気がついたら祟り神様(純粋)と一緒に呪術の世界にいた話   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 アンケート回答がかなりの量集まったので、導入する鯖二人がチラッと後半で出てきます。
 この話を連載している別サイトでも取っていた同アンケートの数値を合計した結果、この二人組になりましま。


05.セイと瑠風の日常は……

 あれから時間は経ち、夕暮れ近く。

 私と太歳星君は、再び電車を利用して、帰宅路へとついていた。

 

「わっはー!いっぱい遊べて楽しかったぞー!」

 

「それは良かった。」

 

「なぁなぁるかるか!またショッピングモールに行こうな!」

 

「うん。時間が取れたらまた行こうか。今度は映画館とかにも行ってみたいね。」

 

「映画館?」

 

「そ。家にはテレビがあるよね?あれの何倍もある大きさのスクリーンで映像を見て楽しむんだよ。まぁ、おしゃべりとかはできないけどね。他にもお客さんがいるから、騒いだら迷惑をかけてしまう。」

 

「迷惑は良くないなー。」

 

「その通り。だから、映画館の中では静かにしとかなきゃいけないんだよね。」

 

「りょっか!映画館に行った時はちゃんと静かにするぞ!」

 

「セイは偉いね。」

 

「わはー!るかるかに褒められたー!」

 

「で、映画館には行ってみたい?」

 

「うん!その映画館って奴、ワガハイも行ってみたいのだ。」

 

「じゃあまたショッピングモールに行く機会があったら映画館にも行ってみようか。早起きすることになるかもしれないけど、セイは大丈夫?」

 

「もちろん大丈夫なのだ!楽しみが増えたな。」

 

 にこにこと笑顔を見せる太歳星君の姿から、本当に楽しみにしてくれていることがよくわかる。

 こんなに無邪気な子が、まさか太歳神と呼ばれる祟り神であることに、気づける人はいるのだろうか?

 まぁ、呪術師や呪詛師に分類する人たちはすぐにわかってしまいそうだけど。

 その道のプロ集団なわけですし。

 だからこそ、六眼持ちの五条先生には会いたくないんだよね。

 だってこの子が祟り神だとバレたらどんなことになるかわからないし。

 ああ、でも、一番会いたくないのは呪術界の上層部かね?

 五条先生は多少なりとも融通を効かせてくれるところがある分、まだマシな分類かもしれない。

 逆に上層部となると、即行で死刑じゃなんじゃと騒がれるだろう。

 正直、あの人らのクズっぷりはかなりのもんだからね……大嫌いだから見つかりたくない。

 

「るかるか?どうしたんだ?」

 

「うん?そうだね……ちょっと嫌いな奴らがいるから、そいつらには会いたくないし、見つかりたくないなって考えていただけだよ。」

 

「るかるかにも嫌いな奴らがいるのか?どうする?祟っとくか?」

 

「……是非ともと言いたいところだけど、今のところは害されてないから放置でいいかな。もし手を出してきたらその時は任せるよ。」

 

「りょっか!」

 

 嬉しそうにこちらの依頼を引き受ける太歳星君。

 マジであの老人たちが何かしてきたら彼にどうにかしてもらおうと思いながら、ぶらぶらと揺れる太歳星君の手をゆるく握る。

 すると太歳星君は、すぐに私の手を握りしめて、わはーと御満悦。

 しかし、すぐに何かに気付いたような反応を見せ、その場で警戒するように辺りを見渡し始めた。

 

「セイ?」

 

「……るかるか。気をつけて。何かくる!」

 

 何かくるって……と口から出そうになった声は、悍ましい方向のような声により掻き消える。

 何かが猛スピードでこちらの方へと走ってくる気配。

 それは、あまりにも覚えのあるものだった。

 今日の朝、見ていた夢……この世界での御子神 瑠風と言う存在の記憶となる夢。

 そこに現れていた呪いが型を得たもの……呪霊。

 つまり、こいつは私か太歳星君を狙ってこっちの方へとやってきたと言うわけだ。

 そこまで分析した瞬間、目の前に砂埃が舞い上がる。

 一時的に奪われた視界。だが、砂埃の間間に存在している薄い部分からはちらちらと明らかに人でもなければ動物でもない異質な見た目をしている存在が見えていた。

 

「なんのトラブルなく過ごせると思ったのに!!」

 

「るかるか、ワガハイの後ろに早く隠れて!こいつはワガハイがやっつけるのだ!」

 

 呪霊をやっつけると言ってくる太歳星君に頷き、彼から一定の距離を取る。

 同時に太歳星君は、目の前にいる呪霊めがけて走り出した。

 

「るかるかには指一本触れさせないぞー!約束したからなー!!」

 

 声音は子どもらしいというのに、纏う気配は禍々しく、呪いの神であることを改めて認識してしまうほどの気迫を見せる太歳星君。

 でも、纏う力はとんでもないと言うのに、不思議と彼のそれは怖いとは感じない。

 太歳星君が私を守ると約束をしてくれたからだろうか?それとも、彼は必ず私の味方をしてくれると理解しているからだろうか?

