気がついたら祟り神様(純粋)と一緒に呪術の世界にいた話   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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始動、呪いの物語
20.物語の始まり


 五条先生からされた話は、これからも恵くんと一緒に行動を取り、任務にあたれと言う話だった。

 どうやら、今回の初任務でどれだけ私が動けるか分析した結果らしく、これなら恵くんと一緒に任務に当たっても十分動けると思ったようだ。

 私としては願ってもないこと。これで、本格的に原作に介入することができるし、救済行動も取ることができる。

 ちなみに、五条先生曰く、上層部に私の術式のことは話したとのことだ。

 なんでも、あまりにも新しく入った呪術師の力が不明瞭だから、話せ。さもないとその呪術師の入学、及び活動を許可しないと言われたらしい。

 脅してくるとかマジないよねー、本当、さっさとくたばってくれないかなあの年寄りたち……と吐き捨てていた様子から、相当なストレスとなったようだ。

 

 で、まぁ、とりあえず五条先生は私の術式を召来霊術(しょうらいれいじゅつ)と仮称し、自身の呪力を媒体にして、式神に近い存在を召喚し、使役することができる術式だと教えたらしい。

 それを聞いた上層部は、未知数な能力であることに変わりはないため、かなり微妙な反応をしていたようだが、必ず呪術師として正しい道へと歩ませることや、もしもの時は自分が責任を持って終わらせることとを条件として出して折れてもらったようだ。

 まぁ、呪術師最強の男にそうまで言われたら、向こうも黙るしかないと言うことだろう。

 上は最強をあまり敵に回したくないだろうしね。

 

 さて、これまでの出来事の説明はこれくらいだろうか。いったい誰に説明していたのかはわからないけど、とりあえず大まかな内容はわかったと思う。

 では、ここからが本題だ。まぁ、本題と言っても、今の私の状況についての話なんだけどね。

 

 これまで私は、恵くんと一緒に行動を取りながら、いろんな任務に当たっていた。

 相変わらず戦うのはサーヴァントばかりではあるけど、それでも着々と任務をこなしていき、ある程度は好き勝手できるようになった頃。

 私は、恵くんと一緒に呪術高専から離れた場所、宮城県へと足を運んでいた。

 そう。宮城県である。ついでに言うと、いる場所は杉沢第三高校で、月は六月。

 ここまで言えば、多くの人が気づくだろう。【呪術廻戦の原作が開始した】のだと!!

 そう、とうとう開始してしまったのである。あの物語が。

 

 杉沢第三高校にいる理由は、言わずもがな“宿儺の指”の回収のため。

 五条先生が色々調べたところ、ここに20本のうち一本が置かれていると言う話が浮上したわけだ。

 もちろん、私はワクワクした。今まで紙越しでしか見ることがなかった物語の世界に私はおりたち、そして歩んでいるのだと。

 不謹慎だから、ニヤニヤするのはなんとか我慢したけど、ようやく訪れた原作開始の合図に、内心かなりテンションが上がっていた。

 で、まぁ、今は恵くんと一緒に、杉沢第三高校へと足を運んでいるわけだけど……

 

「百葉箱!?そんな所に特級呪物保管すぎるとか馬鹿過ぎるでしょ。」

 

〔アハハ。でも、おかげで回収も楽でしょ?〕

 

「確かに楽かもしれませんが、その代償に呆れと言う感情に苛まれてるんですけど。雑な保管は身を滅ぼしてしまいます。下手したらかなりの被害者が出るでしょう?」

 

〔それは言えてるね。〕

 

 ま、案の定“宿儺の指”は百葉箱に雑に保管されているわけで……。この流れからすると、原作通りオカ研に持って行かれているだろうね。

 

「セイ。何か感じ取れるものはある?」

 

「うーん……すくすくの指の気配を一つ見つけるのは難しいなー……。なーんか、呪いの気配がここら辺全体に広がってるせいで、正確な位置がわからないのだ。」

 

 そんなことを思いながら、念のためにと太歳星君に“宿儺の指”の気配は感じ取れないか問いかける。

 が、原作の恵くんが言っていた通り、呪いの気配があまりにも大き過ぎて判断し辛いようだ。

 そっか……と小さく呟いて恵くんに目を向ける。

 私の視線に気づいた恵くんは、こちらの視線の意味を汲み取ることができたようで、首を左右に振って、わからないことを伝えてくる。

 既に拾われているのか拾われていないのか、それを確かめるために一応声をかけたんだけど、やっぱりダメかー……。

 

「これだけ呪いの気配が大きいと、移動している可能性を確かめることもできないね……。」

 

「ああ。廃村の時は、指を取り込んだ呪霊がいたし、五条先生の能力もあってすぐに見つけることができたが……」

 

「とりあえず、百葉箱をまずは確認するべきかな。拾われていなければそれでいいし。」

 

「だな。」

 

