気がついたら祟り神様(純粋)と一緒に呪術の世界にいた話   作:時長凜祢@二次創作主力垢

23 / 26
22.試してみたいこと

 恵くんと別れ、杉沢第三高校に残った私は、太歳星君の手を借りて、校舎の屋上へと移動していた。

 警備をするためと、あることを試すために。

 

「るかるか。今から何をするのだ?」

 

「さっき、試したいことがあるって言ったでしょ。それを試してみようと思ってね。」

 

 太歳星君が首を傾げる中、私は、自身が試したいことを試すために、すかさずその場で自身の術式を発動させる。

 脳裏に浮かべるのは自分のカルデアにいたサーヴァントたち。この場にいる太歳星君と、新宿のアヴェンジャー以外の存在。

 自分のカルデアにいるサーヴァントの記憶はちゃんとあるからね。お世話になっていたサーヴァントも全て。

 まぁ、何らかの条件を満たしていようとも、来てくれなさそうなのもいるんだけどさ。

 なんてことを考えていると、自身の周りに三騎ほどサーヴァントが増えた気配を感じ取れた。

 

「ンンン!まさか拙僧が呼ばれるとは思いもよりませんでした!こちらの様子は呼ばれると同時にどのようなことになっているのか、知識として刻まれておりますので、説明は不要ですぞ。」

 

「なぜドーマンがいるのでしょう?」

 

「知るかよ。つか、こいつ呼んで問題ねぇのか?」

 

「うげぇ……ドーマン……。やっぱり齧られそうで怖いのだ……。ジュナオルとクーオルがいるだけマシだけどさぁ……」

 

「ガウッ」

 

「……………」

 

「ンン……マスター?なにやら拙僧、歓迎されてないようなのですが?」

 

 なんとも言えない表情をしながらこちらを見てくるアルターエゴは放っといて、私は呼び出したサーヴァントたち一人一人に目を向ける。

 善、悪、中庸、秩序、混沌、中立……そんなの全部関係なしに自身のカルデアのサーヴァントを脳裏に浮かべたはずなんだけど、やって来たのは混沌・悪属性を有している道満、ジュナオ、オルタニキの三騎だけ。

 もしや、混沌・悪属性しか呼べないのかと一瞬脳裏に過ったが、混沌は有していても、中庸属性持ちである太歳星君や、悪と善、両方を有しているジュナオがいるため、正確なルールがわからない。

 考えられるとしたら、混沌と悪、または中庸の組み合わせを持ち合わせているサーヴァント以外は呼べないのだろうか……。

 しかし、それにしては呼び出したサーヴァントの数が少ない。

 宝具レベルはともかく、それなりに私のカルデアにはサーヴァントが集まっていたはずだし、これだけと言うのはまずないだろう。

 ということは、サーヴァントは混沌か悪、中庸属性に属する者の中から五騎を呼び出せる……ってことなのだろうか。

 

「マスター?マイマスター?ンン!拙僧を無視しないでくだされ!」

 

「ちょっと考え事してるんだから黙ってくれるかなネコ科マッチョ。」

 

「ネコ科マッチョ……何故名前で呼んでくれないのですかマスター……。」

 

 黙らせるため以外何がある。じゃない。今はそれじゃない。

 

「……ジュナオ。」

 

「はい。どうかなさいましたか、マスター?」

 

「あのさ。私のこの術式……とりあえず、召来霊術(しょうらいれいじゅつ)と名付けてるんだけど、これで呼べるサーヴァントの条件って、混沌・悪か、混沌・中庸属性を持ち合わせているサーヴァントのみって認識でいいのかな?」

 

「ええ。正確には、悪か中庸属性を持ち、聖杯転臨や、スキル上げなどのリソースが注ぎ込まれ、マスターとの繋がりが深い者……マスターたちが口にしていた、絆が高い者のみ、五騎の同時顕現が可能です。」

 

「なるほど……そんな決まりがあるんだね。」

 

 道満のことをスルーしながら、自身の術式……能力に関しての知識を整理するため、この中で一番教えてくれそうなジュナオに問いかけ、その返答を聞くことにより、ようやく自身の力がどんなものか認識できた。

