気がついたら祟り神様(純粋)と一緒に呪術の世界にいた話   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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21.“宿儺の指”を求めて

 自身の術式(仮)を使用することで呼び出すことができた新宿のアヴェンジャー。

 私と恵くんは、百葉箱の中や付近に残っていた残り香をたどりながら、杉沢第三高校の敷地内を歩き回る彼らの後を追いながら、“宿儺の指”を探す。

 そんな中、不意に新宿のアヴェンジャーが足を止め、上の方を向いた。

 釣られて姿勢を動かしてみると、そこには呻き声を上げて校舎を眺める呪霊が一匹、ポールの上に存在していた。

 

「なんだこのラグビー場……?」

 

「死体でも埋まってるのかな?あれ、どう見ても二級レベルの呪だけど……。」

 

「ガウッ」

 

「………!」

 

「ふんふん……。るかるかー。めぐめぐー。アヴェアヴェとなしなしは、この広いところには人の匂いはしないっていってるぞー?」

 

「じゃあ埋まってないのかな?」

 

「ってことは、“宿儺の指”の影響か?」

 

「かもしれないね……。」

 

 死体が埋まっていたら大事件だったから、実際になくてよかったな……なんてことを思いながら、私は新宿のアヴェンジャーに目を向ける。

 あれは殺さなくていいのかと言う視線を彼から向けられた。

 うーん……まぁ、別にやってもいいとは思うけど、これは祓うべきなんだろうか?

 

「瑠風。」

 

「ん?」

 

「さっさと回収しに行くぞ。」

 

「え?あの上のやつ放置して大丈夫?」

 

「ああ。ひとまずは後回しだ。確かに、二人でやれば祓えないことはないと思うが、余裕で祓えるとは限らない。だから、まずは先に呪物を回収し、安全を確保したあとでアレを祓う。」

 

「ん〜……まぁ、理にはかなってるか……。了解。ってことで、アヴェンジャー。引き続き捜索を頼めるかな?」

 

「ガウッ」

 

 狩ってくれとお願いするか否か考えていると、恵くんがまずは呪物を最優先することを告げられる。

 特級呪物を回収したあと、呪いを祓う方が安全だと。

 確かに理にかなっている理由だ。そう思った私は、新宿のアヴェンジャーに捜索を続けることを告げた。

 なんだ殺さないのかとどこかつまらなさそうな反応をされたような気がするけど、とりあえずスルーしておこう。

 

「このまま捜索して見つからない……ってことはないと思うけど、万が一そうなったらどうする?」

 

「そうだな……いざと言う時はあまり気が進まないが、一度学校を閉鎖し、呪いを祓った後で隅々まで探すしかないかもな。」

 

「めんどくさいな……」

 

「仕方ないだろ?」

 

 小さく溜め息を吐きながら、私も六眼が欲しいわホント……なんて少しだけ内心で愚痴る。

 あれがあれば”宿儺の指”の呪力とか辿れそうなのに……。でも、術式の名前からして、多分サーヴァントの力しか一時的な付与もできないんだろうなぁ……悲しみ。

 

「こっちだこっち!」

 

「早くしろ!」

 

「陸部の高木と西中の虎杖が勝負すんだよ!」

 

「種目は!?」

 

「砲丸投げ!」

 

「!!?」

 

 そんなことを考えながら足を進めていると、賑やかな生徒たちの声と、虎杖という言葉が聞こえてくる。

 それを聞いた私は、慌てて持ち歩いていた帽子(なぜか猫耳がついてる五条先生カスタマイズ)を目深に被る。

 

「……どうした?」

 

「……私、中学までは宮城の仙台……つまり、この地域に住んでたんだよ。でも、親の仕事の都合から、高校からは東京に行って生活してたんだ。さっき、虎杖って言葉が聞こえていただろう?実は彼、同中出身なんだよね………。」

 

「……マジか。」

 

「うん。だから、ちょっと顔は見られたくないかなって。仲よかったんだけど、ほら、一般の人に呪術師のことを話したくないし、巻き込みたくないからさ。それに、急に呪いの話とかして、頭おかしいやつとか思われたくない。まぁ、虎杖くんはそんなこと言わないだろうけど、彼以外の知り合いとかだったらあり得るから。」

