気がついたら祟り神様(純粋)と一緒に呪術の世界にいた話 作:時長凜祢@二次創作主力垢
それは、なんとなく見た夢だった。
夢の中の私は、おそらくだけど小学生くらい。なんの変哲もない日常生活を送りながら、夕方の道を歩いていた。
『オイデ……オイデ……イッショニアソボウ?』
『オイデ……オイデ……ソッチジャナイヨ。コッチダヨ。』
『アソボウ……アソボウ……ヒヒ……ヒヒヒヒヒ……!!』
『……………。』
暗くなり始めた黄昏時。辺りに人はいないのに、聞こえてくる声があり、それらはとても不気味なものだった。
小さい私は、表情を歪めながらも、その声を無視して歩いている。それでも不気味な声は止むことがなく、ずっとずっと聞こえている。
『アソボウ……アソボウ……ソッチジャナイヨ……コッチダコッチアソボウヨ』
─────……うるさい。
『ドコイクノ?ネェネェアソボウヨ。』
─────……うるさい……!!
『アソボウアソボウアソボウアソボウアソボウアソボウアソボウアソボウアソボウアソボウアソボウ……ヒヒヒ…!!ヒヒヒヒヒヒ!!』
─────うるさい煩い五月蝿い煩いウルサイウルサイウルサイ!!私に話しかけないで!!
『大丈夫か?顔色がすごく悪いぞ?』
『!!』
不意に聞こえてきたのは子どもの声。驚いて声の方へと目を向けてみると、そこには一人の男の子がいた。不思議な色合いの髪と目をしている、不思議な服を着た男の子だ。
私が反応したことに気づいた彼は、にぱっと無邪気に笑って見せる。
『はんなまー!ワガハイは太歳星君なのだ!そっちはなんだ?』
『……
『ふむふむ、なるほどなぁ……。じゃあるかるかって呼ぼ!なぁなぁるかるか。どうしたんだ?顔色が真っ青だぞ?』
『……変な声が………聞こえて……怖くて……』
『変な声?あ、そっか!ここら辺にいる奴らがるかるかに悪さしてるのか!それならワガハイに任せるのだ!こんな奴ら、こうしちゃえばいいからな!!』
その瞬間、一瞬の気分の悪さが訪れたかと思えば、不気味な声が聞こえなくなった。その中で見えたのは、異形としか思えない大きな手。不思議で不気味な霧。そして、モヤのようなものと、それが霧散する瞬間。
それだけで私は、目の前にいる男の子に助けられたのだと理解した。
『うん、これでよし!もうるかるかに悪さをする奴はここにはいないぞ!』
『…………。』
『るかるか?どうしたのだ?』
再びにぱっと無邪気に笑い、私の方を振り返った男の子。唖然とその子を眺めていると、彼は不思議そうな表情をして、首を傾げた。
『……どうして……助けてくれたの?』
口から出たのは一つの疑問。普通は感謝を述べるべきなのに、最初の一言はこれだった。
『んー?るかるかがすごく嫌そうだったから助けたんじゃん。だって顔が真っ青だったし。あとはそうだなー……ワガハイと話してくれる人がどこにもいなかったから、るかるかがワガハイと話してくれたのがすごく嬉しかったのだ!なぁなぁるかるか!るかるかが嫌だなって思うものは、全部ワガハイがなんとかするし、るかるかが傷つくようなことや、悲しむことから助けてやるから、ワガハイと友達になってほしいのだ!』
『友達……?』
『うん!一緒に遊んだり、日向ぼっこしたり、いろんなものを作ったり!あとは、こうやってお話ししたりするんだ。前はな?ワガハイと仲良くしてくれる人がいっぱいいたし、不思議な場所で、たくさんの恩人がいたりして、いっぱい遊んだり、話したり、物を作ったりすることがあったんだけど、今はそんな奴らがいなくてな。ずーっと……一人ぼっちで……ちょっと……うーん……すごく……かな?寂しかった。だからな。こうやって一緒に過ごせそうな奴を探していたのだ。だから、るかるかがワガハイの声に応えてくれたことが嬉しくて。まぁ、断られてもついていくけどな。だってるかるかの側って落ち着くし!』
