とうとうネタが切れてしまった。
「ふぁ〜、おはよう。お義母さん。」
「おはよう、ラモちゃん。」
地面から掘り出されて救出された次の日、いつもの時間に起きてお義母さんに挨拶をする。
昨日の感想をいうなら救出班が妙に手慣れてるなと思いました。初っ端からパンダカーを引き上げるためにクレーンを持ってくるとは思わなかった。
そんなことを考えつつあくびをしながら朝食を食べるために椅子に座れば目の前には見覚えのある弁当箱が。
「あれ?これってお義父さんの弁当箱だったよね?なんでここに?」
「歩さんが忘れて行っちゃったのよ。今日は早めに出ないといけないって慌てて出て行っちゃった。」
お義父さん……。また寝坊しちゃったのか。何かに集中すると時間を忘れて考え込むせいでよく寝坊してしまうらしい。一応トレーニングには間に合っているようなので問題は無いらしいけど。
「それでこれはどうするの?いらないなら食べていい?」
「ダメよラモちゃん。これは後で歩さんに届けにいくのよ。」
「お義母さんって今日は予定が入ってるって言ってなかったっけ?」
「ちょっと遅れるけど大丈夫よ。」
チラッと時計を見てみるとお義母さんの予定の時間が近づいている。恐らく僕のご飯を出したらすぐに出かける予定だったのだろう。今の時間からトレセン学園まで弁当箱を届けるのなら確実に間に合わないと思う。トレセン学園には学食があるはずだしそれでいいじゃんと思うけどお義母さんはこう見えて結構独占力が強い。多分学食より自分の作ったものを食べてほしいとかそういう感じだと思う。うん、ならこうしよう。
「お義母さん、弁当箱は僕がお義父さんに届けに行くよ!」
「いいの?でもラモちゃん課題は?」
「もう終わった!学校までの道順も確認したし今日の予定は特に無いから大丈夫だよ!」
ちょっと前に入学することが決まった学校から渡された課題は時間がある時にちょくちょくと進め、昨日で全て終わらせた。遊びに来るテイオーからヒントを教えてもらいながらやったので多分大丈夫。道順も昨日の帰りに確認したから大丈夫。なので胸を張ってお義母さんに伝える。
僕がトレセン学園以外に入学することをテイオーに伝えた時は急に空気がジメジメし出したけどあれは何だったんだろう?
「そう……。ならお願いしようかしら。」
少し悩んだみたいだけどお義母さんは僕に任せることにしたみたい。僕にトレセン学園に入る手順を伝えるとすぐに本来の予定に向かった。
「ご馳走様でした。僕も届けに行かないとね。」
食器を片付けた後に服を着替えて準備を整える。お義父さんの弁当箱を鞄に詰めたのを確認してから家の戸締りをしっかりしてトレセン学園に向かう。
道中は途中で道が工事中で通れなかったせいで迷子になりかけたが問題なくトレセン学園には到着できた。
「えっと、確か守衛の人にこれを見せるんだったよね?」
首に下げたカードを取り出す。お義母さんはこれを見せれば面倒な手続きを省いて中に入れるって言ってたけど本当かな?
少し疑問に思うが考え込んでも意味がないので守衛の人へ向かい、こちらに気付いたみたいなので挨拶をしながらカードを渡す。
守衛の人がカードを何かの機械に入れて暫くすると確認が出来たのか、カードと許可証をくれたので感謝を伝えつつ中に入る。
「こうやってみるとなんだか懐かしさを感じるね。アプリの世界だとここが僕の家みたいなものだったからかな?」
三女神像の前で周りをキョロキョロしながら見覚えのある景色を懐かしむ。この世界のトレセン学園は一度目はハリボテエレジー姿で押し入ってから逃げるように去ったので懐かしむ暇はなかった。なので二回目はしっかりと周りを確認しながら歩く。周りには談笑するウマ娘たちもいてプログラムに従った動きしかしないどこまでも冷たいアプリ世界の学園との違いに新鮮さを感じる。
「早くお義父さんに弁当箱を届けないとね。それからまた探索をしようかな。……何の音?」
僕の本来の予定を思い出して近くにあった案内表を見にいこうとすると遠くから誰かが走る音と怒鳴り声が聞こえてくる。耳をすませてよく聞いてみるとどうやらこっちに向かって来ているみたい。というかもうすぐそこだ。
「ゴールドシップゥゥゥ!!!今日という今日は許さん!」
「そんなこと言うなって!ほらスマイルだぜ!スマイル!」
曲がり角から熊の着ぐるみを着て頭に漫才第一と書かれたヘルメットを被り、両手にロックンフラワーと線香花火を持つゴルシと完全にキレている顔で走るエアグルーヴさんが僕の横を通り抜けて行った。ふむ、今日もゴルシは絶好調らしい。それにしてもあんなにキレてるってゴルシは何をしたんだろ?
