あの日から30年。ついに、この日が来た。
『もっと戦いを…!』
湊ミハルに取り憑いたポセイドンが、空に空いた穴に飛び込んでいく。
比奈達から聞いている。あの穴の先には40年前の過去。そして、あいつがいる。
一瞬、迷ってしまった。会ってしまったら、自分が抑えられなくて…過去に残って、過去を変えてしまうのではないかと。
けど、それは許されない。きっと、あいつの想いを、願いを、欲望を、踏みにじることになるから。
だから、何も言わずに共に戦い、そして立ち去ろう。そう心に誓って、俺は翼を広げて、過去に繋がる穴に飛び込んだ。
──あいつだ。最後に見た時より10年分若い、出会った頃からそう変わらない…あいつの姿。
あいつは目を見開いて、ポケットの中に手をやった。そこに、割れた俺のメダルがあるのを感じた。
分かっているのだろう。それでも、あいつは俺と共に、仲間達の元に向かった。
俺は、30年前のあの日、最後の戦いの時と同じ、あいつの姿になった。
そうして、俺達は”再会”した。
比奈達も驚いていて、まるで生き返ったあの日のようだった。
『知ってるよ!──"仮面ライダー"だろ! せっかくライダー同士なら…!俺はその手を掴みたいッ!』
お前は、変わらないんだな。いつの時代も、変わらない馬鹿だ。
見ず知らずの湊ミハルに、必死に手を伸ばして。
10年後、見ず知らずの子供を守って命を散らしたように。
きっと、今その未来を知ったところで、こいつのすることは変わらないのだろう。
『肝心なのは明日の、ってとこ。これは今日ちゃんと生きて、明日へ行くための覚悟なんだ』
精一杯生きた、その果てに。あいつはやっと、自分の巨大過ぎる欲望を満たしたのかな。
『いっしょに戦うのって、もしかしてこれが最後?』
…馬鹿野郎。
『そうしたくなかったら、きっちり生き残れ!』
思わずそう叫びながら、メダルを投げていた。
『分かった!お前もな!』
あいつと湊ミハルが力を合わせ、ポセイドンを倒し、湊ミハルは元の時代に向かった。
そして、俺も。
湊ミハルを見送る、あいつと比奈の後ろ姿を見る。
…これで、本当に最後だ。
この30年間、この日が来ると分かっていて、心に抱え続けたものに、やっとケリをつけられた気がする。
だから…
──じゃあな。ありがとう、映司…。
「やっぱりあなたは、この時代のあなただったんですね」
元の時代で、俺とミハルは、あいつの墓に花を供えて、その前で話していた。
「お前は、これからどうする?」
「約束したんだ。みんなの明日を守るって」
ミハルはあいつから渡されたパンツを持っている。
「あの人が、あなたと共に、命をかけて守った明日を…俺は、絶対に守ります」
「…そうか」
映司。お前の願いを継いだのは、俺や比奈達だけじゃない。
新たな仮面ライダーは、これからも明日を守り続ける。
そしてその未来を、俺は見続ける。
──俺達が生きる、明日を…。
【あとがき】
『復活のコアメダル』を見てから『MOVIE大戦MEGA MAX』を見返すと、全く見方が変わります。
アンクが映司の姿になったこと。
ポセイドンの未来のコアメダルに対する、『未来の私が作っただけはある』という鴻上の言葉に激怒していたこと。
「男はいつ死ぬか分からないから、パンツだけは一張羅を穿いておけ」という祖父の遺言を語る映司を見るアンクの表情すら。
何より…
『いっしょに戦うのって、もしかしてこれで最後?』
『そうしたくなかったら、きっちり生き残れ!』
このやり取り。
未来に帰る前に、映司と比奈を見るアンクの笑み…。
あり得ないと分かってるけど、まるであの時から決まっていたような気がします。
ミハルのことはありますが、あくまでオーズの話ということで、ジオウに関する話は敢えて入れませんでした。
どちらにせよ、ジオウ最終回で世界は分割されましたし、きっとジオウで命を落としたミハルも、再編されたオーズの世界の未来にいる。
ミハルが守る明日で、アンクもまた生き続けている…。