訳ありはどこにでもいる。簡単な話。   作:諸喰梟夜

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14.【庸】マイペースかこの野郎

 

【庸】

 

 話は数分前に遡る。もはやお馴染みの三人組で肩を並べて帰路についていたとき。

「あーちょい待っといてすぐ戻るわ」

「ん?あーわかった」

「お?は?おいおいおいおい」

 

 ふと端末を取り出した幻人は、いきなり俺の腕を掴むとそそくさと歩き出した。衛は笑顔でいってらっしゃーいと手を振っている。なんやあいつ適応力高すぎやろ。

「待たんかいなんやねんなんや急に」

「面白いこと!」

「そうか、いつも通り悪い予感しかせんなぁ!」

 幻人はときおり端末の画面に表示した地図を見ながらずんずん進んでいく。すると何やら人影が見えた、と思いきや…

「総代さんやん」

「おやお嬢さんどちらまで?」

「へっ!?」

「おいこら」

 

 幻人の無遠慮を絵に描いたような発言で向こう…司波さんの足が止まった。いやまあそれ以前に、制服から同校生徒とわかるとはいえこんな路地裏で知らない顔と出くわしたら足も止まるわな…しかし。

「こいつがすまん。あとたぶん目的地同じなんちゃいます?」

「こんな濃厚な魔法の気配あるわけだし」

「っ……あなたたちは」

「当事者から呼ばれましたーっと!」

「で、それに巻き込まれ…おい」

「ちょっと待っ…!?」

 

 言い切らないうちにまた早歩きを始めた幻人を(今度は手が離れていたので)追いかける。マイペースかこの野郎。…知っとるわマイペースや。

「これはっ…恐らく、キャスト・ジャミングです!」

「あー魔法阻害するあれな」

 

 漂う魔法の気配から推測したらしい。さすが入試トップ。…つうか最近聞いたなそれ。となると幻人はもうわかっとんか。

「あそーそー、一発目庸介に頼んでいい?」

「俺かい」

「そりゃ困ったときの五鈷杵でしょうよ」

「それを言うなら如意棒やな」

「話が見えてこないんですが…?」

「すんませ…お」

 

 この曲がり角の先。覗き込んだ俺たちが見たのは、……見慣れた仲間に向かってナイフを振り上げる覆面の男。

 

 こういうときはかえって無言になる。素早く印を組み、出てきた正方形を男めがけて思いっきり伸ばしてやった。

 

 

 ❁ ❁ ❁ ❁ ❁

 

 

「あ…ありがとうございます」

「おう」

「…あの、」

「はぁ…遅刻だぞーまったく…」

「見た目のわりに元気やんかコミドーサン?」

「うっわよそよそし…ごめんて」

 覆面男たちの制圧に向かった二人を見送り、念のため倒れている四人を取り囲むように結界を張る。キャスト・ジャミングが止んだことで、一高の女子制服を着た四人はゆっくりと起き上がってきた。

 そして識がしれっと話しかけてくるのでしれっと返しておくことにする。少なくとも制服に靴跡つけたまんま言うことちゃうぞ。

 

 ついでに言うと識以外の三人は知らない顔。知ってたが友達を作るのが早い。しかしそれも肩を並べて妙なことに首を突っ込めるレベルの友達やと?そこまで来たらもうコミュ力高いとかいう騒ぎちゃうやろ。怪物やん。コミュ力お化けやん。

「末恐ろしいわ…」

「何が?」

「なんでも。あと俺はいつも通り巻き込まれただけやし、そのクレームは幻人か通信回線に入れるべきや思うぞ」

「じゃあ通信回線かな?」

「待ってシキ説明は!?」

 

 赤毛の女子が目を白黒させて叫んだ。…おや、もう制圧は終わったらしい。やっぱ厳めしいのは見た目だけやったか。あの二人では造作もないことはもはや自明。そんで幻人は司波さんと何やら話している。…たぶん何かしらの迷惑はかけとんな。

「…まあ要するに、さしもの私も不安になったから用心棒を呼びましたってこと。勝手にごめんね」

「いや、結果的に助かった。ありがとう……深雪は?」

「途中で出くわしただけやな。キャスト・ジャミングが撒き散らされとるとかいう異常事態、さすがに気になったんやろ」

「そっか…」

 

 そうこうしてるうちに幻人が、途中でなにやら識とハイタッチをしつつ駆け戻ってきた。

「さてと、あとは司波さんが引き受けるらしいんでさっさと戻りますか」

「え!?」

「まあ人待たせとるからな。コミドーサンは別にええか?」

「まだ続けんのそれ…まあいーよこっちで」

「ほなこの辺d「待って、名前だけでも」

 

 短い黒髪の女子が食い気味に引き留めてきた。俺は立ち止まったが…幻人はお構いなしというふうに走り去ってしまった。

「…行っちゃった」

「自由人やからな…あいつは高塔幻人、俺は月田庸介。詳しいとこはそこの識に聞け。以上」

 

 手短に、あとは識に丸投げしておいて、幻人を追う。また妙なことに首突っ込む前に追い付かんと。

 

 

 

 

 





・庸介
巻き添え以上でも以下でもない。
ただ精神的には強いし任されれば全力。
伸びてきた半透明のものは彼の結界でした。結界師に影響を受けてるのは自明ですが滅だのなんだのはない。隔離・遮断に重きを置く性質がある。一度出してから形を変えることも可能
訛りはあくまで著者のものなのでいわゆる関西弁とは異なります

・幻人
有識者としてはまったく役に立っている気配がなかった。
制圧後のは本当にたわいもない雑談だったようです

・深雪
制圧は問題なく済ませたけどまだ困惑はしてる

・識
見た目の割に元気、ハイタッチまでしちゃう

・少女探偵団(公式)
さんにん は こんわくしている!

・衛
平然と待っている。


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