周りの声を聞いてみると所々から生徒会室に……、野菜だらけ……、ブライアンさんが……とかロクでもない話が聞こえてくる。取り敢えず分かるのはトレーナー責任で怒られるであろう沖野トレーナーの無事を祈るのみだ。
「これがこっちのトレセン学園の日常なのかな?なんかハチャメチャだね。」
思わずクスクスと笑ってしまう。そんな僕の姿を見たウマ娘たちが外部の人に誤解されてるよ!とか、でもあれってライスシャワーさんじゃないの?とか話している。今の僕の姿は普通に私服なので結構目立っている。だから外部の人だと慌てているウマ娘もいれば僕の姿を見てライスシャワーさんだから問題ないと安堵しているウマ娘もいる。確かにゴルシだけ見て学園の印象を決められたらたまったもんじゃないよね。まぁ僕はここのことはしっかりと知っているので安心してほしい。
ざわざわしているウマ娘たちを無視して学園内に入る。ゴルシの登場で目的を忘れそうになったが本来の目的はお義父さんに弁当箱を渡すことだ。早く渡さないと昼の学食が混むことを考えてお義父さんが早めの昼食を取る可能性もある。
「だけどどこにいるんだろう?そこら辺にいる子に聞けばよかった。」
廊下を歩いて探してみるが見つからない。歩いているウマ娘がいないか周りを見てみるけど見当たらない。多分さっきなったチャイムが次の授業が開始される合図だった可能性があるね。
一度職員室かトレーナーたちの待機場に向かうべきかな?案内表を見た感じだとここからだと少し遠いがこのまま闇雲に探すよりかはいいと思う。
「そんなこんなで歩いているんだけど……。ここどこ?」
僕の記憶の中の案内表だと既に職員室あたりには着いているはずなのに未だに僕は廊下にいる。うーん、道を間違えたかな?仕方ない引き返そう。
「おや?君は外部のお客さんかな?」
「あ、ここの方ですか?ちょっと聞きたいことが眩し!!」
後ろから落ち着いた男性の声が聞こえて振り返るとなんかゲーミング色に発光した人がいた。人間か?
「あぁ、眩しかったよね。ごめんね?これでどう?」
「これならまだ……っていうか発光を止めれないんですか?」
謝った後に落ち着いた緑色に色が変わった。発光色を変えれるのなら光るのを止めればいいのにと言ってみるが首を左右に振っているので無理みたい。
「それじゃあ少し聞きたいんですけど、お義父さん……上島トレーナーってどこにいるか分かりますか?」
「上島トレーナー……。あぁ、彼なら今だと多分部室にいると思うよ?場所は分かるかな?」
「ごめんなさい。分からないから教えて欲しいです。」
「分かった。僕も近くに用事があるからそこまででいいなら送って行くけど……どうかな?」
「ありがとうございます。お願いしますね?」
歩き出した男性の横を並んで歩く。この発光している人は多分アグネスタキオンのトレーナーかな?アプリでも発光していた気がするし、ネットで転がっている画像にも発光している人が描かれていたのはアグネスタキオンのトレーナーか巻き添えをくらって薬を飲まされたトレーナーだけだ。だけどそれは全て暫定であってこの世界だとまだアグネスタキオンのトレーナーだと決まったわけではない。
そんなことを考えながら彼を見てみるがさっきから頻繁に腕時計を見ている。
「もしかして急がないと間に合わないですか?それなら走って着いて行きますけど……。」
「ん?あぁ、これは違うよ。時間になったからちょっと失礼するね?」
僕に合わせてゆっくり歩いているんだろうかと心配したが違ったらしい。迷惑をかけていないことに少し安堵していると彼が懐から変な色の液体が入った容器を取り出してそのまま飲み干した。そして倒れた。
「えっ?だ、大丈夫ですか!?」
「あ、あぁ……気にしないでくれ……。なるほど、今回の副作用は麻痺したように身体が動かなくなる……と。それから少し気怠さも感じる。タキオンに報告だな。」
えぇ……。なんかビクンビクンしながら飲んだ液体の感想を言っているんだけど……。発光色も緑色から虹色に変化している。後、やっぱりこの人アグネスタキオンのトレーナーだった。
「……よし、もう大丈夫だ。待たせてしまったね、行こうか。」
「本当に大丈夫ですか?さっきより変な色ですし何というか人間を超越しているような気がするんですけど……。」
「いつものことだよ。心配してくれてありがとうね。」
この人はあっけらかんと言っているけど薬のせいだとしても人体ってこんなに発光するものなの?
きっとこの人のことだから自分から飲んだのだろうけど人体発光ネタはアプリとか四コマとかの創作だから笑えたのにリアルで見てしまうと笑うよりか心配が先にきてしまうんだね。いや、当たり前か……。
「おっと、ここまでだね。上島トレーナーはこの廊下を右に曲がってすぐの部屋にいるはずだよ。いなかったら場合はまたこっちに来てくれたら今度は職員室に案内するよ。」
「ありがとうございます。助かりました。」
ペコリと頭を下げて彼に感謝を告げ、手を振りながら別れる。彼が部屋に入ったのを確認してから教えられた通りに廊下を右に曲がってすぐの部屋を見る。中に誰かが居る気配がするので多分お義父さんだ。
扉の前で深呼吸をする。ノックした方がいいのかな?少し迷ったけどお義父さん相手には必要ないような気がするし、気にせずに扉を開けた。
「ちょっ、待つんだスーパークリーク!確かに俺の言い方が悪かった!だからそんなものは早くしまえ!」
「ふふっ、ダメですよ?あんな発言をしたんですから責任は取っていただかないと……。」
「少なくとも大人にそれはダメだ!……ハッ!そこの君!ちょっと助け──」
閉めた。どうやら僕は部屋を間違えたらしい。彼には悪いけど彼の中の大人の男性というプライドの冥福を祈ろう。だって仮に僕が助けに入ったとしたら確実にでちゅねの標的になるじゃん。危機管理、大切。
「ん?何でラモがここに居るんだ?」
「あ、お義父さん!やっと見つけたよ!お義父さんの弁当箱を持ってきたんだ!」
扉に取り付けられている窓から必死に逃げ回っている影が細腕に捕まって下へと消えていくのを見届けていると後ろの部屋からお義父さんが現れた。目的を伝えると部屋に招き入れてくれたので遠慮なく入る。後ろの部屋から悲鳴が聞こえるけど、お義父さんは無視しているしこれがトレセン学園の日常なんだね。
「はい、これ。急ぐのもいいけど忘れ物はしたらダメだよ?またお義母さんに縛られても知らないからね。」
「肝に銘じるよ。俺も縛られるのはゴメンだからな。」
本当だろうか?僕はお義父さんがお義母さんに縛られているところを何度も見ているのでいまいち信用しきれない。きっといつもと同じように一ヶ月ぐらいでまた縛られると思う。
「ラモはこれからどうするんだ?」
「僕はもう少しこの学園を見て回ろうと思うよ。せっかく中央のトレセン学園の中に入れたんだから見て回らないと損だからね。満足したら勝手に帰るから気にしないで。」
これは少し嘘。本当は僕が生きてきた所とここがどれだけ違うかを知りたいだけ。あの冷たかった世界は生きて動いているウマ娘がいるだけでどれだけ暖かくなっているんだろう?
