漂流傭兵小噺~なんで右も左もケモ耳ばっかなんだ、いやそんなことよりまずはカネだ龍門幣だ!~   作:ラジオ・K

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 また、アクセス解析によると連載開始よりはや一か月(と一日)で累計PV、UA共に10万を越えたようです。
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中ボス、エステル戦

 中ボス、エステルとの戦いが、始まった!

 

 

「行きます!」

 

 律義にそう宣言して、エステルの攻撃が繰り出される! ふむ、拳か。徒手空拳(ステゴロ)であれば……受け止め、カウンターを、

 

 ズドン!

 

「ぐっ!?」

 

 クソッ、見通しが甘かったか……!

 攻撃を受け止め……られずに思いっきり吹き飛ばされる。咄嗟に適当な鉄板を召喚して受け止めたにも拘わらず。

 派手な音を立てて倒れる鉄板は「く」の字にひん曲がっていた。その中心には拳の形をした跡が。素手で鉄板をひん曲げるとか、これは不味いぞ!

 一撃でも喰らえば両腕が粉砕させるなんて如きでは済まされないぞ。

 

「あなたを怖がらせること、できたかな…?」

「ああ、そりゃぁもう。お嬢さん、強いんだな」

「じゃぁ、引いてくれる?」

 

 やや期待するかのような声色と共にエステルは質問してきた。その内容は気遣いの色すら見える。

 俺は視線を後ろへと回す。視界に映る、多数を相手に尚も善戦しているパラス達。だが……パラス以外のメンバーには疲れが見え始めているようだ。

 

「すまんが……やはり引けないな」

 

 その返答にやや悲しそうな顔を見せるエステル。だがそれも一瞬。すぐに引き締まった顔と共に打撃を開始した!

 

 

 そうして既に5分は経過しただろうか。

 エステルの猛攻は途切れることなく続いていた。一撃で俺を戦闘不能にできるであろうその拳を、奇跡的な確率でもって避け続ける。

 だが、俺がいい加減に攻撃しようとした時。

 運が、尽きた。

 

「はあっ!」

 

 その()()は全く予想外の方向から来た。俺は10メートルは吹き飛ばされ、無様に地面に転がる。これが地面の味かぁ。……鉄の味だな!

 どうにか起き上がり、ステキな打撃をプレゼントしてくれた主を見る。それは長く、太い()()であった。

 今まで俺がやってきた、カウンターを取られたか。因果応報ってやつだな。自嘲気味に、ゆっくりと立ち上がりながらそう考える。俺の服はあちこち破れボロボロだ。

 そんな俺の姿にまだ戦闘の意志ありと思い、再び構えるエステル。正解だ。

 

 これは……どうしたものか。俺の攻撃では一撃で昏倒させるのは、不可能だろう。対して彼女はそれができる。

 スキをかいくぐり、攻撃しようとしても、待ち構える尻尾。リーチも広い。もしかしなくても、難関不落か?

 

 いや、何か手があるはずだ、何か……俺は震える体に鞭打ちながら構えを取る。しっかりと、エステルを観察しながら。

 

 お互い、じり、じり、と距離を詰めて、詰めて……磁石のように引き合う。俺とエステルの距離は3メートルを切った。この距離で互いに動けば、即座に攻撃範囲内だろうな。

 

 さて、多分だが。お互いに「隠し玉」が1ずつある。それをどのタイミングで出し、どう活用するかに、勝負の行方があるなこりゃ。 俺は……勝つぞ!

 

 一陣の風が、辺りを撫でる。

 砂を蹴る音。

 

 勝負は一瞬であった。

 

 一気に距離を詰め、互いの拳が交差。

 刹那、異変が。

 エステルの腕が、()()()と軌道が逸れる。

 予想もしなかった事態に慌てつつも、次弾の尻尾を放とうとするエステル。その一撃に全てを集中させて。

 ――尻尾は、狙った腰よりも手前でデリヴァの手により阻まれ、またもや()()()と軌道が逸れる。

 力が行き場を失い、バランスが崩れかけるが――踏ん張る。

 迫るデリヴァ。

 エステルは「隠し玉」を解放する!

