気がついたら祟り神様(純粋)と一緒に呪術の世界にいた話 作:時長凜祢@二次創作主力垢
五条先生に案内されながら、校内を歩くこと10数分。前方の方に漫画やアニメでも見ることがあった呪術高専の寮が見えてきた。
うわぁ……とうとう来ちゃったよこの寮に!伏黒くんとか既にここで暮らしてんのかね?
もし、ここにいるんなら、是非とも挨拶しておきたいものだ。重要人物だしね。
「とーちゃーく。ってことで、ここが今日から瑠風が暮らすことになる寮だよ。」
「ここが……。生徒が少ないのに、随分と大きな寮ですね。」
「否定はできないね。でも、表向きは宗教関連の学校扱いされてるわけだし、これくらいはしとかないといけないんじゃないかな?」
「……まぁ一理ありますね。」
「でしょ?」
五条先生と会話をしながら、寮の中へと入り、五条先生の後を追いかける。
しばらくして五条先生はある一室の前で足を止めて、手にしていた鍵で扉を開錠した。
「ほい。」
「うわ!?」
徐に鍵が宙へと放り投げられる。慌ててそれをキャッチすれば、ナイスキャッチと褒められる。
でも、私は呆れの感情しかなかった。鍵を投げるか普通……。そりゃまぁ、鍵は金属でできているから、落としたくらいじゃ壊れたりはしないけどさ、それでも万が一落下の衝撃で少しでも曲がったら使い勝手悪くなるんだぞ……。
溜息を吐きたくなりながらも、手招きをする五条先生の元に近づけば、先程彼が解錠したドアが開けられる。
視界に広がるのは真っ新な一室。掃除はしっかりされているようで、埃は被っていないし舞い上がりもしない。
「ここが瑠風の部屋ね。好きに使っていいから、君が過ごしやすいようにカスタマイズしてもいいよ。」
「模様替えしていいんだ。」
「まぁね。だって、これから長く使う時があるだろうし、規定規定ばっかだとちょっと嫌でしょ?」
「まぁ、確かに。」
「模様替えするのかー?」
「うん。とりあえず、荷解きしていこうか。」
「では、
「こっちのお荷物は、私とマスターと太歳星君さんでやっていきましょう。」
「そうだね。……まぁ、言わなくともわかるとはいますが、とりあえず服とかも出すので、五条先生は一旦外に出てください。」
「じゃあ、瑠風は荷解きをささっと済ませちゃって。僕は君の同級生になるもう一人の生徒を呼んでくるからさ。またあとでね。」
「……わかりました。」
こんな間取りになってるんだ……と、漫画やアニメでは一部しか出てこない与えられた個室を見渡していると、五条先生が部屋は自由にいじっていいと言って部屋を出て行く。
その背中を見送った私は、すぐに持ってきた荷物を順次解いていき、どこに何を置くのかを太歳星君やアビーに教えながら片付けを始める。
……が、口元がにやけそうになって少しだけヤバイ。
だって、呪術廻戦の重要人物である伏黒くんと、寮に移動してすぐ出会すことになるのが確定したんだよ?
呪術廻戦の世界の重要人物に出会えるって、なんだかテンション上がらない?
まぁ、一番みたいのは植物トリオ&五条先生の絡みとか、植物トリオと二年組の交流とかだけどさ。
まだ原作が開始されていない現状を考えれば、それはもうちょっと先になっちゃうんだよね、どう考えても。
……彼らが出会した瞬間、物語の歯車も一気に回り始めることも理解しているし、その分、原作で命を落としていった人たちのカウントダウンも始まるから、ちょっと複雑な気持ちでもあるけど。
……もちろん、私は出来る限り人を助けるつもりだ。例えどんな手を使っても。
少しでもいい。被害を最小限に抑えていく。
でも、必要な物語も維持する必要はあると思う。……今はどうすればいいかわからないけど。
「……るかるか?どうしたんだ?眉間に皺が寄ってるのだ。」
複雑な気持ちのまま思案していると、太歳星君が私の顔に触れ、むにりと頬を摘んできた。
突然のことに驚いていると、翡翠のような緑色の瞳が、私の目を覗き込んで来る。
「嫌なことがあったのか?」
「……違うよ。少しだけ考え事をしていただけ。上手くやっていけるかなってね。」
「そかー。うん、るかるかならここでもきっと頑張れるのだ!それに、ワガハイたちもいるからなー!」
「マスターが不安になる必要はないと思うわ。だって、私たちもコヤンスカヤさんもいるもの!」
「……そうだね。みんながいるから大丈夫か。」