「そうか、案内はいるか?もうそろそろでスターが来ると思うが?」
「遠慮しとくね。適当に見て回るだけだから大丈夫だよ。」
あの子が案内するってなったら嫌な予感しかしない。常にハイテンションでそのうち人気のない場所に案内してドMモードが発動するに違いない。僕は詳しいんだ、なので案内は遠慮……危機感知!!!
「ごめん、お義父さん!ちょっと下、失礼するね!」
「うおっ!?どうしたんだ?ラモ?」
困惑するお義父さんを無視してお義父さんが座っている椅子をずらして机の下に潜り込む。その後に椅子を元の位置に戻せば僕の姿は机に阻まれて見えないはず!思ったより机の下のスペースが小さいためかなりキツイが致し方なし!
「失礼します。マスターからの伝言を伝えにきました。」
「……ミホノブルボンか。聞かせてくれ。」
直感に従ってよかった!!僕の天敵、ミホノブルボンさんがお義父さんと話してるのを聞きながら、安堵の息を吐く。きっとあのままだとまたハグされてダウンしていたに違いない。それで動けなくなっているうちにあの子が来て空気が混沌になるんだ。きっとそうだ。
「伝言を受諾。これで失礼します。」
「あぁ、よろしくと伝えといてくれ。」
用事が終わったのかミホノブルボンさんが部屋から出ていった。一応耳を澄ませて廊下の足音を探って完全に聞こえなくなるまで机からは出ないでおく。
「ラモ?ミホノブルボンはもう行ったぞ?出てきてもいいんじゃないか?」
「ごめん、もうちょっと、もうちょっと……。よし、大丈夫。」
足音が聞こえないのを確認出来たのでお義父さんに退いてもらって机の下から出る。ビクビクしながら扉を開けて廊下を見渡し、ミホノブルボンさんの姿が見えないのを確認してから安堵の息を吐いた。
「ふぅ、あと少し遅かったらまた僕の尊厳が破壊されるところだった……。」
手で汗を拭く仕草をしているとお義父さんが苦笑いをしている。流石のお義父さんも僕のあの顔にはコメント出来ないみたい。
「それじゃあ、僕はもう行くね?」
「あぁ、大丈夫だと思うが気を付けて行くんだぞ?」
「はーい。行ってきます!」
まずは知っているところから見ていってその後に知らないところを探索って感じで行こうかな?
「ふーん、ふーん、ふーん。ってあれ?テイオー、何しているの?」
学園を順に見ていって満足したのでそろそろ帰ろうかと考えていると扉の前でしゃがみ込んで中を覗き込んでいるテイオーがいた。
僕に気付いたテイオーはパッと嬉しそうな顔をしたけどすぐに元の表情に戻って静かにって合図を出しながら手招きしてきたので大人しく従う。
「どうしてラモがここにいるの?やっぱりトレセン学園に入るとか!?」
「違うよ?それよりテイオーは何をしているの?」
「……違うかぁ。この先を見たら分かるよ。」
ジメッとしたテイオーが場所を譲ってくれたので中を覗き込んでみる。
「マックイーンがいるね。それがどうかしたの?」
「うん、最近マックイーンが何かと理由をつけて甘いものを食べようとするからトレーナーがレースが終わるまで甘いもの禁止って言っちゃってね……。我慢しているのは分かるんだけど雰囲気が怖くて。」
テイオーの言葉でマックイーンをよく見てみると確かに顔が普段のお淑やかとは程遠く、苦渋に満ちた顔に見える。
「それでどうするの?」
「いつもなら普通に中に入っていってマックイーンに顔が怖いって注意をした後でボクが代わりにパフェを目の前で食べるところだけど今回ばかりは命の危機を感じるから踏み込もうか悩んでいるところ。ラモはいい案あったりする?」
「うーん……。あるよ。」
「本当!?教えて教えて!」
テイオーのキラキラした視線を受けながら懐からティッシュの空箱を取り出す。何となく思いついたのでお義父さんがいた部屋でささっと作ったものだ。決してピタコラ◯イッチのお父さんスイッチでは無い。
「……これって何?」
「ゴルゴルスイッチ。えっと確か5656564……っと、このコマンド入力をすると──。」
「おー、呼んだかぁ?」
「ゴルシが呼べる。」
「ワケワカンナイヨ!」
何処からともなく現れたゴルシにテイオーが困惑気味にツッコミを入れるけど僕も訳わかんない。冗談だったのに本当に来ると思わなかった。まぁ来てくれたんだし利用させてもらおうかな。
「行け!ゴルシちゃん!あの扉にダイレクトアタックだ!!それから中の宝石を手に入れるのだー!」
「何が何だか分からないけど楽しそうだな!うおりゃー!!」
扉に向かってドロップキックを決める瞬間にゴルシの帽子みたいなものにとあるものを貼りつける。一瞬で貼ったからゴルシもキックの拍子に帽子がズレたとしか思わないでしょ。
そのままゴルシは扉を吹き飛ばして部屋の中へと消えていった。よし、作戦成功。
「それじゃあ、僕は帰るね?」
「え?でも中に入ったゴルシはどうするの?」
「中に入った時点で作戦は終了したから大丈夫だよ!」
「そうなんだ……。だったらラモに見せたいものがあるんだ!ちょっと時間貰ってもいい?」
「全然大丈夫だよ!」
テイオーは中の様子が気になっていたようだけど僕に見せたいものの方が優先度が高いみたいだ。僕の隣まで走ってくると手をとって先導してくれた。それにしてもテイオーの見せたいものか。前に言っていたハリボテかな?
