訳ありはどこにでもいる。簡単な話。   作:諸喰梟夜

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(ハーメルンには)初投稿です。
2095/04/03、入学式前



入学編
1:【幻】有り体に言えばスペアなんだっけ


【幻】

 

 "魔法"。―――それが伝説や御伽話の産物などではなく現実の技術になったのはいつの事だったか………あ~~~いいや面倒くさい。なんでわざわざ俺が説明してんだ、仮にも科学の申し子なら知ってんだろ便利な方法。検索しろ検索。

 そんな献策はさておくとして………昔のことなんか知ったことか。起きたことは起きたこと、遠い過去の事なんか考えても面白くもなんともない。どうせ好き放題書き換えられるわけでもないわけで。

 あー…まあ最低限魔法だけでも説明しておくとしよう。魔法とは事象の定義を書き換える技術、ざっくり言ってしまうなら「"世界"を変える技術」といったところか。元は超能力と呼ばれていたものが、研究過程の中で体系化されたものだとさ。まあそれでも全部が分類されてるわけではないようだけど。例外はどこにでもある。簡単な話。ま、今はどうでもいいか。

 

「早すぎたんちゃうか」

「早すぎたねえ」

 いやはや早めに出たことを差し置いても到着が早すぎた。どうやらうっかり古い地図を参考にしてしまったと思われる。そんなことある?と思った奴もいるかもしれない、けど残念ながら「あるからなっている」としか言えない。

 地図は並べて推移を見るのが楽しくて古いものも保管してるけど、それでたまにこういうことをやらかしている。これだけ科学技術が発達した現代でも、俺が使うのは紙の地図。やっぱ触れられる形がある方が落ち着くんでね。

 …初っ端から話が脱線してしまったけど、ここは第一高校…正式名称は国立魔法大学付属第一高等学校。…付属?附属?どっちでもいいな?OK。名前からお察しの通り、先に述べた魔法について学ぶ学校だ。んで、本日4月3日(日)はここ第一高校の入学式。

 …なんだけど現在まだ式が始まる二時間前、というね。

 

「これから通うんだし、こうして建物の案内図を見て覚えとこうと思ったんだけど…ここまで余裕があると敷地内一周できちまいますなあ」

「敷地内一周どころで済むんかね」

「そりゃもうアレよ」

「わからんわどれやねん」

 

 …あ、そうそう自己紹介が遅れた。まあ手短に。俺は高塔(タカトウ)幻人(ゲント)。今年から第一高校に入学する。新入生というやつだね。前髪が長くてよく"見えてる?"って心配されるけどちゃんと見えてる。心配ご無用。メカクレの魅力を語るのはまた気が向いたときにしよう。んで今隣であきれ顔でため息をついているぼさぼさ頭がヨースケ…月田(ツキダ)庸介(ヨウスケ)だ。中学二年以来の親友である。関西ノリがとても楽しい。

「今関西ノリ楽しいとか思っとるやろ」

「ご明察~。さすが古式魔法師」

「関係あるかい。結界術にどこまで期待しとんねん」

 半目でぶすっとした表情に見えるけどヨースケはこれが通常モードだ。無愛想なのは顔だけ…あごめんて睨まんで。そのまま雑談を交わしながら歩き、講堂が見えてきた。…おや、誰かいる。

 

納得できません!なぜお兄様が補欠なのですか!?

 そんな声が響き渡った。青年と少女が向かい合っている。青年は見たところ結構背が高いしガタイもいいようだ。そんな青年の顔を見上げる形の少女の方は横顔だけでも非常に整った顔立ちであることがわかる。距離があるのでこちらは気づかれてはいない様子。

 

「修羅場だな?」

「ツッコミ追い付かんからやめろや、お兄様言うとったやろ」

 それはそう。お兄様と呼ばれた青年は、不満を隠そうともしない少女をなだめているようだ。まあ俺達には直接関係はないな。身内の話。万が一面白そうだと思っても首を突っ込むことじゃあない。イカれてる自覚はあるけどさすがにその辺の節度は持ってるつもり、むしろこういうのは巻き込まれる前に離れるに限る。というわけでふいっと背を向けて離れることにした。

 

