訳ありはどこにでもいる。簡単な話。   作:諸喰梟夜

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日付変わる前に急ピッチ且つ片手間でというのはさすがに甘かった。甘々であった。

少女探偵団始動


10.【識】気持ちはわからなくもない +α

 

【識】

 

 さて、まあそんなわけで発足しました少女探偵団。

 リーダーはエイミィ、その他メンバーはほのか、雫、そして私の三人。螢とコノハはまだ部活決めかねてるのもあって不参加。螢は「決めても参加しないわよ」って言ってたけど…まあしばらく二人にさせておこう。どのタイミングで男子と引き合わせるかな。

 それはさておき、私たちは屋上にいる。ここならあの怒濤の勧誘にも巻き込まれないし、広い範囲が見渡せる。配布された各部のユニフォームまで身に纏っているのは念押し。…立ち入り禁止になっていないか心配したけど大丈夫なのか~。しかも人気もないし、これは思わぬ穴場発見だな。

 

 そして現在、屋上で四人肩を並べて双眼鏡を覗き込んでいる状況だ。

「…識、双眼鏡の使い方独特だよね…」

「ん?あーこれ?」

 言われて私は左隣の雫にちらっと視線を向けた。右目に双眼鏡の片方を当てたまま。

「ちょっとスキルをね、使えたら使おうかと思って」

「スキルって?」

「端的に言えば盗み聞き。ただし直接見てないと駄目ってやつ」

「そんなことできるの!?」

「欠点多いから乱用はしないけどね」

 

 視線を戻して司波君を探す……いたいた。ちなみに字面は掲示板で、各委員のメンバー紹介を見て知った。蛇足だけど幻人君と衛君のクラスにも風紀委員が一人いたのは驚いたね。平和にやってたらいいけどちょーっと不安。

 しっかしあのハイスペックさを見るに司波君、ひょっとしたらこうやってる私たちにも気づいてるかもね……とか思っていたら、見えた。司波君の周囲に、魔法の兆候。

 自分とほのかの口から「あっ」という声が出た。けれどその次の瞬間には、兆候は魔法の形をなすことなく消えてしまった。まるで煙が散るように。

 

「今のって」

「キャスト・ジャミング?」

 …ほのかの口からも出てきたのにはちょっとびっくり。アンティナイトという鉱石に想子を流し込むことで発生する…現象?まあ、とりあえず想子が引っ掻き回されて魔法がうまく作動しなくなる~とかだったと思う。

 ほのかは雫の家で、ボディーガードの人が使うのを見たことがあるらしい。そういえば左隣のこの子ご令嬢だったわ。なんだか巻き込んでしまって申し訳…いや、今さらだな。

 

「でも、お兄さんがアンティナイトを持っているようには見えないよ?」

「稀少な鉱石らしいしねぇ………」

 …"いっぱしの高校生が持てるものじゃない"と続けようとしたけど、あのスペックでいっぱしは無理でしょwと思う自分がいたのでなんとなくやめておいた。

 司波君がすぐさま顔を向けた方に、逃げていく人影。雫が魔法を発動しようとしたけど、人影はすぐに行方をくらませてしまった。"聴き"耳を立ててももう聞こえない。…雫?待って今何をしようと?…まあいいか。彼女のことだし、そんなに危険なこっちゃないだろう。

 

「見たよ、バッチリ!あれは男子剣道部のキャプテンだったと思う!」

「ほんとに!?」

「なんと」

 おっと、話が進んでたってかマジかエイミィ見てたのか顔。ファインプレーじゃん。

 写真を見て確認するため生徒会に掛け合いたいというわけで、A組二人が深雪に聞きに行った。しばらくお待ちください…いや、私はエイミィと監視を続けるんだった。

 

 ❁ ❁ ❁ ❁ ❁

 

「え、端末で見れんの?」

「そうらしい」

 …広報委員会のページで見られるらしい。へー。それで(主に目撃者たるエイミィによって)特定されたのは3年F組の(つかさ)(きのえ)という上級生…まさしく剣道部キャプテンであった。