「そういえばゴルシに何を貼ったの?」
「お姉ちゃんとのレースで手に入れたスイーツ食べ放題チケット。」
『怪盗ゴルシちゃん登・場!お宝はどこだぁ!?』
『………ゴールドシップさん。』
『んあ?なんだよマックイーンかよ。アタシは今、宝石探しで忙しいんだ。……もしかしてラモが言っていた宝石ってマックイーンのことか?』
『………ゴールドシップさん。その帽子についているものは私に対する宣戦布告と見てもよろしいですわね?』
『帽子?ゴルシちゃんの帽子になんて何もついて………。いや待て、マックイーン。これは誤解だ。今回はアタシじゃない、ほらっ、見てみろよこの曇りなき綺麗な目を。』
『ふふふふっ、覚悟はよろしくて?』
『おーい!!お米とハチミツ!助けてくれ!ゴルシちゃんのピンチだぞ!?……って、あいつらいつの間にか居なくなってる!?あ、待て!マックイーン!待ってくれ!……アタシの側に近寄るなァァァァァァ!!!!』
「じゃじゃーん!これがボクが作ったハリボテだよ!」
テイオーに案内してもらった場所で今僕は驚愕している。理由はもちろんテイオーが僕に見せているハリボテだ。ハリボテエレジー2.0とは違って二つのドラム缶を繋ぎ合わせたリムジン種。いつかは僕が作ろうと考えていたハリボテが目の前にあった。違うところはハリボテ頭にゴルシの帽子がついているところだね。
「これは……凄いね。全部テイオーが作ったの?」
「そうだよ!って言いたいところだけど少しだけ手伝って貰ったんだ。ほら、ここの溶接部分とか。」
テイオーが指差すところを見ると確かに溶接痕がついている。溶接には資格がいるらしいからテイオーだけだと確かに無理だね。僕もそれが理由で今まで作れなかったし。
「それでどうやって作ったの?誰かに手伝ってもらったの?」
「うん、悩んでいた時に声をかけてくれた人がいてね?その人がやってくれたんだ!確か名前は……手作さん!」
「初対面なのによく手伝ってくれたね。ちゃんとお礼は言った?」
「パーツを一眼見た時に何かシンパシーを感じたみたいで完成の助けになるならってことで手伝ってくれたんだ!お礼はもちろん言ったよ!」
「ならよかった。それでこのハリボテはなんていう名前にしたの?」
「ハリボテエレジー5.6.4だよ!」
あれ?意外だ。てっきりハリボテテイオーとか自分の名前をつけると思っていた。
「なんとなくゴルシの帽子をつけたら思っていたよりしっくりきちゃって……。それなら名前も564の方が良いかなぁって思っちゃった。」
なるほど、そう言われてみたら確かにその名前の方がしっくりくるね。
「それでね?このハリボテは胴体が長いからボクたちを入れても二人ぐらいなら一緒に走れるんだ!もうライスは誘っているから次のレースは三人だね。」
「ってことは後は騎手だけってことだね。テイオーは誰か誘ってる?」
「トレーナーを誘ったんだけど用事があるって断られちゃった。どうしよう?拉致する?」
マスクとサングラスを取り出して拉致スタイルをとるテイオーを他所に僕の心当たりを探ってみる。
お義父さんを誘ってみようかな?……そういえばライスシャワーさんも一緒なんだっけ?もしかしたら……いけるかな?
「テイオー、ちょっと大きな声を出すから気を付けてね?」
「え?うん、わかった。」
「ありがとう、それじゃあちょっと失礼して……あーあ、騎手になってくれるかっこいいお兄「俺が!!!お兄さまんだ!!!」来ちゃったよ……。」
窓をガラッと開けて入ってきたのはライスシャワーさんのトレーナー。もしかしたらと思ったけど本当に来たよ。
「お姉ちゃんのトレーナーにはまた騎手になって欲しいんだけど、いい……かな?」
「大丈夫だ。俺はお兄さまんだからな。」
「あの?ここ二階なんだけどライスのトレーナーって今外から来たよね?」
「ありがとう!流石お姉ちゃんのトレーナー!けど時間とか大丈夫?」
「あぁ、それぐらい調整できる。お兄さまんだからな。」
「それにしても……お姉ちゃんのトレーナー、何かムキムキになってない?見た目は変わらないけどかなり鍛えられているね。」
「分かるか?お兄さまんとしてライスを守るために死ぬ気で鍛えた。今はまだ及第点ってところだな。」
「それに窓には鍵がかかってたと思うんだけど?おーい?」
「だけど本当に大丈夫?無理してない?自分のトレーニングも入れたら自由時間なんてほぼ無い気がするけど……。」
「ライスは気にせずに走ればいい。俺はお兄さまんだ。例えどれだけ疲れていようとライスとライスの走りを見れば回復出来る。」
「やっぱりそのお兄さまんって言葉凄くない?」
「ぬがぁぁぁ!!まともなのはボクだけなの!!?」
お兄さまん状態のライスシャワーさんのトレーナーと話していたらテイオーが頭を掻きむしっていた。何かごめんね?
