気がついたら祟り神様(純粋)と一緒に呪術の世界にいた話 作:時長凜祢@二次創作主力垢
準備を済ませて伊地知さんたちと合流し、今回恵くんが向かわされた現場へと到着する。
そこは、お墓が近くにある廃村であり、もう人がほとんどいないのか、崩壊寸前の木造建築がちらほらと存在している場所だった。
五条先生曰く、この村は数年前から人が寄り付かなくなって行き廃れていったとのことらしく、すでに村に住む人は誰一人としていないのだとか。
でも、この雰囲気のせいもあり、肝試しをするために足を運んだ人間がそれなりにおり、肝試しを行った人々は何かしらの不調を訴えるようになったらしい。
中には自殺にまで行ってしまった人間もいるようで、こっちの方に恵くんが向かわされたとのことだ。
「うっわ〜……確かに雰囲気ある……。」
「…………」
「ん?どうしたのセイ?」
廃村のあまりにも雰囲気ありすぎる姿に、肝試しをしたくなる気持ちもわかると納得していると、すぐ近くにいる太歳星君が、なにやら警戒状態に入り、一つの方角を見つめていることに気がつく。
不思議に思いながら、太歳星君にどうしたのかと問いかければ、彼は自身が見ていた方角を指差しながら、静かに口を開いた。
「……るかるか。めぐめぐ。ごじょー。こっちの方角は大凶だよ。」
「「!」」
太歳星君の言葉に思わず目を見開く。それは、今、太歳星君が述べた方角はあまり良くないものがの危険が存在していると言うこと。
つまり、呪いの発生源がこの方角にある可能性が高いということだ。
「……へぇ。太歳神ってそんな能力あるんだ。」
大凶の方角を口にした太歳星君の姿に、少しだけ五条先生が関心を抱く。
まぁ、あまりよろしくない方角を見定める能力は、何かしらの役に立ちそうだしね。関心を抱くのも、わからなくもない。
……それはそれとして、だ。
「……どうしますか?五条先生。」
「そうだねぇ……とりあえず、まずは弱いやつをちゃちゃっと片付けちゃおうか。一般人もここはいないみたいだし、さくさく進めるよ。」
「「わかりました。」」
五条先生が任務を始めると口にしたので、私はすぐにコヤンスカヤとアビーを呼び出す。
姿を現したコヤンスカヤとアビーは、どちらも第三再臨状態の姿へと変わっていた。
恵くんと五条先生が反射的に警戒態勢を見せる。どうやら、こっちの姿のコヤンスカヤたちの呪力はいつも以上に強大であり、呪術師にとっては、ピリリとした空気になってしまうらしい。
「コヤンスカヤとアビーは攻撃範囲が広いから、少しずつでいい。片っ端から呪霊を始末して。セイは私と一緒に行動。私が取り漏らした呪霊をお願いできる?」
「りょっか!」
「かしこまりました。では、一旦こちらの秘書モードをやめ、戦闘寄りの
「太歳星君さんだけで大丈夫かしら?」
「む!!ワガハイだってやればできるのだ!」
「それならいいのだけど……。弱い子たちを全部終わらせたあと、すぐに合流するわ、マスター。早く行きましょう、狐さん。」
「
そんな二人のことなど気にしていないのか、コヤンスカヤたちはいつもの調子で会話を行う。
少しだけ喧嘩腰になっているような様子があるけど、おっ始める様子はないらしい。
まぁ、喧嘩されても困るんだけどさ……。
「ああ、コヤンスカヤ。ちょっといいかな?」
「はい、なんでございましょう?」
そんなことを思いながら、私はコヤンスカヤの名前を呼ぶ。コヤンスカヤはすぐに私の声に反応して、すぐ近くにまで寄ってくれた。
そんな彼女の頭に軽く手を乗せた私は、自身の能力を発動させる。
あらゆる対象に、新たな特性を追加することができる能力……それを使うことにより、コヤンスカヤがFGO内で使用していたあらゆる地域の獣を取り込み、自身の眷属へと変える能力の対象範囲を呪霊にまで広げたのである。
「これは……」
「使えそうな呪霊がいたら、自身の糧にするなり、自身の眷属にするなりと自由にしても構わない。」
「……んふ……そうですか。では、ありがたく使わせていただきますわ。」
「次はアビー。君には、太歳星君と同じ力を付与しておくよ。」
「太歳星君さんと同じ力というと、呪霊を倒していけばいくほど能力が上がる戦闘時限定の能力よね?」
「そうだよ。」
「ありがとう、マスター。この力を使って、もっともっと役に立って見せるわ。」
続けるようにして、私はアビーにも新たな特性を付与した。と言っても、太歳星君にも付与してある戦闘時のみに発動する呪力ドレインによる強化能力と変わらないけど、戦闘時に常に強化していくことが可能なら、それだけでもかなりの戦力を保持することができるから使い勝手がいい。
コヤンスカヤにはこっちよりも自身の眷属を増やすことによる戦力補充の方が相性いいと思うから付与はしなかったけどね。
まぁ、でも、取り込んだ呪霊を自身の呪力に変換できるようにはしているから、いざと言う時の呪力補給源にはなる……だろう。多分。
「じゃあ、コヤンスカヤとアビーは別行動で。行くよ、セイ。」
「りょっか!」