 おそらくはその両方。太歳星君は必ず守ると約束してくれた。だから私も、彼を信じることができる。

 

 襲ってきた呪霊めがけて走った太歳星君は、一瞬にしてその姿を青年のものへと変化させ、同時に異形の四本の腕を出現させる。

 そのまま、こちらを襲ってきた呪霊に殴りかかってそのまま潰し……いや殴りかかって潰した!?

 

「待って太歳星君!!まさかの物理なの攻撃!?」

 

「……こっちの方が早いから。」

 

「た、確かに早いけどね……?」

 

「こいつらは……祟るのは難しい。逆に強くなるかもしれないから。でも、こうすればこいつらはすぐに消える。だから、早い。」

 

「そ、そうなんだ……?」

 

「……瑠風。気をつけて。まだ、いる。」

 

「!」

 

 まさかの排除方法に対するツッコミを入れる中、太歳星君から紡がれた言葉に思わず固まる。

 まだいる?どこに?気配は感じないのにと辺りを見渡していると、不意に体を悪寒が貫く。

 慌ててその方に目を向けてみれば、そこには巨大な呪霊が現れていた。

 

「うわ!?」

 

 急いで距離を取るように太歳星君の方へと走り出す。

 すると、太歳星君は一瞬にして私の側にやってきて、四本の異形の腕のうちの一本で呪霊を頭から叩き潰した。

 その際私の体は残りの異形の腕と、普段使いされている二本の腕、計五本の腕で包み込むように抱きしめられる。

 断末魔を上げることなく、呪霊は蚊のように潰された。

 まさにプチッと言う効果音が合いそうな状況だ。

 

 潰された呪霊はその場に肉片やら血やらわからない何かを撒き散らして絶命する。

 太歳星君が腕のおかげでその飛沫を浴びることはなかった。

 

「瑠風……大丈夫か……?」

 

「うん。ありがとう、セイ。助かったよ。」

 

「瑠風を守るって、約束したから。」

 

 太歳星君が小さく笑いながらこちらを見てくる。

 その姿に小さい太歳星君を重ねながら、優しく彼の頭を撫でる。

 その瞬間、太歳星君の体がふわりと禍々しいオーラに包まれた。

 オーラが霧散すれば、いつもの小さな太歳星君の姿が現れる。

 

「るかるか、怪我はないか?」

 

「うん。」

 

「それならよかったのだ!」

 

 久々に呪霊に襲われたなと思いながらも、互いに無事だったことを喜ぶ。

 これで平穏無事に自宅の方へ………

 

「祟り神の中でもそれなりに有名どころである太歳神こと太歳星君を引っ付けてるにも関わらず体調を崩すどころか、守ってもらいながら過ごしてるってすごいな。しかも友好的に接して過ごしてるとかウケるんだけど。」

 

「………Oh……。」

 

 ………聞き覚えのある中村○一ボイスが鼓膜を揺らし、思わず引き攣った笑みが出てしまう。

 ギギギ……と壊れたブリキの人形のように背後を振り返ってみれば、そこには銀髪目隠しのナイスガイ。

 いつか見つかるとは思ったけど、こんなに早く見つかるとは思わなかったよ……。

 ねぇ……五条先生………。

 

 

 ࿐·˖✶࿐·˖✶࿐·˖✶࿐·˖✶࿐·˖✶࿐·˖✶࿐·˖✶

 

 

 五条悟と邂逅してしまった瑠風と太歳星君。

 その姿を遠巻きに見ているものが二人いた。

 片方は少女。片方は外国からやってきたと思わしき女性。

 二人は自身の碧眼と、琥珀色の瞳の中に二人と一騎の祟り神を映す。

 

「おやおや。見つかってしまいましたね、彼女。」

 

「大丈夫かしら……マスター……。」

 

「問題はないと思いますよ?あの銀髪の方。彼女と太歳神に危害を加えるつもりはなさそうですし。」

 