『さぁ!始まってしまいました!色物レースのお時間です!』
『この挨拶があると始まったという感じになりますね。』
『私もこれを言わないといまいち実況に身が入らないんですよね。それでは早速紹介をしていきましょう!』
「二人とも大丈夫?」
「ライスは大丈夫だよ。」「ボクもー!」
「お姉ちゃんのトレーナーは……問題なさそうだね。」
「あぁ、ライスたちが走るんだ。お兄さまんである俺が体調不良なんてあり得てはならないからな。」
「ははは……。ところでテイオーに聞きたいんだけどさ、何か前に持った時よりこのハリボテ重くない?」
「えー?いつも通りだと思うよ?」
「そうかな?」
いつものようにテンションが高めの実況の声を聞きながら三人に体調を聞くついでにハリボテの違和感を製作者であるテイオーに聞いてみたけど気にならないらしい。
僕の気のせいなのかな?何か人一人分くらいは重くなっている気がするんだけど。まぁ持ってきたテイオーが問題無しって言っているんだからそれでいいかな。
『お次は皆さんお待ちかねの色物枠の紹介です!では早速いきましょう!番外一番、オサケダイスキ。』
『今レース初の成人ウマ娘ですね。ふらふらしていますが大丈夫でしょうか?』
『既に泥酔していますね。恐らく酔った勢いでこのレースに登録してしまったのでしょう。当日制の弊害が出ましたね。』
『一応酔ってはいても走る意欲は見せているのでそのままいきましょう。』
パドックに入ってきたのは酒瓶を持ってふらふらしているウマ娘。見てて分かるけど酔ってふらついても意外と脚はしっかりしているので走るのは大丈夫そうだ。
『では、次に行きましょう。番外二番、ハリボテエレジー5.6.4。』
「僕たちだね。行こっか。」
呼ばれたのでみんなに声をかけてパドックに出る。今回は僕、テイオー、ライスシャワーさんの順になっている。
『最早色物枠の名物となっているハリボテ種のなかでも珍しいリムジン種のハリボテです。上の騎手も準備万端とポージングしています。レースの好走を期待できそうですね。』
『よくお便りでハリボテ種って何ですかと質問が届くのですがハリボテ種はハリボテ種です。そういうものだと思って下さい。』
『ぶっちゃけ言っている私たちもよく分かっていませんからね。』
分かってなかったんだ……。当たり前のように言っていたからてっきり知っているのかと思ったよ。後で教えにいこうかな?
パドックである程度ライスシャワーさんのトレーナーがアピールをしたので引っ込む。だってハリボテの中にいる僕たちがアピールなんて出来るわけがないじゃん。
『素晴らしい筋肉でしたね。では次です。番外三番、メカハリボテ。』
『前回の出走時と見た目はあまり変わっていませんが性能は段違いでしょう。今レースの嵐の目となりそうですね。』
『ここでメカハリボテからメッセージがあります。【生牡蠣はダメデース。最近は刺身も火を通さないと食べれないデス。ナマモノは怖いデース。】とのことです。ちなみに牡蠣って火を通してもあたる時があるみたいですよ?』
パドックにいるメカハリボテの中からデース!?と悲鳴が聞こえる。僕はあたったことがないけどそんなに辛いのかな?仮にあたってもすぐ治るから全然気にならないけどね!
『次で最後ですね。番外四番、ママデスヨカメン。ベビーカーとガラガラとおしゃぶりを持っての出走です。ベビーカーには誰も居ませんが架空の赤ちゃんでもいるのでしょうか?』
『居ないのなら現地で調達すればいいじゃない理論かも知れませんよ?仮面に隠された瞳は一体何を見つめているのか。私一押しのバブみです。』
『私的にはハリボテエレジーを見ている気がしますね。ところでバブみって何ですか?』
ヒェッ、さっきからあのウマ娘がずっと僕たちを見てくるんだけど。観客の中にタマモクロスさんはいらっしゃいませんか?身代わりになってください!
視線に耐えきれなくなったのでさっさとゲートインをしてしまおう。そんな思いでバ場へと向かう通路を通っていると後ろから声をかけられた。
「待つデース!いや、ちょ、待って欲しいデース!」
「メカハリボテさん。ちょっと僕たちは急いでいるから歩きながらでもいい?」
「いいデスけど、何をそんなに急いでいるんデスか?まだ出走まで時間があるデスよ?」
「多分メカハリボテさんもそのうち分かると思うよ。」
チラッとメカハリボテの騎手を見ると不思議そうに首を傾げている。僕の見立てでは彼女は僕と1センチぐらいしか変わらないので標的に入っていると思う。
「それで?何か僕たちに用があるのかな?」
「それデス!前回は退場してしまいましたが今度こそ私たちが勝ってみせるデース!」
「前と同じで宣戦布告ってことだね。いいよ、受けてあげる。」
「それでこそ我がライバルデース!む、ちょっと靴の履き心地が悪いデス。先に行ってて欲しいデス。」
「分かった、それじゃあね?」
手を振って別れる。まだ時間はあるからゲート前で話すこともできるだろうしここに残っていたら次に来るウマ娘に迷惑だからね。
「うぅ〜、ラモのライバルはボクなのにぃ!やっぱりあの子はボクの立場になるつもりなんだ!」
「テイオー……。」
「何?ライスのトレーナー!」
「君もライスのお姉さまんにならないか?」
「ならない!ボクはライスたちの友達でライバルなんだからそんな立場は要らない!」
「俺には分かる。そのライスを思う気持ち、練り上げられている。至高のお姉さまんに近い。」
テイオーとライスシャワーさんのトレーナーが何処かで聞いたことがあるような問答をしているけど無視してゲートに向かう。最近のライスシャワーさんのトレーナーのキャラは掴みにくいなぁ。そのうちトゥ!ヘェァー!!とか言わないよね?大丈夫だよね?