「補欠ねえ…」

 ふいとヨースケを見る。第一高校の制服はとにかく白い。清廉なイメージがあっていいとは思うが汚れが際立つ…いや、むしろ分かりやすいからいいのか…(しかし俺は清廉とはほど遠いのでわざと汚しておくのも一手かもしれない)。さてそんな中、俺の制服にはある花みたいなマーク…エンブレムと言ったか…がヨースケの制服にはない。

 第一高校には二科制度があり、どちらになるかは主に現代魔法の腕前で決まるらしい。実力主義とはいえ、なんとも勝手な話…と思わんでもない。

 

「二科生って有り体に言えばスペアなんだっけ~?そっちの方が楽そ」

「楽とかそういう問題やないと思うけどな…」

「だって一科生は主力じゃん~。向上心もへったくれもないのに勝手に期待寄せられるの嫌だよ?俺」

「…ほんまブレんよなぁ幻人」

「それほどでも~?」

「誉めてはないねん」

 

 

 ❁ ❁ ❁ ❁ ❁

 

 

 そのまま敷地を一周したころにはけっこう人が増えてきた。まあそれでもまだ開場には早いけど。そして、周囲の視線と影口が耳につくようになってきた。

 

「アッハハ、ねえ今聞こえた?一科生と二科生が並んで歩いてるなんておかしい~だってさ」

「勝手に言わせとけばええやろ、すごい顔して振り返ったぞさっきの」

「やーごめんごめん、他人の知ったような口は面白いなあって」

「めっちゃ油注ぐやんええ加減に」

「あ、おーいマモ~!」

 叫んで手を振ると、相手もこちらを見て笑顔で振り返してきた。名前は深瀬(フカセ)(マモル)、髪の色が薄い以外述べようがない見た目こそ地味だが親友の一人であり、俺にとっては恩人でも―――いや、堅苦しい話は別にいらんか。いっけな~い蛇足蛇足。

 

「っと、ほたるんとシキは?」

「後ろにいるよ」

 いつもの笑顔でそう言われたので体を伸ばしてマモの背後を見…ようとしたところで、いつも通り目付きの悪い赤みがかったポニーテールの少女、宍倉(シシクラ)(ホタル)がマモを押しのけて出てきた。まもるはたおれた!

 

「ほたるんつよーい」

「衛が弱いのよ衛が。あとその呼び方やめなさいっつってんでしょうが」

「えーなんでよカワイイでしょ、ほたるん」

「カワイイ担当じゃないわよあたしは。そういうのはよーすけでしょう」

「は?いやなんで俺やねん、せめて後ろのそいつのほうやろ」

「友人をそいつとは聞き捨てならんな~?」

 しれっとヨースケを巻き込んだほたるん(かわいい)の後ろからにこにこ笑顔で顔を出したのは黒髪で尼削ぎの古御堂(コミドウ)(シキ)。…で、尼削ぎってなんだ?…本人が言ってただけで俺髪型とかよく知らん。識はまあこの名前、呼び方に悩むのはわかるけどねーと言いながら、ほたるん(つよい)の隣でorzになっているマモ(よわい)の腕を引っ張りあげている。さしもの俺も不安だよ?マモのその体力。

 マモがようやっと(小鹿のように足を震わせながら)立ち上がったところで、あ、と識が小さく手をあげた。

「ところで、そろそろ開場みたいだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 





☆ざっくり紹介

・高塔幻人
一般家庭()発、人からどう思われるかとか気にしない系自由人

・月田庸介
古式家庭出身、ツッコミ担当関西弁

・深瀬衛
現代魔法家庭、外見は目立たない。体力が底辺

・宍倉螢
無愛想で気が強い。地味に攻撃的

・古御堂識
古式家庭出身()、おどけたような言い回しが目立つ。語り手になりやすいかも


・司波兄妹
原作と同じ(はず)。見かけられただけ


 ❁ ❁ ❁ ❁ ❁


書きたくなったものは仕方ないと書き始めたけども、治癒魔法強者なモブに傍観させる程度の予定だったけどキャラ作ってるうちにその程度じゃ済まなくなって現在に至る…という経緯持ちでした
こんな感じですが、よろしく(お手柔らかに)お願いします。

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