとユキナルクがここに辿り着いてしまう。どうすれば……

 

 

 

「あれ? 蘭にひまりじゃん。何してるの?」

 

 

 

「えっ」

 

 後ろから声がした。振り向くとそこには、

 

「あ……ああ」

 

「?」

 

「結愛さんっ!!」

 

「うえっ!?」

 

 思わずその人の()()()()()を握り締める。

 “美”という単語を完全に体現したかのごとき整った純白の顔立ち。一切の淀みない透き通るプラチナ髪。制服の上からでも分かるほど豊満に成長した二つのスイカ。

 彼女こそ、あたし達が探していた人―――柊結愛さんだ。

 

「え、なに? なに?」

 

「良かった……結愛さんがここにいてくれて……。鮫の餌にならずに済んだ……」

 

「ああ、うん(鮫の餌?)」

 

 思わず感動で胸がいっぱいになる。

 こんなに人との再開を喜びで迎える事はもう金輪際無いだろうってくらいだ。

 

「私達を握り締めるんだけど歯ブラシに突然変異が一番人気ランキングだったんだパンテック・ワイヤレス・ジャパンすもももももも」

 

「……ひまりはどうしたの?」

 

「壊れました。中の惨劇を見て」

 

「ああ、アレを見たんだ。まぁ、初めての人には刺激が強いよね」

 

 あはは、と静かに笑う結愛さん。

 正直あれを刺激が強いという言葉だけで片付けるにはとても無茶があると思う。

 

「それで、二人は何しに来たの?」

 

「あ、そうでした。あの、今からあたし達と一緒に来てもらえませんか?」

 

「え? 今から?」

 

「はい。事態は一刻を争うんです」

 

「いや、でも今から授業だし、そもそも二人は学校は―――」

 

 

 

「ああああああ駄目駄目駄目やめてそんな太いのお尻の穴に刺したら壊れちゃ「うるさいわね(ブスリ)」「うるさいね(ブスリ)」「うるさいですね(ブスリ)」「耳障りだね(ブスリ)」「Fu◯k you(ズボリ)」」ん”ほ”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”……………!!」

 

 

 

 

「……………」

 

「……………」

 

「……こんな状態で、授業出来るんですか?」

 

「うぅ、もうこのクラス嫌だ……」

 

「ごめんね。私が不甲斐ないばっかりに……」 

 

 そう嘆く結愛さんと担任の先生。羽丘(うち)もかなりイカれている方なんだけど……上がいるものだなぁ……。

 

「とりあえず一緒に来てください。詳しい話は後でするんで!」

 

「う、うん……」

 

「ほら、ひまりも行くよ」

 

「私の名はキリギリスは許されるってのだけど時計台は北海道から右に90度体育座りをしつつお饅頭を天空の城に向かって筋肉痛パーリィナイト……」

 

 あたしは二人の手を取り、教室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え? 怪物と化した友希那が私以外の全人類を抹殺しようとしてる?」

 

「はい」

 

「そうなんです」

 

 ひとまず体育倉庫に身を隠し、あたしは事の詳細を結愛さんに話した。あとひまりは元に戻った。

 

「なるほどね。それは災難だ……。ごめんね。私が誤解させるような電話をしちゃって」

 

「いや、別に結愛さんのせいじゃないですよ。……って、あの、というかあたしの話を信じるんですか?」

 

「うん」

 

 すんなりと結愛さんは首を縦に振る。

 以外だ。こんな話絶対に嘘でしょとか言われると思ってたのに。

 

「だって友希那だもん」  

 

 それで片付くんだ。

 

「それにほら、今までも友希那は散々やらかしてるから」

 

「そうなんですか?」

 

「うん。色々あるよ」

 

「えっと……例えばどんなものが?」

 

「うーんとね、最近だと『マウンテンゴリラ二十体フルボッコだドン事件』と『暴走族叩いて殴ってジャンケンポン事件』っていうのがあるんだけど」

 

「「あ、どっちも結構です」」

 

「そう?」

 

 本当にあの人は人類の間から生まれた生命体なのだろうか。

 

「まあそれはともかく事情は大体わかったよ。それで私に何をさせるつもりなの?」

 