 己を少し後ろへ、弓なりに反らしデリヴァの顔めがけて放つ頭突きを即座にイメージする。その先には大きな、大きな()。彼女が罹患した病気のせいで巨大化するその角は、立派な武器ともなる。

 もう一度、これが最後だから。

 再び大地を踏みしめ、最後の一撃(頭突き)――

 

 できなかった。

 

 ()()()と、足元から滑り、自身の体が崩れる事を自覚するエステル。

 下を見れば、そこには粘液が。

 アヌーラ人特有の、ぬめりを帯びた粘液。

 それが拳を、尻尾を、そして自分自身を()()()()のだ。

 そして下から迫るはデリヴァの、拳。

 

 ろくに防御態勢がとれぬエステルの顎に、見事なデリヴァのアッパーカットが命中(クリティカルヒット)

 その一撃は脳震盪を起こさせ、かくしてエステルの意識は刈り取られた。

 

「はぁ、はぁ……危なかったぜ……」

 

 エステルを背負い、近くの木陰にそっと寝かしてやりながら呟く。アヌーラの粘液で打撃を滑らせ、逸らす。と見せかけ……()()()()使()()というアイディア。少しでもタイミングがずれるとこっちの負けであったろうな。彼女の見た目的にあの立派な角を使うことは予想できた。順当に考えれば、頭突きであろうか。

 勢いよくその攻撃をするためには、踏ん張ることが肝要だ。そこが狙い目。拳と尻尾を粘液で逸らした時、態勢を整える時1度踏ん張る。そして頭突きにもうひと踏ん張り。ついさっき成功したのだから、まさか失敗しないだろう――という思い込みを突いてその足元にほんの2雫程、粘液をそっと流したのだ。

 

 はっきり言って分の悪い賭けだったが、どうにか成功した。

 去る前に、彼女の顎をそっと撫でる。多分、そこまで腫れはしないだろう。骨にも異常なさそうだし。ちゃんと手加減できたぜ。

 

 

 

 激闘を制した俺は本陣にたどり着く。待ち構えていたのは――

 

「我、誉れ高きブラン(腕力)族の長、ブレインなり! いざ尋常に勝負!」

 

 

 中ボス、ブラン族の長、ティアカウチャンピオンのブレインが襲い掛かってきた!

 

 

 クソッ、いきなりかよ! なんて短期なヤローだ。それに……デカ過ぎんだろ!?

 

 数メートルはあろうかというギザギザに尖った棍棒が叩きつけられ、地面クレーターができる。目の前の長は、身長が3メートル程あった。

 いやいや、怪獣かよ。こんなんにどう勝てばいいというんだ!? とにかく、まずは観察だ観察。少しでも敵の特徴を把握しなくては。

 

 ブレインの猛攻を紙一重で(かわ)しながら観察する。

 まず、得物。数メートルの棍棒に……よくみたらギザギザの部分は黒い石が複数ついている。相手を殺すのではなく「傷つける」事に向いてそうだな。まああの大きさじゃ少し掠っただけで致命傷っぽいが。

 そして大きな盾。恐らく木製。こちらも縦横共に数メートルの大きさ。いくら木製とはいえこの大きさでは防御力も凄まじいだろう。

 あと頭に防具を(まと)っている。

 以上、終わり!

 

 だめだ、全く勝機が見えない。少なくとも拳でやりあうのは無理だな。かくなる上は――

 俺は虚空よりとりあえず標準サイズの剣と盾一式を召喚。ブレインに挑みかかる!

 

「ほう、武器を取り出したか。だが甘いわ!

「何ッ」

 

 俺の武器はブレインの棍棒とぶつかるや否や、あっさりとボロボロになり、粉砕されたのだ! 

 いきなり武器が劣化したように見えたぞ。 一体これは……?

 

フハハハハ、残念であったな愚かな勇者よ。我のアーツは武器・防具の類の耐久力を弱めるのだ! まぁ我自身にもかかってしまうのだが。だが、その点己の肉体と強度が高い武器で戦えば帳消しとなるものよ!」

 

 こいつ、名前からして単なる脳筋だと思ったが……ちゃんと考えてやがる!

 彼の言い分が正しいとすると武器で戦うのは下策かもしれん。だが拳では有効打を与えることは難しいだろう。あの体格じゃぁエステルみたいに脳震盪を起こさせようとする、とめちゃくちゃなパワーがいるはず。

 

 不味い、詰みかもしれん。

 どうする、どうすればいい……!?

 




 丸2日間考え続けた戦闘シーンでした(ガバガバ過ぎない?)。

 そして本来であれば中ボス×2の戦が終わるはずでしたが、結果はご覧の通り。どうしてこうなった。
 じ、次回こそ決着がつきますから(震え声)!

 もしこの話を面白いと感じてくれたら、☆評価や感想を是非、よろしくお願いします!

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