『今日も良い天気で絶好のレース日和といえるでしょう。各ウマ娘、続々とゲートインしていきます。』
『メカハリボテの騎手がいつの間にかおしゃぶりを咥えていますね。どうしたのでしょうか?』
あの後、話の続きでもしようかとテイオーたちと談笑しながらゲート前でメカハリボテを待っていたけど騎手の子がおしゃぶりを咥えて意気消沈としていたのでスッと目を逸らした。そういえば僕たちが急いでたのって彼女から逃げるためだったね。ごめん、伝えるの忘れてた。
罪悪感を少し感じるが気にしていても仕方がないとゲートに入る。多分レースが始まればメカハリボテも元に戻ると思う。
『さぁ、各ウマ娘。ゲートインが完了しました。スタート!綺麗なスタートを決めました。』
いつも通りにスタートを決めて先頭を走る。このまま大逃げと行きたいけどライスシャワーさんがいるので自重する。それにこのままでも十分だからね。
『いつも通り先頭はハリボテエレジー。少し離れてメカハリボテを筆頭にバ群が出来ています。』
『この後のコーナーでどうなるかが決まりますねぇ。』
「テイオー、策があるって聞いたけど大丈夫なの?」
「大丈夫!ボクに任せてよ!」
ハリボテ種の宿命である第一コーナー直前でテイオーに最終確認を取る。何やら策があるみたいで任せて欲しいって言うから全て任せている。
『第一コーナーに差しかかりました!観客席から曲がれコールが聞こえてくる!』
「よし、お願い!テイオー!」
「オッケー!いっくよー!」
第一コーナーに入ったとほぼ同時にテイオーがハリボテの中からするりと抜け出して側面を支える。するとどうだろう?いつもはどれだけ力強く踏み締めても滑っていた芝のところに差しかかっても全く滑らない。むしろいつも以上にしっかりと踏み締めれる程だ。
そうなったらもう怖いものなんて何もない。僕たちは無事に第一コーナーを抜け出した。
『っと!曲がった!ハリボテエレジーが曲がったァァァァァァ!!!』
「「「「おおおぉぉぉぉぉぉおおお!!!!」」」」
観客席から大歓声が聞こえてくる。第一コーナーを曲がったぐらいで大袈裟な……と言いたいところだけど気持ちは分かる。僕も曲がれたことに歓声をあげたい気分だもん。
「曲がれた!曲がれたよ!お兄さま!」
「あぁ!流石はライスだ!お兄さまんとして誇らしいぞ!」
「にしてもテイオーはよくこれを思いついたね。」
「前のレースでメカハリボテは転倒しなかったでしょ?その時に騎手がバランスを取っていたからもしかしたら側面を支えたらいけるんじゃないかって思ったんだ!」
第一コーナーを無事に乗り越えたことで僕たちのテンションは最高潮に、さらにいつものロスがないのでどんどんと後続から距離をとっている。
『順位を振り返っていきましょう。先頭は己の宿願を乗り越えたハリボテエレジー、騎手が上着を脱いで推しウマ娘の素晴らしさをお裾分け。そこから大差でメカハリボテ、黒くなるまで火を通したい。その後ろに一番、二番、四番と続いている。そこから少し離れてママデスヨカメンとオサケダイスキ、自力で走れないのかママデスヨカメンのベビーカーに乗っている。最後尾は三番となります。』
『ママデスヨカメンが庇護対象を得たのかスピードが上がっていますね。しかしオサケダイスキの顔が青くなってきています。ゴールまで耐え切れるか?』
『いや、既に口元を押さえてゲートイン完了の模様です。なんとかゲートを封鎖しているようですがいつまで耐え切れるかでしょうか?』
『ママデスヨカメンも受け止めるものを探しているようですがガラガラとオムツとおしゃぶりしか出てこない。流石にそこまでは想定していなかった!』
なにやら後ろで別のレースが開催されかけているようだ。必死に口元を押さえているみたいだけど限界が近そう。
『おっと!ママデスヨカメンが大外を越えて何処かへ走っていく!急患です!スタッフは道を開けてあげて!』
『お手洗いはそこの入り口から突き当たり右にありますよ!』
限界を悟ったのかママデスヨカメンがオサケダイスキをつれてコースアウトした。入り口に入ったあたりで叫び声が聞こえたけど彼女たちは無事に間に合ったのかな?