「当たり前じゃーん!だってワガハイたちは強いんだからな!」
「私も、いざと言う時はマスターをしっかり助けるわ。危なくなったら遠くへと逃してあげることもできるから。でも、逃げるのは本当にダメな時だけで、とっきゅーじゅれい……?も、ある程度は倒せるもの。」
「……そうなの?コヤンスカヤ?」
「そうですねぇ……。
「……そんなスキル太歳星君にあったっけ…………?」
「ここに召喚された際、あなたが彼に付与した一つの特性です。」
「………………は?」
「おや、こちらは無意識でしたのね。あなたは自身の力を使うことにより、他人に新たな特性を与えることができる術者ですのよ?効能は一時的のようですが、戦闘時は常に魔力ならぬ呪力回収率アップが与えられているような状態になるそうです。攻撃時に呪力を吸収し、永続強化が行われるというおまけ付きで。」
「……ちょちょちょ、待って待って待って!?なんでそんな能力あるの!?」
「そこは詳しくお話できません。ですが、それがあなたが持つ力の一つであることは断言できます。ちなみに、普通の人間にも何かしら与えることができるようですが……まぁ、むやみに使うべき能力では無いので、とりあえずは
「厄介過ぎるわ!!なんでそんな力持ってんの私は!?」
「厄介者に愛された結果の果てですわね。なにせあなたは……おっと、これ以上はお話しない方がよろしいかもしれませんね。彼らも指摘されたことをきっかけに見つけてもらうよりは、マスターご自身に思い出してもらい、見つけてもらう方がよろしいでしょうから。」
「ヒントくらいちょうだい!?」
「
「厄介者×2!?」
「はい。もちろん、その×2がどなたなのかはこちらから告げることはありません♡」
ハートがつく勢いでとんでもない発言をしてきたコヤンスカヤに絶句する。
厄介者に好かれた結果、大量の貢物をされまくってるって何!?
でも、発言からして数は絞れるわけで……いや、肝心なことに関して何も教えてもらえてないじゃん!!
「あーもう!記憶が曖昧になってるから何に好かれたのか全くわからん!」
「曖昧な記憶は何かしらの原因で封じられている状態になっているからのようですねぇ……。地道に思い出して封印を解くしかないかと思われます。」
「……術が関係してるってことはよくわかったよ。」
記憶を封じないと不都合が生じるのか?それとも、別の理由で封じられていたりするのだろうか……。
とりあえず、術を使う何かが原因であることは理解できた。
でも、それは呪術?それとも魔術?使える本人にしかわからないような、不可思議な力?
いったい、私の記憶を封じている力は何なわけ?
ぐるぐるぐるぐると思考を回しながら頭を抱えていると、部屋のドアが三回ノックされたことに気づく。
「感じ取れる気配は二つ。どうやら、あの呪術師がマスターの同級生とやらを連れて来たようですわね。」
「……みたいだね。開いてますよ。片付けも終わらせてあるので、どうぞ。」
「お邪魔するよー。」
コヤンスカヤから扉の向こう側にある気配は五条先生と第三者の気配であることを教えてくれたので、入室許可の言葉を返す。
すると、私の言葉を聞いた五条先生が、邪魔するの一言を口にしながら、ドアノブを開けて入ってきた。
彼の後ろには黒髪の少年。間違いなく重要人物の一人である伏黒 恵である。
「……五条先生……彼女が……?」
「そ。さっき説明した恵の同期になる御子神 瑠風ちゃんね。見ての通り、結構とんでもないの連れ歩いてるんだけど、彼女に危害を加えない限りは向こうからも見限られないみたいだから安心していいよ。まぁ、怒らせたら間違いなく祟られるから気をつけないといけないけど。」
「祟られるって……」
「るかるかを傷つけたらた〜た〜る〜ぞ〜!!」
「………あ、これ絶対マジのやつだ…………。」
太歳星君がいつもの口調で話しかけながら、威嚇程度に呪力を纏う。
すると伏黒くんはすぐにマジのやつだと呟き冷や汗を滲ませていた。
その姿に思わず苦笑い。威嚇程度の呪力であっても、祟り神の呪力となれば必然的にかなり強くなるからね。
わずかでも背筋が凍ってしまうだろう。……まぁ、私は背筋が凍るようなことはないんだけど。
使役してる本人だからか……それとも太歳星君が好意的だからなのか、はたまたその両方の理由なのか……。