 

「なるほどな。……つか、なんで猫耳なんだ?」

 

「知らん。五条先生に渡された。もうちょっと普通の帽子がよかったわ……。」

 

「……あの人はまた……。でも、もらったからって素直に被らなくてもよかったんじゃないか?」

 

「流石に贈り物は無碍にできない。」

 

「律儀だな。」

 

 目深に被っていても確認できる外の景色。

 それと一緒に見える恵くんから、呆れと同情の視線を向けられている。

 

「14m!」

 

「スゲー高木。全然現役じゃねーか!どーする虎杖!」

 

 やっぱりもらっても律儀に使わなくてもよかったのだろうかと思いながら、周りの様子を眺めていると、かなりの生徒が盛り上がっていることがよくわかる。

 よく見るとヒソヒソと話しているガタイのいい男子とメガネをかけてる女子がいるな。

 あの二人が悠仁の先輩たちか。

 そんな二人が向けている視線の先には、砲丸投げに使う砲丸を持ち、陸上部の顧問である男性に話しかけている悠仁の姿がある。

 原作通りならば、なげ方について聞いているのだろう。

 

 顔を見られたくないと言う気持ち半分と、原作のシーンに立ち会っていることに対する嬉しさ半分で、悠仁の動向を眺めていれば、彼は原作通り手にしていた砲丸をピッチャー投げで投げ飛ばす。

 投げ飛ばされた砲丸は、真っ直ぐと砲丸投げのフィールドを越し、そのままサッカーゴールのポールをひん曲げた。

 ……悠仁ってフィジカルゴリラだったかな?違うよね?

 

「なぁ、瑠風。」

 

「何かな?」

 

「あの虎杖って奴、知り合いなんだよな?」

 

「うん。一応友達だったね。」

 

「中学の時からあんなだったのか?」

 

「まぁ……身体能力はおかしかったかな。呪力は見ての通りないはずなんだけど。」

 

「素の力であれか。禪院先輩と同じタイプかな……。……って見てる場合じゃなかったな。」

 

 恵くんが悠仁の身体能力を見て、呆気に取られたような表情をする。

 しかし、すぐに頭を切り替えて、早く“宿儺の指”を探すぞと促すように肩を叩き、校舎の方を指差す。

 でも、私はすぐに校舎に行こうとする恵くんのことを静止した。

 恵くんが不思議そうな表情で私を見てくる。なんで行かないんだと言いたげだ。

 私はすぐに新宿のアヴェンジャーに目を向ける。そこには、真っ直ぐと悠仁を見つめている彼の姿があった。

 

「見つけた。百葉箱の中にあった呪物を拾った張本人。」

 

「!?」

 

 私がポツリと言葉を口にした瞬間、恵くんが慌てて悠仁の方へと目を向ける。

 しかし、恵くんが声をかける前に、悠仁が私たちのすぐ横を走り抜ける、正門の方へと走り過ぎていく。

 その際、感じたピリリとした気配は、紛れもなく廃村で感じ取ることができたものと同じものだった。

 

 さて、どうしたものか……。

 原作通り悠仁と合流して、原作通りに物語を進めるか……それとも何かしらの理由を取っ付けて二手に分かれて被害を最小に抑えるか……。

 

「─────……」

 

「…………。」

 

「ん?どうしたの?アヴェンジャー。」

 

「─────……」

 

 ぐるぐると思考を回していると、新宿のアヴェンジャーが校舎を見つめながら唸り声を漏らす。

 明らかに何か警戒しているみたいだけど……いや……待てよ?これ使えるかも?

