漂流傭兵小噺~なんで右も左もケモ耳ばっかなんだ、いやそんなことよりまずはカネだ龍門幣だ!~   作:ラジオ・K

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 なんとなくお気づきの方もいるかと思いますが、本作には「Bloodborne」や「エルデンリング」をモチーフとした表現というか、小ネタというか、そういったものが含まれています。
 文章であれらを表現するの、キツイ……(涙目)。
 というかタワーディフェンス×死にゲーという組み合わせってこれ如何に。


伝説ボス、アンフィニッシュボーン・ノットトーカー戦

 クソ野郎が口上を終えるまでご丁寧に待つ必要なんて、1ミリもねぇ!

 

 俺はペラペラと()()()()()()()魚人に向け容赦なく突撃。地面を踏み込み、ジャンプ。全ての生物にとって弱点であろう頭に向け、渾身の(剣による刺突)一撃を喰らわせる!

 だが──

 

「手ごたえが、()()()、だと……!?」

 

 魚人の鏡面のような顔(のっぺらぼう)が、ニタリと嗤うように歪む。次の瞬間、顔から無数の針が!

 

「くっ!」

 

 俺は両足で魚人の胴体を蹴り、その反動で距離を取る。何だ、あれは。剣をブッ刺した時、途中までは手ごたえがあったのに、いきなり固い物に当たり刃が止まってしまった。そして今の顔からの針。予備動作らしきものは一切なかった……。

 

ああ、急いでは事を仕損じますよ? ■■■の(わっぱ)よ。

 

 そうバカにしたように()()()()()()()魚人。その両手がぐぐ、と音を立てながら鋭い刃状に変形、構える。

 

さあさ、踊りましょう?

 

 そう()()()瞬間、目の前に現れる魚人! 

 

「何!?」

 

 移動が速すぎ──などと思っている最中に繰り出される重い一撃。その一撃は咄嗟(とっさ)にガードするために使用した剣二本を容赦なく砕き、俺の体を吹き飛ばす。

 

「ぐはっ……痛ェじゃねぇか──くっ!!」

 

 倒れ伏す俺の真横に音もなく現れる魚人。真上より繰り出される刃を転がり、(かわ)す。危ねぇ、ほんの少し遅かったら串刺しになっていたところだ。

 

「剣がダメなら……こうだ!」

 

 俺は両手にアサルトライフルを召喚。撃ちまくりながら突撃する。魚人は脅威とみなしたのか、腕を交差させガード。今だ!

 十分に接近する前にアサルトライフルを捨て、(メイス)を召喚。打撃なら、どうだ!

 だが、その一撃は魚人の表皮がまるで水面のように揺れただけであった。手ごたえ、ゼロ。

 

残念でしたね?

 

 魚人は両刃をゴム膜のように変形、俺を弾き飛ばす。地面に再び叩きつけられる俺。次の攻撃が、来る! そう思い前を向くと。

 衝撃が()からきた。

 

「な、に──」

 

ちゃんと見ましょうね?

 

 魚人は俺の真下から、出てきたのだ! 防御が間に合わず、重い一撃を受け、無様にも痛みで地面をのたうつ。

 

「くそ、が……」

 

 痛みでろくに呼吸ができない中、考える。なぜこいつはこんなにも速い? 単に肉体スペックの差ではない気が──いや、わかったぞ。

 

「てめぇ、の体──あれだろ? 水みたいなもんだろ。だから自由に予備動作もなしに変形できるし、形状を変えて真下から攻撃なんて、マネもできる……」

 

 ゆっくりと立ち上がりながらそう種明かしをしてみるが。クソ、あちこちの骨にヒビが入ってるな、呼吸するのも辛い。1秒ごとに、全身を針で突き刺す激痛と鈍器で叩かれたような鈍痛が、波状攻撃を繰り広げてくる。

 もう、これ以上攻撃を喰らうわけには……今、必要なのはあの時のような()()()()だ。

 俺は素早くサルヴィエント郊外の謎実験場で拾ったビン、それを召喚し中の液体を飲み干す!

 

……!!

 

 数秒もしないうちに全身の痛みが噓のように消え、力が(みなぎ)ってきた。よし、これでまだ戦える!

 

「水は、攻撃できない……物理ならな!」

 

 俺は三度突撃を敢行。今度は槍だ。魚人は何故か棒立ちだ。罠か? まぁいい──これでもくらえ!

 持っていた槍を攻撃する寸前に手放し、代わりにバイク用の燃料(ガソリン)が入ったタンクを召喚! 中身を全てぶちまけて、更に召喚したライターで火をつけ即座に退避する!

