【衛】
第一高校は毎年、部活動の勧誘が激しい。姉さんから聞いていたことだが、やはり実際に目の当たりにすると
「B組の二人大丈夫かなあ…」
「大丈夫っしょ、二人ともメンタルめちゃ強だし」
「さらっといなしとるイメージしか湧かんな」
「…まあそうだね」
言われてみればあの二人のことだ、きっと様子を書き起こしたら「にべもなく」*1と「のらりくらり」*2が連発されて、むしろ勧誘する側の皆様が可哀想になってくる。なら「それはさておき」でもよさそうだ。
こちらは現在、速攻でロボ研に入部を決めた僕と、速攻で美術部に入部を決めた庸介と、まだどこにも入ってないけど美術部だと
幻人本人いわく「入りたいなって思える部活がひょっとするとあるかもしれないし、そうでなくてもこのお祭り騒ぎに飛び込まないなんて選択肢ないじゃん」とのこと。本当ぶれない。
現在放課後、闘技場とも呼ばれる第二小体育館にて行われているオリエンテーションを見物中。すごいなあ。魔法に頼りっきりで体力面が貧弱な僕には、運動部なんて考えられない。姉さんや学兄さんに運動もしろって頻繁に注意されてたけど、魔法を使うのが楽しくて耳を傾けなかった結果がこれだ。
「後悔は先に立たないぞ~マモ」
「うん……………え?声に出てた?」
「いや、作者が言ってやれって」
「さくしゃ……?」
「お?なんや揉めとるな」
「え!何!?」
パァンッ!という音がしたと思ったら、庸介の言葉に幻人が身を乗り出していた。めちゃくちゃ目が輝いてる。
「声が大きいよ、幻人」
「もっと優先すべきことあるんとちゃうか」
うん、なんか揉めてるよね、と返すと庸介はため息をひとつ。なんだろ…?それはさておき男女の言い争う声がしている。
「なんだ痴話喧k」ゴスッ、というのは庸介の結界が幻人を黙らせた音。
「このアホが言う"耳がいい人"がおらんからようわからんな~」
「剣道部と剣術部みたいだね…」
見ているとなんだか打ち合いが始まった。わあすごい…僕よく知らないけど。でも面は被るんじゃなかったっけ?見ていると両者真っ向からの相討ちで動きが止まった。
「物騒やなぁ…ちょおトイレ行ってくるわ」
任せた~と安らかな顔の幻人*4を任され、そういえばわざわざ見てる意味ないか…と無心に視線をさまよわせた時、先程の揉め事の方から何か叫び声とざわめきが起きた。そして顔を上げたとき、すぐ隣から想子が撒き散らされるのがわかった。
❁ ❁ ❁ ❁ ❁
「キャストジャミングぅ?」
「んー。あるいはまあそれに近い何か」
庸介のすっとんきょうな声に、幻人がいつもの調子で答えた。あのあと戻ってきた庸介と、風紀委員の到着でざわつく第二小体育館をあとにした。その後とくに行くあてもなくぶらついてるわけだけど、僕はそこで先ほど幻人がばらまいた想子について質問した。すると返ってきたのが「キャストジャミング避け」という一言。
「でもそれ、なんか特殊な鉱石ないとあかんやつやろ」
「そ。でもまあ有り得なくもないじゃん?なんといってもここは天下の第一高校、しかも今は魔法が飛び交う無法地帯。おおかた誰かか何かしでかして緊急措置が出た~ってとこでしょうよ」
「確かに…だけどそれだいぶヤバイ状況では…」
「何しでかしたら特殊な鉱石出動するんや…」
「爆破とか?」
「何部やねん」
まあジャミングの対象についてはそれでなんとかなったんじゃないかなと思いつつ、いつも通り漫才のような応酬を聞きながら歩いていると後ろから足音。ん?と振り向くと、小柄な赤髪の少女が白衣の女性の手を引いて横を走り抜けていくところだった。
「なにごと?」
「医療案件やろ」
「左に同じ」
「右やろ立ち位置」
・衛
ツッコミが機能しないド天然。彼も彼でぶれない。
・幻人
騒動は楽しむもの。OK?
・庸介
ツッコミが足りなくて困るあまり、ついに魔法で黙らせる手段が登場
・赤紙の少女と白衣の女性
こちらはまた次回。
・キャスト・ジャミングを実行した風紀委員
「…今のは……?」
・作者
ん?何か?