 召喚した全てのサーヴァントが呼べるわけじゃなく、悪か中庸の属性を持ち合わせたリソース注ぎ込み済み……なおかつ絆レベルが高い者のみを呼び出せる能力だったとはね。

 まぁ、でも、全てのサーヴァントが呼べたら間違いなくチートだし、これでよかったのかもしれない。

 ……いや、ジュナオがいる時点でチートだよ何言ってんだ私のアホ。

 

「全員、ステータスは向こうにいる時と変わらないのかな?特にジュナオ……能力値がかなりあれだけど、あのままきたりしてる?」

 

「拙僧たちの能力値ですかな?であれば、全騎向こうの世と違いなくそのままの能力を持って顕現しておりますれば。マスターの指示さえあれば、瞬く間に世界を蹂躙し尽くすことも可能故、いつでもお申し付けくださいませ。」

 

「世界は蹂躙しないわアホ。何考えてんの道満。」

 

「……マスター。悪いことは言いません。この外道は即刻処断すべきです。そこにいるだけで邪悪しかばら撒かない存在ですので。」

 

「俺もそいつに賛成だ。この外道はさっさと霊核ごと砕いちまえ。なんなら、すぐに俺が抉ってやろうか?」

 

「るかるか。ドーマンは帰らせた方がいいと思うのだ。」

 

「─────………。」

 

「…………。」

 

「………満場一致で帰れだってさ。」

 

「ンンンン手厳しい!拙僧は何も悪いことはしておりませぬぞ!!」

 

「「「「どの口が言ってるんだ腐れ外道。」」」」

 

「ガウッ!!」

 

「…………!」

 

 ……うん、普段のジュナオからは考えられないような言葉遣いが聞こえてきたような気がしたけどあえてスルーしよう。

 敬語キャラが急に敬語じゃなくなるのってなんか怖……。

 ていうか、太歳星君もそんな口調できたんだね。

 

「まぁいいや……。呪いに関してはエキスパートレベルだし、道満はとりあえず継続現界。他のみんなも、今回は一緒に仕事をしてくれると助かるよ。多分……いや、絶対、今日ここで大きな事件が起こるから。」

 

 そんなことを思いながら、私は現界しているみんなに指示を出す。

 いちいち説明しなくても、私の目的ややることは全て霊基に刻まれているらしいから、すぐに全員頷いてくれた。

 道満がいるなら、偵察の幅も広がりそうだね。

 

「サーヴァントはどれだけ呼べるのか。どんな条件下にあるサーヴァントが声に応じてくれるのか。その二つを確かめるという個人的な目的は達成したし、次は呪術師としての活動だ。今からみんなに指示を出すよ。まず道満。キミは式神を駆使して広範囲の警戒と、いざという時の連絡をお願いするよ。オルタニキとジュナオ、そしてセイは校内を霊体化して巡回。低級の呪霊がいたらすぐに祓うこと。最後にアヴェンジャーは外を霊体化して巡回。呪霊を見かけたら祓うなり食らうなりしていいからね。じゃあ、私からの指示は以上だよ。行動に移してくれ。」

 

 そんなことを思いながら、私はその場にいる全員に指示を飛ばす。

 すると、全員承諾の声をあげた後、すぐに行動に移し始めた。

 太歳星君とジュナオ、オルタニキの三騎は霊体化して校内に入り込み、新宿のアヴェンジャーは霊体化しながら屋上から下へと飛び降りる。

 屋上に残されたのは、私と道満のみ。

 ……なんかじっと見られているけど、ちょっかいを出そうとする素振りは見せてこないな。

 

「にしても……現世には呪いが蔓延る斯様な世界があったとは。やはり、人間たるもの、いつの世も変わりませぬなァ……。」

 

「そうだね。」

 

「ンン。マスター……何故拙僧に対する当たりがそこまで厳しいのでしょう……。確かにこの身、かつてあなた様と敵対していたことを記録として有しておりますが、今はマスターのサーヴァントなれば。そこまで距離を置かれてしまいますと、いくら拙僧でも傷ついてしまいますぞ?」

 

「そう言われてもなぁ……。どこまで行ってもキミは蘆屋道満であり、異星側にいたリンボに変わりないわけで、そりゃ警戒もしたくなるって話だよ。同位体ではないにせよ、同位体の……敵側だった時の記憶を有しているならなおさらね。腕は買ってるつもりだけど。」