すると、男の子は笑顔で私の質問に答えてくれた。仲良く話せる人がいないことが寂しかったから、会話をすることができる存在が欲しかったのだと。だから、私と友達になりたかったのだと。
私を変な奴から守る代わりに、一緒に遊んだり、話したり、作ったり、日向ぼっこなどをして過ごしたいのだと。
それを聞いた私は、男の子に笑顔を返していた。その言葉を了承するように、小さく頷いていた。
私の承諾を確認した男の子は、輝かんばかりの笑顔を浮かべた。同時に、私の方に飛びつくように抱き着き、ぎゅうぎゅう強く抱きしめてきた。
『わはー!!ありがとう、るかるか!今からワガハイとるかるかは友達なのだー!!』
『わぷ!?ちょ、いきなり抱き付かないでよびっくりしたなぁ!!』
『あ、ごめん。でもでも嬉しいのだ!あ、約束通り、るかるかを怖がらせたりする奴はワガハイが祟ってやるし、プチッと潰してやるから安心していいぞ?』
『たた……!?』
『うん!だってワガハイ、そういうの得意だし!もちろん、るかるかが嫌いな奴もワガハイが追い返してやるからな!』
『え……大丈夫なの……それ……?』
『んー……わかんない!でもでも、るかるかが悲しむことはなくなるぞー!そんじゃ、約束だからワガハイと遊ぶのだ!』
『えっと……わかった……?』
『ワガハイのことは好きに呼んでもいいからな!短くしてもいいし、コンって呼んでもいいからな!』
『……じゃあ……セイくん……とか?』
『セイ!うんうん、それで行こう!』
『わかった……。えっと……じゃあ、これからよろしくね……?セイくん。』
『うん!よろしくな!』
『えっと……遊ぶんだよね?遅くならない範囲でならいいよ……』
『うん?』
『……暗くなったら、悪い人来ちゃうから。』
『わかった!それじゃ、いくいくいくぞー!』
『わわ!?急に走らないで!?』
大きな手で私の手を掴み走り出す男の子……太歳星君。それに引っ張られるようにして、私も一緒に走り出す。
急に引っ張られたこともあり、かなりびっくりしたけれど、太歳星君がいるからか、不気味な声は聞こえてこなかった。
それが嬉しかった私は、自然と表情に笑顔を浮かべていた。
その日は暗くなる少し手前辺りまで太歳星君と遊んでいた。それで、自宅の方へと帰宅した瞬間、すごい形相のお母さんに怒られちゃって、私は固まってしまっていた気がする。
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「…………。」
不意に意識が浮上する。ゆっくりと瞼を開けてみれば、見慣れた天井が視界に入り、体には布団と、それとはまた別のぬくもりが巻き付いている。
「……セイ?」
「ん……あ……るかるか。はんなま。」
「……うん、はんなま。」
「…………?あ……こっちのワガハイになってた。ごめん……。こっちのワガハイが側にいると怖いし嫌だよね……。」
「いや、別に嫌じゃないんだけど……どしておっきく……?」
「………わかんない。多分、無意識のうちにこうなったんだと思う。」
「そっか。無意識か。」
「うん、ごめん……」
「謝らなくていいよ。確かに、そっちは本来の神様としての本質が強いセイだけど、例え、大きくても小さくても、セイであることには変わらないし、嫌ったり、怖がったりしないよ。」
「……本当に?」
「うん。どっちのセイも大切な友達だからね。」
「そっか。よかった。るかるかに嫌われなくて。」
「逆に嫌う理由がないって……」
苦笑いをこぼしながら、私を抱き枕にしている太歳星君の頭を優しく撫でる。すると、太歳星君は少しだけ気持ちよさそうに目を閉じた。
同時にその体は光に包まれ、大きな体から小さな体へと変化する。
「あ、戻った。」
「本当だね。」
「まぁいいや!はんなまー!るかるか。今日もいっぱい遊ぶぞ!」