「でも、あの方は呪いを祓う人で、なおかつお強い方なのでしょう?助けなくてもいいのかしら……」

 

「まぁ、もしも危害を加えそうであれば、その時は(わたくし)たちも出るとしましょう。ですので、もう少し様子見をば……。全く……呪いが蔓延る世界とは言え、(わたくし)を護衛の一人として無意識のうちに召喚するだなんて、随分とまぁ変わり者がいたものですねぇ。しかも、彼女の宝具を自身の能力に変換しているとは思いもよりませんでした。ですが、使い勝手は割といいかもしれませんね。短時間の領域展開だけで、かなりのスペックとして作用するようですし。」

 

「でも、まだマスターは気づいていらっしゃらないのでしょう?」

 

「まぁ、気づけるほどの記憶はまだないようですから。ですが、いずれ必ず気づくことになるはずですよ。意識を失うほどの疲労とともに。」

 

「意識を失う……?」

 

「ええ。彼女が内側にある力に気づくのは、少しでも道を誤れば命を失ってしまう現場でしょうから。いわゆる、銀髪の方のような呪いを祓う立場になったら、ようやく自覚できるかもしれない……と言ったところでしょう。ですが、あれを使うとかなり体力を消耗するので、頻繁に使わせないようにしなくてはなりませんね。なんせ、本来ならば人間如きが扱ってはならない技ですし。あれは、(わたくし)たちのような存在だからこそ使えるもの。ゆえに、人間が使えば本来命を落とします。まぁ、彼女に関しては、それをカバーする特異体質があるようですから、意識を失う程度でなんとかなるようですが。」

 

「それなら、私たちもあまり無茶をしてはならないわね。」

 

「ええ。とはいえ、この流れなら彼女は間違いなく呪術師が集まる場所に連れて行かれるでしょうし、周りが無茶をしないとも限りませんから、(わたくし)たちも行動せざるを得ないでしょう。これらのお代は、最期にまとめて請求するとしましょうか。タダ働きなどごめんですので。」

 

「私は……マスターと遊べればそれでいいのだけど……。」

 

「あなたは子ども。(わたくし)は社会人。立場が違えば報酬が変化するのは当然ですわ。なので、あなたは決して(わたくし)の邪魔はしないでくださいましね?」

 

「邪魔はしないわ。だって、私とあなたはマスターを守る力を振うために召喚されたのですから。でも、マスターに無茶なことをするようであれば、その時私は何をするかわからないから。」

 

「……まぁいいでしょう。報酬をしっかりといただくまでは、(わたくし)も彼女に無理難題を突きつけるつもりはありませんし。その分、利子はきっちりとつけますが。」

 

 遠巻きに瑠風たちを見据える二人組の間にわずかながら険悪な空気が走る。

 しかし、瑠風たちが移動する様子を確認するなり、すぐにその険悪ムードを振り払い、その後を追い始める。

 彼女たちの頭の中には、今はとりあえず、自分たちを呼び出す原因となり、この世界でのみの主人を護衛することのみが過ぎっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【瑠風&太歳星君】

 ついに五条と接触してしまった二人組。

 五条が現れた際、太歳星君は威嚇するように瑠風の前に出て彼を威嚇し、瑠風はとうとう最強呪術師に見つかってしまったと肩を落とした。

 

 

 【五条 悟】

 瑠風が少年を太歳星君と呼んだことにより、彼が道教の太歳神であることを確信。

 とんでもない祟り神連れてんのに平然としてるし、むしろ友好的に接してるとかウケるんだけどと笑っていた。

 

 

 【遠巻きに瑠風たちを見ていた二人組】

 実は瑠風と合流していなかっただけで、彼女が呪術廻戦の世界で目を覚ました瞬間、連鎖的に召喚された方々。

 瑠風をマスターと称しており、なおかつ彼女が使える術式も領域展開も知っている様子。

 それを瑠風が自覚していないことも、それを使用した際の弊害も、瑠風の特異体質も知っているが、今のところ本人に告げるつもりはない。

 仲はあまりよろしくない様だが、自分たちが何のためにこの世界に顕現しているのか理解しているため、軽い言い争いはするが、消滅させるつもりはない。

 

 

 

他にもサーヴァントを出すとしたら?

  • 闇のコヤンスカヤ
  • ジャンヌ・ダルク[オルタ]
  • 巌窟王
  • アビゲイル・ウィリアムズ
  • クー・フーリン[オルタ]

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