後ろのゴタゴタしてる時も僕たちは進み最終直線に入った。このまま行けば一着は余裕だね。いつも転けて追いかけているからなんだか新鮮な気分だよ。
「ラモ、実はこのハリボテにはギミックがあるんだ。ちょっとラモの右あたりにあるボタンを押してみて?」
「ボタンって……これかな?ポチッとな。」
テイオーに言われた通りにボタンを押してみるが何も起こらない。疑問に思ってテイオーにもう一度聞こうとして、気付いた。何か気配が増えている。
『ハリボテエレジーの脚が増えている!いつの間にか増殖したのか!?』
『登録用紙には五人で出走と書いてあるので問題はないです。』
「ゴルシちゃん登場!!中が暑くて蒸しゴルシになるところだった。」
「ゴ、ゴルシ!?何でゴルシがいるの!?」
「そりゃあお米二合、こんな楽しいことに参加出来そうなのに参加しない訳ないだろ!」
「お米二合って僕のこと!?って体格差ありすぎて中腰になってるけど大丈夫なの?」
「大丈夫だって安心しろよ!しかもこんな見せ場がある時にアタシを出すなんて分かってるなぁ!よーし、いくぜ!ゴルシちゃん必殺!不沈艦、抜……あっ、やべ。」
「「「えっ?」」」
【不沈艦、投錨……?】
中腰でいつもの体勢じゃなかったからかゴルシが振り回していた黄金の錨がすっぽ抜けてあらぬ方向へと飛んでいく。ハリボテの身体を鎖が縛り、錨が芝へと突き刺さる。
僕たちが走ることで鎖が張っていき、完全に張った時に僕たちに凄まじい負荷がかかる。
『ここでハリボテエレジー逆噴射か!?さっきまでのスピードが嘘のように落ちているぞ!!』
『いつもは転けてからが本番だったので体力調整を間違えたのかも知れませんね。』
「おっも!何これ凄く重いんだけど!?ちょっとゴルシ!?どうにか出来ないの!?」
「重いよ〜。」
「いやー、抜けるか試しているんだけどさ。こいつに絡まってどうしようもない!」
「胸張っていうことか!?僕にも少し分けろ!!」
「後ろからみんな来てるよ!?」
僕たちがギャーギャー言っている間に後続が追いついてくる。実質僕たちだけタイヤ引きのハンデ付きだけどやるしかない!
「テイオー!無理矢理だけど押していくよ!お姉ちゃんは無理しない程度に押して!ゴルシは何とか錨を外して!」
「分かった!せーの!!」
「「ぬぎぎぎぎぎぎぎぎ。」」「うーー。」
「うわ、普通に動いた。すげーな。」
僕とテイオー、あとはライスシャワーさんの可愛い押し方で何とか普通のウマ娘が走るぐらいの速度は出たけど、僕とテイオーの全力でこれだけってこの錨、どんな重さしてるのさ!!しかも普通の速度しか出ないから普通以上に速いメカハリボテが追いついてきてる!?
『ここでメカハリボテがガチャリと鈍い音、火花を撒き散らしながらハリボテエレジーに追い縋る。さらにメカハリボテからメカタケノコが生えてきた。尖っているとても尖っている。一体これで何をするのか!?』
「やっと追いついたデース!そしてこれで追い抜いてフィニッシュデース!」
後ろから来ていたメカハリボテが追い付かれた。そのドリルで何をするつもりなのか?まさか原作みたいにドッキングしてくるのかと思ったけどこのレースでは攻撃は無しなので多分大丈夫。現にメカハリボテは僕たちに軸合わせはしていないからね。
「これで私たちの勝ちデース!加速ブースターポチッとデス。」
「お、やっと抜けた。」
メカハリボテから生えた翼がブーストを吹くのと同時に錨が抜ける。ただ、錨が抜けた拍子で重心が変化して右へとよろめいてしまった。
「ちょっ!メカハリボテは急には止まれませんデス!何とか避けてくれデース!」
「!!お姉ちゃんのトレーナー!」
「あぁ、任せろ。」
よろけたせいでメカハリボテの直線上に入り、僕たちにハリボテの丸焼き製造ドリルが迫る。困った時のライスシャワーさんのトレーナーを信じて呼べば、彼は頼もしい声で返事をした。
「お兄さまん!!!」
「嘘デス!?尖っているだけで貫通力は無くしているとはいえ何でドリルを受け止められるんですか!!?」
『まさかのハリボテエレジーの騎手がメカタケノコを受け止めた!?どういう身体能力をしているのでしょうか!?』
『登録用紙には人でもウマ娘でもなくお兄さまんと書いていますね。新しい種族か何かでしょうか?』
本当に何で受け止めれるのか?僕にも分からない。だけど受け止めれただけで抑え込めたわけじゃない。このままだと結局ドリルにやられてしまうので今のうちに進路の変更を……ってそうだ。
「ねぇ、お姉ちゃん。一回お姉ちゃんのトレーナーを応援してみてよ。」
「ライスが?わ、分かった。やってみるね?」
「えっと、お、お兄さま。頑張って!フレー、フレー、だよ?」
「!!!!??墳!!!!!」
「うっそでしょ……。」
もしかしたら身体能力がブーストされないかなぁって思ったけど本当にブーストされちゃったよ。
『完全にドリルを受け止めたぞ!?本当に私たちと同じ種族なのでしょうか?』
『愛バを守るトレーナーの鑑ですね。度が過ぎてる気もしますがそれも愛バのためなのでしょう。』
ライスシャワーさんのトレーナーがドリルの回転を完全に受け止めた。ドリルの回転部を止めてしまったため次に回転をするのはもちろん。
「あわわわわ、目が回るデース!!」
接合されているメカハリボテだよねぇ。ぐるぐる回転しているのに中身が飛んでいかないってことは留め具か何かで括り付けているのかな?