 …どうでもいいけど日本名でフルネーム二文字って見るとちょっとテンション上がる。

 本当にどうでもいいな。

 

「さっそく生徒会に知らせないと!」

「おーよしよし落ち着けほのかちゃん、これだけじゃ不十分だぞ」

「なっ…」

「そっかあ…あたしたちは見ただけだし…」

「もっと決定的な証拠がないと、イタズラって思われても仕方ないと思う」

「…うぅ…そんなぁ…」

 ほのかは撃沈した。まー何とかしたい気持ちはわからなくもないけど…

 …とか思っていたら突然、ほのかが「そうだ!」と叫んで立ち上がった。

「おぉっと、どうしたのびっくりしたよ」

「襲撃現場の写真を撮るっていうのはどうかな!」

「写真?」

「…そこまですると完全にストーカーなんじゃ…」

 

 エイミィはあきれたカオしてる。…デジャヴだな。しかしほのかの押しが強いし、雫もどこか乗り気…じゃなくて、止められそうにないから仕方なく乗っかることにしたのね。

 …私?こんな楽しそうなことに乗っからないとでも?

 そんなわけで今度は現場の激写を目指すことになりました。調査継続!スタジオにお返ししまーす。

 

 

 

【 】

 

「…そうだ、深雪」

「なんでしょう」

「お前のクラスの光井さんと北山さん、あの二人とは親しくしているのか?」

「…はい。クラスメイトの中でもっとも親しくさせていただいていますが…彼女たちが何か?」

「…普通の子たちなんだよな?異常な性癖がなく常識的な行動ができるという意味で、だが」

「そういう意味でしたら…普通だと思います」

「…そうか」

「あの二人がお兄様に何かご迷惑でも…?」

「そういう訳じゃないさ、落ち着け……………見回り中の俺のことを度々見ているようだから、何が目的かと思ってね」

「あの二人が、ですか?」

「あの二人と更にもう二人。鮮やかな赤毛と、短い黒髪の女子生徒だ」

「……それで、何かあったのですか?」

「いや、心配されるようなことは特にないが、どうやら写真を撮られているようでね」

「写真!?お兄様のですか!?」

「いや、被写体は俺じゃない。自分が撮られていたらその場で何とかしているよ。…どうも、俺にちょっかいを出している相手の撮影を狙っている感じなんだ」

「本当ですか!?またお兄様に手出しする者が!?」

 

 

「……申し訳ございません」

「気にするな。それと…以前、正門前で森崎と騒ぎになったとき、人混みの外から盗み聞きの魔法が使われていたという話をしただろう」

「…はい……それがまた、ですか?」

「ああ、恐らくもう二人のどちらかだろう。これもその相手に向けられているようだったが…それでまあ、俺の方に実害はないんだが、彼女たちが何を考えているのかと思ってな。…高校生レベルの嫌がらせで済めばいいんだが、そうでないならあまり首を突っ込みすぎるのは…」

「お兄様…?」

「…いや、考えすぎか」

 

 

 

 

 

 





・識
刺激的な青春を満喫中
つまり楽しんでる。義憤的なものはあるけど三割程度
屋上に入り浸るかもしれない
何度でも登場する先天性スキル。…これでもやっぱり名前はない。主な欠点については後述
"聴く"ほうに集中して色々聞いてないのは相変わらず。

・エイミィ
識のスキルを知ってビックリ、と共に今回の働きにひそかに期待

・ほのか
とても張り切っておられる。

・雫
ほのかはもう止められない…(観念)
あのとき本当に何をしようとしたのか…まあそんなに危険なこっちゃないだろうけども。

・螢・琥ノ葉
部活探し継続。参加しないったらしない(螢談)

・D組風紀委員
安心してください。平和にやってますよ。


・達也
ここで識本人を視認
作者は彼のできる範囲がわからなくて手探り

・深雪
写真を欲しいって思っちゃうのも部屋を凍てつかせるのも原作に同じ
識のことはまだ見てない

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