気がついたら祟り神様(純粋)と一緒に呪術の世界にいた話 作:時長凜祢@二次創作主力垢
脳内にプロットできちゃってるから、さっさと書き記したい衝動に駆られまして。
こちらの本編で能力が開示されていないので、そこら辺は伏せますが、サーヴァントが太歳星君以外入れ替わります。ついでにサーヴァント数が増えます。
お見かけになられましたら、覗いてみてください。
真希さんに武器を使った戦い方を教えてもらいながら過ごし、呪術高専で過ごすようになって一ヶ月を回る頃。
筋力の少なさを呪力を利用することによりカバーしながら、いつものように槍を振っていたら、瑠風、と五条先生から名前を呼ばれた。
「どうしました、五条先生?言っときますけど、お菓子はありませんからね。」
「え、僕、毎回お菓子を集りにくる人って思われてる?」
「思われてるだろ。」
「思われてるだろうなぁ。」
「しゃけ。」
「思われてるでしょうね。実際、五条先生が瑠風に話しかけてる時、当たり前のようにお菓子ちょうだいって言ってるし。」
「否定はできないけど今日はそんなんじゃないって!お菓子はほしいけど!」
「「やっぱりか。」」
「おかか。」
「やっぱり菓子目当てじゃないですか。」
「瑠風が作るお菓子が美味しすぎるのが悪いと思うんだけど……じゃなくて、本当に今日はそれが目的じゃないから。あ、今度シュークリーム作ってくれない?」
「……………。」
サラッとお菓子のリクエストをしてくる五条先生に対して思わず無言になる。
本来の目的ついでにリクエストをしてくるんじゃない。本当に甘いもの好きだなこの人。
いずれ糖尿になるのでは?まぁ、それはそれとして……
「……ま、茶番はここまでにして。」
「うん、茶番ってちょっとひどくない?」
「なんの用ですか?見ての通り訓練中なんですけど。」
手にしていた竹槍をくるくると回しながら、話しかけて来た本来の理由……いわゆる本題を話すように促す。
基礎的な動きは完全にマスターできたから、現在応用を教えてもらってる途中で、せっかく楽しく訓練していたのに邪魔されてちょっとだけおこだぞ。
「うん、そろそろ瑠風も現場に出ていいかなって思ってさ。今日、恵の任務について行ってもらって、見学&実戦ってことにしようって考えたんだよね。僕もついて行くから、安全面は保障するよ。」
「実戦……ですか……。できるかな………。」
「瑠風なら大丈夫だと思うよ?だってほら、ここにくる前も、一級相当の呪霊を祓ってたでしょ?そこの祟り神様がね。でも、それじゃあ実戦にはならないから、二級相当は太歳星君やコヤンスカヤ、アビゲイル、あとは二級の呪術師である恵にやってもらって、四級から三級相当の呪霊を相手取る時は瑠風も戦闘に加わるって感じにしようかなって。今の瑠風なら、十分四級や三級を倒せるだろうしね。ただ、二級辺りになると、今の瑠風じゃちょっと厳しいだろうから、突っ込んだらダメだけどね。」
「……………なるほど……?」
五条先生が私に話しかけた本当の理由は、そろそろ実戦に出てみようと言うものだった。
現在の私なら、三級までなら普通に祓うことができるから、とりあえずの訓練と言うことだろう。
五条先生も、一応様子見として付いてくるみたいだし、少しだけレベルアップするためのチャンス……なんだろうか。
「マスター。」
頷くべきか否かと考えていると、コヤンスカヤが耳元へ口を寄せて話しかけて来た。
なんだなんだと目を向ける。すると、コヤンスカヤは少しばかりお耳を拝借いたしますと告げ、再び耳元に口を寄せて来る。
「マスターが獲得した能力の使い方や、槍を使った戦い方に関してですが、マスターが持ち合わせている大元の力を利用すれば、自然と脳内にインプットされます。最初のうちはオートで動く感じになると思いますが、身体能力や体力が追いついて来れば、かのアルスターの光の御子と同じ動きができるようになるかと。まぁ、いわゆるチュートリアルというやつですね。なので、一旦は戦闘に出ても問題はないかと思われます。しかし、後日筋肉痛になる可能性はかなり高いので、記憶の片隅には入れておくとよろしいかと。」
「……ちょっと待って?なんで私の能力そんな感じなの?」
「まぁ、マスターを大切にしている誰かさんのせいでしょうねぇ。祝福だの加護だのは、行き過ぎると異常なまでのステータスになりうると言うわけですわ。なんにせよ、使えるものは片っ端からご使用なさるのが吉です。そうすれば、マスターが持ち合わせている本来の力も解放できると思うので。」
「ええ……?」
コヤンスカヤから告げられた言葉に思わず困惑する。平凡だったはずの私に、なんでそんな溢れんばかりの祝福と加護が付与されているのか理解できない。
元の世界で何かしてたっけ?かなりの徳を積んだ記憶は全くと言っていいほどにないのですが?