 

「そうですか……。まぁ、そうなるのも致し方なし。ですが、マスターがあの赤毛の娘の足取りを見てきたものであり、拙僧をあそこまで酷使してきた存在であるならば、拙僧とあちらのあなた様の繋がりが深いこともよく知っておいででしょうに……。」

 

「所詮は二番じゃないか。一番最初に絆レベルがマックスになったのはオルタニキとジュナオだよ。」

 

「ンン!確かに拙僧は二番手ではありますが、それでもあなた様との繋がりは強いものだと自負しております!ですので、もそっと……もそっと近うお寄りくだされ。」

 

「ヤダよ。即行でポキっとやられそうだし。」

 

「そのようなことは決して考えておりませぬゆえご安心召されよ!まぁ、確かにマスターの細首、細腕、細腰程度、この手でポキリと即折ることが可能ではありますが、決してそのようなことはしないと誓いましょう!確か……西洋の方でしたかな?悪魔と呼ばれる妖魔の類の中に、嘘つきで有名なものがおりましたが、そのものの特性に則って言うなれば、神に誓って!決してマスターに害をなさないと誓いましょう!」

 

「神とか信じなさそうな奴がなんか言ってる。」

 

「拙僧!!これでも陰陽道の法師なれば!!」

 

「うるさ。無駄に声が大きいからちょっと声量抑えろ莫迦。」

 

 うるせぇ……と言うように、道満側に向いている片耳を押さえて吐き捨てれば、道満が少しばかり固まったのち、その場でしゃがみ込んでしまった。

 心なしかゼンマイ……ゲフンッ……髪の毛がしょんもりしているような気がするけど、スルーすることにしたのは言うまでもない。

 

 

 

 




 瑠風
 自身の術式がどのようなものであるかを知るために校舎警備に残った呪術師。
 道満のことは好きだけど信頼や信用はしていない。
【術式】
 召来霊術(しょうらいれいじゅつ)
 聖杯やスキル上げにリソースを欠いた絆レベル5以上の悪属性、または中庸を持ち合わせているサーヴァントを召喚することができる術式。
 サーヴァントの能力値は全て、彼女のFGOデータにあった能力値のまま召喚が可能で、最大五騎まで同時現界させることができる。

 太歳星君
 道満同行反対派。でもるかるかが呼んだなら仕方ないと我慢した。
 瑠風と道満を二人で残すことに不安はあるが、今は瑠風の指示に従って行動を取る。
 絆レベルは10。スキルマのLV.90のアルターエゴ。

 蘆屋道満
 瑠風に呼ばれ、彼女の元に馳せ参じた陰陽師。5.5章の記憶はあるが、瑠風の味方を必ずする。
 藤丸立香の目を通して世界を観測していたのも小娘だったことには少し驚いたが、自身と同じく神格を宿している瑠風に興味を示している。
 個人的にも気に入っている様子。
 絆レベルは10。スキルマLV.100のアルターエゴ。

 アルジュナ・オルタ
 瑠風に呼ばれ馳せ参じたあらゆる神格を内包した異聞帯のアルジュナ。
 人間に近い方のアルジュナであり、アルターエゴ・蘆屋道満は即刻排除するべきではと考えているが、一旦は瑠風の指示を聞いて行動中。
 絆レベルは15。スキルマLV.110バーサーカー。

 クー・フーリン・オルタ
 瑠風に呼ばれ馳せ参じたメイヴの望みによりあり方を歪めた狂王。
 瑠風のことは大切な妹分的認識をしており、怪しい動きを道満がした場合、即行で霊核ぶっ壊してやるからなと考えている。
 絆レベルは15。スキルマLV.120のバーサーカー。

 新宿のアヴェンジャー
 瑠風に呼ばれ、共に行動を取っている。人間は嫌いだが蘆屋道満はもっと嫌い。できることなら早く首を刈りたい。
 人間は嫌いで、瑠風のことも正直言ってどうでもいいが、マスターである以上はちゃんと守る。
 絆レベルは12。スキルマLV.90のアヴェンジャー。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。