神のみぞ知るとはまさにこのことだろう。
「驚かせてごめんね。私は御子神 瑠風。見ての通り呪霊……に近い存在を使役してるタイプの人間だよ。君の目に映る三人は、私の呪力により顕現してる。戦闘は基本的にこの子たちがしてくれて、私は後ろでバックアップする感じの戦い方になると思うけど、呪術高専に通うことで、自分の中にある力を使いこなせるようになりたいからここにいる。よろしくね。」
「ああ。俺は伏黒 恵。ざっくりとだけど、五条先生から話は聞いてる。まぁ、最初は特級呪霊級の存在と、祟り神を連れてるなんて話を聞いて、んなわけないだろとか思ったけど、マジだったんだな。」
実際に見てよくわかったわ……と少しだけ引き気味に伏黒くんが呟く。
引かないでくれと言いたかったけど、状況的に引くなと言う方が無理な布陣だったな、これ。
祟り神、外なる神がいる場所へ通ずる銀の鍵兼外なる神の巫女、自然を生きる獣たちの怨嗟から生まれた自然神であり、破壊神であり、霊基としては10万トンの質量を有している元愛玩の獣の幼体だし。
さらに私は、自分の力を使うことにより、このサーヴァントたちに新たな特性を付与し、一時的な強化を行うことができるみたいだから、伏黒くんが引くのも仕方ないことである。
「小さい時から守られてる感じがしてるから私はもう慣れてるし、何とも思わないんだけど、伏黒くんは今日初めて接触したからちょっとビックリするし、警戒もしてしまうよね。でも大丈夫。五条先生の説明の通り、敵意を向けない限りは遊びたい盛りの子ども二人と、仕事ができる敏腕秘書だから。」
「待て待て待て待て。情報量が多過ぎるだろ。」
「あはは!特級呪霊レベルの三体をそんな風に紹介するとかウケるんだけど。」
「ちなみに、この子は太歳星君で、こっちはアビゲイル・ウィリアムズ。私の後ろに控えてるのはコヤンスカヤだよ。フルネームはタマモ・ヴィッチ・コヤンスカヤだけど。」
「出身国バラバラかよ。ていうか太歳星君って……それ、中国の方の特級の祟り神だろ……。そんなの連れてるって規格外過ぎる。」
「否定はできないかな……」
「心強い味方が増えたって思えばいいと思うけどな〜。」
「そうかもしれないですけど、祟り神を連れた呪術師って……。それって、下手したら俺らもとばっちり食らいそうですよ。」
「怒らせなきゃ大丈夫って瑠風も言ってるから大丈夫大丈夫。彼女に関しては、上層部にも詳しく話してないしね。呪術師に適性を持ってる女の子を見つけたから呪術高専に通わせることにした。術式はまだわかってないから、わかり次第報告するってね。あとは、まぁ、怒らせたら寿命が縮むかもしれないから怒らせないようにねって言っといたよ。祟り神を連れてることは言わなかったよ。それ言ったらこっちが被害のとばっちり受けるかもしれないからね。上の連中って頭硬いし、似たようなことしか言わないだろうから。瑠風に敵意を向けさせないようにするために、これからも報告は真実と偽りを混ぜてはぐらかすつもりだよ。」
「それ、大丈夫なんですか?」
「まぁ、何とかなるんじゃない?」
「………適当だな。」
「……この人、そういうところあるから覚えておいた方がいいぞ。」
「伏黒くん辛辣……まぁ、覚えとくよ。」
「………二人してひどくない?」
なぜか少しだけ伏黒くんと仲良くなった。もし、ストレスマッハになったりしたらいつでも愚痴りに来ていいからね。
ストレス発散、大事。
なんてことを考えていると、太歳星君が伏黒くんをジーッと見つめていることに気がつく。
伏黒くんも太歳星君の視線に気づいたようで、少しだけ訝しげな目を彼に向け始めた。
二人の間に微妙な空気。警戒と警戒のぶつかり合いかと首を傾げて眺めていると、太歳星君がにぱっと笑った。
「めぐめぐはるかるかと友達になるのかー?それならワガハイも友達になるー!」
「……は?」
急な友達になる発言に、伏黒くんが呆気に取られたような表情を見せる。
まぁ、祟り神から友達になるって言われたらな……。ポカンとするのも無理はない。
にしても、ふしふし呼びかと思ってたけどめぐめぐ呼びなんだね、太歳星君……。
脳内にちょっとエンドレスナイト流れちゃったけど、うん、忘れよう。