「いずれわかることです。すでに力の抑制は少しずつ外れておりますので、来るべき時に疑問の答えを得ることができますわ。それまでの辛抱です。んふふ……最初に枷が外れるのは、どちらの記憶でしょうねぇ?」
楽しげに笑うコヤンスカヤに思わず表情を顰める。この敏腕秘書、完全に楽しんでやがるな?
ていうか、記憶の枷が外れたら、自分の能力がわかるようになるのか……。それなら、早めに記憶を戻すべき……なんだけど、一体それはいつになるのやら……。
「こちらから今言えることはこれくらいです。そうですねぇ……もう一つ真実を明かすとしたら、マスターのステータスや能力は、誰から与えられた力であるかを認識するまではランクダウンしていると言ったところです。認識することができれば、力の枷は少しずつ外れていき、最終的にはかなりの強さを会得し、多くの人を助けることができるようになる……と言ったところでしょうか。ハッピーエンドを掴み取れるほどの強大な力が、マスターの中にありますので。その力を理解した時、せいぜい欲にまみれぬよう、気をつけてくださいましね?」
そんなことを考えていると、コヤンスカヤから忠告のような言葉をかけられる。
欲にまみれぬように……って、随分と意味深なことを言って来るものである。
やっぱり私の中にあるのは、万能の願望器と呼ばれてるアレなのか?表情を軽く曇らせながら、コヤンスカヤを見つめていれば、彼女はくすくすと小さく笑う。
自身の中にある力がアレである可能性を頭の片隅に置いておきながら、私は五条先生に視線を戻す。
「任務同行の件、受けます。どれだけやれるかはわからないけど。」
「……瑠風ならそう言ってくれると思ったよ。」
恵くんの任務に同行する件を承諾すれば、五条先生が満足げに笑う。そして、私と恵くんに視線を向けて、静かに口を開いた。
「任務には今から向かうから、準備を済ませて。正門の方に伊地知が車を回してるはずだから、そこで合流ね。」
これからどうするかを指示したのち、五条先生は私たちに背を向けて立ち去って行く。
それを見送った私は、小さく溜め息を吐いたのち、真希さんに訓練をつけてくれたことへの感謝を述べ、一旦準備をするために、寮の方へと足を進める。
すると、恵くんがすぐ私の隣に並んできた。
なにやら物言いたげな視線を感じたため、恵くんに視線を向ける。
「あんま、無理すんなよ瑠風。危なくなったらすぐに逃げろ。」
どうやら私のことを心配してくれたらしい。少しの顰めっ面を見せながら、静かな声でいざと言う時のことを告げて来る。
それが少しだけ嬉しくて、私は小さく笑いながら、恵くんの言葉に頷いた。
やれることは全てして、それでも力不足になれば、戦闘から離脱すると言うことも一緒に告げた。
恵くんは少しだけ安心したような表情を見せては、口元に小さく笑みを浮かべる。
「それじゃ、さっさと準備を済ませて行くか。」
「そうだね。」
短く言葉を交わしては、自分たちが過ごしている寮の部屋へとバラバラに移動する。
さて、呪霊相手に、私はどれだけ立ち回れるのだろうか。
瑠風
五条先生から伏黒の任務に同行するように指示を出される。どれだけやれるかはわからないけど、自分にできることは全てやろうと決め、任務へ向かうための準備を始めた。
闇のコヤンスカヤ
相変わらずアドバイザーポジにいるフォーリナー。
瑠風の能力の抑制が訓練を重ねるたびに緩んできていることに気づいているため、少しずつ瑠風の能力に関する情報を開示し始めた。
伏黒
自分が引き受けることになった任務に瑠風が同行することに少しだけ驚いたが、とりあえずは同行を許可する。
しかし、彼女に無茶はしてほしくないため、いざと言う時は逃げるようにと指示を出すし、任務に慣れてない瑠風を全力でサポートするつもり。
この時点で既に瑠風のことを、「幸せになるべき善人」として認識しているため、自身が助けるべき対象にしている。
五条先生
突発的に伏黒の任務に瑠風を同行させることを決めた最強呪術師。瑠風が作るお菓子が好きで、なにかしら集りに来ることがある。
瑠風の戦闘能力がだいぶ上がってきていることに気づいており、三級までの呪霊は問答無用で無傷討伐が可能であると判断した。
二級呪霊と瑠風を戦わせたら、ほぼ互角の迫り合いを見せたのち、瑠風が勝利すると考えているが、いきなり二級に瑠風を当てたら間違いなく瑠風もそれなりにダメージを受けると認識しているため、二級は慣れてる恵や、彼女が率いるサーヴァントに任せるように告げた。