 恵くんのスマホをスピーカー状態のままにして、私たちは一斉に走り出す。

 百葉箱の位置は既に把握できていたから、しばらく走ればすぐに辿り着くことができた。

 

「前の私だったら絶対恵くんについていけずにバテてたな。」

 

「二年生と五条先生に体術とか教えてもらったおかげだろうな。」

 

〔うんうん、瑠風がしっかりと成長してくれて僕も鼻が高いよ。〕

 

「そうですか。」

 

〔あれ、反応が薄い……〕

 

「とりあえず、百葉箱見つけたんで、中を確かめます。」

 

〔恵もなんかちょっと冷たくない……?まぁ、今はいいか……。頼んだよ〜。〕

 

 恵くんが百葉箱の取手に触れ、すぐにその扉を開く。本来ならば、そこにあるはずの“宿儺の指”。

 だが、原作通りそこはもぬけの殻であり、呪物と思わしき物が入ってる入れ物一つ見当たらない。

 あるのは特級の残穢のみ。うん、持って行ったなオカ研。

 

「……ないですよ。」

 

〔え?〕

 

「現在恵くんと一緒に百葉箱の中を覗いているのですが、特級の呪力の残穢のみが残っており、百葉箱自体はもぬけの殻です。」

 

〔マジで?ウケるね(笑)〕

 

「笑い事じゃないんですけど?」

 

「ぶん殴りますよ……」

 

〔二人とも、それ回収するまで帰ってきちゃ駄目だから。〕

 

「「は?」」

 

 やっぱり持っていかれるんかいと呆れ返りながら五条先生の言動にツッコミを入れる。

 しかし、“宿儺の指”を回収するまでは東京に帰ってきたら駄目だと言ったあと、ブツンと容赦なく切られた通話により、辺りには静寂が訪れた。

 

「………なぁ、瑠風。」

 

「何?」

 

「今度マジで五条先生を殴らないか?瑠風の能力ならできるだろ?」

 

「ああ、無下限強制剥奪コインヘン?」

 

「コインヘンが何かまでは知らないが、五条先生のあれ、解除できるんだろ?」

 

「できるね。」

 

「……殴らないか?」

 

「躱される可能性はあるかもしれないけどやってみようか。」

 

「ああ、やろう。」

 

 とりあえず、恵くんがかなりマッハでストレスゲージを溜めているようなので、五条先生を今度殴ろうと言う提案に乗っておく。

 躱されるかもしれないけど、その時はその時でいつものようにお菓子とお茶をご馳走して愚痴を聞こう。

 五条先生にはお菓子抜きにして。多分ダメージ入るだろうし。

 二年生組と恵くんと私で帰ったらティーパーティーだ。

 

「……探すか。」

 

「だね。でも、こうまで呪いが広がっていると見つけるまで時間がかかりそうだよ。」

 

「なぁ、瑠風が呼べるサーヴァントって、太歳星君とコヤンスカヤとアビゲイルの三騎だけなのか?」

 

「……うーん……どうだろう。今のところ呼べるのはこの三騎だけど、何かしらの条件を満たせば、他のサーヴァントも呼べると思うんだけど。」

 

「そうか。太歳星君は知らないのか?」

 

「んー……ごめんなめぐめぐ、るかるか。ワガハイ、るかるかの能力は詳しくわからないのだ……。あの狐やアビアビなら何か知ってるかもしれないんだけど……」

 

「……教えてくれなさそうだよなぁ…………。」

 

 うーん……と考えながら、早く“宿儺の指”を見つけ出すための方法を考える。

 こんな時、気配を辿ることを得意としているサーヴァントが呼べたらいいんだけど、呼べるかどうかわからないんだよな。

 新宿のアヴェンジャーとか呼べないかな……。残穢辿れそうなんだけど……。

 

「………おい、瑠風。」

 

「ん?」

 

「後ろ……」

 

「はい?後r……うおわぁ!?」

 

 どうしたもんかと首を傾げていると、恵くんが声をかけてきた。

 後ろに何かあるのかと思い振り向いてみると、そこには今しがた考えていた新宿のアヴェンジャーの姿があり、思わず驚いてしまう。

 

「ガウッ」

 

「………」

 

 グルルルという唸り声を漏らす新宿のアヴェンジャーとどうしたの?と言ってるような雰囲気を持つその上の人。

 新宿のアヴェンジャーからは敵意を感じない。ガウッと一声吠えるだけ。

 その鳴き声は、まるでさっさと用件を言えと催促しているようだった。

 

「……協力してくれるの?アヴェンジャー。」

 

「─────………」

 

「……!」

 

 念のため確認するように、協力してくれるのかと問いかければ、フンッとアヴェンジャーは短く鼻息を漏らした。

 同時に上の人がジェスチャーでその通りだと肯定してくれたので、思わず小さく笑みを浮かべた。

 

「瑠風?」

 