「そうだね。」
笑顔を見せながら今日の予定を口にする太歳星君に笑顔を返しながら、一緒に遊ぼうという言葉に頷けば、彼は上機嫌になる。
彼が嬉しそうにしているとこっちも嬉しくなるのは、この子がかけがえのない親友だからだろうか。
そんなことを思いながら、ベッドから起き上がる。
今いる場所は東京。こっちの私の生まれ故郷である宮城県から、一週間前に前世の故郷であるここへとやってきた。
太歳星君ももちろん一緒だ。最近わかったことだけど、彼はどうやら私に憑いていたようだ。さっき見た夢でわかったけど、彼と私は、私を守る代わりに一緒に遊んだり、日向ぼっこしたり、話したり、物を作ったりしてほしいという約束を交わした神と人。
祟り神であろうとも、確かな神性を持ち合わせている存在と約束を交わし、こうするからこうしてほしいといった釣り合った契約を結んでいるため、太歳星君が神格を持たない私に憑くのは道理である。
だからか太歳星君は、私が行く場所に憑いてくる。私を守るという約束を果たすために。
そして私は彼と遊ぶ。守ってくれたお礼をするために。
「今日は何して遊ぶの?」
「んー……鬼ごっこ……はできないよな。だってここ、人多すぎるし、るかるかはワガハイが視えるけど、ワガハイが見えない奴の方が多いのだ。何がいいかなぁ……」
「……ゆっくり考えようか。時間はたっぷりあるしね。」
「そうだな!るかるかは今からご飯か?」
「そうだね。顔を洗って、パジャマを着替えて、朝ごはんを食べる。」
「じゃあ、るかるかがご飯を食べ終わるまでに決めておくな!」
「わかった。」
にこにこと笑いながら、今日やることを考えている太歳星君の姿に小さく笑いながらも、私は私のやることをこなしていく。
東京に来ちゃった以上、間違いなく呪術界最強の顔面宝具お兄さんと出会してしまう可能性が高くなっちゃったけど、できれば会わないようにしたいな……。
…………無理かな……。
御子神 瑠風
備考
目覚めたら呪術廻戦の世界に太歳星君と一緒にINしていた女の子。
呪霊ホイホイ体質で、小さい時から呪霊に話しかけられまくるのが日常茶飯事だった。不気味な声に気分を悪くしていた時に太歳星君と出会う。
祟り神な太歳星君と約束を交わした結果、それを触媒に契約が結ばれ、太歳星君に憑かれる結果となる。
しかし、本人は祟り神に憑かれたことを気にしておらず、守ってくれるし、一緒に遊ぶのは楽しいし、FGOやってた時から好きだったから別にいいかなと思っている。
太歳星君
備考
気分を悪くしていた小さな瑠風を見つけ、心配になったから声をかけた優しい祟り神様。
瑠風が気分を悪くしている原因が彼女に話しかける変な奴らであると当たりをつけ、一瞬でプチッと潰した上、変な奴らがまた話しかけないようにとこっそり彼女に力を注ぎ、自身の力を彼女の御守り代わりに使っている。
カルデアの記憶は曖昧だけど、恩人がいたことは覚えており、その恩人たちが自分にしてくれたように、今度は自分が誰かを守ることにした。
瑠風を守るから瑠風はワガハイと友達として遊ぶことという条件の約束を交わしたことにより契約の繋がりができる。
大きい自分のことも大切な友達だと言ってくれた瑠風が大好き。
某呪術界最強の人
備考
未だに姿は出てないけど、瑠風が会いたくないと思っている存在。いや、まぁ、嫌いなわけじゃないよ?むしろ好きなんだけどほら、太歳星君がいるからなんか関わりたくないと言いますか……。
原作には関わりたいんだけどね?高専に行きたいかと問われると微妙というか……だって怪我したくないし死にたくないし!!
……と言う理由で警戒されている。
他にもサーヴァントを出すとしたら?
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