「結愛さんにはユキナルクに対抗する為の戦力を揃えてもらいたいんです。それもトップクラスの力を持ったヤンデレを」

 

「トップクラスというと……千聖に花音。彩に紗夜……あと燐子あたりがいいかな?」

 

「そうですね」

 

 さっき教室にいたあの五人ならば間違いなく花咲川における最強クラスのヤンデレだ。十分ユキナルクに太刀打ち出来るだろう。

 

「結愛先輩ならあの五人を従えることも可能ですもんね」

 

「別に従えてるワケじゃないけど……。どちらかというと必要以上に群がってるようなものだし」

 

「蛍光灯に集まる蛾みたいな感じですか」

 

「そうそれ!」

 

 アレ夜とか見るとすっごいビビるよね。たまに近づくと一匹コッチに来たりするし。

 

「とりあえず、あの五人をここに呼んで話をすればいいのかな?」

 

「はい。あ、でも一つだけ!」

 

「ん?」

 

 あたしは結愛さんにコソッと耳打ちする。

 

「絶対に電話の事は話さないようにしてください。じゃないと余計な敵を増やす事になりかねませんし、最悪あたし達全員死にます」

 

「ああ……確かに」

 

 あたしとひまりはユキナルクによってミンチ肉にされ、結愛さんはあの五人によってイロイロ(意味深)されて精神的に死ぬことだろう。それだけは避けなきゃ。

 

「その辺はなんとか上手くやるよ」

 

「はい、お願いします」

 

「じゃあもう一度教室に戻りましょう」

 

「そうだね」

 

 そう言ってあたしとひまりが立ち上がろうとすると、

 

「あ、その必要はないよ。今からここに直接呼ぶから」

 

「「え?」」

 

 そうあたし達を制すると、結愛さんはキョロキョロと周囲を見回す。そして誰も他にいないことを確認すると、

 

 

 

 

「あ、こんなところに私のぱんつがあるー(棒)」

 

 

「「はい?」」

 

 

 いや、ぱんつなんてどこにもな―――   

 

 

 

 ヒュウウウウウウウウ~~~……

 

「「ん?(チラッ)」」

 

 

「「「「「おぱぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああーーーーーーーーんつ!!!!!」」」」」

 

 

 チュドォォオオオオオオオオオオオオオオン!!!!

 

「「……………」」

 

 

「ちょっとどきなさいよ!! 結愛のぱんつを手にいれるのは私よ!!」

「違うよ!!! 結愛ちゃんのぱんつは私のだよ!! なに戯れ言ほざいてるの!!」

「それはこちらの台詞です!! 人のものを横取りしようとする卑怯者め!! とっとと失せなさい!!」

「ちょっと!! なに薄汚れた手で結愛ちゃんのぱんつ触ろうとしてるの!!? やめてよばっちぃなぁ!!!」

「貴女達みたいな……、人間のクズなんかに……結愛さんのぱんつは……不相応なんですよ……っ!!!」

 

「「「「「あぁ!? なんだとブチ殺されてぇのかメスブタがゴラァ!!!」」」」」

 

 

 ドカバキボコグシャベキザクゲシボキグチャ!!

 

 

「「……………」」

 

 突然空から隕石のように降ってきたと思ったら、目の前でマジの殴り合いを始めた五人のヤンデレ。

 

「ほら、呼べたでしょ?」

 

「「あ、はい。そうですね……」」

 

 

 ……うん、もうツッコむのやめよう。あたしには無理だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――一方その頃

 

 

『お、おい! なんだアレ!?』

 

『い、いやぁああ!! 怪獣!! 怪獣よぉぉぉおおーー!!』

 

『に、逃げろ逃げろぉぉおおおーーっ!!』

 

 

 ズドォン……、ズドォン……!!

 

 

 

 

 

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!」

 

 




※友希那さんは人間です。

どっかでクロスオーバーさせようと思います。どれがいいと思いますか?

  • バカとテストと召喚獣
  • のうりん
  • ぬきたし
  • 艦隊これくしょん ~艦これ~
  • 見える子ちゃん
  • 君のことが大大大大大好きな100人の彼女
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