「……どうやら、他にもサーヴァントは呼べるみたいだね。彼らが特別に協力してくれるみたい。手伝ってもらおう。」

 

「……ああ!」

 

 恵くんに新宿のアヴェンジャーが特別に協力をしてくれるらしいことを伝えれば、彼は、助かると笑いながら、新宿のアヴェンジャーに目を向ける。

 そんな恵くんから新宿のアヴェンジャーは目を逸らし、さっさと指示を寄越せとばかりに尻尾で叩かれた。地味に痛い。

 

「本来なら、百葉箱の中にあるはずの特級呪物が無くなっててね。誰かが移動させたと思うんだ。人間の匂いで気分が悪くなるかもしれないけど、ごめん。探してくれるかな?多分、呪物の残穢だけじゃ辿りきれないと思うから。」

 

「………。」

 

 とはいえ、新宿のアヴェンジャーの気が変わって協力してもらえなくなるのは少し困るので、協力してくれる気力があるうちにやることを済ませようと考えて指示を出す。

 すると、遅いと言うかのように鼻息を漏らしたのち、開いている百葉箱の中に鼻先を近づけた。

 残り香を覚えるように嗅ぎ始める新宿のアヴェンジャーをじっと見つめていると、静かにこちらを振り向いてきた。

 

「行ける?」

 

「─────……!」

 

 誰に物を言っていると言わんばかりの咆哮が辺りに響く。呪霊の状態であるため、非術師たちには聴こえない声。

 だが、呪力を持ち、呪霊を視ることができる私と恵くん、そして、私が召喚している太歳星君には、大迫力のそれが聴こえていた。

 

「わはー!アヴェアヴェやる気満々なのだー!」

 

「……瑠風……こいつは?」

 

「……そうだね。とある物語に出ていた復讐者とだけ言っとくよ。」

 

 にこにこ笑顔の太歳星君と、冷や汗ダラダラの恵くん。対照的な反応を見せる二人を眺めながら、恵くんの質問に答えれば、獣の姿を持つ、復讐に燃える存在ってなんだっけ?と首を傾げた。

 だが、不意に新宿のアヴェンジャーが動き出したことに気づくなり、すぐに頭を切り替える。

 

「見つかったみたいだね。案内を頼むよ。」

 

「ガウッ」

 

 一声短く吼えるなり足を進め始めるアヴェンジャー。

 その後ろに続くようにして、私たちは杉沢第三高校の敷地内を捜索するのだった。

 

 

 




 瑠風
 原作に突入したことに大興奮した異世界からの訪問者。
 だが、原作通りに百葉箱がもぬけの殻になっていたり、五条先生のめちゃくちゃな発言に対して怒りを覚えたりして、いずれ恵と一緒に五条悟ぶん殴り計画を行うことを決意する。
 五条先生のおかげで、とりあえず自身の術式に名がつく。
 【召来霊術(仮)】
 瑠風の生得術式で、FGOに出演するサーヴァントを召喚することができる術式。
 とりあえずは式神を呼び出して戦うと五条先生は上層部に説明した。
 未知数の能力ではあるが、どうやら脳裏に浮かべたサーヴァントをいくつかの条件を満たすことで召喚できる模様。
 しかし、瑠風はその条件をまだ理解していない。


 太歳星君
 瑠風と恵の二人と一緒に“宿儺の指”回収の任務につく瑠風のメインサーヴァント。
 新宿のアヴェンジャーがやる気に満ちている様子から、自分も頑張るぞ!と考える。


 新宿のアヴェンジャー
 巨大な狼と首無しの幽鬼という異色の組み合わせの復讐者。瑠風が脳裏に彼を浮かべた結果召喚された。
 人間は嫌いだが、繋がりが強い瑠風の指示はちゃんと聞くし、自身のマスターである以上、協力はする。
 必要な時に呼ばれ、それ以外の時は呼ばれないシステムは気に入っているし、どうでもいい存在ではあるが、マスターとサーヴァントらしく、マスターのことは守るつもりではある。
 気分によっては召喚に応じないが、まぁ、この人間なら理由もわかるだろうと考えている。


 恵
 瑠風が頭を悩ませていると、いきなり背後に現れた新宿のアヴェンジャーにかなりびっくりしていた二級呪術師。
 のちに新宿のアヴェンジャーの咆哮を聞き冷や汗を流したが、協力してくれるのは助かると思っている。
 ある物語に出てきた復讐者という紹介を聞き、どれだ?としばらく考え込んだ。


 五条先生
 特級呪物が行方不明という言葉に口ではウケると言い、見つけるまで東京に帰ってきたら駄目だという指示をしつつ、動く準備を始めている呪術師最強の男。
 新宿のアヴェンジャーが咆哮した時、県外にいるにも関わらず、ピリリとした張り詰めた空気を一瞬感じ取り、瑠風が何か召喚したな?とすぐに認識していた。

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