『ぐるぐる回転するメカハリボテを尻目にハリボテエレジー!余裕の表情!これが元祖だと目の前で見せつけた!!』
錨が抜けたことで元のスピードを取り戻しそのままゴールを通り過ぎる。ライスシャワーさんのトレーナーがドリルを掴んでいるので繋がるようにメカハリボテもゴールイン。
『迫る苦難も何のその、俺の筋肉が愛バを守る。確定しました。一着はハリボテエレジー5.6.4。二着はメカハリボテとなります。それではまた会いましょう!お兄さマッスル。』
「何とか一着になれたね!祝勝会ってことで何処か食べに行こうよ!」
「良いね、どこにいこっか?お姉ちゃんもくるよね?」
「ライスも行っていいなら、行こうかな?」
「ならアタシに任せな!いい店を知ってるぜ!」
「ならゴールドシップ、一番いい店を頼む。金額は考慮しなくていい。俺はお兄さまんだからな。みんなの分ぐらい払ってみせるさ。」
「流石お姉ちゃんのトレーナー!だけどそろそろ離してあげたら?」
「世界が回っているデース!」
ということで今回で最終話です。ハリボテエレジー3.0はそのまま出すよりウマ娘世界と混ぜた感じで出したいなぁと思って書いていたらお兄さまんに持っていかれた。彼のキャラ濃くない?書いた当初はこんなに濃くなる予定じゃなかったんだけどなぁ。
このSSはそういえばハリボテとかはよく見るけどworld cupよりのレースはあまり見たことないなって感じで始まりましたがどうでしたでしょうか?
一番難しかったのは実況の順位確定時の言い回しでしたね。本家凄え……。
以下思いついたけど使わなかった色物
名無しのウマ娘、トレーナーを添えて……フルフェイス型のヘルメットを被ったウマ娘であり胴体部分には縄を縛っておりトレーナーらしい男性と繋がっている。最終手段はトレーナーを振り回してゴールにぶん投げること。
フルアーマーチャリデキタ……チャリデキタの最終進化。レースでは途中で転けてフェードアウトするが最終直線でデコトラを引いて戻ってくる。デコトラの中にはファルコがいて歌ってくれる。いくらなんでもウマ娘世界でデコトラは無理があるとして没に。
お魚天国……右肩にマグロを背負ったウマ娘。特筆することはないが最終直線でカジキマグロを取り出して加速する。大食いウマ娘がいた場合、カジキマグロの代わりにイワシを取り出して失速する。
以下一部の軽いキャラ紹介
ライスモドキ……オリ主、自分のことをアプリ世界で作られた物であり、回復能力やあり得ない身体能力のせいでこの世界には存在してはいけない異物だと最初は考えていたが上島家に受け入れられて考えが変わった。誰もいない世界に一人だけで生きていた時間が長いのと、混ぜられたウマ娘の性格が混ざり合って無意識に家族というものを求めていた。割と単純。真剣な時はライスシャワーと同じような感じで目から炎が揺らめいているように見える。
トウカイテイオー(本体)……割と真剣に闇堕ちしかけた。ライスシャワーの言葉で光属性のままでいけた。闇堕ちルートはあげません!!
テイオーたち……テイオーの中にいるアプリ世界の殿堂ウマ娘。しっとり組(三割)と快晴組(七割)で分かれている。ライスモドキがトレセン学園以外に行くことを知ってしっとり組が暴動を始めたが快晴組が叩きつけてきた夏合宿の例のシーン画像で鎮圧された。その時間僅か三十秒!
ミホノブルボン……ライスモドキの天敵、絶対に勝つことはできない。ライスモドキ監禁ルートを作るならミホノブルボンが最短ルート。快楽堕ちも夢じゃない。病院で見たライスモドキの表情にゾクッときたらしい。最近アヘ顔ダブルピースというものを知った。
アグネスデジタル……全てのウマ娘ちゃんファンを名乗るウマ娘。一時の気の迷いで買ってしまった本を封印処理する時にミホノブルボンに見られて爆発しそうになった。
ライスシャワー……テイオー闇落ちルートを防いだ功績者。ライスモドキからのお姉ちゃん呼びは悪い気がしないしむしろ嬉しい。妹がいたらこんな感じかなと思っている。最近の悩みはミホノブルボンに抱き締められてどうですか?と聞かれること。
上島 歩……ライスモドキ闇堕ちルートを防いだ功績者。それと同時にライスモドキが無意識に求めていた欲求を満たし、ライスモドキ本人も知らない間に進んでいた自分は周囲とは違った異物という考えから発生する発狂ルートを家族として迎え入れることで完全に潰した。妻のコスモグラールの最初の関係は幼馴染から。そこからよくある展開を経て結婚した。
お兄さまん……夏合宿から覚醒した超越者。ライスシャワーとモドキの応援があれば無尽蔵に力を引き出せる。ライスモドキがトレセン学園入学ルートに行くと上島トレーナーにライスモドキを俺に(担当させて)下さい!!と言って修羅場を発生させる。
以上です。
この紹介に書いてある通り、実はライスモドキはもっと暗い方面にするつもりだったんですよね。影が薄い超回復も注射が嫌すぎて自分はすぐに治るから大丈夫だと証明するためにナイフを自分に突き刺そうとしてそれを庇った上島トレーナーに突き刺してしまって曇ったりする予定のためにつけた設定でした!だけどウマ娘にそんなん要らねーよ!馬鹿か俺は!と思い直して回復能力以外の闇方向の設定を全排除、明るい元気っ子になった。言いたいことは言ったしこれで最後です。ここまで読んでくれてありがとうございました!