漂流傭兵小噺~なんで右も左もケモ耳ばっかなんだ、いやそんなことよりまずはカネだ龍門幣だ!~   作:ラジオ・K

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 イベントストーリーを見て。
 どうにか燭騎士を登場させたいと思いました(小並感)。


花戦争、開幕

 パラスによると、花戦争(ソチヤオヨテル)のルールは以下の通り。

 

・1つ、攻撃側はパラスを倒す。

・1つ、防御側はパラスを守りつつ、攻撃側を全滅させる。

・1つ、攻撃側、防御側共に相手を殺害してはならない。

 

 ふむ、大変シンプルでわかりやすい。

 そして肝心の敵側、ブラン(腕力)族の人数は140人。

 対してこちら側は……どうにか戦えそうな村人を含めても20人弱。あきらかに劣勢である。

 

 とはいえ、幸いにもブラン(腕力)族のメンツは事前に公開されている。そして結論から言うと族長ブレインを倒せば他の連中はそこまで脅威でないことがわかった。

 それを踏まえて俺達が採るべき戦術はただ1つ。

 

 午前の訓練という模擬戦を終えて、パラスはこう宣言した!

 

「私を守りつつ、少数精鋭が本陣に攻め入り、ブレインを討ち取れば良いのです!」

 

 なんというシンプルさ。誰でもわかるって、いいよね。

 

「じゃぁ、その少数精鋭を決めることが肝要だな。問題はその役目を誰にするか……ん?」

「……」

「……」

「……」

 

 なんだよ。パラス、ヘビーレイン、イナムの3人が俺を凝視している。なんだよ、照れるじゃないか。それを見ていたサルカズ傭兵がポツリと。

 

「どう見ても全会一致。決まりだな」

「えっ」

「デリヴァ、あなたに我々の命運を託します!」

 

 うっそだろ。てか、俺1人? それは自殺行為ってやつじゃないのか?

 

 最初はそう抗議したのだが、人数が少ない中でこれ以上突入組を減らせばパラスの防衛が難しくなる。そんなわけで最終的に俺はその役目を了承することにするのだった。

 

「それならば、だ。ちょっと頼みごとがあるんだが、いいか?」

「可能な限りであれば、なんなりと」

「なに、ちょーっとだけ特訓に付き合って欲しいだけさ」

 

 こうして午後の内半分は俺自身の特訓に、もう半分は防衛側の連携練習に当てられた。

 

 

 次の日。

 アクロティ村の郊外で、花戦争(ソチヤオヨテル)が始まった!

 

 

「全隊、突撃せよ! 突撃せよ! 突撃せよ!

「畏れることはありません。蛮勇の徒など敵ではありません! さぁ勇者たちよ、我に続け!

 

 両陣営から(とき)の声が上がり、大地が震える中、肉と武器がぶつかり合う音が響く!

 

 っておい! 守るべき対象(パラス)までも突撃してどーすんだ、あっという間に囲まれて――

 ――片っ端からボコボコにするパラスの姿があった。

 得物である鞭をしならせ。広範囲の敵を一度に薙ぎ払う。本来鞭という武器は「掴んで」しまえば逆に相手を拘束することができるはずだが、パラスの鞭捌きは巧妙でそのスキを与えない。どうにか接近することに成功した兵士は彼女の頭突きやら拳やら蹴りやらで大地にキスを強要されている。

 そして真後ろの攻撃にはヘビーレインがフレイルと盾の見事なコンビネーションにより阻止され、その奮戦ぶりに(おのの)慄く兵士は軽快に移動するイナムのトマホークを受け昏倒する。

 村人たちは大盾と長槍でもって規律正しく敵の攻撃を防ぎ、押し戻す。

 

 

 そんな戦場の様子を俺は少し離れた高台から眺めてた。もしかしなくても俺、要らなくね? ついついそう思ってしまった。特にパラス、物凄く表情が生き生きとしていて楽しそうである。ホントにあれ祭祀なのか……? ゴリゴリの武闘派じゃないか。