 

「瑠風!さっきの虎杖って奴を追いかけるぞ!」

 

「待って、恵くん。アヴェンジャーが校舎を警戒してる。」

 

「!?」

 

 早く悠仁を追おうと話しかけてくる恵くんに、アヴェンジャーが警戒していることを告げれば、彼は目を丸くして固まった。

 しかし、すぐに慌てて校舎に目を向け、そして静かに首を傾げた。

 

「何も感じないが……」

 

「恵くん。アヴェンジャーは見ての通り狼だ。憎悪に染まり切っているとはいえ、生存本能に長けていた存在。私たちなんかよりも何倍も感覚が優れている存在が警戒心を露わにしていると言うことは、何か起こる可能性が高い……そう考えることができるんじゃない?」

 

「でも……“宿儺の指”はどうするんだ?」

 

「うん。そこで提案なんだけど、ここは二手に分かれて行動を取るのがいいんじゃないかな?」

 

「二手に……」

 

「そ。片方が学校にこのまま残って警戒して、片方が指を回収する。それが手っ取り早いと思うんだよね。」

 

「……じゃあ、俺がここに残……」

 

「いや、恵くんは虎杖くんを追って。こっちは私が受け持つよ。ほら、私ってば特級レベルの存在を三騎一気に呼べるから、戦力はかなりあるでしょ?二騎はとりあえず自由に校舎内を駆けてもらって、一騎は私の側で一緒に行動をすれば安全確保もできるから、多分、私が残る方が効率的にはいいと思うんだ。」

 

「………わかった。でも無理はすんなよ。」

 

「大丈夫。いざと言う時はサーヴァントに抱えてもらって脱出するからさ。」

 

「……絶対だからな。」

 

 私の説得に渋々頷いた恵くん。

 彼はすぐにその場で玉犬を出現させ、悠仁が持っていった“宿儺の指”の残穢がべったりついたケースの跡を追わせ、その場から離脱した。

 それを確認した私は、猫耳帽子を被り直し、警戒心を露わにしている新宿のアヴェンジャーの横に並ぶ。

 

「さて……試したいことがあるし、それも兼ねて警備しますか。夜になったら呪霊が湧くだろうし、次々とそれを消していこう。」

 

「ガウッ!」

 

「………!」

 

「りょっか!さぁ、やるやるやるぞー!!」

 

 二騎のサーヴァントに挟まれながら、私は目の前の校舎を見つめて小さく笑う。

 今のうちに祓えるものは祓って、原作のイベントが発生したら、一気にお掃除を開始しますか。

 

 

 

 




 瑠風
 恵と一緒に“宿儺の指”を捜索していた三級呪術師。
 原作知識、および新宿のアヴェンジャーの警戒態勢に乗る形で、恵と二手に分かれた。
 なぜか猫耳帽子を五条先生から渡されたので、とりあえず自身の素性を隠すことに。
 学校側に残った理由は、試したいことが一つあるから。

 太歳星君
 瑠風のサーヴァントとして、学校側に残ってやる気満々な祟り神。
 新宿のアヴェンジャーはアヴェアヴェと呼び、上の人は首無しという理由からナシナシと呼んでいる。
 呪霊がたくさん出てきても大丈夫!ワガハイが全部祟ってみせよう!!

 新宿のアヴェンジャー
 校舎側で何か起こることを本能的に察知した復讐の狼。
 呪霊が大量発生した場合、その全てを噛み砕き滅ぼしてやろうと考えている。
 勢い余って人を殺してしまいそうな雰囲気はあるが、瑠風がいる以上優先順位は呪霊>人気味。
 たまには体を動かしたいと思っていたので、呪霊が現れたらもれなく殺されます。

 伏黒
 瑠風の言葉により、渋々悠仁を追うことを選んだ二級呪術師。
 自分より瑠風の方が戦力があり、なおかつ同時使役可能数が負けていることも理解しているが、それはそれとして呪術師になって間もない瑠風を(サーヴァントがいるてはいえ)一人で学校に残したくはなかった。
 なるべく早く彼女と合流できるように、急いで悠仁を追う。

 虎杖悠仁
 ようやく出てきた原作の主人公。
 原作通りオカ研に入り、原作通り陸部の高木と勝負して勝利した。
 友人である瑠風が杉沢第三高校にいることには気づいていなかったが、猫耳帽子を被ってる謎の女子(瑠風)を見て、一瞬だけどっかで会ったような?気のせい?となっていた。


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