訳ありはどこにでもいる。簡単な話。   作:諸喰梟夜

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入学編ラストはここに来て初の語り部になります


20.【螢】ずいぶんな騒ぎになってたけど +α

 

【螢】

 

 光井さんの魔法で反射されて映る景色の中で、今回の騒ぎの重要参考人と目されるという剣道部主将が二人の風紀委員に捕縛されていた。どんな事件でも、終わりはこんな風にあっけない。…まあ、下手にこんがらがったり被害が広がったりするよりはずっといいことよね。

 風紀委員のひとりがこちらを見てさっと腕を振ったのを見て、光井さんもはにかみながら少し手を振っていた。そして魔法を解除して振り返ると、両手を頬に当ててもじもじしている。

「役に立てて嬉しい、って顔ね」

「えへへ…わかる?」

「わかりやすいわよ。まあ、有意義に使えるのはいいことよ」

「やっぱりすごいね、ほのかちゃん!」

 

 さて、テンション高めな彼女はコノハに預けるとして…武装集団による襲撃は、風紀委員その他の活動や生徒たちの護身()によってすっかり沈静化されたようだ。そこここで騒動が起きていたのもすっかり落ち着いている。

「はぁ、やれやれね…まさか入学早々、こんな物騒なことに巻き込まれるとは思わなかったわ」

「これにて一件落着、なのかな?」

「あとはあっても()()()()くらいでしょう」

「言い方は微妙だけど…そうだね」

 

 そこは他に言いようが思い付かなかったからしょうがない。そもそも配慮する必要性を感じなかったし。…その()()()()も、風紀委員の仕事になるだろう。護身のための使用許可はいつまで続くかわからないけど、私たちがこうしてうろつく理由はない。ちょうど端末の通知バイブレーションがしたし。

「とりあえずもう放課後だし、あとは早めに帰宅しなさーいくらいでしょうね。…あなたたちと一緒にいる理由も、もうないわ」

「「えっ」」

 

 …?……なんだかA組の二人にすごく動揺されているような。

「ほたる、その物言いはあんまりだと思うよ?」

「そう…かしら?本当のことを言ったまでだけれど?」

「これだもんね~」

「…とにかく、あたしは識に呼ばれてるから」

 

 端末の通知を見せる。かわいい…という声が光井さんの口から漏れたのは、壁紙にしている子猫の写真のことだろう。身近に癒しがあるのは大切なことだ。

「時間切れかぁ…」

「何かしら?北山さん」

「いや、なんでも。…雫でいいって言ってるんだけどね」

「………善処するわ。それじゃ、また月曜ね」

 

 

 ❁ ❁ ❁ ❁ ❁

 

 

「おーいほったるーん」

「…はぁ」

 視界の先に、ぶんぶん手を振っている識。その傍らに男子三人が揃っている。…あの可愛らしくて締まりのない呼び方、なんだかむずむずするからやめてほしいのだけれど、どうにもすっかり定着してしまったらしい。最近よーすけにまでからかい半分で呼ばれて軽く殺意が湧いた」

「あの殺気で軽かったんか?」

「心読まないでくれる??」

「いや声に出とったぞ」

「えっ………こほん。それはさておき」

「「「「(誤魔化した…)」」」」

「ずいぶんな騒ぎになってたけどみんなどうしてたの?」

 

 …生ぬるい視線が刺さるけど気にせず続けることにする。質問を向けると、あ、と識が声をあげた。

「私らはちょっと離れた演習場使ってたから、実はそれ私が一番聞きたい」

「識はなんともなかったの?」

「さすがに演習場から直帰とはいかないから、なんともなかったわけじゃないけど。それでも来たときにはもうだいぶ落ち着いてきてたんじゃないかな」

「そう……あたしは途中でA組の知り合いと合流したら、その子たちが首謀者…というか重要参考人というかを知ってるらしくて。そいつ通報して、風紀委員に捕縛されるのを見てたわ」

Wow…」

「誰?今の声」

「幻人」

 

 どこかの遊園地のコマーシャルで聞くやつの真似だろうけど無駄に再現度が高い。どっから出したそんな声。当の幻人はけらけら笑いながらゆったりと拍手をしてくる。やめろ。

「いいじゃん~充実した時間過ごしちゃってまあ~^^」

「どこが……はぁ…。部活も満足にできなかったし、こんなイベント望んでないわよ…。そういう幻人は?」

「図書館で足撃たれて、そのあとちょっとばかし負傷者治療行脚をね」

「は?詳しく」

 

 

 

 

 





・螢
ほのしずとしばらく同行。通報は一歩引いて見てた
騒ぎも沈静化したようだし、放課後なので帰りたい
※彼女に塩対応の自覚はありません
ほたるん呼びを嫌がっていたのはむず痒いから。可愛がられるのが苦手。突然の可愛い言い回しはあったが
あなたもその"ずいぶんな騒ぎ"の中にいたでしょうに
やはりというか、癒し系にめっぽう弱い模様

・ほのか
ちゃんと役に立てて嬉しい。気持ちがすぐ表に出る
螢ともっと仲良くなりたい

・雫
風紀委員に情報を送る作戦発案者
螢ともっと仲良くなりたい。呼び名が一向に変わらないのが気になる

・琥ノ葉
途中から合流したゆるふわ癒し枠。通報は一歩引いて見てた


・識
今回はほぼ蚊帳の外
馬がいる狩猟部、普段はちょっと離れたところで練習やってそう…実際どうなのかわからんけど……

・庸介
あの殺気で軽かったとは思えない。まあ平然としていたが。

・衛
^^
つまり通常運転

・幻人
そんな面白いことになってるなら合流したかったね!^^
それはそうとお前は何をしているんだ

・Wow…
関東の民には馴染みがないかもしれない


ここまで入学編でした
次は5人組(6人になったけどね)に迫るオリジナル編になります
よろしくお願いします





 ❁ ❁ ❁ ❁ ❁

【 】

「……行っちゃった、螢ちゃん」
「善処するって…。とりつく島もないとはこの事だね…」
「だいたい誰に対してもああだから、あんまり気にすることないと思うよ」
「けど、コノハは普通に接してるでしょ」
「そうだよ!なんかコツとかある!?」
「あ~…いや~~実を言うと、わたしもなんで気に入られてるのかはよくわかんないんだよね。申し訳ない」
「そっかぁ…」
「まあまだ四月だし、これからいっぱい接してみたら心開いてくれると思うよ?窓口なら私がなるからさ」
「うん、そうだね!」
「…コノハはその包容力で受けたのかもね」
「あはは、そうかも。…で、雫ちゃんは螢ちゃんが気になってるの?」
「うん。…友達の、私たちとは別にいる親友ってこと以上は知らないから」
「識ちゃんかな?」
「そう。識もしっかり者で信頼できるって言うし、ツンケンしてるけど悪い子じゃないのはわかるから」
「気長にいこうね、けっこうデレると一気みたいだから」
「あはは…」
「ふふ、わかった」

「…(あと、気のせいかなとは思うんだけど………雰囲気がどことなく似てるんだよね、深雪に)」
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