 とはいえ数は相手側が圧倒的。敵の兵士もガッツがあるようで気絶していても目覚めたら即起き上がり、再び戦いに身を投じる。キリがないな。やはり大将をとっとと倒して短期決戦といきますか。俺は行動を開始した。

 

 

 

 もちろん、そう簡単にはいかない。大将が陣取っていると思われる天幕に近づくと、あっという間に多数の兵士に取り囲まれる。ふむ、遠距離攻撃はいないな。丁度いいぜ。

 

「くらえ!」

 

 1人の兵士が棍棒を持って突撃してくる。単純な、遅い動き。

 

「甘いな」

 

 俺はひょい、と攻撃を(かわ)し、相手の腹に一撃。呻き、緩んだ手から武器を奪い取り、遠慮なく顔面を強打! 

 

「ふう。地面のお味はどうだい? って聞いちゃいねぇか。ほれ、来いよ」

「野郎! お前ら、一斉にかかれ!」

 

 ふふ、それこそ思う壺ってやつさ。集団で一斉に単一目標を攻撃しようとすると、ついお互いが干渉しあってしまい効率的な攻撃はできない。そうなると相手の攻撃はかなりワンパターンとなる。

 それさえわかれば後は簡単。見切り、カウンターを加え、敢えて同士討ちさせ、ひるんだ瞬間を叩き、地面に転ばせる。

 時には持っている武器を投擲(とうてき)。意表を突かれ、困惑する敵に一瞬で近づき、足払い。からの一撃。

 この場合使うのは全て敵の武器。遠慮はいらない、どんどん使いつぶす。

 

 

 5分が過ぎたころには周囲の兵士は一掃されていた。強く殴ったのでしばらくは動けないだろう。……昨日やった特訓というのがこれでパラス達にひたすら俺を攻撃してもらったのだ。俺はそれらを見切り、カウンター攻撃をする。そんだけだ。

 特に苛烈な攻撃をしてくれたパラスには相当の打撃、流石に顔は不味いと思い腹パンしまくったのだが、全く堪えていなかった。「ミノス人は丈夫ですから。ですからどうぞ遠慮なく」とは本人の談。

 とはいえ限度というモンがあるだろ、軽く二桁は殴ったんだぞ……その日の風呂で一応、確認してみたが(あざ)等は一切なかった。あれには少し自信を無くしたぜ。普通にピンピンしていたし。

 

 そんな回想をしつつ、本陣にたどり着くと。立ちはだかる影が1つ。……女の子か? 非常に大きな角と尻尾が特徴だ。そして露出する見事な腹筋が眩しいぜ。

 

「えっと……こ、この先は立ち入り禁止です! なので引き返してください!」

「お、おう。だがそれは困るな。俺はこの先の人物にちょっと用事があるんだ」

「どうしても、ですか?」

「ああ。ほれ、あそこで俺の仲間たちが戦っているだろ。彼女らを助けるためにも、俺はアンタの背の奥に進まないといけない」

 

 こんな会話をしなくても、問答無用で襲えばいい話なのだが。この純朴(じゅんぼく)そうな娘にそれをするのは躊躇(ためら)われた。ここは正々堂々といくとしよう。

 

「俺は漂流傭兵のデリヴァ。どいてくれないのならば、これ()で話をしようじゃないか」

「うう、仕方ない、ですね……わかりました。私、エステルがお相手をします! ここは、通さない…!」

 

 中ボス、エステルとの戦いが、始まった!

 

 

 




 少し短めの回でした。
 戦闘シーンはなるべく簡潔にしようとした結果、こうなりましたが……いかがだったでしょうか?
 次回、中ボス&大ボスの連戦となります。

 もしこの話を面白いと感じてくれたら、☆評価や感想を是非、よろしくお願いします!

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