「……よかったら仲良くしてあげてよ。セイは確かに祟り神と呼ばれている存在だけど、普段は純粋無垢な男の子でね。祟り神としての力をある程度制御できるから、無闇矢鱈に誰かを祟ることもないし、いっぱい遊べるのが嬉しくて、友達をいっぱい作りたいらしいんだ。」
「……まぁ、呪力は感じるが、害意は感じないな。」
「君が私に敵意を向けていないからだよ。さっきも言ったように、この子らは私に対する敵意に反応して行動するのが基本なの。だから、敵意を向けてくる外敵に対しては容赦ないけど、敵意を向けてこない味方は傷つけない。」
「そうか。まぁ、気が向いたらな。祓う側からしたら、すぐに仲良くしろってのも難しい話だ。」
「……だってさ。」
「ん〜……まぁ、今はそれでいいや!いつか一緒に遊ぼうな、めぐめぐ!」
「僕は?」
「…………ごじょーはなんかヤだからパスするのだ。」
「え……。」
「………ブフッ」
「ちょっと恵!?何笑ってんの!?」
「あ、ヤベ……。」
「あははは!」
くだらないことを考えたり、この場で起こったことに対して笑い声をあげたり、なかなか賑やかな顔合わせとなった。
でも、伏黒くんと仲良くなれそうな気配があるのは確かだし、さっきまで抱いていたちょっとした不安もだいぶなくなった。
命を落としたり、生死不明に追い込まれたり、術式が使えなくなってしまったり……さまざまな状況に陥る人たちをみんな助けることができるのかって不安が完全に拭えたわけじゃないけど、まぁ、とりあえず今は未来のことを想像するより、今できることをやっていくとしようか。
最初の転機は入学して数ヶ月後に起こるであろう宿儺の器の誕生。次に、少年院に発生する特級呪霊との戦闘、および一時的な悠仁の死。
次が順平くんとのいざこざで、その次が京都校との交流戦……そして、渋谷事変と死滅回游。
私が一番関わりそうなのはここら辺の出来事だろう。
禪院姉妹の悲劇に関しては、どこまで与することができるかはわからない。
ただ、今考えないといけないのは、これらの物語が発生するまでに自分の力に対する理解を深めることといったところだろうか。
あと、可能であれば獄門疆の回収もしておきたいところ。まぁ、回収した後はしばらく悠仁たちとは別の行動を取らなくちゃいけなくなるだろうけど。
……メロンパンの油断を誘うなら、五条先生は封印される道を選ぶべきかな。んで、封印されたそれをさっさと回収してダミーを設置は狙う方がいいかも。
なんにせよ、大まかな道のりはそのままに。そんで被害は最小に。
これを狙って動かないとね。
最悪、アビーに門を開いてもらって、そのまま被害に遭いそうな人たちを渋谷から全部追い出さないとかな……。
やることが多いから大変だと思いながらも、目の前にいる伏黒くんと五条先生とのちょっとしたひと時を満喫する。
スタートダッシュを完璧に決めることができたらいいな。
瑠風
何者かにより一部記憶が曖昧になった状態にある異世界からの転移者。
コヤンスカヤにより、自分が持つ能力の一つが、人間やサーヴァントに新たな特性が付与できるものであることに戦慄してしまった。
これ、バレたらあかんやつ─────!!
太歳星君
瑠風の能力により、呪霊を狩れば狩るほど自身の力が強化できる新たな特性を手に入れた祟り神。
この能力は戦闘時のみにしか発揮されないようだが、戦闘時になれば自動的に発動するため、呪力切れ知らずな上、あらゆる特級を凌駕する可能性が浮上した。
闇のコヤンスカヤ
瑠風が持っている能力がなんなのか知っている敏腕秘書なフォーリナー。
どうやら、彼女は瑠風が持ち合わせているスキルやステータスを全て知っているようだが、自分の口から教えるつもりはない。
アビゲイル
瑠風が持ってる能力を一部理解しているフォーリナー。
この話ではいい子なアビーちゃんだった。瑠風を手伝うことが好き。
伏黒 恵
やっと出てきた重要人物の一人。五条から瑠風が持ち合わせている能力をざっくりと聞いていた。
自分が使う術式である十種影法術とは似ているようで違う能力を持つ瑠風に興味はある。
祟り神の太歳星君に最初はびっくりしたが、サラッと五条に対する嫌悪を口にする姿から少し好感を抱いた。
五条先生
太歳星君にサラッと嫌われた最強呪術師。だが、瑠風と恵はすぐに仲良くなってくれそうな様子に少し嬉しい。
でも、太歳星君から嫌いと言われた上、それを恵と瑠風に笑われたことはショックだった。