気がついたら祟り神様(純粋)と一緒に呪術の世界にいた話 作:時長凜祢@二次創作主力垢
混乱したように固まる佐々木さんと井口さん。まあ、いきなり知らない人間が複数も現れたんだから、そうなってしまうのも無理はない。
だが、今は固まるより先に、指をこっちに渡してほしいんだよねぇ……。
「えっと……死にたくなければ指を渡せってどう言うこと?」
そんなことを考えていると、佐々木さんが口を開いた。この指に何かあるのかと聞きたいようだ。
あるから渡せって言ってるんだけどな。指の札が剥がされてから、呪霊の動きが活発になってるし、いつまた呪霊が現れるかわからない状況なんだからさ。
一応、ジュナオも道満もアヴェンジャーも、呪霊と交戦して被害が広がらないようにしているみたいだけど。
「それ。ガチモンの厄災呼び寄せ装置。過去に実在していた呪いに長けていた存在の指のミイラでね。それを持ってると……」
ん?道満が一匹呪霊を逃した……?いや、違う!!わざとこっちに呪霊を行かせやがったなあの陰陽師!!
呪力の流れから状況を判断した私は、すかさず手元にあるゲイ・ボルグを持ち直す。
同時に現れたのは、原作で佐々木さんと井口さんを呪物ごと取り込もうとしていた、何時ですかと連呼していた呪霊だった。
「うわぁあぁあぁあぁああ!!!!」
「きゃあああああああ!!!!」
現れた異形に叫び声をあげる二人組。ゲイ・ボルグを構え直していた私は、すぐに言葉を口にする。
「
鋭く踏み込み、手にしていた朱槍で呪霊めがけて放つ。放った槍の切っ先は、呪霊の体を貫き、その心臓を刺し穿つ。
ギャアアアアアアア!!と叫び声を上げた呪霊は、私から距離を取るように、その場から慌てて離れた。
「セイ。」
「いくいくいくぞー!!」
やっぱり本家のような火力や効能は出ないか、と軽く落ち込みながらも、側にいた太歳星君に声をかける。
私の声を聞いた太歳星君は、すかさず動く。目の前にいる呪霊を出現させた2本の巨大な手でそのまま切り裂いた。
太歳星君の攻撃を食らった呪霊は断末魔をあげて消失する。同時に発生した呪霊の残穢は、太歳星君へと吸収されていった。
「やったぞるかるかー!!」
「うん。ありがとう、セイ。」
笑顔で褒めて褒めてとくっついてきた太歳星君の頭を撫でながら感謝の言葉を述べる。
オルタニキからは、やっぱり贋作は贋作か……と言う呟きをもらったが、スルーしよう。
そんなことを思いながら、手にしていた朱槍の切っ先を上に向け、柄の部分を床に突き、杖代わりにして寄りかかる。
「……さて、これでわかったかな?それがどんなものか。」
さっさと渡さないから……と呆れながら、自分たちの手元にあるものがどれだけ危険なものか理解できたかと問いかける。
佐々木さんと井口さんの二人組は、こちらの言葉を聞くなり、首がもげそうな勢いで何度も頷いた。
「じゃあ、さっさと渡して?本当に死ぬよ?」
手を差し出しながら、指を貸せと促せば、佐々木さんが震えながら指を手渡してきた。
確かに回収できましたっと。さて……じゃあ、脱出するとしましょうか。
「外は間違いなく脱出系ホラーゲームみたいになってるだろうけど、脱出させてあげるからついてきて。」
こちらの言葉に佐々木さんと井口さんが頷く。護衛がいないと危ないことをしっかりと理解してくれたようで何よりだ。
「じゃあ行こうか。セイ。オルタニキ。頼むよ。」
「了解。」
「りょっか!」
それならさっさと外に行こう。そう考えながら、家庭科準備室の外に出てみれば、一気に振り返る呪力の気配の波。
うわぁ……と軽く引きながらも、辺りを見渡して様子を見る。うん、呪霊はなんとかジュナオたちが抑えてくれてるみたいだね。
つか、やっぱり道満、わざと逃したのか。