私の指示を聞いたコヤンスカヤとアビーが一瞬にして姿を消したのを確認した私は、すぐに五条先生たちに視線を戻す。
すると、五条先生が私の方に目を向けたまま、穏やかで、しかし、どこか寒気を感じる声で話しかけてくる。
「……ねぇ、瑠風。さっきの能力って何?見たことないものだったけど。」
どうやら、私が使用した能力であるスキル付与に関しての質問のようだ。
とは言っても、私が持ってるこの能力の正式名称はわかっていない。ネロ・クラウディウスが使ってる皇帝特権の上位互換のようなものであることくらいはわかるけど。
なんて答えるべきか……ああ、そうだ。
「正式名称はわかっていませんが、能力効果は理解してます。いわゆる自分自身と、私が連れているサーヴァントに新たな特性を一時的に付与したり、永続的な特殊強化を施すことができる能力ですね。使い方によっては、戦闘時のみ、呪霊を倒すことにより、倒した呪霊が持ち合わせていた呪力を吸収し、自身の強化にその呪力を回すことも可能になります。そのため、最終的には特級すらも一瞬にして葬る力を会得することもできます。まぁ、戦闘態勢を解けば効果は無くなりますが、永続強化の場合は、戦闘に入るたびに呪力ドレイン効果が発動します。」
少しだけ考えたのち、先程使用した能力の効果を五条先生に説明する。
こちらの能力の効果を初めて聞いた恵くんは目を丸くして固まり、五条先生はなるほどと小さく呟く。
……なんか、五条先生にはこの付与能力の本質が見抜かれていそうだな。まぁ、だからと言って掘り下げるつもりもないようだけど。
「じゃあ、任務始めちゃおうか。」
五条先生が話を切り上げるように、任務を始めると口にする。すぐにそれに頷いて村の中に足を運べば、少しだけ寒気を感じた。
しかも、寒気の発生源は私のすぐ側。となると……
「……セイも戦闘態勢だね。」
「うん。こっちの方が、瑠風を守りやすいから。」
「ありがとう、セイ。」
「ワガハイは、当たり前のことをしてるだけだよ……?」
「そうだったね。」
視線を横に動かしてみれば、やっぱり太歳星君が大きい方の太歳星君になっていた。
先程寒気を感じたのは、彼が呪力のリミッターを外したことを意味するものだったと言うわけだ。
あ、恵くんのお顔が真っ青……。すぐ近くで特級の呪力が一気に増えたからかな?
五条先生は、太歳星君の呪力をすぐ近くで感じていても、「祟り神の呪力量やばすぎてウケる」とヘラヘラ笑っている。
最強の名は伊達じゃないなぁ……。粛正防御すら剥ぎ取る防御強化状態解除を使ったら普通に物理叩き込めるけど。
まぁ、流石にしないけどね。
「恵くん。大丈夫だよ。確かに呪力量がおかしいし、臓腑の底から寒気を感じてしまうかもしれないけど、君がよく知る無邪気な太歳星君と同じ子だし、ちゃんとした味方だからさ。」
「あ、ああ……。」
「あはは。やっぱりまだ恵にはちょっと刺激が強すぎたみたいだね。まぁ、仕方ないけどさ。ガチもんの祟り神なわけだし。僕でも最初は冷や汗をかいたくらいには危険性が高い存在なんだから、無理もないよ、」
とりあえず、太歳星君の呪力に当てられて、少々顔色を悪くしてしまった恵くんに対して、大丈夫だと言い聞かせるように声をかける。
それにより彼は落ち着いたのか、小さく頷きながら表情を引き締めた。
よし、恵くんの怯み状態も解除できたし、初任務を開始しようかな。
瑠風
自身の能力を使い、コヤンスカヤとアビゲイルに新たな特性を付与した。
コヤンスカヤに付与した呪霊もスムーズに取り込める能力を使って、特級呪霊とか取り込んでくれないかな?と少しだけ考えている。
太歳星君
瑠風のお仕事見学に同行し、現在戦闘モードである大きい太歳星君状態になっている。
大凶だと感じた方角には間違いなく強い何かがいるから、早く呪霊を倒して自身の強化をしようと考えている。
闇のコヤンスカヤ
本来の能力である獣を取り込み眷属化する能力に、新しく呪霊も取り込んで眷属化することができる能力を追加してもらって強化されたコヤンスカヤ。
気に入った呪霊は取り込む気満々だし、瑠風からの指示があれば、特級呪霊も取り込む気満々。
気に入らない呪霊?取り込むことすらすることなく消滅させますが何か?
アビゲイル
瑠風から太歳星君が持ってる呪力ドレインからの自身の強化能力を付与してもらったフォーリナー。現在第三再臨状態で戦闘モード。
太歳星君じゃなくて私をおそばに置いてくださればいいのに……と少しだけ不満に思いながらも、彼女からの指示を遂行するため行動を起こす。
伏黒恵
瑠風が率いる三騎のサーヴァントの戦闘モードに対して顔を真っ青にしていたが、瑠風と五条に声をかけてもらうことで治った。
こんな奴らと常に一緒にいるのに平然としているとか、瑠風はすごいなと思ってる。
五条先生
瑠風のサーヴァントたちの戦闘モードに少しだけ寒気を感じていたが、表には出していなかった。
瑠風が持ってる新たな特性を付与する能力が持つ効能は全部わかっているが、自分とサーヴァントだけにしか使えないと口にした瑠風の意志を尊重し、詳しく言及はしなかった。まぁ、僕は知ってるしね。