どうしてもご都合感が拭いきれないけれど、わたしはげんきです。
2095/5/20(金)
【雪】
「みーゆちゃん♪︎」
「っ…識?」
放課後、生徒会室に向かう途中の人気のない廊下で肩を叩かれ、振り向くと識がいつも通りの屈託のない笑顔を浮かべていました。
…10センチほどある身長差に加え、先生からいただいた忠告が脳裏をよぎって少し身体がこわばりましたが、なんとか平静を装います。
「こんなところで…ひょっとして、生徒会室に用事かしら?」
「いや、深雪に用があってさ。ちょっとばかしお時間いいかな」
「?ええ、時間はあるけれ…ど……?」
…識はにこやかにそう言うと、私の肩に手を置き、顔を寄せてきて、
「私たちのこと嗅ぎ回ってるとかあったりしない?」
普段通り無邪気そうに、その質問を突きつけてきました。
「…何のことでしょう?」
「うーん…入学して少し、あのテロリスト騒動のあとぐらいからなーんか誰かに嗅ぎ回られてる感じがあってさぁ、それがどうも私たち…螢まで含めてターゲットに見てるだけっぽいから、この学校で知り合った誰か関連だろうなってまず思ったの」
あくまで自然に、知らないふうを装うと、識は私から少し離れて独り言のように話し始めました。
「知り合いではない可能性はないんですか?」
「相当低いだろうね。付き合いの範囲が狭い深瀬家について、及びその周辺が探られるならわかる。実際あったし。けど、螢のおうちは
「…そうですか」
「それで~最初は雫かなと思ったけど、北山家もといホクザングループは深瀬家とすでに付き合いがある。調べるまでもない。じゃあ残りの誰か…ほのかがとりそうな行動には思えないし、エイミィの性格なら直でぶっ込んでくるだろうし……ってところで、じゃあ深雪かなぁと思ったわけよ。ちょうどハイスペック兄妹ってことで気になってたし?」
にやりと笑う識。"兄妹"ということはお兄様も気にかけていたということ…そういえば、お兄様もあの遠くの音を拾うスキルを向けられていたんでした。…それにしても…
「…こうして突き付けるには、曖昧すぎるんじゃないかしら」
「そうだねぇ。なにしろ私は適当かつ無謀に生きてるもんでさ」
私にたどり着いた識の推理はしかし、そのほとんどが確証もない憶測。そう指摘すると、識はやはりあっけらかんとした態度で。
「でもでも~…態度を改めてまでまともに取り合っちゃうかなぁ…ねえ深雪」
「っ…!?」
声をひそめた指摘に息が詰まった私をよそに、識は面白そうな表情で言葉を続けます。
「いや~なんか久々に聞いたよ?深雪の敬語。私が冗談多いの知ってるでしょ?笑い飛ばしてくれればそれで済んだのに、初っぱなから本気で向き合ってきたよね~真面目さんなんだから☆」
「それは…っ少し、取り乱しただけで」
「んー?そこまで取り乱すようなことあるかな?私いつも通りのはずだけど?」
「………っ」
ほらほら、とその場でターンしてみせる識を見て、私は墓穴を掘ってしまったことを悟りました…それも、なんて初歩的な方法で…!!
・深雪
引っ掛かってしまった。警戒したらそれ自体が罠だった件
・識
引っ掛けた。友人だろうと容赦がないのはこちらも同じらしい
呼び方を統一しろ