確かに、呪霊を見てもらった方が、状況を理解しやすくなる。今のような特殊な状況下なら、呪力を持っていなくても、呪霊を視認することができるしね。
でも、だからと言ってわざと逃して襲わせるのはおかしいだろうに。私や太歳星君、オルタニキがいるから大丈夫だと思ったにしてもだ。
それとも、私が放置した腹癒せか?あーあ……ゲステラ今だけ使えないかな。
軽く舌打ちをしたくなりながらも、問題はないことを確認した私は、佐々木さんと井口さんの二人に顎を使って行くぞと指示すれば、二人は恐る恐る廊下の外に出る。
それを見た私は、自分が先行する形で、廊下を進んで行く。一番手っ取り早いのは、オルタニキに二人を抱えてもらって、この四階から飛び降りてもらうことだけど……。
─────……ダメだな。外には低級だけど、結構な量の呪霊がうろついてる。
暗くなった外を、窓から眺めながら表情を歪める。一人だけならともかく、二人を抱えて移動させるとなると、オルタニキも二人も危ない。
低級呪霊って個々はそこまで強くないけど、まとまって襲ってくるとかなり厄介なんだよね。
となると、やっぱり中を歩く方が先決か。個々の呪霊の力は結構高いけど、低級に比べたらまとまりが薄い。
それに、中なら戦力が潤沢だ。校庭はアヴェンジャーだけだけど、中にはジュナオも道満もいる。側には太歳星君とオルタニキもいる。
なら、選ぶ道はやっぱり……。
「道満。式神を通じてこっちを見てるのはわかってる。ジュナオと合流して、すぐにこっちに来てもらえる?この場から離脱するには、二人の力も必要だ。セイとオルタニキばかりに負担をかけるわけにもいかないしね。」
「「?」」
そうと決まれば、ジュナオと道満に合流するように声をかけようと、静かに虚空に声をかける。
背後から佐々木さんと井口さんの不思議そうな視線を感じたけど、気にしている暇はない。
「マスター。」
「ようやく合流のお声がけですか、マスター。」
「「うわ!?」」
「……霊体化してショートカットして来たな?」
「物理的な干渉が少なくなるもので。」
「マスター。ここから脱出すると聞きましたが……」
「うん。この二人を護衛しながら移動するから合流してもらったんだよ。」
「なるほど。」
「一般人の護衛ですか。まあ、確かに。それをしながらの移動であれば、戦力が多い方が最適ですなァ。」
急に現れた道満たちに、佐々木さんたちがびっくりするが、気にすることなく、道満とジュナオの二騎に合流させた理由を説明すれば、納得したような様子を見せる。
「では、早速撤退行動に移りましょう。」
「襲い来る呪いは、我々が悉く殲滅してくれましょうぞ。」
「妙な行動を取ったらすぐに殺すからな、リンボ。」
「るかるかにも、後ろの二人にも何かしたら、ワガハイたちが許さないからなー?」
「ンンッ恐ろしいことで。くわばらくわばら……」
ちっとも思っていないことを口にする道満に呆れながら、外に出るための移動を再開する。
呪力の流れから、なるべく少ない道を選べるし、問題はないと思うけど……なんか、少しだけ嫌な予感がするね。
瑠風
佐々木と井口が呪霊に襲われないようにしながら、校舎からの脱出を図っている転生者。
胸に燻る嫌な予感に、少しだけ不安になりながらも、怪我なく外へ送り出そうと決めている。
太歳星君
護衛①
絶対にみんな怪我なく脱出させるぞー!と張り切っている。
オルタニキ
護衛②
道満を相変わらず警戒している。
蘆屋道満
護衛③
呪霊をわざと逃したのは、瑠風の行動をスムーズにするためだが、軽くイラつかれた。
ジュナオ
護衛④
道満に対する警戒は怠ることなく、そして護衛もしっかりこなす満々。
第三再臨でいることが多い。
佐々木&井口
瑠風たちに守られた一般人。
最初は現れた瑠風に混乱していたが、なんか知らんバケモンに襲われたので、大人しく指を瑠風に渡した。