 

 一気に全身から火を上げる魚人!

 

 よし、やったぞ! 奴をデカい松明にしてやったぜ! 後は熱で水分が消し飛ぶのを待つだけだ。上手くいくかどうか不安だったが、奴は今だ棒立ちのまま、効いている証拠のはず。最初はスタンガンとかで感電、と考えたがずぶ濡れの俺も被害を受けるから、採用しなかったというワケ。

 

 どうにか、勝ったぜ……! さて、早くアズリウス達を安全な場所に運ばないと。

 背を向け、一歩を踏み出し──

 

ようやく、逢えました……! そこにいらっしゃったのですね、■■■よ

 

「な──」

 

 目の前に魚人が! そう認識した瞬間、腹に異物感。喉から灼熱のが勢いよく噴き出す! 目玉をどうにか下に向けると、奴の両刃が、俺の体を貫通していた。いう事聞かない頭をどうにか動かし、後ろに目を向けると、燃える水たまりが。

 ……ガソリンを、分離しやがったか……!

 

アーツであれば、良かったのですが。残念でしたね(わっぱ)よ。

 

 クソが……!

 俺はまるで幼子を高い高いをするかのように、持ち上げられる。腹から大量の(ほとばし)り、魚人を、周囲の水たまりをに染める。

 

確か陸人のからだは、ここにたくさんのが集まるのでしたね?

 

 魚人の鏡面が、波打ち現れるは巨大な(あぎと)。それがぐい、と俺の方へ伸びていき──胸を喰い抉った。えぐり取られる心臓。信じられないほどの血が、噴き出す。噴火する火山から出るマグマのように。

 魚人はデリヴァの心臓を丸呑みにした。

 

 

 魚人はデリヴァの体をそこらへんに投げ飛ばした。

 べちゃり、という不快な水音がする。

 もう、動かない。

 何処かで、クジラのような、鳴き声がした。

 

 

 魚人は、勝ち誇るように両腕を広げ、天を見ゆる。祝福するように、雨が降り注ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前はこれで終わりなのか???

 

 異変が、生じる。

 魚人は、突然藻掻き苦しみだす。まるで、先程の心臓が毒物であったかのように。

 

あ、が、が、ギィ!? ち、違う! これは、陸人のでは……違う、違う、違う!

 

 魚人の口から、溢れ出す青い。それは外のではない。内なる(アビサル)だ。

 

珍しい客だから、特別に褒美をやろう。さぁ、元の世界の力を存分に使うとよい。

 

 心臓を失ったデリヴァが、幽鬼のように立ち上がる。ぽっかりと空いた穴から、(深い紫)の液体が溢れ出し、あるべき姿へと血肉を補充する。

 

 デリヴァの双眸が、に染まる。

 彼の口から、飛び出すは言葉ではなく。

 ■■■鬼■。

 

「ペルムの大噴火。」

 

 それは、とても小さな、小さな音だったが。直ちに滅びを(もたら)した。

 

 デリヴァが今まで流した、その全てが一斉に燃え広がる! 

 それはまるで煉獄のよう。辺り一面はその熱により融解し始める。

 デリヴァのを全身に浴びていただけではなく、取り込んでいた魚人は、逃れるすべはなく。外と内、双方から焼き尽くされる。

 

コ、コノチカラ、まさか……■■■と同ジコキョ……ギィヤァァァァ!!!

 

 あっという間に、魚人は黒焦げになり、灰となり、焼失した。

 

アア、ケツゾクタチノ元へ、イザ参り……生きる。

 

 それが魚人、アンフィニッシュボーン(未完成な骨の)ノットトーカー(口下手野郎)の残した言葉であった。

 崩れ落ちるデリヴァ。

 

 雲が晴れる。

 太陽が昇り始める。

 戦いは終わったのだ。

 

 




 今日はハローワークへ通っていたため、少し投稿が遅れました。
 そう、筆者は無しょ
 ニェン
 「お、呼んだかー?」
 筆者
 「当分先やで?」

 あ、今更ですが、感想受付設定を非ログインユーザーにもできるようにしました。遅れてしまいすみません。

 もし「漂流傭兵小噺」が面白いと感じてくれたら、☆評価や感想を是非、よろしくお願いします!

あとがきの作者と、あるいはキャラ同士の掛け合い、いります? なお、毎回書けるかは保証できませんが……。

  • 両方ともいる
  • 作者&キャラのみ
  • キャラ&キャラのみ
  • そんな要素いらない

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